著者
日下部 康明 山岡 正規 根岸 達夫
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-113, 1979

子殺しの3症例について報告した。第1例は26歳の主婦で, 子供の食欲のなさに対する過度の心配, 母親としての不適格感を抱いて, 子供を殺害し, 自殺を図ったが失敗した.精神医学的診断は反応性うつ病であった.第2例は32歳の男性で, 入院歴のある分裂病者であり, 再婚話と別れた妻への未練との葛藤から離婚した妻との間にできた4歳の男児を殺害し焼身自殺を図った.分裂病の再発と診断された.第3例は39歳の主婦で, 夫の不貞, 暴力, 離婚の申し出に反応して子供3人と排気ガスによる自殺を図ったが, 第3子のみ死に至った.ヒステリー人格と診断された.これら3例について, その精神異常と子殺しとの関連, その精神力動について, 若干の検討を行った.
著者
設楽 利二
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.99-105, 1995

日本骨髄バンクが設立され, 非血縁者間骨髄移植による, 白血病や再生不良性貧血治療への貢献が期待されている.現在まで小児および成人併せ200例の移植が行われている.平成6年9月末までのドナー登録数は, 55,700人となり, 患者登録者数は2,329人となっている.HLA適合状況では60%の適合率であり5人以上のドナーがいる例は24%にのぼる反面, 適合するドナーのない例も40%とまだ問題は大きい.非血縁者間骨髄移植ではGVHDの頻度が高いため, 移植の成績を上げるには適合度の高いドナーを選択する必要があり, さらに多数のドナー登録者を必要とするものと思われる.本県でも平成6年7月, 群馬県骨髄バンク推進連絡協議会 (略称群馬骨髄バンク)が発足し, また平成6年10月, 骨髄バンクを推進するためのシンポジウムが開催された.このような一般市民に対する啓発活動を通してこの運動に弾みがつくものと期待されている.
著者
大山 ちあき 藤野 文代
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.301-305, 2001
被引用文献数
1

【目的】患者及び家族の希望で訪問看護を受けながらターミナル期から死亡までを在宅で過ごし, 死亡したがん患者についての訪問看護の内容を明らかにし, 在宅療養を可能にする条件を探求することである.【研究方法】訪問看護記録・外来カルテ・入院カルテの分析と訪問看護者との討議内容を分析する方法とした.これらのデータを基に文献との比較を行い, 考察した.【結果】5事例のうち患者自身が在宅ケアを選択し意思決定した人は2名であり, 他の3名は娘や息子夫婦が在宅ケアを決定した.ターミナルの期間は, 最も短い人で2ヶ月, 長い人で7ヶ月であった.訪問期間は9日から5ヶ月半であった.死亡場所は, 在宅2名, 病院3名であった.病院で死を迎えた人の理由は, 本人の苦痛が強くなったため本人が入院希望をした人が2名, 家人が患者を看ていることに耐えかねて入院希望した人が1名であった.<BR>訪問看護の内容としては, 医療処置・清潔ケア・介護方法の助言・家族の健康管理・連絡調整であった.訪問看護婦は, 患者及び家族の希望に沿いながら, 看取りのための準備を実施していた.また, 訪問看護婦は患者や家族にとって頼れる存在であり, 病院とつながっている安心感を与える存在であった.【結論】本研究から, 在宅ターミナルケアを可能にする患者・家族・看護者のそれぞれの条件は, 以下のような内容であることが明らかになった.<BR>1. 患者の身体的条件においては, 疼痛コントロールができていることと, 精神的な条件においては, 死を受容しながら生きる希望を持っていること.<BR>2. 患者にとって強力なキーパーソンが存在すること.<BR>3. 家族が患者の死を受容して, 家族の介護の意思が他者から支えられていること.<BR>4. 家族がケアの学習意欲を持っていることと, 看護者がケアの指導技術を持っていること.<BR>5. 病院と地域の連携のシステムがあること.
著者
十枝 はるか
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.125-126, 2018-05-01 (Released:2018-07-05)
著者
野田 大地 佐藤 尚文 尾形 敏郎 五十嵐 清美 井上 昭彦 良永 康雄 茜部 久美 飯島 広和 前原 康延
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.221-227, 2008-05-01
被引用文献数
1 1

子宮広間膜異常裂孔ヘルニア2例を経験した.【症例1】51歳女性.14歳時,虫垂切除.上腹部痛,嘔気出現し近医受診.症状改善せず,第3病日に当院紹介受診.腹部膨満し腹部全体に圧痛を認めたが反跳痛や筋性防御なし.CT,USで拡張した小腸を認めたが腹水なし.イレウス管を挿入し第4病日に造形した.右骨盤内で小腸の完全閉塞を認め手術適応と判断した.右の子宮広間膜に約1.5cmの裂孔があり,回腸が約20cm陥入,壊死していた.小腸切除と裂孔閉鎖を行い,術後15日目に退院.【症例2】53歳女性.開腹歴なし.朝から腹部違和感,気分不快あり.症状改善せず夕方当院受診.腹部全体の膨隆を認めたが自発痛,圧痛,嘔気なし.CTで拡張した小腸と軽度の腹水を認めた.保存的に経過をみたが嘔吐を繰り返したため第2病日にCT再検.小腸拡張の悪化,腹水増加を認めたため緊急手術を行った.左の子宮広間膜に約2cmの裂孔を認めそこへ回腸が約5cm陥入していた.用手的に整復し,裂孔閉鎖した.術後9日目に退院.
著者
白石 卓也 竹島 太郎 小谷 和彦
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.207-211, 2017-08-01 (Released:2017-10-16)
参考文献数
11

目 的:ミネラルの豊富な温泉水を飲む飲泉は温泉療法のひとつである. 群馬県上野村にあるしおじの湯の温泉水はケイ酸を豊富に含んでいるため, 健康保持・増進に寄与すると思われて地域住民に飲用されている. そこで, この飲泉による健康関連指標に関する調査を行い, その効果について検証した.方 法:飲泉習慣のない成人に対して飲泉試験への参加を公募した後, 飲泉群 (80名) と飲泉しない対照群 (31名) で比較検討した. 飲泉群は, しおじの湯の温泉水500 mLを, 4週間に渡って1日3回 (食間) の頻度で飲用した. 飲泉期間前後で自己記入式質問票ならびにGastrointestinal Symptom Rating Scale (日本語版) を用いて健康関連指標の変化について評価した. 対照群にも飲泉群と同様に調査した.結 果:飲泉群と対照群を比較したところ, 飲泉群には脱毛および便臭で有意なスコアの改善がみられた.結 語:ケイ酸を含む温泉水 (しおじの湯) の飲泉は, 脱毛や便臭のような健康改善に寄与する可能性はあるが, これは予備試験の結果に過ぎず, ランダム化比較試験を行ってさらに検討していきたい.
著者
伴野 祥一 塩原 雄二郎 田島 郁文 長谷川 昭 小野 光弘 笠原 浩一郎
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-38, 1978

A 52-year-old male was found to have fever and complained of myalgia and joint pain.<BR>On physical examination by admission, his blood pressure was 128/68 mmHg, pulse 66 per minute, regular, temperature 38.5&deg;C. The patient was pale and appeared chronically ill. Bilateral temporal arteries were extended and moderately tender by percussion. Cardiac dulness was normal and heart sound was clear. Liver and spleen were not palpable. Muscles of extremities were slightly atrophic. Raynaud's phenomen negative. Purpuras on backs of feet were noticed. ECG showed normal sinus rhythm, no axis deviation, ST, T waves normal. X-ray of chest normal.<BR>At 2 weeks after admission, he had been noticed his blood pressure was elevated (BP 210/100 mmHg) and abdominal bruit audible. Following comfirming of polyarteritis nodosa by muscle biopsy of right quadriceps, steroid therapy bigan. On the 26th hospital day, suddenly he experienced severe pain in left hypochondrium which radiated into the back. He was explored surgically because the pain was persistent and anemia revealed progressively.<BR>Retroperitoneal hematoma was found along abdominal aorta and left kidney with subcapular bleeding enlarged as child's head sized but could not be removed because his general condition got worse. Peripheral plasma renin activity (PRA) on restricted salt intake (5g/day) while the patient kept in supine position was 11.9 ng/ml/h, renal vein renin analysis was as follows; r-renal vein 12.1 ng/ml/h, 1-renal vein 14.2 ng/ml/h, upper IVC 12.1 ng/ml/h, lower IVC 8.3 ng/ml/h. Angiotensin II analogue test was carried out using in-fusion of 1-Sarcosine 8-Isoleucine Angiotensin II. Blood pressure before test was 180/130 mmHg and reduced to 130/100 mmHg at 20 minutes after the biginning of infusion at the rate 300 ng/kg/min.. The blood pressure rose gradually to control level over subsequent one hour after the cessation of angiotensin II analogue. PRA level was 8.4 ng/ml/h before administration of angiotensin II analogue and similar value during infusion, then 8.7 ng/ml/h at 110 minutes after cessation of the infusion.
著者
岡村 典子 青木 洋子 渡辺 礼子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.221-228, 2017-08-01 (Released:2017-10-16)
参考文献数
21
被引用文献数
2

目 的:本研究の目的は, 副看護師長が新規着任時に抱いた思いと, 自身の役割認識を明らかにすること. 方 法:新任副看護師長37名を対象に, 「任に就いての思い」「今時点で認識している副看護師長の役割」「現在の課題」について自記式質問紙にて調査を行った. 結 果:着任時の思いとして,【担うことへの煩悶】【自身に必要とされる力への思案】【自身の評価に対する心配】【着任への抵抗】【昇格への意気込み】の5カテゴリーが, 着任した時点で認識している役割についても,【師長との連携】【スタッフへの働きかけ】【環境作り】【モデルとして存在】【業務調整】の5カテゴリーが抽出された. 結 語:副看護師長は,【担うことへの煩悶】といった立場の転換に戸惑いつつも, 職場内の改善といった【環境作り】に着目するなど, いちスタッフであったからこそ感じている役割を認識していることが推測された.
著者
國清 恭子 水野 治久 渡辺 尚 常盤 洋子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.303-312, 2006 (Released:2006-12-26)
参考文献数
23

【目 的】 中絶を受ける女性の援助不安の実態を明らかにし, 中絶を受ける女性の心のケアのあり方を検討する資料を得ることを目的として調査を行った. 【対象と方法】 調査期間は平成15年9月~平成16年1月. 15施設において中絶を受ける女性に無記名式自記式質問紙調査を実施し, 中絶前後で同一対象者によって回答が得られた100例を分析対象とした. 調査内容は, 援助不安, 被援助志向性, もらったソーシャルサポート, 自尊感情であった. 【結 果】 医師, 看護師への呼応性, 汚名への心配が強い場合, もらったソーシャルサポートの量が少ないことが明らかになった. また, 「呼応性への心配」, 「汚名への心配」, 「被援助志向性」がもらったソーシャルサポートを規定する要因として抽出された. 【結 論】 中絶を受ける女性が医師や看護師からのサポートを受け易い状況を作り出すためには, 呼応性および汚名への心配の軽減を図るとともに, 被援助志向性を高めることが必要である.
著者
岡野 孝雄 大和田 進 清水 公裕 須納田 豊 川手 進 浜田 邦弘 岩波 弘太郎 菅野 雅之 佐藤 啓宏 高木 均 小山 佳成 青木 純 森下 靖雄
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.113-118, 2004-05-01

【背景と目的】肝細胞癌に対する経皮的なラジオ波焼灼術(以下RFA)は,局所療法として有効な治療法の一つである.しかし,横隔膜直下の肝細胞癌は,経皮的に超音波での描出や経皮的な穿刺が困難な場合がある.そこで我々は,胸腔鏡下に超音波プローブを用いてRFAを行い,その有効院と安全性を検討した.【対象と方法】2001年3月から2003年12月までに5症例,7回の胸腔鏡下ラジオ波焼灼術(以下TRFA)を行った.方法として,分離肺換気下に,胸壁の2ヵ所にトロカールを挿入し,それぞれ胸腔鏡と超音波プローブを挿入し,経横隔膜的に腫瘍を描出する.超音波プローブにほぼ垂直になるようにPTCD外套針を経皮的に挿入し,これをガイドとして,RF針を経横隔膜的に腫瘍内に穿刺し焼灼する.【結果】全例がHCV(+)の肝硬変であった.Child-Pughスコアは5〜7点であった.平均腫瘍径は2.4(2.0〜3.0)cm,セッション数は症例1の初回TRFA時に6回施行した他は,各3回であった.平均手術時間は180(90〜280)分,出血量は18(0〜50)mlで,平均術後在院日数は10.4(4〜22)日であった.合併症として,ポート部の熱傷を1例に認めた. RFA術後のダイナミックCTでは,全例で低吸収域となり,治療は有効であると判定した.5症例の平均観察期間は21(7〜33)ケ月であった.1例で術後の局所再発が疑われ,同部に2回同様の手技で治療した.1例に,異所性の再発を認め,動脈塞栓療法(以下TAE)を行った.脳梗塞で24ヶ月目に死亡した1例の他は,全例が無病生存中である.【結語】TRFAは,2つのportで行うことが出来,低侵襲で,繰り返し安全に施行可能であった.経皮的なRFAが困難な症例に対して,新しい治療法になりえる.
著者
内田 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.231-238, 2007-08-01 (Released:2007-09-11)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

【目 的】 認知症ケアのアウトカム項目を明らかにし, アウトカム評価票原案を開発することを目的とした. 【方 法】 文献検討, 質問紙調査, 専門家による検討により進められた. 【結 果】 既存の文献では認知症症状, 生活行動, 幸福感, QOL, 介護負担の領域にアウトカムがまとめられた. 認知症ケア経験者対象239人からは, 精神的安定, 生活行動, 認知症症状, 在宅療養継続などのアウトカムが明確になった. また, 在宅で認知症ケア経験者25人からは「笑顔, 不安なく安心して暮らせる, 楽しく喜ぶ」に重要度が高かった. 【結 語】 専門家の検討により, 最終的に以下の特徴をもった認知症ケアのアウトカム評価票を作成できた. (1)アウトカムの主項目は「認知症症状・精神的安定」,「生活・セルフケア行動」,「その人らしい生活」,「介護者の負担」で構成された. (2)2時点の状態をアセスメントし, 該当する番号を書き, 両者を比較して最高値持続, 改善, 維持, 悪化, 最低値持続と判定する. (3)アウトカムを高めるためのケア項目を設定した.
著者
江本 正志
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.321-322, 2004-11-01 (Released:2009-10-21)
著者
門脇 晋
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.153-157, 2014-05-01 (Released:2014-06-27)
参考文献数
14

39歳男性. 20歳代で糖尿病を指摘され近医通院していた. 胆石発作のため入院. 入院時は身長175cm, 体重97kg (BMI 31.6), HbA1c 8.5% (JDS), 空腹時血糖値210mg/dlと肥満及びコントロール不良の糖尿病を認めた. 胆嚢摘出術を予定し, 江部らが提唱する糖質制限食を自宅で実践した. インスリンや経口血糖降下薬は一切使用しなかった. 2か月半後に体重88kg (BMI 28.7), HbA1c 5.6% (JDS), 空腹時血糖値108mg/dlまで改善し, 胆嚢摘出術を安全に施行できた. 本稿は外科周術期に糖質制限という概念を応用した初めての報告であり, 糖質制限は術後合併症の低下をもたらし, 医療経済的にも大きなメリットがあると考えられた.
著者
柳 奈津子 小池 弘人 小板橋 喜久代
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.29-35, 2003-02-01
被引用文献数
11 6

【背景・目的】本研究の目的は,呼吸法によるリラックス反応について明らかにすることである.【対象と方法】リラクセーション技法の練習が初めての健常女性79名(実験1:35名,実験2:44名)を対象とした.実験1では,被験者全例が呼吸法を行う実験群と安静のみの対照群の両群を実施した.5分間の呼吸法または安静の実施を実施中とし,実施前後の脈拍,血圧を測定した.実験2では,無作為に22名ずつ実験群と対照群の2群に分け,実施前,実施中,実施後に各3分間の脳波を測定した.【結果】実験群では,実施後に脈拍数は有意に減少したが,対照群では変化はなかった.血圧は両群ともに変化はなかった.α波は,実施後に実験群では増加し,対照群では低下し両群間に有意差が認められた.β波は,実施後に実験群では低下し,対照群では増加したが有意差はなかった.【結論】呼吸法は安静に比べて脈拍数を減少させ,α波を増加させることが明らかとなった.呼吸法は初回練習者でも他のリラクセーション技法と同様の反応が得られると考えられた.
著者
近藤 浩子 牛久保 美津子 吉田 亨 豊村 暁 佐光 恵子 神田 清子 常盤 洋子 堀越 政孝 松崎 奈々子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.31-35, 2016-02-01 (Released:2016-04-05)
参考文献数
6
被引用文献数
3

群馬県内病院看護職の「在宅を見据えた看護活動」の実態把握を目的として質問紙調査を行った. 調査内容はA. 退院後の患者の生活をイメージした看護の提供, B. 地域の社会資源の活用, C. 患者・家族の負担軽減のためのケア方法の簡素化, D. 病状変化を予測した対応, E. 多職種との協働に関する25項目であった. 回答は, 県内11病院の看護職から2,136件が得られた. 調査結果によると, 入院前の生活状況の把握, 本人・家族の希望の把握, サマリーの記載に関しては比較的よく実施され, 実施率が5割を超えていた. しかしながら住居環境の把握や社会資源の把握, 障害認定や介護認定の評価・相談, ケア方法の簡素化, 今後を予測した対応, 多職種との連携はあまり実施されておらず, 実施率が4割以下であった. したがって, これらの視点について総合的に育成していく現任教育プログラムの開発が求められていることが示唆された.
著者
新井 明子 小泉 美佐子 齋藤 喜恵子 滝原 典子 高橋 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.53-58, 2007 (Released:2007-06-13)
参考文献数
8

脳梗塞発症後, 切迫性尿失禁および機能性尿失禁を生じた患者のアセスメントとケアについて報告する. 尿失禁ケアプログラムのアセスメントとして, 3日間の排尿モニタリングを行った結果, 1日排尿回数12~20回, 平均1回排尿量76.3~87.5ml, 1日失禁回数12~18回であり, 脳梗塞後遺症による頻尿に伴う切迫性尿失禁, 機能性尿失禁と把握した. ケア介入として, 抗コリン剤による薬物療法, 看護師による行動療法, リハビリテーションスタッフによるトイレ動作訓練を行った. 日常生活動作 (ADL : activities of daily living) の全般的な回復に加え, 医師, 看護師, 理学療法士, 作業療法士によるリハビリテーションのチームアプローチにより, 排泄動作の改善がみられ, 尿失禁が消失した.