著者
今野 兼次郎
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.157-159, 2001-03-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
7
著者
原 大地 山口 俊輔 下田 佳央莉 勝山 しおり 増田 樹 十枝 はるか 中沢 信明 李 範爽 外里 冨佐江
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-42, 2014-02-01 (Released:2014-04-04)
参考文献数
16

【序 論】 Mental rotation (以下, MR) とは, 3次元空間で自由に回転する図形が何であるのかを照合する心的活動である. リハビリテーション領域においても治療的介入手段として, MRの基礎研究・臨床応用が進められている. 身体部位を用いた回転画像を提示した時の反応時間は, 回転角度の増加に伴い遅延すると報告している. 反応時間は, 加齢やスポーツ実施などによる影響があると報告されている. このように年齢や表示角度に関するMRの関連については報告がみられているが, 視覚情報の入力に関与すると思われる眼機能 (利き目) とMRとの関係を報告した論文は少ない. したがって, 本研究では身体部位である手の回転画像を用いて, これまでに報告されてきたMR反応時間と性差, 利き手との関連に加え, 利き目の属性との関連を検討することを目的とした. 【方 法】 本研究は群馬大学倫理審査委員会により承認された. 対象は103名の健常大学生 (平均年齢20.9±2.2歳, 男性51名, 女性52名, 右利き目者59名, 左利き目者44名) であった. 課題は両手の画像が0°, 90°, 180°, 270°回転してある32枚の写真によって構成され, それらの写真がランダムにPCの画面に表示された. 被験者は画像を見て, それが右手なのか左手なのかをPCのキーを押すことで回答し, MR反応時間と回答が記録された. 統計解析は一元配置分散分析, 独立したt検定を行った . 解析には統計ソフトIBM SPSS Statistics 20を使用し, 有意水準を5%とした. 【結 果】 MR反応時間は, 回転角度の180°と0°, 90°, 270°間で有意差がみられた (p<0.05). 利き目では有意差がみられたが (p<0.05), 性別, 利き手では有意差はなかった. 【考 察】 MR反応時間は性別, 利き手ではなく利き目と関連があることが示唆された. すなわちMRに関連する情報処理過程は利き目によって異なることが示唆された.
著者
小林 剛一 平形 ひとみ 井上 まさよ 横山 貞子 石田 美紀 望月 栄美 高坂 寛之 関口 文子 中村 幸男
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.31-41, 2018-02-01 (Released:2018-04-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

【背景・目的】 わが国は,超高齢社会に伴う「多死社会」を迎える.増加する死亡者を全て病院で看取る事は不可能であり,最期を迎える場の選択肢として,特別養護老人ホーム(以後特養)などの高齢者施設への期待が高まっている.特養1は,常時介護を必要とし,在宅生活が困難になった高齢者が入居する老人福祉施設である.本研究の目的は,終末期医療における看取り,死亡場所としての特養の意義を明らかにすることである. 【対象と方法】 平成19年4月~平成29年1月までの施設看取り63名を対象として,診療録,看護記録,死亡診断書等より,平均寿命,死因等について分析した. 【結 果】 退所者167名中,看取り死亡者は63名(38%)であった.平均年齢は,90.07歳(男性87.4歳,女性90.7歳)で,死因は老衰が31名(49%)と最も多かった.認知症は,アルツハイマー型認知症,脳血管性認知症等,軽度~中程度を含めてほぼ全例(98%)に認められた.在所期間は,58日から18年5か月(平均4年9か月)であった. 【結 語】 我々の特養での看取り例は,日本人の平均寿命を越えた老衰死が多かった.超高齢社会を迎え,要介護高齢者の施設として,一層のニーズが見込まれる特養は,終末期の看取り場所としての役割を担う施設としても,重要な位置を占めるものになると考えられた.
著者
狩野 太郎 小川 妙子 樋口 友紀 廣瀬 規代美
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.335-341, 2014-11-01 (Released:2015-01-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1

【背景・目的】 本研究は, 老人福祉センターを利用する高齢者の足トラブルの実態と, 疾患及び足トラブル相互の関連を分析し, 足トラブルが発生するメカニズムの検討を目的とした. 【方法と対象】 利用者101名を対象に, 足部の観察と面接調査を行った. 足トラブルと疾患及び足トラブル相互の関連についてχ2検定を用いて分析した. 【結 果】 足トラブルは足部皮膚乾燥44.6%, 角質肥厚40.6%, 肥厚爪37.6%の順となっていた. 角質肥厚・足部皮膚乾燥・肥厚爪と高血圧に関連が見られた. 足トラブル相互の関連については, 角質肥厚と肥厚爪, 胼胝と巻き爪に有意な関連が見られた. 【結 語】 高血圧と足トラブルの関連については不明な部分が多いものの, 末梢循環の低下や降圧利尿剤による影響が考えられ, 足部皮膚乾燥や角質肥厚を有する者の割合が高いことから, 重点的フットケア指導が有用と思われる.
著者
岡村 典子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.233-242, 2013-08-01 (Released:2013-09-17)
参考文献数
22

本研究は, Emotional Intelligence理論を用いた研修プログラムを中堅看護師に実施することによる効果を検討し, 今後の育成の在り方を考察することを目的に取り組んだ. 対象者は, リーダーシップ研修に参加する中堅看護師17名で, 情動知能尺度 (EQS), リーダーシップ・メンバーシップに関する調査票を用いて, 研修前後における感情活用能力及びリーダーシップ・メンバーシップに関する力の変化を検証した. その結果, 感情活用能力を構成する "自己対応" "対人対応" "状況対応" の3領域は有意に上昇していた. また, リーダーシップ・メンバーシップに関する力として, "リーダーシップ" "スタッフとの関係" "職場への所属感" の3つが有意に上昇していた. 今後は, 感情を活用するにあたり重要となる "自己洞察" "状況コントロール" の能力向上を図るため, 集合研修におけるプログラムの精選と研修担当者のメンターとしての役割が重要と考える.
著者
岡田 慶一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.125-128, 2012-05-01 (Released:2012-06-22)
参考文献数
16

【背 景】 経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy ; PEG) が認知症高齢者に多数実施されている. 【目 的】 認知症高齢者へのPEG造設には賛否両論がある. 当老健の認知症高齢者へのPEG後家族アンケートを行いその有用性を報告する. 【対象と方法】 PEG29例の平均年齢は81.8歳. PEG後早期及び長期フォローアップアンケートを行った. 【結 果】 PEG後早期アンケートでは29例中27例93%はPEGにして良かった. 2例はどちらとも言えない意見でありPEG後3ヵ月で死亡した. PEGにして良かった理由は点滴せず, 食事の時苦しまず笑顔が見えコミュニケーションがとれ面会が楽しみとなった. 体重が増加した. 長期フォローアップアンケートは19例中17例死亡し2例が生存. 死亡例は長期間生きられ天寿を全うできた. PEG後再入所しリハビリで寝たきりにならず良かった. 生存2例も面会が家族の楽しみとなっている. 【結語】 老健における認知症高齢者に対するPEGは本人の延命を計りQOLの改善と家族の満足度を向上させるので積極的に行うべきと思われる.
著者
中島 久美子 伊藤 玲子 國清 恭子 荒井 洋子 阪本 忍 篠崎 博光 常盤 洋子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.327-340, 2011

<B>【目 的】</B> 妊娠期にある共働き夫婦を対象に, 妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識を明らかにし, 妻が満足と感じる夫の関わりを高める看護援助への示唆を得る. <B>【対象と方法】</B> 共働き夫婦3組を対象に, 妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識ついて半構成的面接法によりデータを収集し, 分析はベレルソンの内容分析法を参考に行った. <B>【結 果】</B> 共働き夫婦において妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識は, 【妊娠の知らせに対する喜び】【仕事の継続への理解と話し合い】【仕事や妊娠・出産に伴う心身への気づかい】【家事の分担】【親になるための準備】の5カテゴリーが抽出され, 共働き夫婦の認識の共通性および差異が明らかとなった. <B>【結 語】</B> 共働き夫婦が認識する妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わりにおいて, 5カテゴリーが抽出され, 共働き夫婦の認識の共通性および差異が明らかとなった. 妻が満足と感じる夫の関わりを高める看護援助として, 夫婦の間で気持ちの共有と夫婦の協働的な作業や良好なコミュニケーションが強化されるように夫婦に働きかけることが重要であると示唆された.
著者
内田 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO Medical Journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.105-111, 2006
被引用文献数
1

<B>【背景・目的】</B> 本研究の目的は, ケアマネジャーからみた自立支援, 介護予防の条件を明らかにすることである. <B>【対象と方法】</B> 対象は群馬県主催のリーダー研修に参加したケアマネジャー 67人に対して, 自立支援, 介護予防ができたと判断された事例の調査表の記入を依頼した. 分析対象はそのなかで同意を得られた35事例とした. 方法は利用者背景条件, アウトカム, 利用サービス, ケアプランの内容から構成する調査表をもとにケアマネジャーに条件分析のグループワークを行った. <B>【結 果】</B> 自立支援・介護予防できたとケアマネジャーが判断した事例は, 寝たきりになる前の認知症が軽度の者が多かった. また, 主疾患は筋骨格疾患が多く, 主介護者の健康状態や本人との人間関係も良好なものが多かった. サービスは全員福祉用具を利用し, アウトカムの内容には本人の介護度, 歩行, 閉じこもり, 入浴, 意欲, 在宅生活の継続, 排泄, 転倒の改善が記述されていた. その条件の占める割合で高かったものは(1)ケア提供者, (2)本人・家族, (3)ケアマネジャーの条件の順であった. ケア提供者の条件ではサービスの工夫, 状態に合わせた福祉用具の活用, スタッフの声かけ, 訪問介護やリハビリが適切であった. 本人・家族の条件には家族の協力, 本人の意欲があった. ケアマネジャーの条件には, 本人・家族及び事業所との連絡, 効果的なサービスの組み合わせ, 量の調整をした等が明らかになった. <B>【結論】</B> 今後, これらの条件を考慮したケアマネジメント, サービス提供を行う必要がある.
著者
沼田 加代 根岸 恵子 平良 あゆみ 佐藤 和子 飯野 理恵 中山 かおり 佐藤 由美 齋藤 泰子
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.25-32, 2006-02-01

【背景・目的】高齢化率(50.7%)の高い山間過疎地域において, 40歳以上の住民に健康・生活に関する調査を行った.【対象と方法】40〜64歳は, 968人全住民を対象とし, 自記式質問紙調査を実施した.65歳以上には, 1/10年齢別層化無作為抽出による156人を対象に, 聞き取り調査を実施した.【結果】回答率は, 40〜64歳は87%, 65歳以上は98%であった.40〜64歳の特徴として, 喫煙者は3割おり, ブリンクマン指数600以上が喫煙者の半数であった.また, 飲酒者のうち毎日の飲酒が半数であった.肥満は3割おり, 男性の肥満の割合が高かった.65歳以上の特徴として, 罹患率は7割であった.また, 受診や買い物は「村外」が8割であった.将来は「今の自宅で暮らしたい」と望んでいる者は8割であった.【結語】喫煙・飲酒などの嗜好品への対策, 肥満対策, 住み慣れた自宅で生活するための体制整備など成人・老年期における健康づくりや介護予防事業の重要性が示唆された.
著者
大竹 弘哲 長嶋 和明 田中 聡一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-52, 2007 (Released:2007-06-13)
参考文献数
6

症例は73 歳女性. 左上肢の筋力低下にて発症. 歩行障害が現れ, 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) と診断. 後に構音障害と嚥下障害が現れ, 進行した. 患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった. 左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり, 緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された. 日米の神経学会治療ガイドラインで, ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている. 筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で, 欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において, 強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.
著者
武居 明美 瀬山 留加 石田 順子 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.145-152, 2011-05-01 (Released:2011-06-06)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

【目 的】 末梢神経障害を体験したがん患者の生活における困難とその対処を明らかにする.【対象と研究方法】 対象 : 外来でFOLFOX療法を6回以上施行した大腸がん患者25名. 研究方法 : 半構成的面接を行い, 質的手法にて分析をした. 【結 果】 生活における困難は3サブカテゴリーから《しびれにより生じる日常生活への支障》, 4サブカテゴリーから《しびれにより生じる社会生活の制限》のカテゴリーが形成された. また対処は, 2サブカテゴリーから《しびれの予防・軽減の主体的対処》, 2サブカテゴリーから《しびれに応じた調整による対処》のカテゴリーが形成された. 【結 語】 末梢神経障害を体験したがん患者の生活における困難とその対処が明らかになった. 末梢神経障害の出現が社会生活における活動を著しく制限していることから, 正確な末梢神経障害の把握を行うとともに, 望む生活や価値観を把握し, QOLの低下を防ぐことが求められる.
著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
22
被引用文献数
7 6

【目的】 患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである. 【方法】 外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した. 【結果】 看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった. 異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた. 【結語】 看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
吉住 正和 小池 幹義 高橋 奈緒美 田仲 久人 木暮 政惠 岡田 正敏 津久井 智 猿木 信裕 高橋 篤
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-31, 2017-02-01 (Released:2017-04-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

背景と目的:アカツツガムシを媒介としたつつが虫病は旧来より知られていたが, 1950年代から新型 (タテツツガムシあるいはフトゲツツガムシが媒介) が出現して全国的に拡がり, 群馬県でも1980年代から北部山間部を中心に散見されるようになった. 一方, 最近の群馬県におけるつつが虫病の発生状況は明らかとは言えない. 本研究では, 群馬県, 特に利根沼田2次保健医療圏における最近のつつが虫病の発生動向とその変遷などの特徴を明らかにすることを目的とする.方 法:群馬県統計年鑑・Infectious Agent Surveillance Report報告・利根沼田と吾妻地域の4類感染症発生届を用い, (1) 全国/群馬県/県内各2次保健医療圏におけるつつが虫病発生数と頻度の推移, (2) 利根沼田と吾妻地域における地域総人口/農業人口/60歳以上人口とそれらの発生頻度の推移・月別平均気温の推移 (3) 利根沼田地域のつつが虫病患者の年齢/職業/発生月/推定感染場所/血清タイプを検討した.結 果:(1) 全国と群馬県のつつが虫病発生頻度は2002年まで減少傾向にあったが, 群馬県の発生頻度は2007年以後上昇した. (2) 県内各地域の発生頻度は検討全期間を通して吾妻地域の占める割合が高く, 利根沼田地域では1995年を境に発生数が増加し, 2007年以後の利根沼田地域の発生数は群馬県の発生数の20~50%を占めていた. (3) 農業人口に対する発生頻度は各地域とも地域総人口に対する発生頻度と比べ有意に高く, 経時的に上昇していた. 一方, 60歳以上人口に対する発生頻度は地域総人口に対する発生頻度と比べ差異がなかった. (4) 利根沼田地域では最近の10年間で平均気温の上昇が認められた. (5) 群馬県及び利根沼田地域の発生時期は10月~11月, 推定感染場所は河岸段丘の農地が大半であった. (6) 利根沼田地域では感染地域の拡大が認められ, 血清タイプは標準型 (Karp・Gilliam型など) が70%と多かったが, Kawasaki型などの新しいタイプも認められた.結 語:近年の群馬県ではつつが虫病の発生が増加しており, その主因に利根沼田地域の発生増加が考えられる. 利根沼田地域の発生増加には河岸段丘農業地域における感染の拡大と感染率 (発生頻度) の増加, 気温上昇の影響が示唆される. 群馬県の有毒ツツガムシは血清タイプや発生月の推移から, フトゲツツガムシ (Karp・Gilliam型) によるものが主体で, 関東南部や九州に多いKawasaki型などを含むタイプとの混在も示唆される. 今後, 好発地域, 好発時期における地域住民に対する感染予防啓発が重要と考える.
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.67-69, 2017-02-01 (Released:2017-04-05)
著者
飯田 智恵
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.395-403, 2011-08-01 (Released:2011-09-13)
参考文献数
26

【目 的】 豪雪地域の居宅高齢者の日常生活における身体活動量の季節変動を明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】 2008年からの1年間, 月毎に7日, 豪雪地域に居住する健常高齢者5名に歩数計を装着してもらい, 歩数と活動時間, 対象者が書いた生活日誌の内容を分析した. 研究目的, 方法, 匿名性, 研究協力への自由意思について説明し, 同意を得た. 【結 果】 対象者の内2名は春季から秋季にかけて歩数と活動時間が多く, 冬季は少なかった. 残りの3名にこれらの季節変動はみられなかった. 【結 語】 季節変動がみられた者の日誌には, 歩数目標の設定と自己評価, 目標を達成するための工夫が表現されており, 身体活動量の季節変動には積極的な自己管理態度や行動特性が影響しているものと考えられた. 冬季には活動量の維持が困難であることから, 豪雪地域においては冬季の不利な気象条件による影響が低減されるような活動場所と機会の整備が求められる.
著者
田端 洋太 前田 昇三
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.97-100, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
9

母乳栄養児における難治性湿疹で,食物アレルギーの疑いで紹介されるケースの中に亜鉛欠乏症が存在する.今回我々は亜鉛欠乏症の3兄弟例を経験した.第1子は生後4カ月時に低亜鉛母乳による亜鉛欠乏症と診断治療し,第2子は早期に対応できた.しかし,第3子は家族歴の申告についての指導不足により食物アレルギーの疑いで紹介となった.亜鉛欠乏による皮疹の存在を周知する必要性と兄弟例に対する指導の大切さを痛感させられた.
著者
小池 彩乃 内田 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.91-95, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
12

対象者はA氏,80歳代,女性,要介護1.独居で生活しているが,火の不始末が心配,緊急連絡先への連絡や来訪者の把握が難しいなどの不安を感じていた.そこで,A氏の目に留まりやすくニーズに合わせたデザインのポスターを生活空間に導入した支援を行った結果,安心感をもたらした.その要因として,①A氏の居住空間・動線・目線に合わせたポスターの掲示,②A氏の好むデザインの選択が考えられた.この症例は多くの独居高齢者にも活用できると考えたため報告する.