- 著者
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桑原 浩平
- 出版者
- 名古屋工業大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2002
平成15年度は,まず屋外環境において,人体の体感温に影響を及ぼす環境要素を探るために,修正湿り作用温度を用いた屋外温熱環境の評価を行った。修正湿り作用温度は,気温・湿度・放射・風速が人体に及ぼす影響を個別に表示することが出来るという利点がある。その結果,夏や秋においては,日射を含む放射の影響を強く受け,冬においては,風速の影響を強く受けていることが明らかとなった。次に,日射を考慮したSET^*や予想温冷感ETSが暑熱環境において有効であるか否かを検討するために,名古屋の屋外空間において被験者実験を行った。実験結果から,SET^*は名古屋のような暑熱地域においても温冷感の評価に有効であったが,ETSは札幌の被験者実験を基に作られた指標であるため,名古屋においては,特に寒いと申告する側において計算値と申告値に差が見られた。また,これまでは屋外温熱環境の評価に関しては主に温熱指標と温冷感との対応を見るのが主であったが,今年度は温熱指標と快適感に関する検討も行った。これまでに行われた,札幌と名古屋の屋外空間における被験者実験データから,SET^*と中立温冷感,快適感との関係を明らかにした。分析結果から,屋外環境におけるSET^*に対する中立温冷感域として15.7〜25℃が,快適側申告域として17.8〜24℃が得られた。さらに,ETSと快適感の関係を実験データから回帰したところ,80%以上の人が快適であるというETSの範囲は見られなかったものの,-1.0(少し涼しい)<ETS<+1.0(少し暖かい)の範囲内で70%弱の人が快適と感じるとの結果を得た。最後に,人体のどの部位が全身の温冷感に影響を及ぼすかを検討したところ,頭部は季節に関係なく全身の温冷感とよく一致し,他の部位においては,季節を通じて露出部位の影響を受けやすいことが確認された。