著者
岩野 英夫
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.1151-1220, 2009-09

西洋中世初期の裁判文書を手掛かりにして、同時代に行われていた裁判のかたちの全体像を明らかにした。具体的には、同時代に特徴的に見られる裁判のかたちである欠席裁判や仮装裁判(Scheinprozeß)の事例にまず触れ、その後、一般的な裁判手続に従って進行する、訴えから判決までの裁判の流れの様々なかたちを重要な裁判記録を訳出しながら描き出した。論説(Article)
著者
田中 治 Osamu Tanaka
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.2091-2124, 2018-02-28

消費税法上、事業者の消費税の転嫁の権利または義務は定められていない。他方、消費税転嫁対策法は、一定の要件の下で、消費税の転嫁を拒む行為が違法として規制され、転嫁を阻害する表示等が規制される。転嫁を予定するにすぎない消費税法と、転嫁を強制する消費税転嫁対策法とは整合的に理解できるのか、また消費税転嫁対策法が価格形成の自由や自由競争を損なうことはないのか、などを検討するものである。
著者
森 靖夫 Yasuo Mori
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.2621-2647, 2018-02

本稿は、イギリスが日本の産業動員準備をどのように見ていたかをイギリス公文書館の文書を用いて明らかにした。イギリスは世界各国が総力戦に向けた産業動員のための組織づくりを始めていることに着目した。なかでも日本は世界の中でも先んじた国として認識していた。とりわけ1927年に成立した資源局を日本のCIDと評価するなど、日本の国家総動員準備を軍国主義の萌芽と見るどころか、本国との類似点に着目していた。もっとも、日本の準備はイギリスの脅威とはならないと判断していたし、それをもって日本が戦争を企図しているとは少なくとも1937年までは考えていなかった。This paper examines British intelligence and perception of Japan's industrial mobilization from 1918 to 1937 mainly analysing the reports from British military attaché. It shows that British military perceives Japan as an advanced country in industrial mobilization. In other words, it means that they didn't regard Japan's preparation for 'Kokka Sodoin (general mobilization)' as the signs of militarism. Moreover, they saw Shigenkyoku (Resources Bureau) established in 1927 as 'Japan's C.I.D' and thought Japan's plans for industrial mobilization didn't threat to British interests in East Asia until 1937.瀬川晃教授古稀記念論集第一部(I)
著者
西澤 由隆
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.253-293, 2011-06

2009年総選挙における民主党の勝因を、WasedaCASI&PAPI2009世論調査データを用いて有権者の投票行動の視点から分析した。その結果、民主党に対する支持態度・政権担当能力評価が、投票行動を規定する重要な要因として特定された。一方、民主党による動員の効果から判断をするとき、その支持基盤の脆弱性も明らかとなった。また、政策評価要因が投票に影響を及ぼした形跡はうかがえず、業績評価にもとづく政権交代であったとは言えないことが判明した。

1 0 0 0 同志社法學

著者
同志社法學會 [編]
出版者
同志社法學會
巻号頁・発行日
1949
著者
松原 久利 Hisatoshi Matsubara
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.2945-2975, 2018-02

交通事故、医療事故においては、直接結果を発生させる行為時点で、行為能力、結果予見・回避可能性が欠如する場合であっても、それ以前の段階で注意義務を基礎づける危険が存在し、その時点においてその危険が予見・回避できた場合には、過失により行為能力、結果予見・回避可能性を排除する原因行為に過失犯の実行行為を認めることができる。ただし、この引受け過失と危険運転致死傷罪の関係については、なお検討すべき課題がある。Bei den Verkehrsunfall und medizinischem Unfall, soll die Ausführungshandlung von den Fahrlässigkeitsdelikte in der ursächlichen Hndlung, die die Handlungsfähigikeit, Vorhersehbarkeit und Vermeitbarkeit des Erfolges fahrlässig ausschliesst, anerkennen werden, wenn in der früher Phase die Gefahr, die die Sorgfaltspflicht begründet, liegt vor, und ,man im Zeitpunkt die Gefahr vorhersehen und vermeiden kann, obwohl im Zeitpunkt der Handlung, die direct den Erfolg führt herbei, es an den Handlungsfähigkeit, Vorhersehbarkeit und Vermeidbarkeit des Erfolges fehlt. Jedoch bedarf es noch die Frage des Zusammenhang mit der Übernahmefahrlässigkeit und dem gefährlichen Autofahren mit Todes-oder Verletzungsfolge zu untersuchen.瀬川晃教授古稀記念論集第二部(II)
著者
益田 高成 Takanari Masuda
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.225-303, 2020-07

公職選挙法は、候補者が選挙運動を行うことのできる期間を法定しているが、日本ではこれまで、その期間が繰り返し短縮されてきた。本稿では、選挙運動期間を短縮する公選法改正を全て取り上げ、いかにして選挙運動期間が短縮されてきたかを検討している。分析の結果、選挙運動期間短縮は議員主導で進められてきたこと、また、期間短縮に関しては多くの事例で与野党が協調的であったことが確認された。本稿の分析結果は、選挙運動規制が、党派的対立を促す性質よりも、各党を現職議員の集合体として結びつける性質を有していることを示唆している。研究ノート(Note)
著者
濱 真一郎 Shinichiro Hama
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.2037-2060, 2017-01

本稿の目的は、英国の思想史家アイザィア・バーリンが、自由と決定論についてどのような見解を提示しているのかを確認することである。具体的には、ヘーゲル、マルクス、ゲルツェン、およびトルストイにかんするバーリンの思想史研究が、彼のオーギュスト・コント記念講義「歴史の必然性」(この講義が行われたのは1953年)と密接な関連を有することを明らかにしたい。論説(Article)
著者
戒能 通弘
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.631-717, 2011-06

コモン・ローのコンテクストにおけるホームズ、パウンド、ルウェリンの法理学の検討