著者
河内,正比古
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.13, 1997-08-08

本報告は、1994年4月から1997年3月まで派遣されていた北京日本人学校におけるコンピュータ導入の過程と、1996年3月から接続されたインターネットを利用しての実践報告。その実践を通じて、海外にある在外教育施設のインターネットの今後の方向性を探るものである。
著者
井上 史子 沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.13-20, 2006-02-28 (Released:2017-05-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究は,自主性をはじめとする教師の主観に頼りがちな情意的教育目標の達成度を客観的に測定することにより,それらを育成するための有効な方法論を確立することをめざした実証研究の第一弾である.中学校教育現場においては,教育目標としてしばしば主体性や自主性という言葉が用いられる.主体性とは,学校教育の中で,子どもたちが何ものにもとらわれずに自らの言動の主体として自己決定する態度や,自ら課題を選択・判断する力を意味する.しかし,これまでの先行研究[1]において,これらの力を学校教育の中で育成することは極めて困難であることが明らかにされてきた(井上・林,2003).学校社会で子どもたちに求められるのは,教師があらかじめ設定した課題や役割に対して積極的に取り組む姿勢や態度である.それはむしろ主体性と言うより,自主性と呼ぶ方が適切であると考えられる.本論文では,中学校において,生徒の自主性を測定するため,20の質問項目からなる100点満点の尺度を構成した手続きと,今後の研究の方向性について述べた.
著者
荻布 優子 川崎 聡大
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.41-46, 2016 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11

学力と基礎的学習スキル(読み書き困難リスク)の関係について,学年,学力低下の有無といった観点から検討を加えるとともに,学力向上に向けたICT有効活用のための基礎的データを得ることを目的とした.対象は小学校2年~6年生297名である.結果,低学年では国語で読み流暢性,算数で書き正確性が学力に対する独立変数として有効であり,学力維持群・低下群の間に顕著な差は認められなかった.高学年では低学年に比して書き正確性の影響がやや強く,特に学力維持群に比して学力低下群で特に音読流暢性が学力に及ぼす影響が強いことが明らかとなった.学力低下群ではいわゆる基礎的学習スキルの課題が学力向上の妨げとなっていること,学力維持群では学年上昇に伴って読み書きスキルが学習の手段=「書いて覚える」へ移行していくことから,ICT活用によって学力向上を図るには学力や基礎的学習スキルの状況に応じたコンサルテーションが重要である.
著者
庭井 史絵
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3-4, pp.3-14, 2014 (Released:2017-03-08)
参考文献数
16

小中学校で用いる検定教科書には,図書館利用指導と同様の項目が多数取り上げられている.これは,学習指導要領が示した「学び方」の中に,学校図書館が利用指導として扱ってきた内容が含まれていることによる.「学び方」の指導は,教育課程上,教科の領域に位置付けられており,学校図書館や利用指導との関係は明らかではない.本研究の目的は,小中学校の検定教科書の記述を分析し,利用指導に関連する項目の特徴を明らかにすると同時に,教科教育の中で利用指導を行う可能性と意義について検討することである.教科書の記述と利用指導の項目を比較した結果,両者には共通する点が多い一方で,取り上げる内容や方法に相違点があることも明らかになった.つまり,図書館利用指導は「学び方」指導の一環として教育課程に位置付けることができ,学校図書館と教科がそれぞれの専門領域に基づく指導を行うことによって教育効果を高める可能性があると言える.
著者
山本 利一 本郷 健 本村 猛能 永井 克昇
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.3-12, 2016

本研究は,プログラミング教育に関する教育的意義やその効果を先行研究から整理し,今後それらを推進するための基本的な知見を得ることを目的とする.そのために,初等中等教育におけるプログラミング教育の位置づけを学習指導要領で確認した後,先行研究を整理した.その結果,プログラミング教育の教育的意義や学習効果は,①新たなものを生み出したり,難しいものに挑戦しようとする探究力,②アルゴリズム的思考,論理的思考力,③物事や自己の知識に関する理解力,④自分の考えや感情が発信できる表現力や説得力,⑤知恵を共有したり他者の理解や協力して物事を進めたりする力,⑥プログラミングを通して情報的なものの見方や考え方を身に付けることができる,ことであることが示された.
著者
山本 利一 佐藤 正直
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.45-53, 2013

本研究は,中学校技術・家庭科(技術分野)の生物育成に関する技術を指導する際,タブレット端末を学習支援に活用した授業を構築し,実験授業を通してその効果を検証するものである.タブレット端末の特徴である,モバイビリティを活かして,栽培活動の場面において生育方法に関する情報を収集したり,カメラ機能を活用し栽培記録を取りそれらを整理することができる.実験授業では,中学3年生233名を対象にタブレット端末を4時間活用し,その教育効果を検証した.その結果,タブレット端末を利用することで栽培学習に関する興味・関心が高まると共に,栽培技術に関する知識の定着に効果が示された.
著者
掘野 緑 市川 伸一 奈須 正裕
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.3-7, 1990
被引用文献数
3

自己学習力が強調される今日の教育において, 学習者自身のもつ「学習観」は極めて重要である. 現在の学校教育で形成されがちな学習観として, 失敗は悪いことであり, 正答さえ良ければ良いといった「結果主義」があげられよう. 本研究では, 「失敗に対する柔軟的態度」, 「思考過程の重視」という2つの側面に着目し, 基本的な学習観の尺度を作成した. さらに, 学業成績との関連について検討した結果を報告する.
著者
阪東 哲也 市原 靖士 森山 潤
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.25-32, 2015 (Released:2017-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,健康維持に関する情報モラル意識として,情報機器使用時の身体疲労への配慮及びインターネット依存傾向を取り上げ,個人内特性との関連性について検討することである.大学1年生136名を対象に,個人内特性として自己効力水準を取り上げた調査を実施した.その結果,健康維持に関する情報モラル意識の形成には,自己効力の高さが個人内特性として重要な役割を果たしていることが示唆された.とりわけ,自己効力水準の低い男性は,情報行動時の健康維持に対する配慮意識が低下しやすいと共に,インターネット依存傾向に陥りやすい傾向を有することが明らかとなった.
著者
矢野口 聡 松原 健二
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.270-271, 2010

現在、日本語ワープロを用いる多くの大学教育現場ではMicrosoft Wordを採用しているが、果たして最適な選択なのであろうか。本研究では、我が国の代表的なワープロソフトであるWordと一太郎を取り上げ、両者の間にどのような違いがあるのかを比較した。その結果、 Wordと一太郎の間には開発の経緯や思想の違いが見受けられ、それぞれの機能にも違いとなって表れていることがわかり、ビジネス文書を対象とした教育にはWord、レポートなどの日本語文章表現を対象とした教育には一太郎が適しているとの判断に至った。
著者
沖 裕貴 宮浦 崇 井上 史子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.17-30, 2011-02-15 (Released:2017-03-30)
参考文献数
14

国立大学法人を中心に中期目標・中期計画の第二ラウンドが始まり,多くの大学で学士課程教育の一貫性構築のための3つのポリシー(DP:Diploma Policy,CP:Curriculum Policy,AP:Admission Policy)の明確化が最初に取り組むべき課題として浮上してきた.「カリキュラム・マップ」,「カリキュラム・ツリー」というチェック表をどのように作り,どのように使うのか.また何に役立ち,どのような課題があるのか等,これまでの先進大学での事例に基づいてその具体策を考察する.
著者
山本 利一 鈴木 航平 北畠 謙太郎 本郷 健
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.35-42, 2018 (Released:2018-05-21)
参考文献数
17

本研究は,「思考支援ツール」を活用し,「学習の振り返り」や「学習の整理」の効果を,教員研修を通して検証した..対象の教員は,学習の振り返りなどは重要であることを認識しているが,時間的制約などから,それらの活動を実施している割合が少ない実態が示された.思考支援ツールを活用することで,学習の振り返りが容易にでき,その結果を簡単に分類・整理ができるため,これらの活用は有用であるという意見が示された.また,教員は,これらを活用した具体的な授業案を想定・提案することができた.
著者
菊池 孝之
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.54-62, 1987-12-25 (Released:2017-06-17)

ライフル射撃競技は据銃(かまえる)、照準(ねらう)、撃発(発射)の3要素が同時に正確に行われることを競うものである。少年達の心身の発達期において複合能力がいかなる発達をするかをまとめてみると、興味ある結果が出てきた。射撃とは集中カのスポーツであるが、集中カは学習にも、社会生活にも、今日本人がこれといった解決方法を持たない問題であろう。ここにデータを付して発表し、問題提起としてみたい。
著者
山本 利一 齋藤 雅宏
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-32, 2011-07-04 (Released:2017-03-30)
参考文献数
10

本研究は,平成24年度完全実施の学習指導要領で必修化される,中学校技術・家庭科(技術分野)「情報に関する技術」プログラムによる計測・制御学習の授業展開を提案するものである.教材として,教育用マインドストームNXTを活用し,身近にある自動制御された製品の模型を作成し,それらをプログラムによって制御する取り組みである.授業実践の結果,プログラムによる計測・制御の知識や技能の習得に効果が見られた.また,技術が社会に与えている影響についても考察する場面を設定することができた.
著者
金城 満 杉尾 幸司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.17-30, 2017

工業高校におけるデザイン教育とキャリア教育との共通部分に注目して, 学校行事における高校生の模擬店(Cafe)の企画・運営の実践をとおして,「社会人基礎力」の育成を図る実践研究を行った.具体的には,事前学習のためのICT教材を開発して実践前に必要な知識技術を学ばせた後,実際のCafe運営を体験させた.ICT教材の内容は,「社会から求められている能力」,「コミュニケーションとは」,「デザインの定義」,「社会人基礎力とは」,「マーケティング」,「アクティブラーニング(協調学習・ジグソー法)」,「コーヒー焙煎・抽出方法」の7項目から構成されている.Cafe運営実施前,実施後のアンケート調査からは,事前学習と実施体験が,知識と体験を一体化させる効果を生み,本実践が社会人基礎力の育成に効果的であり,デザイン教育と連携した取り組みがキャリア教育としての効果を向上させ,社会人基礎力の育成に生かせることが明らかになった.
著者
宮浦 崇 沖 裕貴
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.174-177, 2012-08

立命館大学では、教育改革活動全体を包括的に評価することを目的とした取り組みとして「教育改革総合指標・行動計画(Total Education Reform Indicator:TERI)」に基づいた教育改善活動を2007年度よりおこなっている。本稿は、その取り組みの一環として、学部等の各教学機関の行動計画策定支援の内容、および支援システムの更新についてとりあげるものである。人材育成目的・教育目標の達成を目的とするロジックツリーを構築することによって、各行動計画の妥当性を検証し、各行動計画の策定、実施(進捗管理)にあたっては、PDCAサイクルの仕組みを意識することができるよう工夫した取り組みである。
著者
村松 浩幸
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.12, pp.218-219, 1996

中学校家庭科・家庭生活領域における家庭経済は生徒の興味, 関心が薄い部分である.そこで落下ゲーム型の分類ソフトで支出とその分類を把握させ, ロールプレイングゲーム風のシミュレーションソフトで1週間の予算生活をシミュレーションした.この2種類のエデュティンメントソフトを活用したことで, 楽しみながら試行錯誤でき, 予算生活の基本に気がつき, 家庭の経済に目を向けることができたので報告をする.
著者
沖 裕貴
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.11-18, 2004

国立大学は,平成16年4月より国立大学法人に移行する.さまざまな大学改革,教育改革が目白押しの中,大学評価を巡る情勢も大きく変化しつつある.教育評価に関しては,設置審議会などの事前の機関審査から大学基準協会や大学評価・学位授与機構,あるいは日本技術者教育認定機構などによる事後の認証評価に置き換わりつつある.認証評価体制では,結果(outcome)の挙証が最も重要となる。各大学の理念,教育・学習目標に対して,それを具体化するカリキュラムや授業,修学支援施策などの教育システムの有効性を,証拠を挙げて示さなければならない.またそれと同時に,それらの教育システムで学んだ卒業生が,そのシステムに対してどの程度満足感を得たかも示す必要がある.本研究では,大学における卒業時満足度尺度を構成し,認証評価に対応する手立てを提供すると同時に,教育システムの改善点や経年的な変化を可視化し,さらなる改革に資することを目的としている.
著者
山本 利一 鈴木 航平 岳野 公人 鹿野 利春
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-48, 2017 (Released:2017-09-10)
参考文献数
13

小学生を対象にした「プログラミング教育」は,日本国内では必修化に向け様々な取り組みが行われている.これまでの先行研究から,プログラミングを学習することで,ものごとを順序立てて考える訓練がなされ,論理的な思考力が身につくことが示されている.そこで本研究においては,小学校中学年を対象に,タブレットを用いたプログラミングを学習する指導過程について検討した.指導過程は4時間を設定し,ものごとを順序立てて考えることの大切さを学習するために行った授業実践を報告する.
著者
相沢 優 和田 裕一 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-14, 2017 (Released:2017-09-10)
参考文献数
22
被引用文献数
2

近年,教室等において児童がICTを用いて自分の考えや意見を発表する機会が増加している.教室のICT環境や発表に用いるICTが異なれば,児童の発表に対する態度も異なる傾向を示すことが予想される.そこで,本研究では,教室のICT環境が異なる学級において,複数の発表方法についての,児童の発表に対する態度に関する質問紙調査,及びインタビューを実施した.その結果,児童は発表者としては自分の席で発表を行うことに対して積極的な態度を取り,聞き手としては教室の前で行われる発表を聞くことに対して積極的な態度を取ることが示された.また,タブレットPCが常設されている学級ではタブレットPCを用いて発表を行うこととその発表を聞くことの双方において積極的な態度を取り,常設されていない学級ではタブレットPCを用いない方法で発表を行うことに対して積極的な態度を取ることが示された.