著者
齋藤 暢宏
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.7-9, 2009-05-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
6
著者
鈴木 廣志 谷川 昇 長友 隆行 津田 英治
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.22, pp.55-64, 1993-11-10
被引用文献数
2

1986年5月,1987年6月および1990-1991年に,鹿児島県本土からトカラ列島にかけて,陸水産コエビ類の分布調査を行った.また,本土内を流れる川内川,万之瀬川および肝属川では,流程分布調査も行った.採集されたコエビ類は,ヌマエビ科が4属8種,テナガエビ科が2属9種であった.これら17種のうち13種が南方系の種類であったが,北方系の種も4種類出現し,本調査地域は両系の混棲する地域と考えられた.また,今まで沖縄島が北限とされていた,スベスベテナガエビMacrobrachium equidens,コツノテナガエビM. latimanus,およびツブテナガエビM. gracilirostreが大隅諸島(種子島,屋久島,口永長都島)でも採集された.したがって,これら3種の北限は大隅諸島まで引き上げられると考える.3つの河川における流程分布は,従来報告されているように河川形態,ダム,自然の滝などに影響されていることがわかり,河口から傾斜の緩やかな流域にかけては,両側回遊型のミゾレヌマエビCaridina leucostictaやミナミテナガエビMacrobrachium formosenseなどが分布し,ダムや滝などの上流域には,陸封型のミナミヌマエビNeocaridina denticulataやスジエビPalaemon (P.) pauddensのみが分布していた.
著者
藤田 喜久
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.41-51, 2010
参考文献数
33
被引用文献数
2
著者
Kim Jung Nyun Natsukari Yutaka
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.29, pp.35-44, 2000-12

A range extension to Japanese waters is recorded for three crangonid shrimps: Lissosabinea indica (De Man, 1918) previously only known from the Philippines and Indonesia; Parapontocaris levigata Chace, 1984 known from the Indo-West Pacific up to Taiwan; and Rhynocrangon sharpi (Ortmann, 1895) known from the northern North Pacific including the Far East Russian coast of the Sea of Japan. The first two species are the only members of their genera recorded from Japan. Diagnosis and illustrations are given for L. indica and P. levigata for the species recognition. Rhynocrangon sharpi is fully redescribed and illustrated, because there is no detail description of this species.
著者
Ohtsuka Susumu El-Sherbiny Mohsen M. Ueda Hiroshi
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-11, 2000-12
被引用文献数
3

Two new species of Tortanus (Atortus), T. (A.) ampliramus and T. (A.) nishidai, are described from the northern Red Sea and the Gulf of Aden, respectively. These new species evidently belong to the recticauda species group in the recticauda species complex. The species group has a distinct distribution in the western Indian Ocean, extending from South Africa. The functional morphology of spermatophores of Tortanus is also discussed. A semelparous reproductive strategy may be employed in some species of Tortanus, whereas others adopt an iteroparous strategy as do most of centropagoideans. The formation of swarms was found exclusively in the subgenus Atortus which inhabits clear waters. Swarms of T. (A.) erabuensis may utilize swarms of another small copepod, Oithona oculata as prey.
著者
鈴木 幸子
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.10, pp.61-68, 1980-11

アカテガニの脱皮に及ぼす歩脚除去の影響を眼柄を切除した場合と熱処理の場合とで比較した。アカテガニを脱皮直後に2(1対),4(2対)あるいは6(3対)本の歩脚を除去すると次の脱皮は正常(歩脚を除去しない)個体よりも促進され,脱皮率も上昇する。この脱皮の促進は除去した歩脚数に比例する。一方眼柄を切除した場合には今まで十脚類で報告されたようにアカテガニでも脱皮を誘発し歩脚除去よりも著しい効果を示す。眼柄と歩脚を同時に除去すると次の脱皮は眼柄だけを切除した個体よりも遅延する。この脱皮の遅れる程度は除去歩脚数と比例関係にあった。FINGERMAN and FINGERMAN(1974)はUca pugilatorで,McCARTHY and SKINNER(1977a)はGecarcinus lateralisでそれぞれ無眼のカニから歩脚を除去すると脱皮は遅延することを認めているが,アカテガニによる結果とは多少相違している。
著者
ゴルドン イサベラ
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.4, pp.133-137, 1971-07

今度出版されたこのすばらしい本は,シーボルトの古典「Fauna Japonica」5巻のいずれかを利用する機会のあるすべての動物学者にとって,興味深いものである。シーボルトに関する既にあった情報に加えて,著者達は,ヨーロッパと日本の様々な教育の古い記録の未発表の資料に接する機会を持ったのである。歴史的,伝記的事実の他に,「Fauna Japonica」各巻の色々な分冊の出版の日付に関する有用なデータをすべて含んでいる。甲殻類学者には,この本は,デ・ハーンによる原典(1833〜1850)と共に,甲殻類の原典の姉妹編又は補遺として,特に観迎されるであろう。甲殻類分類学の二人の権威によって,デ・ハーンの多くの新属,新種のそれを含んで,すべての学名が改訂され,今日まで提出されてきた。さらに,約140年後,日本の有名な画家川原慶賀によって,シーボルトとビユルゲルの為に準備され,もともと「Fauna Japonica」のためのさし絵として描かれた甲殻類と剣尾類の得も言われぬほどの精巧な絵を再生することも今では可能になった。初めて,ヨーロッパ人が日本の海岸に着いてから約一世紀後,日本は諸外国との接触を一切断つことを決めた。ただし,厳しい監視の下で,オランダだけはその小さな貿易地を残すことを許された。平戸に1609年に設立されたこの商館は,1641年長崎港の人工島出島に移された。遠い江戸(今の東京)幕府への定期訪問の間だけ,商館のオランダ人は国内を見ることができた。しかし,この時代でさえ,日本の医者は西欧医学を学ぶことに熱心で,諸科学,特に植物学に興味を持つものが多かった。このようにして,出島の医者は日本人と何らかの職業上の接触を持つことができ,時々,植物を集めることも許された。オランダの権威は,従って彼等の奉仕に対し,自然科学に幅広い興味をもつ医者を可能な限り,ひきつけようと努めた。1820年はライデン自然科学博物館が設立された年であったが,これに先立って,こういった医者二人が,二人のヨーロッパ人,即ち,1690年から1692年まで日本に居たE.Kaempferと1775年から1776年まで勤務していたC.P.Thunbergの日本の動物相の知識にかなりの貢献をしたのである。ケンペルとツンベリーに関する生物学上の情報と,彼等の各々の貢献の評価は第一章に書かれている。しかし,最も著しい貢献は,最初の訪日が6年間に及んだ(1823〜1829)Ph.F.Von Sieboldと彼の助手であり後継者であるH.Burgerによって行なわれた。ビュルゲルは医者ではなかったが科学の養成を受けており,優れた収集家になった人である。シーボルトとビュルゲルに関する生物学上の記事は,シーボルトと親交のあった日本の生物学老たちに関する記事とともに,第2章に記載されている。そして,日本の動物学史への彼等の貢献の評価は,第3章に書かれている。次の2章の内容は,「Fauna Japonica」に捧げられたものであるが,この評論の第一パラグラフにすでに述べた。第5章(シーボルトの「Fauna Japonica」における甲殻類の学名の改訂)では,第1部(pp.80〜98)と第2部(pp.271〜298)の間に,いくつかの食い違いがある。例えば,p.57 Ocypoda(Helice) tridens, De Haan-p.280のHelice tridens tridens De Haanがp.85では省かれている。p.83亜属Othonia, Bell-P.284のPitho Bellがp.88では省略されている。p.31亜属Philyta-p.275のPhilyra Leachは"Philyra"と読めるがp.81から省略されている。ついでに言うと,第2部には第1部以上に脚註がある。(つまり,p.273〜274には属,Galene, Curtonotus, Dotoの脚註があるが,p.81にはない。)最後の章は,画家川原慶賀と海の生物,主に魚類や甲殻類の原画の歴史を扱っているが,これらの絵はビュルゲルによって1831年ライデンに送られた。甲殻類と剣尾類の絵はカラーで上手に再現されており,それらが代表している種の説明はp.106〜132とp.304〜323(日本語)に記されている。ビュルゲルは,この絵のうち25に説明をつけ,日本語の俗名の音声的転写が後に続く暫定的な属名をつねにつけた。川原慶賀は二種類の文字の組み合わせ,つまり,仮名と漢字で日本語名をつけ加えた。原画にいくつかの面白い註が,日本のカニの分野での第一人者,酒井博士によって加えられた。そして,図版26に描かれたカニの細部がSesarma(Sesarme) intermedia(De Haan)に一致するのに彩色がSesarma(Holometopus) dehaani H. Milne Edwardeのものである(p.129)ということを酒井博士が見つけている。学名のいくつかの誤字や印刷者のまちがいが沢山あるが,これらは,甲殻類学者には明らかに分るであろう。読者は英文体のちがいを区別できるであろうが,種々の分野の原著者の指示が,内容の委員会で与えられればよかったのではないだろうか。原典に列挙された日本の著者による著書が挿入されてないが,(つまり,p.47のK.Ito, T.Ito, p.99のイワサキヨシカズ,p.101のアレクサンダー・シーボルト)参照リストは,日本の動物学史に興味をもつ者にとって有益であるにちがいない。とびら絵として入れてある口絵(一枚はカラー)の頁は,この書の芸術的歴史的興味を非常に強めている。川原慶賀とジョセフ・シメラーによるシーボルトの青年時代の肖像画を長崎のナルタキ校と病院の敷地に彼を記念して建てられた銅像の写真と比較するとおもしろい。又,慶賀による出島の絵や,種々のオランダの使いが通った長崎から江戸への道順の地図なども含まれている。序文は,ライデン大学分類動物学の名誉教授H.ボシュマ博士,日本生物地理学会長の岡田弥一郎博士から寄せられたものである。本書は日本とオランダの長い交流にふさわしい記念であり,両著者は,非常に魅惑的な問題への学問的貢献に関し,祝されるべきである。
著者
大谷 拓也
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean Research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.83-87, 1993
被引用文献数
1 1

シオマネキのはさみ脚の不相称分化過程を解明する目的で,ふ化ゾエアから得た1令椎ガニを飼育し,その過程ではさみ脚の状態の変化を観察した.第1椎ガニはすべてが2本の小さい相称のはさみ脚を持っていたが,それらは大型化した後に左右どちらか片方が脱落し1本となった.さらに, 1本のはさみ脚を持つ個体の減少とともに,不相称なはさみ脚を持つものが増加した.これらの観察結果は,生息域における調査と同様であり,シオマネキのはさみ脚の左右性の分化過程が,山口(1977)により証明されたハクセンシオマネキのそれと順序は若干異なるが経過は同じであることを示唆している.
著者
浜野 龍夫 林 健一 川井 唯史 林 浩之
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.21, pp.73-87, 1992-12-31
被引用文献数
4

Crayfish in Lake Mashu, Hokkaido, Japan, were captured with tangle nets in the summer of 1992. All specimens, 171 males and 517 females, had intermediate diagnostic character between two subspecies, Pacifastacus leniusculus leniusculus and P, l. trowbridgii. Although three very large individuals of unidentified crayfish were captured in this lake by poachers of trout in 1975 and 1985, there is no certain confirmation because of illegal samplings. One of the present authors took a chance to measure one of them, a fresh male crayfish with very large chelae, in 1975 when he was 11 years old and recorded only its giant size, i.e. 47 cm carapace length. However, the largest P. leniusculus collected in this study was 5.7cm in c. l. Neoteny may have occurred because there is no secondary sexual character on chelae of adult P. leniusculus males. This lake has no river. Age of the lake is estimated as about 2000 years old. Further, all species of fish and crustaceans in the lake were artificially introduced from other waters. Of crayfish, only P. leniusculus occurs and was introduced from Portland, Oregon, U.S.A., in 1930. From these, the unidentified gigantic crayfish seems to have been P. leniusculus grown to a giant size.

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出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.67-76, 2023-08-01 (Released:2023-09-06)
著者
今井 悠
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.61-62, 2023-08-01 (Released:2023-09-06)