著者
松本 憲次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11-12, pp.145-148, 1945-12-15 (Released:2011-12-12)

一、甘藷は味噌に使用するには蒸して食鹽を一五%以上混合混捏して貯藏して置き必要に應じ使用する。一、蒸甘藷は既製味噌に混控して漉込み數日にして使用して差支ない、其際に食鹽は甘藷に甥し一零- 八%内外に添加する。一、干甘藷は製麹して米麥麹代替網とすることが出來るが、干甘護に適度に吸水し蒸し時には火蓋と交互に重ねて蒸し混控して生甘藷と同様に味噌に漉込んでも收得量には餘り生甘藷と相違を認めない、多少色澤を損じてをる位でもる。一、甘味多い甘藷は多少温暖なれば酸昧を早く増すことがあるから甘味の少ない藷を使用する方がよい。一、冠水甘藷は混捏が充分に行かぬから可成避けた方がよい。一、甘藷加用の味噌は所謂甘味が割合に少ない藷でよい、種類によつては味噌汁に粘味を與へ風味を軟げると同時に味噌汁の沈降速度を遲くする様になる。
著者
西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.633-638, 1967-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

現在0℃ 以下におけるアルコールの度数および容量一温度補正表がないので, 特にその必要がある原料アルコール (88%および95%) の-15℃~0℃ 間の補正表を作成すべく実験した結果,1.容量-温度変化を精度よく測定することが出来たので, これを基にして度数および容量の温度補正表を作成した。2.88%および95%アルコールの容量-温度補正係数は-15℃ ~30℃ において, 温度と直線的関係がある。3.現行の度数および容量の温度補正表 (0℃~30℃) と比較して, わずかに一致しない個所があるが, 実用上問題はない。
著者
山根 善治 武宮 重人 川瀬 直樹 佐伯 宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.224-227, 1997-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3 5

清酒中での脂肪酸の閾値を, エタノール濃度15%(v/v) のホワイトリカーをべースにして測定した結果, 酢酸39.3ppm, 酪酸2.7ppm, カプロン酸2.3ppm, カプリル酸2.4ppm, カプリン酸3.1ppmとなった。また, 酢酸, 酪酸は酸臭, カプロン酸, カプリル酸, カプリン酸は油臭と感じる傾向にあることが分かった。清酒に脂肪酸を添加したときの官能評価を4種類の清酒をべ一スにして行った結果, 酢酸, カプリル酸, 酪酸, カプロン酸, カプリン酸の順に評価が悪くなることが分かった。酢酸を60ppm添加しても無添加のものと有意な差はなく, 官能評価には影響しないことが分かった。逆に酢酸以外は4ppm又は8ppm添加すると無添加のものと有為な差が生じ, 官能評価にマイナスの影響を与えることが分かった。酢酸, 酪酸は酸臭, カプロン酸, カプリル酸, カプリン酸では油臭, ほこり臭, ろ過臭, 袋香という指摘が多かった。最後になりましたが, 官能評価にご協力いただきました各審査員に深謝します。

1 0 0 0 OA 味噌の機能性

著者
海老根 英雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.70-75, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

原爆を投下された長崎で, 放射能の害をわかめの味噌汁が防いだ, という有名な話がある。これらは食品の機能性という点からみると, 一番注目されている3次機能ということになる。本稿では, 味噌の研究の第一人者である著者に, 多くの研究例をあげて解説していただいた。
著者
佐々木 定
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.198-206, 2006-04-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

長期間低迷してきた日本酒の需要は, 最近になって回復の兆しが見えつつある。この機会を捉え需要回復へつなげるため, 消費者ニーズに合った味わいの日本酒を提供する必要性を説き, その具体策として, 全国新酒鑑評会の在り方, 美味しいと思われるような旨味のあるお酒の提供などについて述べられている。また, わが国の総人口の減少, 高齢社会など, 人口問題を要因とする市場構造の急速な変化への対応についても提言されている。
著者
大西 範幸
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.161-171, 1991-03-15 (Released:2011-09-20)

最近ではコンピューダがワープロと電卓の延長として日常使われているが, この箱に電話線を一つ付けると今までにない多くの世界がパソコン通信で広がる。今回は兵庫県西宮市のパソコンネット「情報倉庫」西宮についての紹介を兼ね, パソコン通信やデータベースの基本的な解説と「情報倉庫」内の酒のデータベースののぞき方から実際の使用方等について解説していただいた。

1 0 0 0 OA みりん (2)

著者
河辺 達也 森田 日出男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.863-869, 1998-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 2
著者
進藤 斉 矢部 修平 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.61-68, 2006-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

低温醪において液部のMet濃度が増加せず, 低濃度で一定推移し, 酵母菌体内にSAMを高蓄積する現象に対して, 低温が及ぼす影響を個別に検討した。1. 単発酵培地では, 糖が同濃度条件でY, Pまたは麹エキス由来成分が低濃度条件であってもMATFase活性は高くならなかった。また10℃の低温培養でも同様であった。MATFase活性は, 低温における菌体内SAM高蓄積との直接的な関連は薄いと推察した。2. 醪ではSAMを菌体内に高蓄積している10℃発酵条件下でも必ずしもMATFase活性が高くならなかった。さらにMet添加でMATFase活性が高く, かつ10℃でもSAMは高蓄積されないことが示された。このため, 本酵素活性と低温醪でのSAM蓄積の関連性は低いこと明らかとなった。3. 10℃醪では, SAM量が228~242mg/醪1kgと15℃の180mgに比べて多かった。しかし両温度条件でもSAMの90%は菌体内に存在し粕へ移行したことより, 低温醪でSAM生成量が多くても末期管理が適切ならば酒質への悪影響はないと推察した。4. 糖とアミノ酸が連続的に供給され並行複発酵するモデル培地として固液共存培地を作成した。グルコースは順調に消費され, 培養終了時のアルコールが約15%, アミノ酸度も徐々に増加し最大4mlとモデル培地として妥当な経時変化であった。5. 固液共存培地では, 10℃, 15℃両条件で総アミノ酸量及び各アミノ酸組成でも大部分は増加したが, Metは10℃で低濃度のまま一定推移する特徴的な動向を示した。また培養終了時の菌体内SAM量は, 10℃では19.6mg/1010cells, 15℃では同7.0mgと固液共存培地においても醪と同様に低温で高蓄積された。並行複発酵かつ低温での液部Metの低濃度推移と酵母菌体内SAM高蓄積現象は, 米, 米麹を用いずに再現可能であった。またMetが低濃度で徐々に供給されることが, 低温での酵母のMetの選択的取り込みに影響していると推察された。
著者
原 昌道 深田 雄一 野崎 英雄 小幡 孝之 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.569-573, 1976-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
11

アルコール耐性の著しく強い協会7号酵母の変異株 (6-4-C, 26-3-C) と親株 (協会7号) を用いて総米1.2kgと20kgの仕込を行った。1. アルコール無添加で36日間清酒醪を発酵した場合, 変異株醪の酵母はほとんど死滅せず, アルコールが20%以上生成し, 粕歩合も小さかった。他方, 親株の醪は24日預より急激な酵母の死滅がみられ, アルコールの生成は18.6%で停止した。また留後20日目にアルコールが20%になるようにアル添した場合, 親株の醪では酵母は急激に死滅したが, 変異株の醪にはこのような現象はなかった。2. 変異株の発酵末期 (留後20日以降) の成分ならびに製成酒の成分は親株のそれと比較して, formol-Nが小さく, pHが低く, 酸がやや多く, ITT値が大きく, 色が薄く, ピルビン酸含量が多かった。また製成酒の貯蔵着色が小さかった。3. 変異株の酒は親株の酒に比して火落菌の繁殖が悪かった。
著者
輿水 精一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.162-166, 1995-03-15 (Released:2011-09-20)

ウイスキーを水で薄めて飲む飲酒スタイルは日本独自のものであり, アルコール代謝能力の弱い日本人が高アルコール飲料を飲むために考えだした飲酒法と言える。これまでは飲む直前に水で割るため混濁などは問題にならなかったが, いざ, 水割りの状態で商品化すると, もろもろの問題が派生してくることがわかった。水割りウイスキーの開発に携わられた筆者にその経緯を解説していただいた。新商品が新たな需要を掘り起こし, ウイスキー市場の活性化に役立つことを期待したい。
著者
桜井 徳太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.553-557, 1973

お祭り好きの日本民族にとって祭礼と酒とはきってもきれない関係にあった。その祭りも核家族化社会の風潮のなかに次第に簡素化され忘れられつつあるが, 国東の櫛来神社, 秋田の八坂神社, 沖縄宮古島の竜宮御願を例として祭祀のなかに今なお生きている民衆の酒の姿をとらえてみた。