著者
大嶋 清宏 村田 将人 神戸 将彦 中島 潤 澤田 悠輔 一色 雄太 市川 優美 福島 一憲 荒巻 裕斗 小和瀬 桂子 田村 遵一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.215-221, 2020-08-01 (Released:2020-09-03)
参考文献数
29

【目 的】 群馬大学医学部附属病院救急科で入院加療を行ったスキー・スノーボード外傷症例の実情を調査すること.【対象及び方法】 2002年1月~2018年12月までに当院救急科へ入院したスキー・スノーボード外傷を対象とし,損傷部位,来院時重症度や入院後経過を検討した.【結 果】 上記期間に当院救急科へ入院した5,448例中,対象症例は23例(0.42%)で,年齢27歳(中央値),男女比18:5,スキー外傷8例(35%),スノーボード外傷15例(65%)だった.受傷部位については,頭部・頸部7例,顔面2例,胸部8例,腹部・骨盤内臓器14例,四肢・骨盤8例(重複あり)で,腹部・骨盤内臓器損傷が最多だった.外傷重症度の指標であるrevised trauma score,injury severity scoreおよび予測生存率の中央値はそれぞれ7.8408,9,および0.9942であった.来院時ショック状態だったのは1例のみで,4例に手術あるいは経カテーテル的動脈塞栓術等の緊急処置が行われた.入院期間は6.0日(中央値)で,全例が軽快退院あるいは転院した.【結 語】 スキー・スノーボード外傷は受傷機転から重症となる場合もあり,必要に応じ適切な医療機関での加療が求められる.
著者
久保田 豊子 前田 三枝子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.11-12, 2003

終末期においては, 患者と家族が苦痛から開放され, 人生の最後の瞬間までその人らしさを維持していくことが大切である.今回, "最後まで患者を支える" ことを看護方針にして関わった終末期の事例から, 看護師が果たすべき役割が示唆されたので報告する.
著者
三枝 里江 戸部 賢 高澤 知規 麻生 知寿 齋藤 繁
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.199-206, 2020-08-01 (Released:2020-09-03)
参考文献数
23

【目 的】 上州,上越地方では古くから山岳信仰が盛んであり,多くの修験者や行者が活動していた.その足跡を山中の遺跡や古文書で解析することは地域住民の医学・保健学的認識を理解することに有効と考えられる.【方 法】 群馬県内の修験者・行者の活動拠点を踏査し,信仰対象とされた山体に設置された石碑や,参道の遺物,山麓修験道寺院の収蔵書を検証した.また貴重な記録物である「伝法十二法」から医学・保健学に関連する記述を抽出し,現代医学の観点から解析した.【成 績】 群馬県内の多くの山頂に山岳信仰に基づく石碑が設置されていた.本山修験宗長見寺収蔵書には医学・薬学に関する古文書も含まれていた.「伝法十二巻」には医学,保健衛生に関する記述が16項目あり,創傷や熱傷治癒,咽喉頭異物除去など治療的観点に立つもの,感染症や身体的不都合を惹起するもの,懐妊・避妊・堕胎など産科的なものなどが含まれていた.【考 察】 北関東地域では山岳信仰が根付いており,地域住民の健康観に影響を与えているものと想定された.
著者
白石 卓也 竹島 太郎 小谷 和彦
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO Medical Journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.207-211, 2017

<b>目 的:</b>ミネラルの豊富な温泉水を飲む飲泉は温泉療法のひとつである. 群馬県上野村にあるしおじの湯の温泉水はケイ酸を豊富に含んでいるため, 健康保持・増進に寄与すると思われて地域住民に飲用されている. そこで, この飲泉による健康関連指標に関する調査を行い, その効果について検証した.<br><b>方 法:</b>飲泉習慣のない成人に対して飲泉試験への参加を公募した後, 飲泉群 (80名) と飲泉しない対照群 (31名) で比較検討した. 飲泉群は, しおじの湯の温泉水500 mLを, 4週間に渡って1日3回 (食間) の頻度で飲用した. 飲泉期間前後で自己記入式質問票ならびにGastrointestinal Symptom Rating Scale (日本語版) を用いて健康関連指標の変化について評価した. 対照群にも飲泉群と同様に調査した.<br><b>結 果:</b>飲泉群と対照群を比較したところ, 飲泉群には脱毛および便臭で有意なスコアの改善がみられた.<br><b>結 語:</b>ケイ酸を含む温泉水 (しおじの湯) の飲泉は, 脱毛や便臭のような健康改善に寄与する可能性はあるが, これは予備試験の結果に過ぎず, ランダム化比較試験を行ってさらに検討していきたい.
著者
五十嵐 博和
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-150, 1968

群馬県一農村における第1次の腰痛アンケート調査によりみいだした腰痛者約600名より腰痛現症・既往の者男女計274名を抽出して, 腰痛による労働日数の損失及び腰痛時における支障の程度を観察し, 腰部X線所見と対比した.これらの結果より腰痛の程度及びそのdisabilityを判定評価した.<BR>1) 腰痛の持続日数は男女とも約5分の4は1週間以内である.1ヵ月以上常時と称するものは男女の約3分の1にみられる.<BR>2) 年間の腰痛日数は通算1週間以内は男女23.0%24.0%で, 4ヵ月以上年間におよぶもの男45.2%, 女35.3%で男に多い.<BR>3) 腰痛に関連した日常生活における支障の程度は年令とともに高度となる傾向がある.腰痛者の60才以上は男の歩行, 女の歩行と草むしりに支障の程度がより高い.一般に疹痛の大なるものほど日常生活におけるdisabjlityは高度である.<BR>4) 腰痛者の約60%は医療をうけていない.そのうち約半数は自宅療法をおこなっているが, 残りの半数は全然放置している.<BR>5) 受診者27A名のX線所見は変形性関節症男55.8%, 女3&2%でもっとも多く, 次いで骨粗癒症男19.2%女265%である.椎間板に異常のあるもの男6.7%, 女7.6%, またX線所見のないものは男17.3%, 女29.4%である.<BR>6) 労働年数が多くなるに従って変形性関節症が高度となるが, 年令因子を除外出来ない.<BR>7) 高令者ほど骨に所見を有するものが多い.男女とも若年者に骨に所見がなくともdjsabilityの高度なものがある.変形性関節症と骨粗霧症の病変度とdisabilityは必ずしも平行しない, 比較的若年に骨粗霧症の所見を有するものはdisabilityは高度になる傾向にある.女の50代は骨の所見の有無にかかわらずdisabiIityは比較的高度である.<BR>8) 一般に骨に所見のある場合の方が障害を訴えるものが多い傾向にある.但し高度の障害のあるものが必ずしも骨の所見の有無とは関係がない.<BR>以上のことより本調査地区における農村住民の腰痛症は日常生活の障害の大きいものに, むしろ骨所見がみられず, 労働過重によっておこるいわゆる腰痛症が多いように考えられ, また労働過重によって骨の老化を早めているようにも推測される.また, 老人へと職域の拡大に伴って, 生理的現象に労働が拍車をかけることにより病変が進行する変形性関節症及び骨粗霧症が多いこと, さらに, 女の50代に腰痛愁訴が少なくない.これらのことより今後さらに労働条件, 食生活心理学上及び社会的機構からも, その要因を追究分析して, これを排除し, 農村の近代化とあいまって農村衛生の保全に尽すべきであろう.<BR>群馬県一農村で昭和39年5月の腰痛調査で発見した腰痛現症者, 既往者約600名より男91名女162名計253名を抽出して, 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側の皮膚温を測定し, また右足関節部までを4℃の水に30秒浸し, 後にその皮膚温が1℃上昇に要する時間を計測して, 腰痛の有無, 冷えの有無との関連において, 以下の2.3の知見をえた.<BR>1 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側皮膚温は50才頃より男女とも年令とともに上昇する傾向にある.<BR>2寒冷負荷に対する回復時間は男女とも年令とともに延長する傾向にある, 男がより著明である.<BR>3腰痛現症者は圧痛点, 筋硬結, 脊椎打痛, ラセーグ等の他覚症状の多いものほど男女とも回復時間は延長する傾向にある.<BR>4自覚的冷えを訴えるものは女の比較的若い年令層に多い.<BR>5 男女とも冷えを訴える群は然らざる群よりも腰痛者が多い.<BR>6 男女とも30才から59才までの冷えを訴える群では, 腰痛者の皮膚温は両側青部で腰痛のないものより0.1℃から0。4℃低下している。<BR>以上のことより群馬県西部における一農村住民の腰痛症には寒冷曝露とは無関係ではなく, 男女とも中年層に寒冷によって腰痛が誘発される傾向が窺われた.また女の50・40代に自覚的冷えの訴えが多い事実より今後女の冷え症及び婦人科的原因による腰痛を疫学的に解明する必要がある.
著者
高田 恵子 森 淑江 辻村 弘美 宮越 幸代 栗原 千絵子 長嶺 めぐみ
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.31-40, 2010-02-01 (Released:2010-03-17)
参考文献数
11

【目 的】 国際看護協力を行う際の問題点の一つとして, 派遣された国における看護に関する考え方や看護技術の日本との違いが挙げられる. 開発途上国に対する効果的な看護協力のために, ラオスで活動した青年海外協力隊看護職隊員の面接調査と活動報告書を分析し, 看護の差異を明らかにすることを目的とする. 【方 法】 看護職隊員14名の活動報告書, 5名の隊員に面接調査を実施し, 作成された逐語録から日本と異なる看護に関する記述を抽出し,「看護技術/助産技術到達目標」(厚生労働省2003) を参考に分類した. 【結 果】 日本と異なる看護の記述は「感染予防の技術」,「症状・生態機能管理技術」,「与薬の技術」に関する内容が多く, 患者の身の回りの世話は家族が行っていた. 助産技術は分娩期, 妊娠期についての記述が多かった. 【結 語】 ラオスと日本の看護の違いが明確化された. それらは, 今後の国際看護協力活動において多大に寄与するものと考える.
著者
佐藤 江奈 菅谷 知明 岩村 佳世 長谷川 信 田澤 昌之 和田 直樹
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.193-198, 2020-08-01 (Released:2020-09-03)
参考文献数
22

【目 的】 変形性股関節症患者の術前後の関節可動域および筋力について明らかにすること.【対象と方法】 後外側進入法により人工股関節全置換術を施行した14名を対象とし,股関節周囲の関節可動域(ROM)および筋力を術前,術後1週,術後2週で測定した.術側と非術側の比較は対応のある差の検定を行い,術前から術後2週の変化については分散分析および多重比較を行った.【結 果】 術前ROMでは股関節内転以外は非術側に対して術側が有意に低かったが,術後2週では有意な差はなかった.術側の股関節外転ROMは,術後有意に改善した.筋力は非術側に対して術側が術前,術後2週ともに低かった.術側の股関節屈曲,伸展筋力は術後1週で有意に低下し,術後2週で有意に改善した.【結 語】 術側ROMは術後2週で非術側程度に改善した.術側筋力は術後2週で術前レベルに回復するが,非術側に比べて有意に低かった.術後1週の筋力は,術前よりも低下していることを考慮し,理学療法介入をするべきである.
著者
柳田 眞有 大野 洋一 山上 徹也
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.141-147, 2015-05-01 (Released:2015-06-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

背景・目的:簡便に実施でき, 要介護状態に陥ることの予防に有用な姿勢評価法を検討した.対象と方法:地域在住の健常高齢者42名を対象に, (1)円背指数, (2)occiput-to-wall distance (OWD), (3)観察による姿勢評価の3つの簡易姿勢評価と, 身体・生活状況のアンケートを実施した.結 果:各姿勢評価は相互に軽~中等度の有意な相関を認めた ((1)-(2) : ρ=0.527, p=0.000, (2)-(3) : ρ=0.315, p=0.042, (1)-(3) : ρ=0.416, p=0.006). アンケートの「整形疾患」,「骨粗鬆症」の該当者は非該当者と比較して各姿勢評価で有意に後弯が強いことを示す値であった. 一方「痛み・しびれ・こり」,「転倒不安感」の該当者は非該当者と比較してOWDでのみ有意に後弯が強いことを示す値であった.結 語:OWDは, 簡便で, 痛みや転倒不安感等の生活障害と関係するため, 要介護状態に陥ることの予防に有用な姿勢評価法である可能性が示された.
著者
村上 博和
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.175-185, 2020
被引用文献数
1

<p>これまで,多発性骨髄腫の予後は極めて不良で治癒は困難とされていた.しかし,近年サリドマイドなどの免疫調整薬,ボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害薬,さらにダラツムマブなどの抗体薬を含めた新規薬剤の導入により治療成績は著しく向上し,生存曲線にプラトーが得られるようになってきた.また,微小残存病変の検出法も進歩し,治療効果の判定の精度も向上したため,的確な治療戦略が組めるようになった.今後,CAR-T療法をはじめとした強力な免疫療法の導入も想定され,治癒が望めると言っても過言ではない.</p>
著者
調 憲 播本 憲史 小山 洋
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.235-242, 2020
被引用文献数
2

<p><b>【背景・目的】</b> COVID-19感染症は世界的なパンデミックの状況となった.日本でも2020年1月から5月にかけて大きな感染拡大が見られた.中国では,感染率は地域によって大きな差があり,人口密度の高い地域ほど高いことが報告されている.本邦においても都道府県ごとの累積感染者数が大きく異なるものの,詳細な検討はない.</p><p><b>【対象と方法】</b> 日本において初発患者が見られた2020年1月16日から多くの都道府県で流行がほぼ終息し始めた2020年5月3-6日までの約110日間における47都道府県におけるCOVID-19に対するPCR検査陽性者(累積感染者)の数を都道府県人口で除した累積感染者の割合(累積感染割合)と人口集中度,人口密度,公共交通機関を用いて通勤・通学する人の割合,人口当たりの乗用車保有台数の指標との相関を単・多変量解析を用いて検討した.さらにCOVID-19感染者のうち,感染経路が不明な者,調査中など明らかな感染経路不明な感染者を感染経路不明割合としてそれぞれの因子との関連を単・多変量にて解析した.さらに回帰直線の95%信頼区間を超えて高い感染率を示す都道府県について検討をした.</p><p><b>【結 果】</b> 単変量解析では都道府県別の累積感染割合とすべての因子は有意な相関を示した.多変量解析では累積感染割合では人口密度が独立した因子として選択された.さらに感染経路不明割合とすべての因子は単変量解析で相関した.同様に多変量解析では人口密度と公共交通機関を用いて通勤・通学する人の割合が独立した因子として選択された.回帰直線の95%信頼区間を超えて感染率の高い都道府県には石川,富山,福井県,高知県,東京都,北海道などが挙げられた.</p><p><b>【結 論】</b> COVID-19累積感染割合は人口密度などの因子と強い相関を認め,ポストコロナの時代に向けて「密集」,「密接」を回避するライフスタイルの導入が重要と考えられた.95%信頼区間を超えて感染割合の高い都道府県においては観光や夜の繁華街など人口密集の要因以外が関与している可能性があり,地域別の詳細な解析が今後の感染対策に有用と考えられた.</p>
著者
川田 智美 藤本 桂子 小和田 美由紀 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.175-184, 2012-05-01 (Released:2012-06-22)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

【背景・目的】 本研究は, 患者および家族の "不確かさ" に関連する研究を分析し, 患者や家族が病気に伴って経験する "不確かさ" とはどのような内容であるのか, その表現を明確にし, 言語化する. そして, 不確かさをいかにマネジメントしていくかという適応上の課題に対して看護の示唆を得ることを目的とする. 【対象と方法】 2001年から2011年7月までの原著論文を対象とした. 医学中央雑誌を使用し, "不確かさ" and "看護" をキーワードに検索を行ない, 患者および家族を対象とし, テーマ内容に沿った35論文について内容分析を行った. 【結 果】 "不確かさ" に関する研究内容は, 《身体感覚に確信が得られないことにより生じる不確かさ》《適切な情報が得られず状況を把握できないことによる不確かさ》《将来の見通しが立たないことに関する不確かさ》《病状や治療効果を予測できないことに対する不確かさ》《迫りくる死への不安から生きる意味が見いだせず感じる不確かさ》の5カテゴリから形成された. 最も大きなウエイトを占めたカテゴリは, 《適切な情報が得られず状況を把握できないことによる不確かさ》であった. 【結 語】 患者および家族が不確かさを受け入れ, 適応に向けて生活していけるよう, 適切な情報提供と不確かさを傾聴することが重要な課題であると示唆された.
著者
神野 恵治 茂木 健司 笹岡 邦典 根岸 明秀
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-7, 2008-02-01 (Released:2008-04-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

【背景・目的】 先に著者らは口内貯留による各種含嗽剤の薬剤効果を報告した. 今回は含嗽という機械的清掃行為が加えられた場合の一般細菌, カンジダを減少させる効果について検討した. 【対象と方法】 健常成人18名に対し, 水道水, 薬用リステリン®(青色) 原液, 2倍希釈液, 4倍希釈液, 薬用リステリン®(黄色) 原液, 2倍希釈液, 4倍希釈液, ポピドンヨード 30倍希釈液, ハチアズレ®, 3 %過酸化水素水, ネオステリン・グリーン®50倍希釈液おのおの30mlを含嗽後の唾液を検体とし, 一般細菌, カンジダの培養後, 含嗽剤作用前後のコロニー数を比較した. 【結 果】 一般細菌は, 含嗽前では全例から検出されたが, 含嗽後では50.0~100%で減少した. カンジダは, 含嗽前では23.0~38.0%に検出され, 含嗽後では40.0~100%で減少していた. いずれも薬用リステリン®(青色) 原液, ポピドンヨード30倍希釈液の減少率が高かった. 【結 語】 含嗽剤を用いて含嗽することにより, 一般細菌, カンジダを減少させる効果が認められ, 特に薬用リステリン®(青色) 原液, ポピドンヨード30倍希釈液の効果が高かった.
著者
内田 陽子 上山 真美 富沢 順 石川 徹
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.207-212, 2006 (Released:2006-11-17)
参考文献数
8

【背景・目的】 現在, 寝たきり患者などの移動の際にバスタオルを使用している所が多い. 本研究の目的は, バスタオルにかわる患者仰向け体位からの移動兼療養用ウールボアマットを開発し, その評価を行うこととした. 【対象と方法】 10人の健康学生を対象にバスタオルとウールボアマットの強度・耐性と体圧, 主観的評価を行った. 【結 果】 ウールボアのほうがバスタオルよりも長さ・幅方向で高い強度を示し, 伸び率も高かった. また, 何も敷かない場合とウールボアマットを敷いた場合では, 右踵部と左肘関節部において後者の方が体圧は低かった (p<0.05~0.01). また, バスタオルとウールボアマットの比較でも後者のほうが左肘関節で低い値が得られた (p<0.05). 被験者はウールボアのほうが肌さわり, 寝心地, 暖かさの面でよいと評価し, 首の安定感, 身体の痛み等もよいという者が多かった. また, 看護者側も持ちやすいという評価をしていた. 反面, ウールボアのほうが滑りやすいという意見もあった. 【結 語】 移動用兼療養においてはバスタオルよりウールボアマットのほうが適している.
著者
門脇 晋 尾形 敏郎 五十嵐 清美 野田 大地 井上 昭彦 池田 憲政 佐藤 尚文
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.183-191, 2014-05-01 (Released:2014-06-27)
参考文献数
1

現在わが国は高齢化が急激に進むと同時に, 高齢患者が増加している. 高齢者を若年者と同様に検査・治療することで思わぬ合併症に見舞われる可能性がある. 当科では罹患前のADL, 認知症の有無, 疾患の重症度, 家族背景などを総合的に考慮した上で, 症状緩和を中心とした医療を提供し, 場合によっては看取りまで支援しており, このような概念をシルバーケアと呼称している. シルバーケアを実践した症例を通して当科の医療哲学を提示し, 超高齢化社会を迎えるにあたり, 今後のわが国の高齢者医療のあり方について提言したい.
著者
桑原 拓也 饗場 和美 豊岡 浩介 山路 雄彦 渡辺 秀臣
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.159-166, 2008-05-01 (Released:2008-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【背景・目的】 他動的なスタティック・ストレッチングは運動器の維持・向上に大きな役割を果たしている. 伸張時間と頻度において有効な活用法の確立と温熱療法の相加的効果について検討した. 【対象と方法】 健常大学生22名を対象とし, ストレッチング10秒間を5回施行する群と50秒間を1回施行する群に分け, これに温熱療法を併用しストレッチング前と直後, 10分後の3回, 下肢伸展挙上 (straight-leg raising, SLR) 角度と手掌にかかった圧を測定し伸張強度を求めた. 【結 果】 10× 5群ではスタティック・ストレッチングによりSLR有意な角度の改善が認められたが, 50×1群では有意な改善が得られなかった. 温熱の相加的効果は確認されなかった. 10× 5群ではスタティック・ストレッチングにより有意な伸張強度の増加が確認された. SLR角度と伸張強度の変化率には10× 5群のみ有意な相関が確認された. 【結 語】 ストレッチングによるSLR角度の増加は10秒を5回繰り返す方法が有効であり, この短期の改善効果は神経生理学的要因が関与し, 長期持続には組織構造の変化を導くストレッチングの継続が必要と考えられる.
著者
今井 忠則
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.85-86, 2015-02-01 (Released:2015-03-31)
参考文献数
6
著者
細貝 真弓
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.71-72, 2019-02-01 (Released:2019-03-29)
参考文献数
7
著者
小針 靖子 高橋 舞 高野 洋子 前田 昇三 牧野 武朗 悦永 徹 齊藤 佳隆 竹澤 豊 小林 幹男
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.353-357, 2017-11-01 (Released:2018-01-17)
参考文献数
16

急激な身長の増加と陰茎肥大を主訴に受診し, Leydig細胞腫と診断された5歳男児例を報告する. 初診時, 身長 128.0 cm (+4.95 SD), 体重 26.7 kg (+3.60 SD), 骨年齢9歳7ヵ月, 精巣容量右6 ml, 左4 ml, 陰茎長 9 cm, 血中testosterone 3.40 ng/mL, LH<0.10 IU/mL, FSH<0.20 IU/mLであり, ゴナドトロピン非依存性思春期早発症と診断した. エコーおよびMRIにて右精巣に腫瘤を認めた. 右高位精巣摘出術を施行し, 組織学的にLeydig 細胞腫と診断した. 摘出術後, 成長率は正常化し, testosterone値は測定感度以下に低下した.
著者
小此木 丘
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.261-272, 1965-07-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1