著者
宮田 仁 鈴木 真理子 赤松 辰彦 深堀 康子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.27-36, 2008-12-05

中学生・高校生を対象として携帯電話を活用した月観察支援プロジェクトを実施した.携帯電話で使用できる「月観察支援システム」を開発し,学習者が野外で月を観察し,その観察データを各自が携帯電話からサーバへ送信し,サーバ上で自動的に観察記録をデータベース化して,各学習者が全員の観察記録を共有し,議論できるCSCL (Computer Supported Collaborative Learning)機能も実装している.今回の試行実践への参加者は少人数であったが,実践の結果,参加した生徒は手軽に野外での月の観察記録を携帯電話から送信することができ,自然観察に対する興味・関心,態度・意欲が向上したと考えられる.また,自分や他者の観察記録をWebデータベース上で共有し,議論した結果,月の見え方に関する「月は夜にしか見えない」や「月の出る時刻はいつも同じである」という生徒のもつ誤った素朴概念を転換させるきっかけを生徒に与えたと推察される.
著者
宮田 仁
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.11-19, 2002-12-31
被引用文献数
8

受講者が所持している携帯電話(i-mode,J-Sky,EZWeb)やPDAに対応したコメントカードシステムを開発した.大学での多人数講義において,教官が課題テーマの提示や発問をし,受講者が各自の携帯電話からコメントカードシステムの携帯電話サイトに接続し,課題に対する自分の意見や質問を送信できるシステムである.受講者からの回答や質問をテーマやキーワードを元に整理し,リアルタイムで大講義室の液晶プロジェクタに映し出すデータベース機能を有している.受講者から携帯電話を通して書き込まれた意見や質問等のコメントを講義者が本システムを活用し,検索・抽出して講義中に取り上げながら,講義を展開していくアプローチを行った.その結果,多人数講義においても,テーマに対する各受講者の活発な意見や質問等の書き込みがあり,ディスカッションが活性化するとともに,授業コミュニケーションの改善が図れた.また,携帯電話対応の本システムのユーザーインタフェースや有用性に関しても利用者から高い評価を得た.
著者
川俣 純 山口 治 村松 浩幸 高崎 満 中村 雅俊 吉田 吉美
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.23, pp.256-257, 2007-08-20

茨城県南地区の中学校技術・家庭科(技術分野)におけるロボット製作とそのロボットコンテスト大会において,CMSを用いた情報共有システムを構築し共同学習をおこない、その効果を検証した。実践の結果、10校の生徒達から参考資料を明記した120件のアイディアが出願された。さらに出願時に参考資料を明記させたことで,アイディアが学校を越えて連鎖し,新たな技術開発につながったことも確認することができた。これらの成果は情報共有システム上に残され次年度へ継承された。生徒を対象した調査でも、学校を越えたアイディアの交流の効果が確認された。
著者
玉田 和恵 井口 磯夫
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.31-40, 1997-12-25

学生が「インターネットによる就職活動」に直面し, ネットワークを通じた情報活用に対してどのような意識をもっているのか質問紙調査をもとに分析し, 以下のことが分かった.学生の意識には, 本人の情報活用能力によって差異が生じている.情報活用能力を身につけている学生は, ネットワークを正しく認識し, 利点や弱点を理解している.情報リテラシーを身につけていない学生は, ネットワークを過信したり, 必要以上に不安を抱いたりしている.自発的学習により情報活用能力を身につけた学生は, マニュアルを参照しながらインターネットを利用して情報を活用している.多くの学生は就職活動にインターネットは必要で, 活用したいと感じながらも現在の能力では活用しきれないとあきらめている.就職活動のためのインターネットの利用を情報系授業と有機的に結びつけ, 授業の動機づけに利用することは非常に有効であることが分かった.