著者
池田 貴儀
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.50-54, 2012
参考文献数
23

灰色文献は,一般の商業出版ルートでは入手が困難な文献である。近年は,機関リポジトリの普及等により,灰色文献もWeb上に全文情報が公開され,容易にアクセスが可能になりつつある。しかし,灰色文献のアクセシビリティは解決されていない。本稿では,灰色文献国際会議(International Conference on Grey literature)における議論の中で提案された灰色文献の定義を紹介し,灰色文献に関する論点整理と問題提起を試みた。灰色文献のアクセシビリティは今日に至っても多くの課題が存在し,Web上の情報源は永続的なアクセスが保証されていないという新たな課題も存在する。灰色文献のアクセシビリティに関する課題の解決には,図書館員の持つ専門知識と経験が活かされるべきである。
著者
高久 雅生 Takaku Masao
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.162-169, 2014-05

Web APIは情報サービスの,とりわけWeb上で提供されるサービスにおいて,縁の下の力持ちとして欠かせない位置を占めつつある。本稿ではWeb APIの提供と利用の両面から類型を示しながら,その歴史的な意義と機能を紹介する。学術情報分野を中心にWeb APIの提供事例とマッシュアップ事例を挙げるとともに,その利用目的やデータ形式,ライセンス,永続性といった点を取り上げて議論し,Web APIがもたらしている役割を解説する。
著者
今井 福司 岡部 晋典
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.368-373, 2011
参考文献数
5

本報告では,Twitterを用いた大学間での授業実践について述べる。現在ICTの活用が幅広い分野で求められており,TwitterはICT活用のメディアの1つとして挙げられる。今回は異なる二大学間で電子書籍に関する同一の課題を設定し,Twitterを用いて発言させる演習を行った。それぞれの授業は曜日も時間帯も異なっていたが,Twitterを用いることで,互いの受講生の交流を実現でき,協力要請を行った大学図書館員の授業参加を容易に行えた。授業後の受講生に対するアンケート結果では,授業に対する積極的な評価がある一方,授業計画の見直しや,教材について改善が必要であることを示唆するような評価も見られた。
著者
今井 福司 岡部 晋典
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.368-373, 2011-09-01

本報告では, Twitterを用いた大学間での授業実践について述べる。現在ICTの活用が幅広い分野で求められており, TwitterはICT活用のメディアの1つとして挙げられる。今回は異なる二大学間で電子書籍に関する同一の課題を設定し, Twitterを用いて発言させる演習を行った。それぞれの授業は曜日も時間帯も異なっていたが, Twitterを用いることで, 互いの受講生の交流を実現でき, 協力要請を行った大学図書館員の授業参加を容易に行えた。授業後の受講生に対するアンケート結果では, 授業に対する積極的な評価がある一方, 授業計画の見直しや, 教材について改善が必要であることを示唆するような評価も見られた。
著者
佐藤 翔 サトウ ショウ
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.51-56, 2013

電子ジャーナル等の電子リソースの普及に伴い,そのアクセスログに基づいた研究が増えている。本文へのアクセス状況を包括的に示すアクセスログの分析は利用者行動を知る際に役立つものであるが,その目的や意図はログからはわからないため,その他の手法と組み合わせることが有益である。また,引用データとは異なる傾向を示すものとしてビブリオメトリクスの中でも注目されているが,研究評価に用いるには水増しが容易である等の問題もある。日本においては,海外で行なわれているような電子ジャーナルの大規模ログ分析が未だ行なわれていないことが課題である。
著者
高久 雅生
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.48-53, 2014-02

15 年間にわたるオープンソース運動を振り返りながら,図書館サービスとの接点,オープンソースソフトウェアの利用事例を紹介する。図書館サービスにおけるオープンソースソフトウェアの例として,図書館管理システム,機関リポジトリ,次世代OPAC といった分野を取り上げ,国内及び海外の事例を紹介する。近年の図書館サービスの文脈におけるオープンソースソフトウェアの課題として,クラウドコンピューティングの進展やオープンデータ,人材育成などの観点から考察し,今後の課題を述べる。
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012
参考文献数
13

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。
著者
佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.144-150, 2010

機関リポジトリ(IR)とオープンアクセス(OA)雑誌はBudapest Open Access Initiative(BOAI)を背景に普及してきた。本稿では両者の現状をBOAIの理念と持続可能性の観点から検討する。現在のIRとOA雑誌は, BOAIが挙げる3つの障壁のうち法の壁や技術の壁への対応に問題がある。持続可能性については継続的なコンテンツ収集のために,IRでは研究活動の中に埋め込まれること,OA雑誌では質を維持しながら多くの論文を掲載することが重要となる。また,BOAIは「研究の加速」などをOAの実現の目的としているが,IRとOA雑誌にはこれを損なう危険性もある。
著者
三輪 宗弘
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.415-421, 2012
参考文献数
11

本稿では米国国立公文書館を利用する一人として,資料特に真珠湾攻撃直後に押収された日本商社資料の閲覧を通して,企業の日々の活動の資料が徹底的に分析され,日本の空襲ターゲット選定や日本に関する様々な情報収集にまで利用された実態を知ることができた筆者の経験を記述した。これらのことから,米国国立公文書館を利用すると,資料を収集して,分析して活用し,さらにそれを今日まで記録として残し,公開しているという点で,米国の資料管理の素晴らしさを実感できる。日米の資料公開の違いを痛感するのが軍事関係情報の公開の在り方である。シビリアンコントロールの観点からも情報公開の大切さを学ばなければならない。海外文書館での資料や情報の公開のあり方を学び,優れた制度を取り入れ,根付くように微力を尽くしたい。
著者
吉田 光男
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.501-507, 2014-12

インパクトファクターやh 指数など被引用数をもとにした指標により,学術情報の評価が行われてきた。2010 年前後より,被引用数にかわる評価指標として,ソーシャルメディアなどにおける言及の利用が試みられている。この指標はオルトメトリクスと総称される。本稿では,オルトメトリクスの概要,および,筆者が開発している国産オルトメトリクス計測サービスCeek.jp Altmetrics の開発について述べる。さらに,ソーシャルメディアなどにおける日本語文献の言及動向を報告し,今後の展望について述べる。Academic information has been evaluated by citation-based indicators such as the Impact Factor and h-index. Since around 2010, mentions in social media have been used instead of citation-based indicators.These indicators are called “Altmetrics”. This paper discusses the overview of altmetrics and the national altmetrics measurement service “Ceek.jp Altmetrics” that the author has been developing. In addition, the paper reports the trend of mentions for Japanese academic information in social media and discuss the future outlook.
著者
宇陀 則彦
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.150-154, 2006-04-01
参考文献数
19
被引用文献数
2

図書館システムは図書館員のための業務用システムから利用者のためのアクセス支援システムへと大きく位置づけを変えた。アクセス支援システムとは,サービス機能が有機的に連携した統合型ソフトウェア環境を指す。このようなシステムを実現するためには,新しい図書館サービスを発想できる人材が求められる。システムライブラリアンはサービスと技術の両方の視点を持って新しいアイディアを生み出す創造的職業であり,役割は違ってもライブラリアンであることに変わりない。システムライブラリアン育成には,網羅的,横断的,複眼的カリキュラムが必要であり,そのうち最も重要なのは複眼的な視野を持たせることである。
著者
古賀 崇
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.408-414, 2012
参考文献数
54

本稿は日本のアーカイブズの現状や,アーカイブズの位置づけを考えるのに有益と思われる点に関し,概観を試みた。主な論点は以下の通りである。(1)日本では公文書管理・公文書館の制度をめぐる課題に直面する一方で,多様な「アーカイブ」に関する取り組みが進みつつあるが,それは「文書主義」「体系性」という「アーカイブズの本質」には必ずしも基づかない場合がある。(2)「組織アーカイブズ」「収集アーカイブズ」の区分と,これらを包括的に捉える枠組みが有益である。(3)政策の検証などに関して「証拠(エビデンス)をもって判断する」という,「実証的な思考法」を実現するための場として,「アーカイブズ」を位置づけることが可能である。
著者
三根 慎二 MINE Shinji
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, 2010-04 (Released:2010-10-29)

オープンアクセスに対する社会的関心の高まりや,その促進を後押しする欧米政府・研究機関による政策・制度の策定が続いている。オー プンアクセス関連の情報は大量に流通し続けており,一人ですべてを発見し読むことはもはや不可能である。よって,情報収集の負担を軽 減しより効率的にするためには,何らかの方策が必要となる。本稿では,オープンアクセス関連の情報を収集するための重要な10 大ツー ル(人,イベント・学会・各種委員会,Twitter,メーリングリスト・メールマガジン,ブログ,Web サイト,ソーシャルブックマーク, ニュースレター,雑誌,図書)を紹介する。
著者
茂出木 理子
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.341-346, 2008
参考文献数
10
被引用文献数
6

お茶の水女子大学附属図書館では,全学的な教育改革の動きに連動し,2007年4月に図書館内に新しく学生のための学習空間である「ラーニング・コモンズ」を設置した。本学にとって,ラーニング・コモンズは,「21世紀型文理融合リベラルアーツ教育」を象徴する場であり,学内の各部暑が連携して運用すべき協働の場でもある。小規模な大学図書館が小規模だからこその利点を生がし,図書館が主体となった協働の場を推進するには,1.図書館がやる気があることを学内にアピールすること,2.できることからとにかく着手すること,3.学生を運用に巻き込むことがポイントである。
著者
佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.144-150, 2010-04-01
被引用文献数
1

機関リポジトリ(IR)とオープンアクセス(OA)雑誌はBudapest Open Access Initiative(BOAI)を背景に普及してきた。本稿では両者の現状をBOAIの理念と持続可能性の観点から検討する。現在のIRとOA雑誌は, BOAIが挙げる3つの障壁のうち法の壁や技術の壁への対応に問題がある。持続可能性については継続的なコンテンツ収集のために,IRでは研究活動の中に埋め込まれること,OA雑誌では質を維持しながら多くの論文を掲載することが重要となる。また,BOAIは「研究の加速」などをOAの実現の目的としているが,IRとOA雑誌にはこれを損なう危険性もある。