著者
玉野井 敬治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.25, pp.300-301, 2009

学力低下論を受け、全国規模の学力調査が実施され、今年の4月20日に第3回を迎えた。これまでの2回は、学力テストの平均点のみがクローズアップされ、マスコミを通じて47都道府県別順位が公表された。平成19年12月には、「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」が設置され、教育学、心理学、統計学等の専門家が「分析ワーキンググループ」を組織し、全児童、生徒の学習状況と学力の関係で、相関関係の強いものの分析結果がHP上に掲載された。しかしこの内容はマスコミもあまり取り上げられず、各都道府県、政令都市が実態を分析し発表するにとどまっている。学力の平均点、順位を都道府県別に公表する以上、学習状況、生活実態の都道府県別の順位も公表しなければ、保護者、地域を巻き込んだ教育改革は困難な状況にあると考える。そこで学習状況と生活実態を分野別に分類し、その他の統計も使い、都道府県別の順位をつけ、学力との関係を分析した。
著者
山本 利一 中圓尾 陸
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.23-30, 2016 (Released:2017-05-01)
参考文献数
10

近年,学習者が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が求められている.本研究は,それらの学習過程を支援するICTの環境を構築し,それらの活用の効果を提案するものである.ICTの環境については,予算的な制約もあり,目的を定めた機器の選定と教室設計が大切である.本システムは,アクティブラーニングを支援する観点から,机と椅子の一体型の移動可能な「ノード」を導入することで,様々な学習形態に対応することを可能にしている.一斉学習の机配列から,個別,グループ学習へ瞬時に対応できる.画像提示は,三連式のプロジェクターとミキサーで入出力を制御するもので,同時に4入力(1入力はネットワークを活用した無線)に対応しており,3台のプロジェクターから4つの画面を提示することができる.また,1画面は,電子黒板機能を有している.これらの学習環境で講義を行い,それらの評価とICTに対する院生の意識調査の結果を報告する.
著者
槇 誠司 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.27-36, 2016 (Released:2017-02-04)
参考文献数
12

本研究では,「児童は単純な表やグラフ等の情報を読み取ることができるが,代表値等についての理解が十分ではない傾向にある」と「児童は単純な表やグラフ等の情報を批判的に読み取ることができない傾向にある」という児童の統計的リテラシーに関する2点の課題について,算数科の教科書に見られる問題を解くのに必要な統計的リテラシー項目をWatsonらによる基準に則り分類することによって,その要因を見出すことを試みた.その結果,前者は,グラフや表などの統計図表を用いたり読み取ったりする項目の割合が高い一方で,代表値等を理解する項目の割合が低いことに起因し,後者は,批判的思考力に関する項目の割合が低いことに起因することが明らかになった.このことから算数科の教科書に見られる問題を解くのに必要な統計的リテラシー項目の割合の変動は,児童が学習する統計的リテラシー項目の内容の定着度に影響を与えていることが示された.
著者
庭井 史絵
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.13-24, 2016

本研究は,司書教諭や学校司書が行おうとする学校図書館利用指導の内容が,既存の教科の中でどのように取り扱われているかを明らかにすることによって,情報活用能力育成における利用指導の独自性や意義について論じることを目的とする.教師用指導書から,情報の探索と利用に関する指導内容を示す記述を抽出し,利用指導の内容と比較した結果,利用指導で取り扱う知識・技能は,「教科でも同じように取り上げられているもの」,「一部が教科でも指導されているもの」,「教科では取り扱われていないもの」の3つに分類できることが分かった.利用指導は,生徒が自ら情報を探し出すこと,多様な情報源の特徴を生かして利用すること,適切な形で記録を取ることに焦点を合わせており,教科とは異なる指導領域を有している.このような知識・技能は探究的な学習において求められていることから,学校図書館と教科が連携して情報活用能力の育成に当たることは,教育的に大きな意義があると確認できた.
著者
木村 明憲 高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.25-36, 2016

家庭での自主学習において,児童が情報活用の実践力の育成を意図した学習支援カードを活用した.自主学習における学習支援カードの活用の状況,効果について, 1年間の調査結果を分析した.学習支援カードの活用状況について,児童が自主学習を行うノートに学習支援カードの領域及び項目の名称が記述されていた場合に,記述されている領域及び項目をカウントし,一人あたりの年間記述数の平均値を求めたところ135.4回であった.これは,年間の自主学習の実施回数の平均である111.2回を超えており,毎回のように学習支援カードが用いられたと考えられる.特に「まとめる」「集める」領域に関連する活動が多く行われた.また,児童の感想やノートの記述から児童の情報活用の実践力に高まりが見られた.こういった学習活動が年間を通して繰り返し行われたことによる効果であると考えられた.
著者
縣 正樹 臼坂 高司 工藤 雄司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.30, pp.70-71, 2014-08-09

情報社会の「影」への正しい理解と対処法の習得は,情報社会に主体的に参画するために必要な素養であると言えるが,情報モラルに関する教育は,他の分野より軽視されがちな傾向にある.本研究では,情報モラル教育を行う教科書に記述される単語を,学校種別,出版教科書会社ごとに分析・分類し,体系的な情報モラル教育に資することのできる基礎的資料の作成を行った.共通の単語に着目した分析結果から,中学校「技術料」教科書と高校「情報科」教科書の間には一定の体系性があることが明らかになった.
著者
米盛 徳市 波平 宜敬
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.29, pp.170-173, 2013-11-09

本研究では急速に教育現場で利活用が進んでいるICT機器の電子黒板(IWB)とタブレット端末が、如何に琉球大学の島嶼防災研究センター(波平センター長)の光ファイバーインターネット回線とホワイトスペース通信によるスーパーWiFi無線通信を用い、島嶼地域の遠隔防災教育に役立てるかを模索するものである。本稿では、全学部の組織的な取組、防災遠隔教育の概念や構想が中心となることから電子黒板、タブレット端末、PC等の詳細な利活用の内容には触れていない。琉球大学が沖縄県の唯一の国立大学法人としての大規模な地域貢献活動の一環と位置付けている。
著者
宇都宮 由佳
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.264-265, 2011-08-20

情報のリテラシーとモラルについて,日本とタイの中学生を対象に,2009年〜2011年に質問紙調査・聞き取り調査を実施し,両国の実態と問題点を抽出した.情報リテラシーについて,日本に比べタイは,メディア・インターネットへの接触時間も長く,パソコンスキルがあった.情報モラルについては,両国ともに自己防衛や他者への配慮は意識されていた.しかし,アイドルなど画像の無断使用,音楽・ソフトなどコピー譲渡などの認識が低く,特にタイでは日本に比べ著作権に対する意識が低かった.インターネット情報の活用・信用は,テレビに次いで両国とも高く,インターネットへの接触時間が長いほどネット情報を信頼していた.しかし,複数の情報源と比較して正しい情報を得ようとする者は少なく,情報を鵜呑みにしている恐れがある.
著者
草野 泰秀
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.22, pp.132-133, 2006-08-26

教材作成(問題作成)を学習者自身によりワープロで作成して,それを実行できる授業支援ドリル型KCAI (Kusano's Computer aided Instruction)ソフトウェアを開発した。選択式,文字入力のどちらでも対応でき,さらに画像がある場合,別解がある場合にもどの教科科目にも対応できる。したがって資格試験用,小テスト,授業後の到達度,理解度のチェックに幅広く利用できる。問題ファイルをLANのファイルサーバー上におくことによって,クラス全員の成績等の一覧表を見ることができる。ステップ毎にプログラムリスト上にカーソルが移動,実行中の命令の位置とCPUとメモリの内容を即座に表示できるCASL IIのシミュレータソフトを開発した。
著者
渡邊 寛二
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.18, pp.260-263, 2002-08-31

4年間にわたって問題解決演習のための教材開発とその実践を重ね、昨年「問題解決演習ワークブック」として出版した。それを教科書として、問題解決演習を実施した。演習最後の問題解決の評価結果から、問題解決の「満足度」や「解決の度合い」では、「大変高い」あるいは「高い」と答えたものが80%以上であった。また「解決した結果として何が期待されるか」の問について、「社会人になって役立つ」、あるいは「問題解決の能力が向上した」と答えている。これらのことから、「問題解決演習ワークブック」を使った演習が十分その目的を果たしていることが確認できた。
著者
松本 宗矢
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.30, pp.198-199, 2014-08-09

ICTインフラの進展により静止画や動画のディジタルでの取り扱いが簡単になった。今回の発表ではイラストレーションを学ぼうとしている場合を例に,自ら学ぼうとする意欲のある者にとって,従来より容易に学習のための情報取得や制作者との交流が可能になった時代が到来したことをいくつかの事例をふまえつつ現状を考察する。
著者
小賀 聡
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.10, pp.58-61, 1994-07-29

高度情報通信社会におけるメディア教育の必要性は日々高まっている。「マルチメディア」という言葉に代表されるように、今後の情報通信社会において、映像や音楽をうまく取り入れた情報伝達手段がますます一般的になり、それらを上手に使いこなし、自己表現できる感覚を持った人材の育成が、必要になってきていると思われる。本発表では、音楽を専門とする専門学校において、積極的にコンピュータを取り入れた授業を行い、音楽という切り口にこだわりながら、DTM(デスクトップミュージック)からマルチメディアまでの実験授業を行ったので、その報告を行う。
著者
山本 利一 鳩貝 拓也 弘中 一誠 佐藤 正直
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.21-29, 2014

本稿は,小学校におけるコンピュータによるプログラム学習を推進するために,プログラミング言語のScratchとそれらの制御対象物であるレゴエデュケーションWeDoを活用して,基本的な知識と技能を習得する指導過程を検討した.授業実践の結果,小学4年生の児童は,プログラムの基本的な知識と技能を習得し,プログラム作成の課題をクリアすることができた.また,これらの学習を通して,プログラムに関する興味・関心が高まった.
著者
北澤 武 永井 正洋
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.122-125, 2010-08-21

本研究では,都内の小学校特別支援教室に通う児童6名を対象に,モバイル機器を活用した漢字学習支援の効果について追究した.本研究で用いたモバイル機器として,ニンテンドーDSi(以下,DS)を取り上げ,さらに,漢字学習支援ソフトとして,漢検DS3デラックス(ロケットカンパニー(株))を用いた.約5ヶ月間,授業中に10〜20分程度,定期的にDSを用いて漢字の読み,書き,画数,筆順などの学習活動を行った結果,すべての児童に漢字習得の効果が認められた.しかし,一部の児童は得点に執着するようになるなどの課題が認められた.
著者
下地 由美子 島尻 民子 外間 和美 外間 由美子 与那覇 峰子 知念 翠 山城 亜弓 東門口 健太
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.29, pp.214-217, 2013-11-09

当園は、開設32年目を迎えた。この間、様々な社会情勢の変化に伴い、保育ニーズ、保育サービスも大きく変化し、保育方針である「乳幼児ひとりひとりの子どもの育ちを支える」ことを基礎に、保育課程及び保育内容、教育内容をさっきPDCAに基づき「ねらい」にせまるための保育の実践、保育内容をまとめ、報告を行う。
著者
石井 美和子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.54-57, 2012-08

コンピューターやインターネットによる情報技術が発展し、日本語教育における学習教材もマルチメディアを利用したものが日々開発されている。本研究では、チリの日本語学習者が抱える問題点を学習教材に重点を置いて明らかにし、学習者の日本語学習におけるマルチメディア教材の活用と実際について述べる。また、チリの日本語学習者がそれぞれの学習環境に適したマルチメディア教材を有効に活用できるよう、今後の課題についても検討する。
著者
横内 健一
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.14, pp.12-15, 1998-08-03

小学校4年生の社会科で、インターネツトを利用した学習を行つた。沖縄県那覇市の小学校と電子メールを使って交流を図ったり、互いに気候、生活、交通、特産物など学習の疑問を尋ねあったりしなガら自分の課題に迫る調べ学習の授業を進めた。また、ホームページを活用して調べ学習の貿料として利用する活動も行った。本校はインターネツトに直接接続する環境にはないガ、工夫することによって授業に活用してきた事例を紹介する。
著者
金森 克浩 坂本 清美 村 一浩
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.22, pp.38-39, 2006-08-26

発達障害児の言語心理指導への活用を目的として「産・学・官」三者による協働体制により、療育現場や教育現場での指導に活用を目的として、多点入力の可能なタッチパネルディスプレイと療育支援ソフト「たっちゃんのコネク島」開発した。本システムでは、肢体不自由児や重度の知的発達の遅れのある子ども、自閉性障害の子どもへの指導場面で、自己効力感の高まり、因果関係の理解やコミュニケーション場面を作り出すなどの効果が見られた。本発表では、そのシステムの概要と指導事例を報告する。
著者
名児耶 厚 石川 慎也 小野 裕次郎 市野 学
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-13, 2007-07-25

近年,少子化・出生率低下を背景とした大学入学者数の減少により,学生募集が困難な大学が出始めている.そのため,既存大学の現状を分析することは,今後の大学の改革や他大学との差別化という意味においても大変重要と考えられる.そこで我々は,大学案内に掲載されている大学の情報から既存大学の分類や特徴付け等の解析を通して大学の現状の分析を試みた.その結果,データをそのまま解析するよりも,いくつかの条件によって分類した上で解析を行うべき,という結果が得られた.さらに,その分類に従って再度解析を進めたところ,隠れていた類似性を検出することができた.本稿における解析対象は関東地区,かつデータを入手可能な大学に限られるが,大学の今後を考えていくにあたって有用な情報が得られたと確信している.