著者
貝沼 重信 山本 悠哉 林 秀幸 伊藤 義浩 押川 渡
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.50-57, 2014-02-15 (Released:2014-08-22)
参考文献数
11
被引用文献数
2 10

鋼構造物を腐食損傷に対して,経済的に維持管理するためには,その部位レベルの腐食環境を定量的に把握した上で,腐食挙動の経時性を評価する必要がある.そこで,本研究ではFe/Ag対ACM型腐食センサーを用いて,降雨や飛来海塩に着目した大気環境における無塗装普通鋼板の経時腐食深さの評価方法を提案することを目的とした.そのために,降雨や飛来海塩の影響が著しく異なる4地点において,無塗装普通鋼板の大気暴露試験を実施した.また,その鋼板の対空・対地面の腐食環境をACM型腐食センサーによりモニタリングした.
著者
庄司 一夫
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.321-325, 2016-08-15 (Released:2017-03-04)
参考文献数
3

CCS大規模実証試験プロジェクトが北海道苫小牧市で進行中である.この経済産業省によるプロジェクトは2012年度から2020年度までが予定されており,CO2の回収から圧入・貯留までのCCS一貫システムの実現性を実証するものである.本実証試験では,CCS技術の実用化を目指し,商業設備を排出源として,CO2を年間10万t以上の規模で苫小牧港沿岸の海底下の深部塩水層に圧入・貯留する計画である.実証試験設備の建設は2015年10月に完了し,試運転を行っている.CO2圧入は2016年4月に開始予定である.
著者
松島 巖
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.597-598, 1994-10-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
6
著者
亀井 裕次
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.249-250, 2022-09-10 (Released:2022-10-18)
著者
布施 則一 長沼 淳 朱牟田 善治 谷 純一 堀 康彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.47-54, 2021-02-10 (Released:2021-08-03)
参考文献数
31
被引用文献数
1

ガルバニック対による腐食センサデータから精度良く腐食速度を算出するアルゴリズムを構築した.この特徴として,センサデータの解析に湿度記録を併用し,異常出力を自動抽出する.曝露試験場や送電鉄塔現場で観測されたデータから解析の定量性を評価すると,腐食速度が実測値と良く整合した.本解析の過程では日々の海塩付着量も算出される.そこで,観測データから台風,降雨および鋼管内環境と腐食の関連性を検討した.
著者
竹田 誠一
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.284-293, 2006 (Released:2007-06-28)
参考文献数
5
被引用文献数
2

腐食機構の理解は電気化学の理解が前提である. 物体の電位と電極電位の違いを示した後, 海水中のステンレス鋼の腐食挙動を例にとり, アノード反応, カソード反応とそれによる電極電位の変化について述べることにより, 海水腐食を電気化学にどのように理解すべきかを述べた. 海水腐食に関して, アノード反応の促進原因としてのピット内液の酸性化, カソード反応の促進原因としての寸法効果, 流速, 金属塩, 微生物など各腐食因子の電気化学的意味を説明した.
著者
大森 惇志 秋山 英二 阿部 博志 端 邦樹 佐藤 智徳 加治 芳行 井上 博之 田口 光正 清藤 一 多田 英司 鈴木 俊一
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.107-111, 2020-04-10 (Released:2020-10-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

ガンマ線照射による水のラジオリシスで生成する酸化剤が炭素鋼の気相中の腐食に及ぼす効果を評価するために,オゾンをモデル酸化剤として用いて50℃の湿度制御下に導入し,ACMセンサを用いた腐食モニタリングを行なった.ACM電流はオゾンの濃度に伴って高くなったことから,オゾンによる腐食促進の効果が示された.これはオゾンの還元反応あるいは水への溶解反応が早く,カソード反応を促進したためと考えられる.
著者
加藤 千明
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.447-448, 2014-08-15 (Released:2015-02-03)
著者
南雲 道彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.380-389, 2006 (Released:2007-06-28)
参考文献数
39
被引用文献数
6 7

液相からの水素侵入に関する基本的な電極反応を概説した. 水素の表面被覆率や吸収水素量を含めて, 水素侵入速度を表すパラメーターを決めるいくつかのモデルを紹介した. 腐食過程では, とくに水素侵入に及ぼす表面皮膜の影響を電極/電解液界面の電気二重層の構造と水素のアンダーポテンシャル析出から述べた.
著者
迫 良輔 酒井 潤一
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.402-409, 2012-10-15 (Released:2013-04-05)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

クロメート代替原料としてフェノール樹脂の皮膜形成と耐食性について検討した.樹脂の示差熱分析,皮膜の表面エネルギー測定,XPS,FT-IRを用いた皮膜特性解析を実施して亜鉛めっき鋼板上での皮膜形成のメカニズムと耐食性に及ぼす焼付け温度とリン酸添加の影響を明確にした.また,皮膜の分極測定結果から耐食性のメカニズムを推定した.80℃では凝集状態の樹脂が,熱エネルギーによってほぐれながら130℃以上の温度で自己架橋して緻密な皮膜を形成し,形成された皮膜は良好な耐食性を示すことがわかった.また,樹脂水溶液にリン酸を添加すると自己架橋温度以下の120℃焼付けでも良好な耐食性を示した.リン酸は樹脂の架橋を促進しており,また皮膜中に不溶化して取り込まれていることが確認された.架橋反応によって形成された緻密な皮膜がアノード反応とカソード反応を抑制し,さらに皮膜に取り込まれたリン酸がさらなる腐食抑制に働いたと考えられる.
著者
山手 利博
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.491-496, 2011-11-15 (Released:2012-04-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

群馬県草津温泉における温泉施設で硫化水素を含む酸性硫酸塩・塩化物温泉に使用されたステンレス鋼製手摺(SUS304)の湯浸漬部が約2カ月で腐食により全面的に溶解した.腐食したサンプルを解析し,現地に残っている手摺の観察,源泉での浸漬試験と自然電位の測定などを行った.その結果,腐食原因は低pH(pH 2以下)および遊離硫化水素の腐食作用と考えられた.pH 2 以下の二つの源泉において硫化水素を含む泉質だけに発生したことから特に硫化水素の影響が大きく,SUS304の活性溶解を早めたものと考えられる.対策としてステンレス鋼の代わりにチタン製手摺を使用し,約18カ月後において発銹や局部腐食の発生はみられない.
著者
林 重成 成田 敏夫
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
材料と環境 : zairyo-to-kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.476-482, 2006-11-15
参考文献数
40
被引用文献数
2

近年の熱交換システムでは, 熱効率向上を目的とした運転温度の上昇が求められており, 耐熱材料にはより高温での使用が要求されている。高温対応型の耐熱材料設計の自由度を上げるため, 合金上への耐酸化コーティングの適用は必要不可避となっており, コーティングの重要性はますます増加している。本解説では, 著者らの最近の研究成果を紹介しながら, 次世代の耐酸化コーティングについて議論する。
著者
本岡 隆文 山本 正弘
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.394-401, 2011-09-15 (Released:2012-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

原子力及び生体材料に適している金属材料について,水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動を調査し,熱力学データから予測される安定化学種との対応を検討した.試験材はジルコニウム,チタニウム,タンタルとニオブである.これらを0.1~6.1 mol/dm3水酸化ナトリウム溶液に48時間浸漬した後,重量減量測定,X線回折分析とXPS分析を実施した.また,動電位分極測定を水酸化ナトリウム溶液で実施した.腐食速度はNb>Ta>Ti>Zrの順序で大きかった.分極曲線では,Ti,Ta,Zrは不働態化すること,Nbは腐食が激しいことが示された.X線回折の結果,Nbはニオブ酸塩として溶解したことがわかった.XPSスペクトルは,Zr,TiはZrO2,TiO2,の酸化皮膜を表面に形成していることを示した.SEM写真では,試験材は均一腐食していることが示された.熱力学データから予測される安定化学種と腐食試験と表面分析結果より想定される安定化学種に異なりが見られたことから,アルカリ域での熱力学データの充実が望まれる.
著者
浜村 武広 久保内 昌敏 青木 才子 吉田 治 江島 光彦 酒井 哲也
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.182-187, 2012-04-15 (Released:2012-12-01)
参考文献数
23

アセタールコポリマー (Co−POM)の硝酸(HNO3)水溶液下における腐食機構とそのモデル化について検討を行った.劣化度合は,質量および分子量変化によって評価した.硝酸水溶液における質量変化は,潜伏期間後に直線的に減少した.SEC測定結果から,HNO3水溶液によるCo-POMに対する腐食は表面近傍を主体に進展し,内部は初期状態を維持していたことから,その腐食形態は腐食層形成型と一致した.加水分解反応によるCo-POMの腐食速度式は,試料表面の分子量低下から得た反応速度定数を用いて算出した.次に,質量変化(湿潤−乾湿試料)を用いて,HNO3水溶液のCo−POM内への拡散係数を求め,これによって得られる試料内の経時的な濃度分布変化と先の腐食速度式を組み合わせることにより,Co−POMの腐食速度を数値解析により求めた.解析結果と実験結果はおおむね良好な一致を示し,この手法で速度論的なモデル化を行うことが可能であることを示した.
著者
春名 匠 庄司 裕樹 鹿島 和幸 上村 隆之 幸 英昭
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.113-119, 2012 (Released:2012-10-31)
参考文献数
28

湿潤・乾燥環境中におけるさび付き炭素鋼の吸湿・放湿挙動を定量的に測定することができる装置を開発した.さび付き炭素鋼を試料にして湿度を制御した空気を導入した容器内に設置し,吸湿・放湿に伴う試料の質量変化を精密電子天秤で連続的に測定した.それと同時に容器内の湿度をデジタル湿度計で測定した.湿度が90%以上の空気中では,試料の質量はさびの吸湿によって急激に放物線的に増加し,やがて試料表面への水分の付着によって徐々に直線的に増加した.試験を続けると質量の振動が認められた.突然の質量減少は一部のさび片を含んだ水滴の落下に対応し,その後の直線的な質量の増加は水分の再付着に対応した.90%以下の湿度における質量変化は90%以上の湿度のときと同様であったが,試料からの水滴の落下は認められなかった.湿度88%の空気中で長時間試験を行うと,試料に吸収・付着した水分の質量は試験時間に依存せず,新しく生成したさびの質量は時間の経過とともに直線的に増加することがわかった.また,さびの質量増加速度すなわち腐食速度は厚い水膜中に存在する溶存酸素の拡散が律速したカソード反応速度に対応することが示唆された.
著者
稲田 文夫 米田 公俊 森田 良 藤原 和俊 古谷 正裕
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.218-223, 2008 (Released:2008-11-08)
参考文献数
12
被引用文献数
2 6

配管減肉に対する流体現象の寄与について説明した.流れ加速型腐食(FAC)とエロージョンでは,壁面への流体作用力が全く異なることを示した.FACの主要因子である乱流物質移動は熱伝達とアナロジがあり,壁面近傍の粘性底層内の分子輸送が支配的とするモデルが実用的である.さらに物質移動は数値流体解析コードで求められる.最後にこれらの手法によりオリフィス,エルボにおける物質移動現象を予測した結果を説明した.