著者
鈴木 真吾
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.3, pp.151-174, 2010-03

本論は『家畜人ヤプー』の作者であり、その全貌がいまなお明かされていない覆面作家沼正三と、1970年頃から沼の代理人として活動し、1983年に自身が沼だと名乗り出て以降も、沼との距離を注意深く保ってきた作家、天野哲夫に関するものである。2008年11月30日に死去した天野が沼の本体だという意見が主流を成す一方、天野が沼の本体ではないという意見は今日においてもなお支配的である。しかし、本論は沼の真の正体を考察するものではない。元来、仮想の人格を持った架空の人物として設定されていた「沼正三」が、何故、現実に存在する一個人であるという前提で語られてきたのかという点を問題にしつつ、『家畜人ヤプー』の作者の正体をめぐる騒動であった1980年代初頭の「『家畜人ヤプー』事件」を中心に、沼という覆面作家を巡る議論がどのように展開されたかを論じると共に、体系的に語られることのなかった天野について、沼としての天野ではなく、沼と対位法を成す存在としての天野を論じていく。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.7-26, 2015-03-13

近代以降の日本社会は「女同士の親密な関係」「女を愛する女」に対してどのような意味を与えてきたのだろうか。「女性同性愛」言説の変容をたどる研究成果を「性欲」の視点から整理することが本論文の目的である。ここで「性欲」の視点とは、大正期に定着してから現在まで様々な仕方で構築されてきた「性欲」という領域が、女性同性愛に関する言説をどのように枠づけてきたのか、反対に、女性同性愛に関する言説が「性欲」をどのように枠づけてきたのか、という視点のことをいう。したがって、本論文が注目するのは、「性欲」が女同士の親密性をめぐる経験や理解の仕方に関わっていることを示し得ているような研究成果である。この「性欲」の視点を軸にして、「女性同性愛」言説をめぐる歴史研究の現在における到達点と今後の課題を明らかにしたい。
著者
児島 明
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.55-72, 2008-03

日本の学校に通う経験を持ちながら、早くから就労の世界に身をおくようになる在日ブラジル人の若者の進路選択過程は、学校からの離脱及び学校から離脱した後の就労への水路づけの過程として描きだすことができる。学校からの離脱は、国家間移動のみならず地域間移動や帰国/再来日という多層的な移動経験の結果であるだけでなく、学校での困難及びそれに対してなされる学校側の対応の在り方が大きく影響する。とりわけ、不登校対策や進路相談といった生徒の学びの可能性を保障するための実践が、逆に学校からの離脱の促進という意図せざる結果を生みだしてしまう現状に目が向けられる必要がある。そして、離脱の過程で、あるいはその結果としてかれらが形成する「脱出の物語」は、家庭でも学校でも早期就労を引き止める力が働かないことによって消費社会と接続する。在日ブラジル人の若者の早期就労は、主体的選択という観点からのみでなく、かれらを取り囲む環境的要因との関連において説明される必要がある。
著者
行田 稔彦
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.212-222, 2019-03-08

算数の学び直しを通して「算数の内容と構成」(講義項目名)の理解を深めるとともに、子どもとともに算数教育をつくる、未来の教師の主体を育てたいと考えた。「算数・数学が苦手」と、算数・数学にネガティブな思いを持つ学生が多い。こうした大学生の声を聞くと、日本の若者の多くが「算数の“わけ”がわからない」まま青年期を迎えているように察せられる。算数嫌いの若者が心を動かした「算数の学び直し」には、現代の算数・数学教育改革のヒントがある。「算数の学び直し」は、単に「小学校に戻って学び直すこと」ではない。「なぜそうなるのか」のわけがわかることである。学び直しを通して、学習者自身の算数観の転換となる新たな「算数の発見」である。もう一つの意義は、算数授業観の転換である。「算数・数学は先生が教科書の問題を解かせるだけの教科」であり、「点数によって人間の優劣を順序付ける教科」だとこれまでの授業経験から思いこんでいる授業観の転換をはかることである。
著者
髙坂 康雅 柏木 舞
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.113-121, 2017-03

現在の日本では、離婚件数が高い水準で推移しており、親の離婚を経験する子どもの数も多くなっている。本研究の目的は、親の離婚を経験した子どもが、親の離婚経験から立ち直るまでのプロセスを明らかにすることであった。東京都内の大学生10名を対象にインタビュー調査を行い、M-GTAを援用して、親の離婚経験からの立ち直りに関するプロセスモデルを構成した。親の離婚を経験した子どもは、親が離婚したことに対する「否認」からはじまり、「悲しみ」や「怒り」を経て「抑うつ」状態に陥る。しかし、他者の存在に支えられ、離婚経験を開示することにより、「安堵」、「受容」を経て、未来に向けて「希望」を抱くことができるようになることが明らかになった。
著者
瀧 大知
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.149-168, 2018-03-13

本稿では、日本における排外主義勢力が、どのような言説をもって排外主義を「正当化」してきたかを考察することを目的としている。「中国」に関連した排外主義者の言説戦略が、「池袋チャイナタウン」と「横浜中華街」とでは差異があることに着目し、比較分析をおこなった。「池袋チャイナタウン」で現れた言説は、新華僑を「脅威」、老華僑を「同化」した存在であると認識することで、「同化主義」による排外主義の「正当化」がおこなわれていた。さらに「反日教育」による「反日」的な国民/民族であると規定されることによって、新華僑と老華僑が「分断」されていった。また2 つのチャイナタウンの文化的な差異にも、それが表象されていることを明らかにした。最後に、その根底に「植民地的まなざし」があることを仮説として提示している。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-89, 2011-03

本研究の目的は、西平(1981)の“恋と愛の二元的一元性”論を参考に、恋の状態と愛の状態とは質的に異なる状態であり、恋愛とは恋と愛を両極とした一次元上の中間の状態であり、両者の特徴をあわせもった状態である捉え、先行文献をもとに青年の恋愛関係を図示するモデルを作成することであった。先行文献をまとめた結果、恋には、“相対性”、“所有性”、“埋没性”という特徴があり、愛には“絶対性”、“開放性”、“飛躍性”という特徴があること、相対性と絶対性、所有性と開放性、埋没性と飛躍性はそれぞれ対応する特徴であることが考えられ、これらをまとめた恋愛様相モデルが構築された。今後は恋愛様相モデルを実証的に検討する必要があると考えられた。
著者
挽地 康彦
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.12, pp.117-132, 2019-03

伊豆諸島ほど大洋に浮かぶ「船」を思わせる島々はないだろう。古来より飢饉、疫病、噴火、海難に見舞われ、また辺境ゆえに流刑地として指定された歴史をもつ伊豆諸島。島々の交通は容易でなく、外界から閉ざされた島嶼世界は死に満ちていた。それはあたかも、いつ難破してもおかしくない船のように佇んでいたのだ。伊豆の島々が危機と隣り合わせの船団ならば、島の民は潜在的な漂流者なのではないか。本稿の目的は、こうした問いをめぐって、近世伊豆諸島をめぐる海難、流刑、祭祀などの民族誌をたどりながら、黒潮の世界を彷徨う遍歴者の形象を明らかにしていくことである。海を走る船は思わぬ形で異国へ流され、ときに異界へと引き込まれる。そんな漂流船=島の歴史が亡霊となって現在に回帰し、島民に憑依するとき、土着の民として安住する意識は揺さぶられるだろう。そこに、漂流民としての自己が呼び起こされる可能性があることを指摘していく。
著者
上野 隆生
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.105-122, 2008-03

The notorious Greater East Asia co-prosperity sphere, which refers to the Japanese invasion of Southeast Asia, has been one of the exhausted themes of modern Japanese history. The Japanese invasion into northern Indochina began in autumn 1940. But it was only ten years before when the Kwantung Army initiated the Manchurian “Incident”, for the purpose of bringing Manchuria under Japanese rule. In 1930’s, Japan began to invade northward at first, then southward. Was that really possible? The aim of this article is twofold: firstly, to survey the history of the thought of the southward advance” and that of the “northward advance”; secondly, to present some hypothetical analysis about the relations between the “southward advance” theory and “southward advance” policy as well as those between the “northward advance” theory and the “northward advance” policy, which should be instrumental in understanding the relations between the “southward advance” theory and the “northward advance” theory. From the beginning of the Meiji Era, Southeast Asia has been taken for the land of “fertile resources with lazy natives”. Such kind of image helped encapsulating the “southward advance” theory into a romantic or idealistic, if any, idea. On the other hand, the long-lasted influence of China and Korea made it easy for the “northward advance” theory to be formulated into the “northward advance” policy. At the critical moment in 1930’s, when Japan felt locked in stalemate in advancing northward, the “southward advance” theory emerged as a panacea, which bloated to the extent of the unrealistic Greater East Asia co-prosperity sphere.
著者
丹菊 逸治
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.129-143, 2011-03

サハリン島(樺太)北部の先住民ニヴフ民族は、第二次世界大戦終了まで一部が旧日本領南樺太の住民だった。彼らはウィルタ民族とともに、日本の行政当局が敷香(現ポロナイスク)に設置した集住地「オタスの杜」の主要な構成員となり、アイヌ民族とは異なった扱いを受けていた。比較的知られたニヴフ人奥田桃太郎とその息子奥田長次の足跡が表すように、日本に「引き揚げ」ずサハリン島にとどまった旧日本領南樺太のニヴフ民族は北部のニヴフ人社会に再統合された。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.159-178, 2017-03

本稿は、日本のレズビアンたちによる集合的な活動が発信したテクストを分析し、その主要な言説を跡づけようとするものである。1970年代から1980年代前半までのミニコミ誌が、1960年代に一般に流通した「レズビアンには男役(タチ)と女役(ネコ)がある」という言説へどのように介入したのかを中心に記述する。なお、本稿は、近代日本形成期(1910年代から1960年代まで)の「女性同性愛」の言説史を整理した拙稿(杉浦2015)の続編に位置づけられるものであり、レズビアン解放運動がさらなる盛り上がりを見せる1985年以降の言説分析へと橋渡しされるものである。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.215-228, 2014-03-05

松井(1990, 2000)や飛田(1991)は、青年期の恋愛行動の分類を行い、恋愛行動の進展プロセスについて明らかにしているが、どの程度の交際期間でそれらが進展するのかについては明らかにしていない。そこで、本研究では、交際期間に伴う大学生の恋愛行動の進展を明らかにすることを目的とした。全3 回の縦断調査において、同一の恋人と交際していた大学生126 名(男子38 名、女子88 名)を対象に、各調査時点における恋愛行動の経験の有無を尋ねた。その結果、松井(1990, 2000)の第4 段階に位置づけられるような行動も、交際8 ヶ月程度までには多くの大学生が経験しており、その後、親密さを示す行動や親密になる過程で生じる葛藤行動が徐々に増えるが、結婚に関わる行動は、ほとんど経験されないことが明らかになった。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.159-178, 2017-03-10

本稿は、日本のレズビアンたちによる集合的な活動が発信したテクストを分析し、その主要な言説を跡づけようとするものである。1970年代から1980年代前半までのミニコミ誌が、1960年代に一般に流通した「レズビアンには男役(タチ)と女役(ネコ)がある」という言説へどのように介入したのかを中心に記述する。なお、本稿は、近代日本形成期(1910年代から1960年代まで)の「女性同性愛」の言説史を整理した拙稿(杉浦2015)の続編に位置づけられるものであり、レズビアン解放運動がさらなる盛り上がりを見せる1985年以降の言説分析へと橋渡しされるものである。
著者
白井 千晶
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.55-75, 2014-03-05

妊娠・出産した女性が養育困難である場合、子どもを養子とする(養子に出す)ことによって親権を終了する特別養子縁組という選択がある。本稿では、当事者が養子縁組を決めるまでの経緯を語った語りをもとに、どのような背景と意思決定があって特別養子縁組で子どもの養育を託すことに決めたのかを分析する。データは筆者がおこなった15人の女性へのインタビューである。養子に出す意思決定に影響する要素は、①フォーマルな福祉へのアクセス、②インフォーマルな福祉へのアクセス、③自分が養育しないことを最善とみなす、④人工妊娠中絶の非選択、⑤養子縁組以外の選択肢の非選択、⑥若年、である。公的福祉制度があってもそれへのアクセスを拒否すること、アクセス不能である場合があること、養子に出す意思決定は複合的で、当事者性、プロセス性があることを提起した。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.7-24, 2022-03-17

性的マイノリティの権利獲得運動では、「不可視であること」を解決すべき問題と見なし「存在や困難の可視化」を目標として共有してきた。そのため、運動を牽引する者らは、性的マイノリティの当事者として自己開示することで、一般社会と対話を重ねることを要請されてきた。しかし、たとえ活動のリーダーであっても、カミングアウトは簡単なことではない。本稿は、東北地方で性的マイノリティのための活動に取り組む団体主催者へのインタビューから、かれらが「可視化」の要請をどのように経験してきたのか、また「可視化」の要請にどのように取り組み、対処してきたのかを明らかにする。インタビュー協力者らの経験や実践を通して、市民活動の担い手の多様なあり方を示すとともに、可視化を強調する運動を「地方」の視点から批判的にとらえ直すことを試みる。本稿の問題意識は、「可視性の政治」を強調することが「地方」の性的マイノリティの生活や活動、可視化以外の運動手法を周縁化する効果をあわせもつ、という点にある。まさに周縁化の対象となってきた「東北」のアクティヴィストたちは、自らの「露出」を管理したり、「露出」を前提にしない手法を模索してきた。その実践の合理性と、その実践がもつ「周縁化」への抵抗の契機を考察する。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-34, 2013-03-19

本研究の目的は、ある時点において恋人がいる青年(大学生)を対象として調査を実施し、その対象者に対し全3回の縦断的な追跡調査を実施することにより、アイデンティティ及び「恋愛関係の影響」が恋愛関係の継続/終了の予測可能性を、明らかにすることであった。第2回調査の時点の恋愛関係の継続/終了、及び第3回調査時点での恋愛関係の継続/終了を独立変数に、アイデンティティや「恋愛関係の影響」について比較したところ、「恋愛関係の影響」の「他者評価の上昇」が短期的な恋愛関係の継続/終了を予測することが明らかになった。またアイデンティティの感覚や「恋愛関係の影響」の「充足的気分」も、短期的な恋愛関係の継続/終了を予測する可能性が示された。
著者
瀧 大知
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.9, pp.123-139, 2016-03

近年、日本では近隣諸国との歴史認識問題や領土問題に端を発した排外主義的な傾向が強まり、路上やインターネット上で、おもに在日コリアンをターゲットにしたヘイト・スピーチが行われ、大きな社会問題となっている。このような事態に対してこれまで様々な言説が生まれてきた。しかし、こうした言説では、ヘイト・スピーチが持つ「暴力性」を問題視することはなく、むしろヘイト・スピーチをする人々が注目されるばかりで、被害者の姿がほとんど見えなくなっているという問題が見られる。こうした言説を批判的に検討することにより、本稿ではこのような被害者不在の言説が結果として、ヘイト・スピーチを黙認してきた圧倒的多数の無関心層と同様の役割を果たしてきてしまったことを明らかにする。
著者
菅野 恵
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.103-112, 2017-03-10

This study investigated children living in foster homes, a type of child welfare institution, in Japan. Foster care provides a home environment to children who have been abused and/or neglected by parents who have parenting difficulties. Approximately 12.3% of children living in foster homes in Japan have a parent with mental illness, but despite growing concern, the psychological impact of having a parent with mental illness among foster children is currently not known. In this study, we conducted a follow-up survey of 97 children aged 3–18 years who lived in foster homes and analyzed open-ended survey questions. The major finding was that 35% of the children had a parent with mental illness. Analysis also extracted six psychological impacts of having a parent with mental illness: anxiety/confusion, repressed emotion, distorted image of parents, imitation of parents, parentification, and other. Even after having been separated from their parents and admitted to foster homes, children were disturbed and confused because of the adverse effect of their parents. These findings suggest the importance of providing psychological care for emotional support of foster children struggling with their relationship with their parents.