著者
加納 寛子 寺島 信義
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.3-14, 2009-09-15

人間関係の希薄化により孤独を感じる若者や,独居で暮らす高齢者の増加に伴い,ペットはますますわれわれの身近なものになってきている.だが,住宅事情等によりリアルなペットを飼えない場合もあり,情報化が生活に浸透した社会であればこそバーチャルペットは,これからの人々にとって大切なものになっていくのではないかと考え,バーチャルペットの可能性について調査した.その結果,会話回数高群の方がペットに対する好感度およびペットから得られる快適さが高く,会話回数低群は共に低い値を示した.また,85%の人がバーチャルペットに会話機能を期待している結果は,バーチャルペットが話し相手になることへの期待が高いことを窺わせる結果となった.会話機能への期待が高いゆえに,バーチャルペットとの会話がうまくいかないと,気分の低下につながった可能性が考えられた.
著者
小西 順
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.67-79, 2012-03-30

特別支援学校における教員のICT活用指導能力は,低迷気味である.近年種々の電子支援機器等が開発されながら,それらを連係無しに活用する傾向があり,それがネックになっている.そこで,それらを『e-ATユニット』(:AACの技法・複数の電子支援機器・自作ソフト等の集合体)として捉え直し重層的に活用することによって,知的障害児・肢体不自由児のコミュニケーション意欲を高めることができQOLを高める展望が開けた.その際にICT活用が苦手な支援者に対しても,『e-ATユニット』が活用できるように補助するシステムを開発した.それが『系統的に開発した自主教材ソフトによる個別課題アプローチ表』(DVD)である.これらにより現場教員のICT活用指導力も向上した.
著者
鳥海 健 荒川 信行 石出 勉 森棟 隆一 安井 浩之 松山 実
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.21, pp.188-191, 2005-08-20

新しい学校グループウェア「学習アセスメント支援システム」を提案, 開発している. 本システムは学校への導入およびメンテナンスが容易であること, コストを低く抑えること, 学校現場の環境・状況に合わせてシステムのカスタマイズが可能であることを目指している. 本報告ではシステムの技術面および機能面について説明する.
著者
小川 修史 田中 昌史 掛川 淳一 森広 浩一郎
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.3-14, 2012-02-10

継時的な比較による児童の変容把握を目的として,小規模校では長期間にわたり継続して比較的短い文書を児童らに記述させる形式の実践が多く行われている.このような実践においては,教師はある時点の文書と自己の児童に関する記憶を比較することで児童の変容を把握していくが,児童数が少なくても長期間にわたり蓄積されていく文書であるため,教師の負担は大きく,記憶内容を忘却あるいは誤認識してしまう可能性がある.そのため,長期間蓄積された文書の分析を支援する仕組みが有用であると考えられる.そこで,本研究では教師に文書集合の特徴的な表現を提示し,それらの表現を手掛かりに文書を分析していく枠組み,つまりテキストマイニング導入のための検討を行っている.本稿では小規模校における継続的な実践で蓄積された文書集合を学期毎にテキストマイニングし,比較することにより抽出された特徴表現の有用性について検討する.
著者
坂本 徳弥
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.23-32, 2002-10-31

植物観察学習において,観察カードへのカラー写真付加の効果を検討した.観察記録を記述量(文字数)と記述内容(観察得点)から分析したところ,いずれも写真付加の効果がみとめられた(有意傾向).また,女子の方が男子よりも記述量,記述内容ともに有意に得点が高かった(1%水準).次に,カラー写真を付加したことに対して,3,4年児童285名に5件法で評価させた.その結果,女子の場合,「とてもよかった」と「だいたいよかった」を合わせると女子全体の97%になり,ほとんどの児童がカラー写真付加を肯定的に評価していた.同様に,男子も84%が肯定的に評価していた.肯定理由をカテゴリーで分類したところ,「焦点化」と「精緻化」のカテゴリーが有意に多かった.従って,児童が感じたカラー写真付加の利点は,写真を見ることにより観察の視点が明確になる「焦点化」と,対象物の形や色が細部まで記録できる「精緻化」の機能であることがわかった.
著者
吉井 直子 高田 雅美 城 和貴
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.258-259, 2011-08-20

幼児が効果的に形の学習を行うためには,適切な教材が必要である.そこで,本稿では,物体の輪郭を取り出すエッジ抽出が施されたエッジ画像を用いて実験を行い,幼児の奥行き知覚に関する特徴を考察する.実験結果から,5歳児男子は5歳児女子より奥行きをよく知覚していること,5歳児女子は個人差が大きく,平行に並ぶものより重なりがあるものをよく知覚できるということが検証できた.
著者
太田 信宏
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.226-229, 2011-08-20

教科「情報」の必修化により、2006年度から情報の授業を履修した学生が入学してきている。しかし現実の学生をみると、必修化されたとはいえ情報リテラシーに関する習得レベルは決して一様ではない。本学では1996年度から、入学時におけるコンピュータ利用についてのアンケートを実施している。入学した学生の情報リテラシーの把握を行うとともに、情報教育カリキュラム策定の資料として活用してきた。大学で教育すべき情報リテラシー教育とはどのようにあるべきか、その問題点と課題について考察したいと考えている。
著者
和田 武 南本 長穂
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.43-54, 2001

筆者らはこれまで, 一般情報処理教育を受講する大学新入生に対する意識調査を行なってきた.その結果, 応用ソフト習熟型と, 言語習熟型の2つの型があることが判明し, 数量化理論を用いてこれらの型の存在を検証した.今回, 我々は, 更に授業効果を探るために, 一般情報処理教育を受講した大学3回生に対して追跡調査を実施し, 受講直後と現在の情報活用能力に関する意識面, 事実面の変移について分析した.(1)応用ソフト受講の満足度が受講後の現在も高く, (2)受講時の満足度の高いグループと低いグループ間でその後の応用ソフトやプログラミング言語への取り組み姿勢は, どちらも満足度が高い程, 現在も積極的に取り組んでいる.また, (3)応用ソフトとプログラミング言語の習熟度点数比較では, 受講時の習熟度が高い程, 現在の習熟度が高いことがわかった.
著者
平山 敏弘 長谷川 長一 やすだ なお 大西 荘一 三木 啓一郎 井川 真弓
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.78-81, 2011-08-20

当論文は,情報セキュリティ基本教育を実証するモデルケースとして大規模な産学連携では初となる,岡山理科大学と日本ネットワークセキュリティ協会との提携による東京からのリモート授業実証結果より,Web環境における遠隔講義の方向性を検証するとともに,教育機関における実践力向上のための産官学連携の重要性と新たな取り組み例について提言するものである.
著者
豊福 晋平
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.20, pp.202-203, 2004-08-10
被引用文献数
4

学校ホームペ-ジの情報提供を行っている「i-learn.jp」サイトでは、昨年に引き続き2004年も全日本小学校ホームページ大賞(通称:J-KIDS大賞2004)の企画および選考過程に協力して、全国15039件の小学校ホームページ調査を行った。この調査は1000名を超える社会人ボランティアがオンラインデータベースと客観指標を用いて評定作業を行い、県代表校枠50および県優秀校約450を確定するものである。本稿では、昨年度との比較から、特に指標構造化をはじめとした選考過程の改善点、および調査結果の推移について明らかにする。
著者
宮田 仁
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.42-45, 1999

本研究は, 総合的な学習の時間を支える情報活用の実践力を育成するための教材を設計し開発することが目的である。その第2報として, 米国Vanderbilt大学Learning Technology Centerが提唱したアンカー教授法を紹介するとともに, アンカー教授法に基づいたProblem-oriented教材の開発と試行の概要を報告する。日常の問題解決場面に近い文脈で, 多階層の問題解決課題を, 本教材の中に設定し, 教育実践で試行した結果, 算数のスキルの高低にかかわらず, 児童の興味・関心は持続し, 多階層問題中の下位問題の発見と, 使用できる条件(情報)の活用に効果があることが実証された。
著者
安達 一寿 江口 愛子 合田 美恵子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.18, pp.294-297, 2002-08-31

独立行政法人国立女性教育会館では, 女性関連情報の視点に立ったICT(情報コミュニケーション技術)習得サポートプロジェクトとして, ICT習得ポータルサイト(愛称TICT : ティクト)を構築し平成13年度より運用を開始している。ここでは, 1年経過の利用状況と今年度追加を計画しているコンテンツについて報告する。
著者
角田 真二
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.20, pp.210-211, 2004-08-10
被引用文献数
4

高度情報社会において,コンピュータとネットワーク技術の発達は目覚ましい.コンピュータは,便利な文房具と考えられていたが,それ以上にコミュニケーションを取るための便利なツールになってきた.コンピュータの専門家ではない,コンピュータのユーザが増加している.本稿では,コンピュータの学習,特にその初期の学習の容易性について考察する.
著者
加藤 尚吾 加藤 由樹 小林 まゆ 柳沢 昌義
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.31-39, 2006

本研究では,電子メールにおける顔文字の機能である,感情を相手に伝える役割に注目した調査を行った.具体的には,女子大学生24名に,163種類の顔文字を提示して,それぞれの顔文字から解釈される感情を尋ねた.この調査で得られたデータを用いて,それぞれの顔文字から解釈される感情の種類の数をカウントし,感情解釈の種類の多い顔文字と,感情解釈の種類の少ない顔文字の差異について,検討を行った.主な結果として,ポジティブ感情を表す顔文字の方が,ネガティブ感情を表す知見から,ポジティブ感情を表す顔文字の方が,感情的な誤解やすれ違いを生じにくい可能性のあることが示唆された.しかし,書き手の感情状態を表す役割として顔文字を捉えると,顔文字には,感情解釈の幅の広いものと限定的なものがあり,注意を要することも分かった.
著者
加藤 由樹 加藤 尚吾 赤堀 侃司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.35-43, 2006
被引用文献数
2

本論文では,携帯メールにおけるコミュニケーションで喚起する感情の中で,特に「怒り」の感情に注目した.「怒り」の感情は,コミュニケーションで生じる感情的なトラブルに密接に関連する.従って,この感情について分析することで,感情的なトラブルを回避するための示唆を得ることが期待できる.本研究では,三つの調査を行った.調査Iでは,普段の携帯メールの使用における「怒り」の感情に関する経験を調査した.次に,調査IIでは,調査Iで得られた結果から,携帯メールにおける返信時間と「怒り」の感情について調べるために,携帯メールとパソコンによる電子メールとを比較する調査を行った.そして,調査IIIでは,携帯メールにおいて,顔文字の不使用および短いメール文が「怒り」の感情へ及ぼす影響を調べるために,これら二つの要因を操作したメール文を被験者に提示し,生じる感情を調査した.全体的な結果として,顔文字の有無以上に,短文で書かれた携帯メールの場合に,被験者は,「悲しみ」や「怒り」をより感じ,「嬉しさ」をより抑える傾向があり,短文かどうかの要因が,感情により影響を持つことが示唆された.
著者
井口 磯夫
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.17-26, 1994-09-30

女子短期大学生にノート型パーソナルコンピュータを個人所有させる場合,個人所有が情報処理教育に与える教育効果について,実態調査結果によって次のことが明らかになった.アプリケーションソフトの活用状況では,フロッピーディスク起動のノート型パーソナルコンピュータよりROM起動の機種の方が頻繁である.使いやすいインタフェースのノート型パーソナルコンピュータ機種の方が,交換日記(フロッピーで)などの利用範囲を拡張させている.自宅での使用時間か長いものほど,コンピュータ親和度の得点が高い.一方,ノート型パーソナルコンピュータを個人所有させるねらいと機種選定に関して階層型意思決定法(AHP,サーティー)によって調査を行った結果,問題点が明確になった.
著者
有薗 格 横山 隆光 斎藤 陽子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.19-29, 2004-03-31

最近のテレビ番組はデジタル放送やハイビジョン放送等,高画質で放映内容も国内はもとより世界諸国の歴史・文化・生活・社会問題等,学校の授業で利用できる情報が提供されている.ところが全国の教育センター指導主事や教師を対象にした「テレビ番組の教育利用と著作権問題」についての実態と意識に関する調査(平成14〜15年度)の結果で学校の授業等でテレビ番組の内容を分断利用した教師は少ない,多くは著作権問題があるため利用しない現状にある.しかも多くの教師や指導主事等は「子どもに豊かなイメージを育て,わかる楽しい授業が効果的である」と理解している等が判明し,著作権問題はテレビの教育利用に大きな障害をもたらしていることが分かった.そのため文化庁の文化審議会著作権分科会はインターネットの普及や情報伝達技術の発展と情報利用の多様化の進行にともない著作権問題の見直し,学校等の「例外的に許諾を得ず」に複製・活用できる対象と幅を拡大する方向での検討をすすめるようになった.
著者
中川 信治 藤川 義人 坂井 知志
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.198-201, 2010-08-21

学校で行われる教育課程(正課)では、著作権法35条により、その目的の範囲内で著作物の無断複製を行うことができる。しかし正課を離れた青少年教育活動などの課外活動では、同条が適用されないケースが多々存在する。一方、一定数以上の集団のもとで行われる青少年教育活動での著作物の無断複製は、著作権30条の私的使用にもあたらない。かかる著作権法上の問題が多い青少年教育活動について検討し、またその指導者が注意すべき点や具体的なケースにおける問題点について取り上げたコンテンツの例を紹介する。
著者
有薗 格 齋藤 陽子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.19, pp.248-251, 2003-08-09

平成15年1月に文化庁の文化審協会著作権分科会が平成13年度以降の関係小委員会の審議経過をもとに, 近年のコピー機やデジタル録音録画機器の発達・普及, インターネットの普及など, 高度情報通信時代に対応した著作権見直しの問題について, 一部著作権改正の方向をまとめた。これをふまえ教育目的による複製物の活用がどう変化するか, アンケート調査を実施した。その結果, 著作権問題の捉えの不十分さ, 現行の著作権の在り方には問題があると捉えられていることが明らかとなった。
著者
中野 美雅 益本 仁雄
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.43-50, 1995-03-30

入学試験の手順を大きく変更することなく,コストも最小限におさえ,処理時間の短縮を図るための入試システムを開発した.市販のデータベースを使用し,必要な項目を作成し,願書より入学願書マスターを作成した.各科目の成績入力,入試成績一覧表を受験番号順,成績順にそれぞれ打ち出し,更に,併願校も判定の資料として打ち出した.合格者が決定した後,合格確認書及び,掲示用の合格者番号も拡大印刷した.これらの作業をパソコン3台,プリンタ2台で行ない,導入前の処理時間の約4分の1に短縮し,入学試験実施当日に合格発表を可能にした.更に.合格し,入学手続きをした生徒のデータは,そのまま学籍簿に使用でき,今後の生徒データ処理の時間短縮の可能性を導いた.