著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。
著者
田辺 正行
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.309-315, 1990-05-15 (Released:2011-09-20)

消費者の嗜好が多様化するのに伴い, 日本の市場で新たな地位を確保した酒類も少なくない。若者を中心として歓迎されているシードルについて, 原料のりんご, 醸造法, 製品の成分と幅広く解説していただいた。新たに他の果実を原料とした酒類を開発する際にも役立つところが多い。
著者
河村 幸雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.386-394, 2000-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

わが国では, 大豆は煮豆, 納豆, きな粉, 豆腐, また味噌, 醤油など発酵食品として広く利用され, 畑の肉といわれるほど, 蛋白質に富み, 栄養的にも優れた重要な食品である.近年は, 栄養だけではなく, 生活習慣病の増加にともない, 大豆の体調調整機能が大きくクローズァッされている。かねて, 食品中の蛋白質の生理機能の研究に従事され, 味噌の高血圧防止効果はACE阻害ペプチド “セリルトリプトファン” によることなどを発見され, 大豆の生理機能に関する最前線の研究をまとめた “ダイズのヘルシーテクノロジー” の編者でもある著者に, 発酵食品を中心に大豆の健康機能性について詳細に解説していただいた。
著者
渡辺 茂夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.640-644, 1991-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6

社会生注を営む人間に常に付き纏う精神的ストレスを解消する手段として, 飲酒は重要な位置を占めているが, 音楽も亦, 然りである。音楽の中の「1~fのゆらぎ」が精神的安定に効果が高いと言われている。飲酒あるいは音楽が人間の感性に与える影響を分析しながら, 音楽と飲酒の関わりについて解説していただいた。
著者
菅野 信男 永谷 正治 佐藤 信 大塚 謙一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.45-49, 1981-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12

清酒の品質の個性化を図ることを目的として, 異種酵母の混合発酵による醸造を行った。混合に際しては, 協会7号と清酒酵母とは異なる他属種の酵母8株を使用した。小仕込醸造試験を行い, 製成した清酒の成分の分析および官能検査から, S. roseiとT. collionlosaを選択した。それらの株につき更に仕込試験を行い検討した結果, s. roseiとの混合発酵の場合に味の軽い良品質の清酒が得られた。なお混用に際しては酵母仕込で行う方が酒母仕込より効果を上げることができると推察された。
著者
井上 喬
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.315-323, 2004-05-15
被引用文献数
2 2

古くからジアセチルは発酵飲食品の品質を左右する重要な香気成分である。筆者は長年発酵飲食品中で最も弁別閾値の低いビール中でのジアセチル生成メカニズムとその制御について研究されてきた。ここでは全般的なジアセチル問題と新しい技術を駆使した制御問題を取り上げて貰った。
著者
西村 敏蔵
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.44-48, 1969-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

西京, 府中, 讃岐などの名を冠した白味噌は, 関西を主産地とする特殊な味噌である。多糖低塩型の甘味噌であるから, 保存性の少ない高級な味噌で, 今後の消費増が期待される。
著者
岩瀬 平
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.805-811, 1994-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19

新嘗祭, 大嘗祭に神前に供える白酒・黒酒は, その製造方法が醍醐天皇の勅命により編集された律令の施行細則法である「延喜式」に定められている。その中で黒酒を造る際に使用される木灰は久佐木 (臭木) というクマツヅラ科の低木の灰であるが何故久佐木を使うのか, また, 仕込配合や製成酒の数値は経験則によるものなのか, 筆者はそのことについて中国の「易」と「陰陽五行説」に基づいて仮説を展開する。
著者
中村 武司 来間 健次 嶋崎 孝行 斎藤 国弘 島田 豊明 小武山 温之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.191-194, 1973
被引用文献数
2

リゾープス属菌, ムコール属菌により製麹試験を行ない, その分析結果,・官能試験結果より, 清酒醸造に応用可能でしかも芳香生産性の<I>Rhizopus delemar</I>IAM-6038を選択しだ。この菌を使用して製麹し, その生産する酸を利用して乳酸を使わない清酒の仕込を行なった。<BR>生成酒は白ブドウ酒タイプの淡麗な酒質であり, アミノ酸が少なく, 滴定酸度は多かったが酸味が強いという感じはしなかった。

1 0 0 0 OA 稲麹と酒造り

著者
小泉 武夫 鈴木 昌治 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.476-478, 1984-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

古い文献によれば, 稲贅花 (オンクワ) と呼ばれる稲穂の上に生ずる稲麹を素種として麹造りを行なっていたという。種麹の変遷とも関連して, この稲麹が酒造りに果たした役割は興味のあるところである。最近, 稲麹について調査研究をされた筆者にその周辺を解説していただいた。
著者
原田 勝二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.938-942, 1993-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2

お酒には生まれつき強い人と弱い人があり, 強い人はいくら飲んでも顔色ひとつ変えないが, 弱い人はお酒を飲むとすぐに顔が赤くなり, 心臓がどきどきし, 頭が痛くなる。こうした体質は遣伝するものと古くから漠然と考えられていたが, 最近になって, その原因として体内のアセトアルデヒド脱水素酵素に活性型と不活性型の2種類があり, この組み合わせによって遺伝していることが詳しい分子遺伝学的研究によって明らかになった。
著者
吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.378-384, 1981-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6

酒造廃水の処理は次第に普及しつつあるが, 費用がかさみ, 好結果が得難く, より良い処理方式が待望される。酵母を用いて食品工業廃水を処理する方式を開発し, 酒造廃水処理などに実施して優れた成果を挙げ, 昭和56年度農芸化学技術賞を受賞された筆者に酵母処理を中, 心に酒造廃水とその処理について問題点と現況を解説していただいた。酒造業各位に一読をおすすめする。
著者
中島 淳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.882-888, 1994-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

排水問題は, 地球環境規模での問題である。醸造等の食品製造業, 特に中小企模のメーカーにとっては切迫している問題である。本稿では, 排水対策の中でも, BOD負荷量低減のための対策について解説していただいた
著者
渡辺 正澄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.534-539, 1968-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

かってドイツのガイセンハイム研究所でブドウ酒の研究をした経験のある著者が, 最近のドイツのブドウ酒醸造の技術的進歩を紹介したものである。日本の場合にあてはめても参考になる点が多いと思われる。