著者
井坂 行男 井賀 誠子 増田 朋美 仲野 明紗子 松岡 梨恵 原田 利子 内藤 志津香
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.33-49, 2006-09

本論文は聴覚障害を有する幼児の教育相談支援事例についての報告である。人工内耳を装用した幼児と他の障害を併せ有する幼児に対して,言語獲得支援を行った。その結果,コミュニケーション手段(手話)の獲得によって,情緒の安定,こだわりの減少,コミュニケーション意欲の向上が認められた。This paper is a case study of educational consultation support of infants with a hearing impairment. We gave support to an infant with Coclear Implant and an infant with other impairment for the language acquisition. As a result, It was admitted that they stabilized emotion, decreased the sticking to interesting things and improved the communications will by the acquisition of the communications means (Sign Language).
著者
小林 和美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.1-18, 2009-02

韓国では,中・高校生のみならず,初等学生までもが外国に留学する「早期留学」と呼ばれる現象が拡大し,社会問題にもなっている。子どもの留学にともなう家族別居問題の象徴的存在として注目を集めたのが,「キロギ・アッパ(雁のお父さん)」と呼ばれる,子どもを外国で学ばせるため,妻子を外国に住まわせ,自らは韓国に残って生計を支える早期留学生の父親たちである。本稿では,「キロギ・アッパ」の実態について,現地でのインタビュー調査にもとづいて紹介する。「キロギ・アッパ」になり,「キロギ・アッパ」として生活し,「キロギ・アッパ」でなくなるまでの過程を当事者の立場から記述し,子どもの早期留学への関わり方について検討する。In South Korea, a phenomenon called `Jogi-yuhak (studying abroad at an early stage)', even elementary school children, as well as junior/ senior high school students studying abroad, has spread and become a social problem. Symbolic and most focused of this problem is `Gireogi appa (goose dad)'. They work in Korea to support the family while their wives and children stay abroad for the sake of the children's education. This paper reports the lives of `Gireogi appa', based on interviews in Korea. This paper states how they have become `Gireogi appa', how they have lived, and how their lives as `Gireogi appa' will finish (or have finished). Finally, the auther tries to illustrate how these fathers have related themselves to the problems of `Jogi-yuhak'.
著者
水野 惠司 元村 直靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1)一般に普及する29の安全地図事例を収集し、その特徴を分析した。主に学校単位で保護者や生徒により作成される安全地図は、犯罪や交通事故の危険想定箇所について原因や周辺環境についての説明がある。主に警察で作成される安全地図は、府県単位の範囲の、犯罪や交通事故の正確な発生箇所と内容を示すが、原因や環境については説明されない。前者は保護者や生徒が犯罪事故を地図化し原因や環境を考える中で、防犯防事故技能の向上が期待できるが、情報が主観的で経験的であること、地図の範囲が狭く、視野が限定される特徴がある。後者は広い範囲の客観的情報を広範囲に伝えることができるが、原因と周辺環境の説明を欠くために、地図の具体的活用方法に不十分さがある。2)安全地図に対する保繊者の意見を参考に、計二版の安全地図が作成された。さらに、小学3年社会科授業においての授業が行われ、そこで、安全地図に描かれた不審者の分布、子ども110番の家分布図が利用された。3)大阪北部、兵庫県東部の11市区町を対象に、犯罪と交通事故の空間分析を行った結果、犯罪と交通事故は、地域内の複数箇所に集中するが,その分布は大人と異なる場合が多い。中学校校区単位での子ども人口と犯罪・交通事故件数とは正の相関がある一方で、校区間には有意な発生率の差異が見られ、校区内に発生地点の粗密が見られた。道路や土地利用図との重ね合わせ分析の結果、犯罪の場合、住宅地域特に中高層住宅に多く発生する。また商業地の周辺地域や商業地と住宅地との混在地域に発生が多くなる。このような場所は、通行量の多い場所から、少し住宅地内に入り、人の監視が少なくなる場所に相当する。交通事故の場合、幹線道路上とその近辺に大半が分布する。また住宅地と商業地に多く発生している。子どもの行動が地域の経済社会活動と関連し、交通事故の集中する場所となっていることを示している。
著者
元村 直靖 石橋 正浩 瀧野 揚三 岩切 昌宏 下村 陽一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.151-165, 2005-02-21

オーストラリアにおける学校危機への対応について調査を行った。その結果,アメリカのシステムと比較するとオーストラリアのシステムは中央集権的であり,学校に基盤を置いた危機チームの制度はあるものの,資源や訓練は限られたものになっている。日本においても,早急に,実状にあった学校危機管理システムの構築が必要であると考えられる。