著者
石見 佳子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.12, pp.927-933, 2008-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

大豆に含まれるイソフラボン (ダイゼイン, ゲニステイン, グリシテイン) はエストロゲンに類似した構造をもつため, イソフラボンの摂取量が多いほど骨粗懸症, 更年期障害や乳がんに対する予防効果があると言われている。更に, ダイゼインの代謝産物であるエクオールは乳がん, 前立腺がんの発症率を抑えるほか, 骨量減少抑制効果についての報告もある。最近, イソフラボンはサプリメントとして市販されているが, 必ずしも大量摂取すればよいと言うわけではない。厚生労働省はサプリメントによるイソフラボンの過剰な摂取に対して注意を呼びかけている。著者らの研究によると, 閉経後の女性に対しては大豆イソフラボン投与と適度な運動の併用が大腿骨骨密度の維持に効果があった。またエクオールを産生する腸内乳酸菌にはラクトコッカスのほか数種類が関与していることが判明したが, 今後はこれらを含む乳製品の開発が期待される。本稿では著者らのデータを含め, 大豆イソフラボンに関する最新情報を解説していただいた。
著者
澤野 泰治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.177-181, 1991-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

本誌昨年の解説のシリーズテーマは〈酒類・発酵食品の機能性〉であった。その中で清酒の機能性の研究進展が待たれると述べられていたが, 本解説は, まさしく清酒の三次機能の研究の切口になるのにふさわしい内容と言えよう。この分野の研究が更に進み, 清酒の理解及びイメージアップにつながれば幸いである。
著者
大澤 実 桑畑 修 飯田 知彦 西釋 英章 田村 學造 吉澤 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.465-469, 1992-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

A method for the determination of furfurals (furfural and 5-hydroxymethylfurfural) in aged sake by gas chromatography was established. Five ml of sample was reacted with 4 ml of 2, 4-dinitro phenylhydrazine (2, 4-DNP) solution for 30 min at 80 °C. The solution was shaken with 30ml chloroform. The chloroform layer was concentrated to dryness in vacuo, and dissolved in 0.5 ml of 0.16% methyl-2-furfural-2, 4-DNP (internal Standard) in ethyl acetate. One μl of the solution was analyzed using a gas chromatograph (Shimadzu GC-14 A). This method will ensure determination of furfurals in aged sake with 104-108% recovery.The results of analysis on 44 samples aged for 3-20 years were: furfural 2-4 ppm, and 5-hydroxymethylfurfural 1-289 ppm. Furfurals were considered to be one of the characteristic components of aged sake.
著者
棚橋 博史
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.524-529, 1994-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

ワインにとって味の厚みや豊かさは良質な官能評価を得るための必須条件である。また, タンニン量が多い赤ワインでも渋味の強いものもあれば口当たりの滑らかなものに出合うことがある。その原因となっているのが種々の多糖類であると考えられており, 重要な意味を持つ。多糖類の官能的役割と種々の多糖類の起源及び増加させるための醸造技術等について詳述していただいた。
著者
玉城 武
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.310-315, 1987-05-15 (Released:2011-11-04)

筆者は, 泡盛の古来から伝承された独得の製法に新しい観点から, 勢力的にアプローチされ, 多くのすばらしい研究結果を発表されている。その中から, 泡盛1号酵母による泡盛異常発酵現象発現の抑制, 貯蔵における正常発酵泡盛の熟成過程の動向, 多変量解析法による泡盛の評価について, 3回に分けて解説していただくことにした。
著者
新潟県立吉川高等学校醸造科
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.306-309, 1997-05-15 (Released:2011-09-20)

新潟県の吉川高校には全国唯一の醸造科があり, その卒業生が関係分野で活躍している。この伝統あるユニークな醸造科の教育の現状及び最近の社会変化に応じた新しい取組等について, 紹介いただいた。

1 0 0 0 OA 食酢 (1)

著者
伊藤 寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.200-208, 1978-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
122
被引用文献数
3 4
著者
林 健司 池崎 秀和 都甲 潔 山藤 馨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.633-639, 1991-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

人間の感じる感覚は一つの物理量 (光, 音, 圧力) と複数の化学物質を総合的にとらえる味覚や嗅覚が存在する。後者の測定を行うには複数の要棄の測定法の検討と得られるデータの解析が必要となる。現在のところ, まだ味覚等の客観的な基準はできておらず, あいまいな量の変化で表現されている。味覚について, 生物の受容機構を模倣した複数の人工膜を用いたセンサによる食品検査について解説していただき, 将来の展望として, 味覚センサによる客観的な味覚の測定法の説明をしていただいた。

1 0 0 0 OA 洒のアミン

著者
梅津 雅裕
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.171-174, 1978-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
38

アミン類は, 古く食品の腐敗生産物の中に見出されるため, 好ましくない成分であると考えられてきた。しかし近年の研究の結果によると, 清酒醸造上重要な意義のあることが分ってきた。また酒質に対しては, 香気の複雑性に関与し, 味に対しては酸との結合の仕方により丸味, 旨味や濃味感を与えるが, 一般に苦味を呈するものが多いといわれている。酒類中のアミン含量とアミノ酸からアミンの生成や分解に関与する醸造微生物や酵素について, 最近の知見をまとめていただいた。
著者
矢野 忠徳 山本 公平 斎藤 宏 高山 卓美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1427-1432, 1967-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

1) 4品種の青梅 (鶯宿, 長束, 白加賀, 養老) を使用し, アルコール濃度, 砂糖濃度および浸漬期間の3つの製造要因を, L4 (23) 型直交表に割りつけ, 合計16種の梅酒を仕込み, 梅酒の品質および各種歩合におよぼす影響について検討した。2) 粕歩合に対して, 品種は5%有意水準で有意であり白加賀が最も低く, 品種は大粒で適度に熟したものが良かった。アルロールおよび砂糖濃度は1%有意水準で有意で, いずれも濃度の高い方 (60%および70%) が低かった3) 酸溶出量に対しては, 品種は1%有意水準で高度に有意で, 長束>鶯宿>白加賀>養老の順に多かった。砂糖濃度は1%有意水準で有意で濃度の高い方が, 又浸漬期間は5%有意水準で有意で浸漬期間の短い方が多かった。4) アルコール回収率に対しては, 砂糖濃度のみ1%有意水準で有意で, 濃度の高い方が良かった。5) 色度に対しては, 品種は1%有意水準で有意であり, 長束>白加賀>鶯宿>養老の順に濃かった。アルコール濃度は1%有意水準で有意で濃度の高い方が, 砂糖濃度は5%有意水準でいずれも濃度の高い方が濃かった。6) 官能検査の結果, FISHER法では, 品種は5%有意水準で有意であり, 養老>白加賀>長束>鶯宿の順で良かった。砂糖濃度は1%有意水準で有意で低濃度の方がよかった。RANKIT変換法では, アルコール濃度が1%有意水準で有意で低濃度のものが良く, 砂糖濃度は5%有意水準で有意であり, 低濃度のものが良かった。
著者
岡田 明彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.407-413, 1998-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ここ数年, 日本でも小規模醸造所のビール醸造が増加しているが, 醸造技術者を悩ませているものの一つに微生物汚染がある。微生物汚染は品質に直接影響を及ぼすため, 微生物管理の技術は非常に重要である。そこで, 小規模醸造所において役立つ技術を, 微生物管理に詳しい筆者に解説していただいた。現在ビール醸造に携わっている技術者のみならず, これからビール醸造に携わろうとする方々にとっても, 十分参考になると思われる。
著者
池見 元宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.796-801, 1984-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7

全国有数の酒どころ秋田県の酒造技術向上の歴史について解説していただいた。先進地からの技術導入にはじまって, 花岡正庸先生の指導, 山内杜氏の育成, 県指導機関による指導と人材養成, 6号酵母の開発等の努力についてのべられている。
著者
笠原 秀夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.583-586, 1963-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7
被引用文献数
6 7
著者
西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.439-448, 1993-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

全国新酒鑑評会も回を重ねて本年5月に第82回を開催した。一般公開の参加状況に象徴されるように, ことに近年の盛況さはいささか過熱気味との意見も聞かれる。ところで, 主催者の国税庁醸造試験所が東広島市へ移転することとなり, その建築工事が急ピッチで進められている。これを機会に, 著者に全国新酒鑑評会の時代変遷を概観していただいた。