著者
十川 浩
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.588-594, 1990-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

ビールと人類との係り合いの中からビールの機能性を論じるとき, その多くは致酔性に関連したものといえる。本稿では食品の機能性に準じて幅広い見地から解説していただいた。三次機能 (生理活性, 生体調節機能) の解明については, 今後の研究の発展に期待したい。
著者
堂本 康彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.432-438, 1982-07-15 (Released:2011-11-04)

著者は全国の代表的な麦味噌の成分特性についての調査を行ったので, ここに報告していただいた。これまで, 麦味噌の地域的特徴についての詳細な調査報告はあまりない。米味噌には幾つかの代表的な型があるが, 麦味噌においても地域的な型が存在する。この点を理解し, 新しい消費層のニーズに対応して品質の向上を計ることが, 今後の需要拡大の方途でもある。
著者
宇都宮 仁 木田 信 牧 則光 磯谷 敦子 岩田 博 西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.446-457, 2006
被引用文献数
4

1.ヘッドスペースSPME法による焼酎及びホワイトスピリッツの中高沸点香気成分分析条件を検討した。高級アルコールや脂肪酸エチルエステル等の共通する成分に加えて, 甘藷焼酎にはテルペン類及びサリチル酸メチル, 泡盛には1-オクテン-3-オールといった特徴のある成分が検出され, 本法は中高沸点成分の分析に有用であった。<BR>2.一般成分 (pH, 酸度, TBA価), 酵素法で測定したアセトアルデヒド及び酢酸, 直接ヘッドスペース法で測定した7成分, ヘッドスペースSPME法で測定した20成分を合わせた32成分を用いて, 本格焼酎 (28), 花酒 (1), 甲類 (3), 甲乙混和 (2), ウオッカ (3), ラム (3), アラック (1), テキーラ (1), ピンガ (1) のクラスター分析を行ったところ, 酒粕焼酎2点を除き, (1) 本格焼酎, (2) 甲類・甲乙混和・ウオッカ・ラム, (3) その他のグループに類別された。<BR>3.ステップワイズ変数選択を行い, 酢酸, 酢酸エチル, イソアミルアルコール, 1-ドデカノールを用いて「本格焼酎 (28)」,「甲類・甲乙混和・ウオツカ・ラム (11)」,「中国白酒 (4)」のカテゴリーの判別分析を行うと誤判定1で判別が可能であった。<BR>4.本格焼酎 (28) 間では, メタノール, 1-プロパノール, イソブタノール, カプリル酸エチルを用いて, 誤判定1で甘藷, 泡盛, 米, 麦, ソバ, 黒糖, 酒粕の判別が可能であった。<BR>5.本格焼酎の特徴は, 高級アルコール及び低沸点のエステルが多いことであったが, 中国白酒より酢酸, 酢酸エチル, アセトアルデヒドが少なく, 穏やかな香味を持つと考えられた。
著者
鈴木 崇 横瀬 正英
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.578-584, 2007

日本ではスピリッツという酒類の概念は一般的には, ウオッカやジンなどを指すが, 欧米では蒸留酒一般を, 広くスピリッツと呼ぶ場合が多い。世界各国の酒類制度は, それぞれの国の歴史や文化に影響を受けながら変遷して来ており, 言わば酒類制度は, その国の酒類に関する歴史, 文化の裏返しであるとも言える。著者らは, カナダのケベック州のスピリッツを中心にした酒類制度を, 行政, 酒税制度, 組織, 許認可, 歴史など, 多面的な角度から調査した。現在の欧米の酒類制度と日本の酒類制度を文化や歴史を踏まえて比較するうえで, 参考になる調査となっている。
著者
小野 博通
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.522-529, 2010-08-15

一昨年発覚した事故米の不正流通問題や酒米の差し替え事件などにより,清酒,焼酎に対して消費者に少なからぬ不安や不信感を与えた。このような事件の再発を防止するため,昨年公布された米トレーサビリティ法がいよいよ施行される。米の取引等に係る記録の作成保存関係が本年10月1日から,また来年7月1日からは消費者に対する米に関する産地情報の伝達が施行されることとなる。<BR>その施行に先立ち,具体的な事例なども含めて,トレーサビリティ法の詳細について解説をお願いした。
著者
中村 圭寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.200-207, 1991

偶然に発見されたアスパルテームは甘味料として, アメリカで1981年, 日本で1983年に使用が認可された。甘味の質は砂糖によく似ており, 砂糖の約200倍の甘味度をもち, 果実7レーバー増強の効果をもつ。蛋白質の成分からできているダイエット甘味料として, 欧米及び日本では大きな注目を集めている。
著者
窪田 稔
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.565-570, 1970

プラスチックは石油化学の生んだ合成資材であるから, 情報化社会が進むにつれその時代が要望するV. A効果をピタリ包含した新しい製品を次から次と発表, 市販できるものであリ, まさに21世紀の材料として包装, 運搬, 容器革命の担い手と目されるものである。ここにプラスチックを材質別に解説し, その主たる用途と経済性を考えてみた。
著者
竹田 正久 塚原 寅次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.174-181, 1963-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

山田等は滓引期間に新酒中に含まれている多くの活性酵素類の作用により特に糖類あ, アミノ酸が増加し自然酒味も変化して熟成するものであり, それ故に新酒の早出しを要する場合には品温をあげて酵素類の活動を促せば早熟することを考え滓引中の清酒の品温を15℃位迄昇せて早熟効果を挙げることを考案した。近年再びこの早熱法について山田, 古川, 高橋, 秋山等によって検討が加えられ「新酒の調熟には約30℃ に加温して10日前後保つ」のが最適であることが認められている。そして30℃加温法による清酒のアミラーゼ力価, 糖分の増加あるいは酸化還元電位に関係あるI. E. T値 (I. T. T) 即ち酸化還元電位に対する緩衝能を測定し, 熟成の理論と最もよく一致するものであると述べている。筆者等は加温調熟法による清酒の酸化還元電位 (rH) を測定し調熟との関係について種々検討を行なったのでここに報告する。
著者
高橋 俊明
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.444-447, 1985-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

筆者は日本の酵母遺伝学で主導的な仕事をされてきたお一人である。三十余年の研究生活を通じて, 実用酵母を育種する立場から, 常にどのような酵母が必要かを問いつつ, 育種と基礎遺伝学との対応を考えてこられた。ここでは, ビール酵母の硫化水素生成の遺伝を中心に酵母育種に対するお考えの一端を述べていただいた。
著者
安井 哲二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.94-99, 2001-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

ビールの劣化により生ずるカードボード臭はビールの代表的なオフフレーバー である。カードボード臭はこれまで製品ビールの酸化により生成するものと考えられてきたが, 最近非酸化経路による有力な生成説が提唱された。本稿ではカードボード臭に精通している筆者に, カードボード臭の生成メカニズムの詳細と生成抑制の考え方について解説していただいた。
著者
佐々木 定
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.222-226, 2000-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19

ここ数年, 清酒業界では, 商品の多様化, ブランドの差別化などの目的で酒造用原料米の新品種の開発, 復古米の試みが各地で盛んに行われている。酒造用原料米晶種である「神力」は, 昭和10年頃まで西日本各地で清酒醸造用に広く使用されていたものの, その後廃れてしまっていた。このほど熊本県で復活したので, この間の事情について解説していただいた。