著者
横山 幸嗣 大西 晃 廣澤 春任 梶川 正毅 深蔵 英司
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-13, 1999-03

1983年より,M-3SII 型ロケット搭載のために,続けてはM-V型ロケット搭載用に,ロケット用テレビジョン(TV)システムを開発してきた。目的はロケットの分離や制御に関わる運動を高速度で撮像することである。搭載部分は CCD カメラ,ビデオスイッチ,マイクロフォン,送信機,送信アンテナから,地上部分は受信アンテナ,受信機,データ処理系からなる。1984年1月,ロケット ST-735-1号機において最初の性能確認を行った。M-3SII 型ロケットでは初号機から7号機までに搭載,その間,2画面合成や映像のカラー化,通信距離の拡大など,機能の向上を図った。M-V 大型ロケットでは1および3号機に搭載,新開発の大型ロケットの飛翔を映像により情報伝達するという大きな役目を果たした。
著者
名取 通弘 外崎 得雄 市田 和夫 砂川 惠
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p25-47, 1976-01

本報告は観測ロケット発射時におけるランチャ及びロケットの運動計測について述べたものであり,本報告により初めてこれらの運動が具体的に明らかにされた.運動計測はカッパ9M型ロケット及びそのランチャについて行われ,今後の理論的研究及び実験的研究に関して有用な基礎的資料が得られた.
著者
堀之内 茂 大貫 武 吉田 憲司 郭 東潤 徳川 直子 滝沢 実 進藤 重美 町田 茂 村上 義隆 中野 英一郎 高木 正平 柳 良二 坂田 公夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-162, 2006-03
被引用文献数
1

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は航空宇宙技術研究所(NAL)の時代から次世代超音速機技術研究開発プロジェクトを開始し、ロケットにより打ち上げる無人の小型超音速実験機(NEXST-1;以下ロケット実験機)の開発と飛行実験を行った。実験機の空力形状はJAXAが開発したCFDコードにより設計されており、飛行実験の目的はその実証にある。基本設計は平成9年度から開始し詳細設計、維持設計を経て平成13年度に実験機システムが完成した。平成14年7月にオーストラリアのウーメラ実験場で第1回飛行実験を実施したが、打上ロケットのオートパイロットの不具合により実験は失敗に終わった。その後、信頼性向上ための改修を行い、平成17年10月10日に第2回飛行実験を成功裏に完了した。本報告書は研究開発プロジェクトの概要と第1回飛行実験にいたる設計の結果、及び地上での確認試験の結果についてまとめたものであり、補足として、第1回飛行実験の状況、その原因調査、及び対策検討の結果にも触れた。改修設計の結果、及び第2回飛行実験のフェーズについては別途報告書がまとめられる予定である。
著者
大家 寛 大林 辰蔵
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.959-972, 1966-07

ジャイロ周波数およびプラズマ周波数を含む周波数範囲でプラズマインピーダンスを掃引測定する新しいプラズマプローブとしてジャイロプラズマプローブを開発した.理論的に電子ジャイロ共鳴,シース共鳴およびハイブリッド共鳴の存在を予測していたが,まず1965年7月27日1210 JSTに発射されたK-9M-13号ロケットによる実験でシース共鳴とハイブリッド共鳴を含むジャイロプラズマプローブのデータが得られ,理論を一部実証した.特にハイブリッド共鳴周波数から正確な電子密度分布が得られた.続いて1965年10月4日に発射されたK-9M-14号ロケットによる実験では測定周波数を1.15Mcと5.01Mcの二つに固定して,共鳴の基本的な性質を観測した.その結果ジャイロ共鳴の存在を実証するとともに,ハイブリッド共鳴がイオンシースの存在およびプローブの磁場となす姿勢に無関係に定まることがわかり,これを電子密度測定に応用した場合に精度の高い結果が得られることが確認された.
著者
竹川 暢之 岩上 直幹 岡林 昌宏
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.45-55, 1999-03

我々は, 上部成層圏において酸素原子O (^3P)の測定を行うために, 共鳴蛍光法による気球搭載型O (^3P)測定器を開発した。この方法は絶対測定であり, 実験室における高精度の較正実験が要求される。我々は, 数値シミュレーション計算および室内実験を基に測定器の性能を詳細に調べた。高高度気球BT15によるO (^3P)とオゾン(O_3)の同時測定は, 1997年9月9日正午前後に宇宙科学研究所三陸大気球観測所において行われた。O_3は同じ気球に搭載された東北大の光学オゾンゾンデにより測定された。高度38-44kmにおける測定値とモデル値の比較を行ったところ, 両者は誤差の範囲内でほぼ一致していたが, [O (^3P)]/[O_3] 比の測定値の傾きとモデル計算値の傾きの間には違いが見られた。しかしながら, O (^3P)測定値の精度および確度は充分なものではなく, この傾きの違いに関して詳細な議論を行うまでには至らなかった。
著者
森 大吉郎 橋元 保雄 中田 篤 上杉 国憲 西田 稔夫 福沢 清
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-69, 1984-02
被引用文献数
1

Mu rocket assembly and launch system was renewed on the same place where the former one had stood on. After breaking down of the former one, the foundation work started on April 1981,and all of the construction finished on August 1982. This system consists of a rocket assembly tower and a launcher. The assembly tower is a steel-framed truss structure building which has 11 floors and contains cranes, big doors, and movable floors necessary to bring in, assemble, and check out the Mu rocket. This tower is 43m high, 18m wide, 13m deep, and 700 ton in weight. The launcher is 300 ton in weight and made up of a boom structure and guide rails on which a rocket slides away. This launcher can revolve by bogies on a circular rail from the assembly tower toward the launching point. A flame deflector cooled by water is automatically installed to the launcher during its revolution. On February 20 1983,M-3S-3 rocket was successfully launced as the first satellite launch using this system.
著者
並木 道義 松坂 幸彦 鳥海 道彦 内田 右武 平山 昇司 小松 俊郎 本田 秀之 井筒 直樹 齋藤 芳隆 太田 茂雄 山上 隆正 廣澤 春任 松本 敏雄 兒玉 康資 本間 容博
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.25-34, 2001-02

宇宙科学研究所三陸大気球観測所では,スタティック放球方式の一種である立て上げ放球方式を用いて,数多くの大気球の放球を成功させてきた。近年,大型気球の需要が高まり,放球方法の改善と放球場の拡張が必要となっていた。1998年に我々は,新しい大型気球放球装置を用いた放球方法であるセミ・ダイナミック放球方式を開発した。この放球方式は,ガス注入後,ローラー車から気球を解放することによって一気に気球を立て上げ,気球が,観測器直上を固定している大型放球装置の直上にきたとき,大型放球装置から観測器を解放する,という手順で放球を行う。徐々に立てあげていた従来の方式と比べて,ローラーで立て上げて行くときに皮膜を傷つける心配がなくなること,放球作業の時間短縮ができることが利点である。1998年(平成10年)に,飛揚場の先端部分を20m延長し,その延長したほぼ中心部に直径 6 mの回転テーブルを備えた大型気球放球装置を製作した。本ランチャーは,回転テーブルに固定されており,放球時の風向きに合わせて旋回する事が出来る。また,ランチャーに備えた昇降装置により,地面から高さ5mまで観測装置を持ち上げることが可能である。これにより,B1000クラスの大型気球の放球が可能となった。1999年9月6日にこの大型気球放球装置を用いて,最初のテスト気球を放球することに成功し,放球方法および装置の有効性が確認された。
著者
入交 芳久 落合 啓 笠井 康子 山上 隆正 斉藤 芳隆 飯嶋 一征 井筒 直樹 並木 道義 冨川 善弘 村田 功 佐藤 薫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.67-74, 2008-02

気球搭載型超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(BSMILES:Balloon-borne Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder)は,成層圏中の微量分子を観測する有用な装置である.2006年9月4日,成層圏中のHO_2の日変化の観測することを目的に,BSMILES による第三回目の放球実験が行われた.BSMILES には直径300mm のオフセットパラボラアンテナ,液体ヘリウム冷却の630GHz 帯超伝導受信機,音響光学型分光計,3軸光ファイバジャイロ等が搭載されている.BSMILES はB200型気球により放球され,高度約37.9km においてオゾンや微量分子の観測を行い,観測終了後海上回収された.
著者
土岐 剛史 高橋 幸弘 山田 嘉典 福西 浩 中村 卓司 TAYLOR Michal J.
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-91, 1998-03

1996年8月に実施されたSEEKキャンペーンにおいて, 地上からの高感度イメージャーによる大気波動の観測が鹿児島県内の内之浦, 山川, 大隅と信楽の計4ヵ所で実施された。キャンペーン期間中の鹿児島地方は天候に優れない日が多かったが, 8月9日から22日の間に, 内之浦, 山川, 大隅でそれぞれ, 4夜, 7夜, 1夜, 大気光イメージデータが取得された。信楽での観測は8夜であった。今回の地上からの大気光観測の主な目的は, レーダーで観測される電離圏における準周期的イレギュラリティーと大気光に見られる中性大気中の重力波の特性を, ロケットによる観測とあわせてそのメカニズムを検討解明することにある。各観測データと比較する上で, 大気光の発光高度を正確に決定することは極めて重要な課題である。我々は鹿児島の3ヵ所の観測から, 三画法を用いてOH大気光の発光高度の推定を計画した。残念ながらロケット打ち上げ時は天候に恵まれず同時観測データは得られなかったが, キャンペーン期間中内之浦と山川に設置された2台の大気光全天イメージャによる同時観測に成功した。8月19日の晩, 2台のイメージャで同時に顕著なOH大気光の波状構造を観測した。これら2地点で同時に取得された画像に, 大気波動構造の発光高度決定としては初めて, FFT及び精密な三角法を用いて解析を行った。その結果, 波状構造の発光高度は89±3kmと求められた。これはロケット観測などによる従来の結果とほぼ一致する。MFレーダーによって, この高度の数km上空で回時に強い南向きの風速シアーが観測されており, 重力波の発生原因の有力な候補と考えられる。
著者
MIURA Koryo
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
ISAS report (ISSN:03721418)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.141-163, 1969-11

A proposition of a new shell form, which is cylindrical in a macroscopic sense and is concave polyhedral in a microscopic sense, is the purpose of this paper. It is shown that the inextensional post-buckling configurations of general cylindrical shells subjected to axial loading have peculiar geometrical characteristics, and that these configurations compose a general group of surfaces which may be designated as the pseudocylindrical concave polyhedral surface. Then the fixed idea that these surfaces are essentially failed forms is abandoned and is replaced by the idea that these are the basic forms of a new shell which could function superbly as the structure under some loading conditions. It is shown that the new shell, which may be called for convenience, the pseudocylindrical concave polyhedral shell and the PCCP shell for its abbreviation, has many useful characteristics as follows; inclusion of an arbitrary curvature distribution, developability of its midsurface, intrinsically high circumferential bending rigidity, and simplicity of elementary faces. The application of PCCP shells to large span shell structures, reservoirs, expansion joints, and others is suggested.
著者
田中 信
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所彙報
巻号頁・発行日
vol.66, pp.25-60, 1930-02

(1) Cathode Sputtering。Sputtering の方法は大體Bossの方法によつた。試片は短冊形の硝子片に着膜した。唯從來の實驗と違つてゐる點は,陰極板の代りに金屬の粉末をも使つたこと,又布や紙を硝子板の代りにして,其を鍍銀して見たこと等である。(2)膜の外見。非金屬的で薄膜に於ける干渉色でない色を持つ膜,Biでは特に白色な膜,普通の金屬光澤の膜,黒味を帯びた灰色の膜,及び其等の中間の種々な膜を經驗した。非金屬的膜の發生原因は不明である。Biの白色膜發生の原因は,放電による陰極の加熱の爲に,硝子板が熱くなるのを主因と考へた。此考へは,放電時間の斷續,放電條件の調節,硝子板背面に放熱器を貼る事等によつて,裏書きされた。併し此等の膜の均整に必要な條件を充しても,猶ほ部分的に現れて來る反射能の不均等に就いては,熱電氣測定と相俟つて,陰極板に或る固有な因子のある事を知つたが,單結晶陰極板を用ゐることによつて,陰極の結晶状態のみが主因をなすものでないことを知つた。併し此の陰極板表面の影響の主因は不明である。(3)顯微鏡寫眞。反射能の小さい膜では明白な粒状組織が見られる。其上に屡々数倍の大粒が散布してゐる。此はBi, Pt, Pd, Agの皆に共通である。特にBiでは,大粒が丘の樣な形になつて存在する事を知つた。尚ほ一つの試みとして,擬格子的粒状構造の数學的分類法を考案し,此種の雜然たる組織の分類法として應用され得る事を指示した。併し,金屬膜の寫眞に就ては顯微鏡の誤差に沮まれて,未だ充分な結果は得られなかつた。又實際の場合に類似した,人工的格子組織の寫眞を作つて,同じ方法でphotometerを使つて比較する事をした。此によつて硫黄の膜が部分的には正方格子に近いと云ふ結果を得た。(4)電氣抵抗。外見上非金屬色を呈する金屬膜は異常に大きな抵抗を持つ。白色膜は金屬光澤膜に比して餘り異らない。白色及び種々の反射能の膜の比抵抗と厚さとの關係は興味ある問題であるが,併し,此れは此處で試みた樣な膜の構造の研究と相俟つて行ふべきものと考へられる。二種の異金屬の膜の二重層を作つて,其抵抗を測つた。Biが關係する膜には,著しい抵抗の特異性のある事を認めた。併し量的の結果は後日に讓る事にした。(5)熱電氣的性質。Bi膜に就ては,同一金屬の異種の膜の間に著しい熱動電力を認めた。此E.M.F.は反射能の良い膜が反射能の惡い膜に對して,hot junctionでelectro-positiveと云ふ結果に達した。放電の斷續,放電條件の加減,硝子板背面に放熱器を付けること等によつて支配した反射能の差に於て,上のE.M.F.と反射能との關係が成立つことを認めた。此と同様にPt, Pdに就ても,放電條件を變へて付けた膜の間に明瞭なE.M.F.の起ることを知つた。要するに膜の熱電氣的性質の研究には,其反射能と關係ある顯微鏡的構造の研究が必要であることは,以上の結果から明かである。又一方では,超顯微鏡的構造の差を熱電氣的性質から研究し得る曙光を認めることも出来たと考へる。又此の構造の研究は,結局は當然電氣抵抗の本質に關する研究と連關して來るであらうと考へる。終りに,此實驗は終始;寺田寅彦先生の懇篤な御指導に頼つて成つたものである。