著者
村松 浩幸 川俣 純 山口 治 森山 潤
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.41-49, 2009-12-18

本研究は,CMSによる情報共有システムを用いて,中学校技術・家庭科技術分野において,ロボット製作に関するアイデアを模擬特許として共有する知的財産学習を実践した.実践には,2006年度から2008年度の間に計20校が参加した.実践の結果,(1)CMSの活用により複数データベースの連携と管理作業の軽減が図れた.(2)共有された特許情報の進歩性,有用性を評価した結果,アイデアの質が年々向上していることが確認された.(3)抽出した中学校1校の生徒を対象に,知的財産に対する意識の変容を調査した結果,「F1:アイデア共有の価値認識」,「F2:創造的活動の意欲」,「F4:発明への関心」,「F5:知財の尊重」の4因子において事前・事後間の有意な伸びが確認された.(4)使用した情報共有システムに対して生徒は,アイデアの発想や製作上の課題解決,工夫する意欲の向上に有用であったと回答した.以上の結果から本実践の有効性が検証された.
著者
森田 圭輔
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.19, pp.228-229, 2003-08-09

いままで、プログラミングは専門家のものだと思われていたが、教科「情報」の発足で、いよいよ万人のためのプログラミングが求められると思われる。そのための最適な言語の一つとして、Rubyの利用可能性について考察する。また、情報専科の教員の日常のツールとしても十分有効であることもあわせて述べる。
著者
久保谷 政義 田辺 亮
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.11-24, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

2017~2018年に大学に入学した者たちは,スマートフォンとSNSの普及というICT環境の変化の中で思春期を送り,「スマホネイティブ」とも呼ばれる世代である.本稿では,彼らのICT活用能力とスマートフォンの利用状況について,大学入学直後に実施したアンケート調査を用いて分析を加える.分析の結果,ICT活用能力のうち,特に情報倫理とメールに関連する知識・スキルは他の知識・スキルとの相関が弱いこと,スマートフォンについては,多様な機能を使うほど,とりわけ,四大SNS(LINE, Facebook, Twitter, Instagram)の使用数が多いほどその使用時間が長くなること,スマートフォンの使用時間の長さは必ずしもICT活用能力の向上に結びつくとは言えないことが明らかになった
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15 (Released:2017-03-31)
参考文献数
6

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
宮地 功 岸 誠一
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.15-22, 1997-09-30 (Released:2017-05-27)
参考文献数
13

教師が音楽のテープ, CDなどを聞かせるという受け身的な従来の音楽の鑑賞教育を改善するために, シンセサイザーを用いて音色の特徴を感じ取り, 感性を育てることにした. 6種類の楽器の音色が「白鳥」の曲に適合する度合を判断させることをAHPによる感性測定アンケートによって試みた. 楽器の音色の適合度を音楽に対する感性と考える. 音色の適合度と音楽能力について, 多変量解析した. 平均整合度によって, 児童を2グループに分けると, 音楽能力によってこの2グループがよく判別できることが判明した. 音楽能力において, 関心度は歌唱力と演奏力に関係があり, 歌唱力は演奏力に関係があることが分かった. 音の良さを適切に判断する能力の指標である整合度は, 関心度と演奏力に関係があることが分かった. 児童が感じた楽器の音色の適合度を非類似度として, クラスター分析した結果, 感じ方がおよそ4グループに分けられることが分かった. 児童が感じた6種類の楽器の音色の適合度と音楽能力とをそれぞれレーダーチャートに表して, 各児童の感性と音楽能力が視覚的に把握できるようにして指導しやすくした.
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.27-34, 1999-03-31 (Released:2017-05-27)
参考文献数
9

「たまごっち(1)」などの携帯型動物飼育ゲームに強い興味・関心を持つ小学生が,生命や動物飼育に関してどのような意識を抱いているかを,質間紙法によって調査した.その結果,低学年の4割近く,6年生においても約2割の児童が,ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した.また,それらの意識とゲームに対する興味・関心との間には,有意な正の関連性のあることが浮かび上がった.しかし,ゲームに対する興味・関心は,実際の動物飼育に対する興味・関心とも有意な正の関連性があり,実体験への橋渡しになる可能性を示唆している.
著者
澤山 郁夫 森山 潤
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.41-52, 2022-11-30 (Released:2023-03-20)
参考文献数
14

本研究では,データサイエンス等に関する知識・技能を全ての国民が育むことが求められる背景の下,現職の小学校教員は,小学校教員がこれらのスキルを身につけておくことをどの程度有用と考えているのかについて,データサイエンティストの考えとの比較を通じて検討した.結果,小学校教員は,データサイエンティストよりも,小学校教員がこれらのスキルを身につけておくことについて「有用ではない」と評価しており,それはとくにデータエンジニアリング力に関するスキルにおいて顕著であった.また,データサイエンティストにおいては,日本の小学校教育の現状に対する危機意識が高い人ほどデータサイエンス力の有用性認知が高いのに対して,小学校教員はその逆で,危機意識が高い人ほど,データサイエンス力の有用性認知は低い傾向であった.今後,これらの認識の実態を踏まえた学習機会の提供や研修プログラムの在り方について検討を進める必要がある.
著者
金沢 みどり 丸山 有紀子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-18, 2014-07-31 (Released:2017-03-03)
参考文献数
21
被引用文献数
1

生涯学習を支援するために,近年の公共図書館は,利用者の情報活用能力の育成を支援するという新しい役割を果たそうとしている.特に,公共図書館のヤングアダルトサービスは,中学生や高校生を対象として,読書習慣を発展させるための読書支援,リテラシーや情報活用能力を更に向上させるための支援など,ヤングアダルトの生涯学習の基礎を固める上で重要な役割を果たすことが期待されている.本研究では,日本の公共図書館WebサイトのヤングアダルトWebページを対象として,情報活用能力の育成支援の観点などから,ヤングアダルトのコンテンツについて,現状調査を実施した.調査結果から,ヤングアダルトWebページのコンテンツに関する全体的な傾向を明らかにするとともに,ヤングアダルトWebページのコンテンツ・モデルを提案した.
著者
井上 史子 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.3-14, 2004-03-20 (Released:2017-05-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

先行研究より,これからの子どもたちには情報を批判的に読み解き活用する力が必要であり,その力を育成することにより,主体的に学ぶ態度の変容も期待できると考えた.本論文では,小学校におけるメディアリテラシーを育成する授業での児童の主体的学習態度に着目し,児童による自己評価と教師による観察を基に,学習者の主体的学習態度の変容をめざした授業のあり方について,量的,質的な分析を行った.その結果,主体性は関係的であり,学習内容や使用する教材,学習者の心身の状態や学習環境に影響されやすいものであること,主体性を発揮するには自己表現力の向上が欠かせないこと,主体性を生かす授業形態として個別学習が有効であることなどが示唆された.
著者
加藤 直樹 村瀬 康一郎 松原 正也 興戸 律子 日比 光治 山崎 宣次
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.332-333, 2011

岐阜大学の教育清報データベースSIS-TEMにおける教育情報資産を継承するとともにコンテンツ共有を可能とするシステムを「実践の智DB」として開発している。本研究では,このコンテンツ共有機能を具現化するためのスマートフォルダについて検討し,コンテンツの登録に加えて,相互参照のための検索条件を設定したフォルダ機能,相互のコメント等の登録と検索への反映などに関する機能について報告する。
著者
神田 光啓
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.7-15, 1994-09-30 (Released:2017-06-01)
参考文献数
67

80年代に教育・学校問題から自殺・殺人を含む深刻な社会問題となった今日の学校におけるいじめの問題について,どのような研究が進められてきたのかを教育研究情報検索によって得られた学会誌,大学紀要掲載論文等63編を検討してみた.心理学,社会学,体育学,精神医学,教育学研究論文である.85年に森田が提起した,いじめの定義,いじめの4層構造,いじめの4形態などが80年代後半の各分野でのいじめ研究に影響を与えたきたのが分かった.しかし,いじめの実態把握,いじめの性格を解明するには森田の提起は役割は果たしているが,いじめの実践的解決,いじめが生み出す病理の実際的解決への論理においては,必ずしも十分ではない.臨床心理学の立場からの高石の「少年期それ自身の独自の人格修復機能」等に注目しつつ,教育学,精神医学,臨床心理学等の学問の実践性が問われる諸分野でいじめを実践的に解決していく鍵概念の提起が待たれているといえよう.
著者
坂井 知志
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.66-69, 2009-08

第二次世界大戦に関する戦跡資料は、現在の著作権法や肖像権、個人情報と無関係に教育資料として活用することはできない。戦争の実態を後世に伝えるための一つの方法としてのデジタル・アーカイブの有効性及び教育資料としての活用を考察し、それを阻むものとして捉えがちである制度的な問題との関係を整理したうえで、適切な著作権処理について検討する。また、著作権に関する判例が少ない現状を踏まえて、学会独自のガイドラインの必要性について解説したい。
著者
加治工 尚子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.150-153, 2013-11

岐阜女子大学では、これまで口述記録について様々な実践を含めた研究が継続されてきた。詳細は過去の年会誌に譲るが、それらの多くは戦争体験や文化情報の記録あるいは教材化についての一次情報としての考察が重ねられている。本稿では、それらの実践や論考を踏まえ、文化の継承における二次情報としての口述記録の活用について、鳩間島のデジタルアーカイブ化を通して試みていることを報告する。
著者
竹内 俊彦 加藤 由樹 加藤 尚吾
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.24, pp.250-251, 2008
被引用文献数
1

マンガによるストーリー提示が成績を有意に高めたという報告や、ストーリー・マンガをeラーニングコースに用いて効果を挙げたという報告がある。そこで研究代表者は過去にPower Pointによる人体描画ソフトを開発した。Power Point上の四角を右クリックして画面から選択するだけで、横向きの人体図形を描くものである。しかし現在は中肉中背の成人11名のキャラクターしかないため、物語教材を作成するソフトとしては不満がある。そこでユーザへのインタビューによってキャラクターの希望を聞き、子供や老人など、さまざまなキャラクター10名を追加した。また追加したキャラクターを用いて物語教材を作成した。
著者
佐原 恒一郎
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.29-38, 2014 (Released:2017-03-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1

重度知的障害児2名に対して行ったタブレット端末による学習の様子を,学級担任経験教員および事例児と異なる他の特別支援学校教員が評価した.この結果,「注意集中を長時間持続できた」「弁別や認知を促す学習を可能にすることができた」「これらの変化は従来のコンピュータでは同様の結果を期待できない」という評価がされた.重度知的障害児のICT利用教育について,タブレット端末を利用することは「通常のコンピュータに比べ学習の有効性が高い」「注意集中の長期的な持続が期待できる」「因果関係の理解など認知・弁別学習の促進が期待できる」「教科的な学習にとどまることなく,自立を促す教材としてタブレット端末を利用することが望ましい」の4つの方向性を見いだした.
著者
佐々木 棟明
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.123-130, 1991

コンピュータを認知テクノロジーの一つとして,中学校数学の図形指導に効果的に利用することを考え,本校の生徒を被験者として実験することにより,その有効性を検討した。その結果,紙と鉛筆による従来の学習には,今日のコンピュータでは実現できないすぐれた機能があることがわかった。その一つは「問題に探りをいれる」ことである。それは,コンピュータは発見に直接寄与するよりも,仮設の検証に有効であることを意味している。人間とコンピュータの限界とすぐれた機能を認識し,紙と鉛筆という強力なこれまでの認知テクノロジーと新しい認知テクノロジー,コンピュータとがそれぞれ補完し合うように学習に利用することが,数学教育へのコンピュータの有効な活用方法になると考えられる。
著者
沖 裕貴 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.14, pp.62-65, 1998-08-03

昨今、小学生を中心に、「たまごっち」などの動物飼育ゲームが大流行している。動物飼育に関して、ゲームの中での仮想体験と小学生の意識には、どのような関連性があるのかを、質問紙法によって調査した。その結果、6年生でさえ、約2割の児童が、ゲームの中の動物を「生きている」と認識していることが判明した。また、ゲームの仮想体験に対する意識と、動物の飼育経験やゲームに対する興味・関心との間に、一定の関連性があることも浮かび上がった。しかし、ゲームに対する興味・関心は、実際の動物飼育に対する興味付けにも役立ち、実体験への橋渡しになる可能性も示唆している。
著者
小谷野 錦子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.6, pp.125-126, 1990

最近,OA化が進むと同時に,一般事務職の仕事は電子メディア上の情報を利用する機会が増え,忙しくかつ難しくなった。これからは,特に情報処理専門でない者も,個人で,あるいは,会社で蓄積されている電子メディア上のデータや情報を利用できなければならない。今後,情報活用に必要な知識と技能とは具体的には,ワープロ,データの加工と管理,通信,データベースと情報検索等が中心であることを述べる。