著者
青木 宏 Aoki Hiroshi
出版者
宇宙開発事業団
雑誌
宇宙開発事業団技術報告 = NASDA Technical Memorandum (ISSN:13457888)
巻号頁・発行日
pp.1冊, 1995-03-31

本報告書は将来の宇宙活動の利用者の多様な要求に応え得るための宇宙輸送体系のあるべき姿の一つを提案した。将来の宇宙輸送体系では地球低軌道に到達する手段の効率の向上、低コスト化、運用の柔軟性が鍵となる。これらを実現すべく宇宙輸送系の「再使用化」を目標として今後のわが国の宇宙輸送体系の発展の一つのシナリオを提案した。打上げ機の下段は性能に関する重量増の感度が比較的低いので、「無人・自動化技術」を適用して「回収・再利用化」を図り、段階的にその範囲を拡大していくことを合理的と考えた。このシナリオに基づき既開発のH-2ロケットの構成部品を利用した再使用ブースタの概念の一例を示した。
著者
呉 竹雅 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_9-4_18, 2023-03-31 (Released:2023-03-30)
参考文献数
19

本研究は,明治時代における社会通念としての美術の形成過程を明らかにするために,計量テキスト分析を用い,新聞にみられる「美術」に関連した社会的出来事が,明治期の歴史的かつ社会的文脈でいかに当時の人びとに共有されたかについてそのプロセスを検証した。その結果,官製用語として誕生した「美術」に対する社会的認識の形成については,第一段階の明治10 年代までは実態,つまりものに重点を置き,第二段階の明治20~30年代においては価値観ないし価値体系を中心に,また第三段階の明治30 年代以降は概念,いわばジャンルを理解するといったプロセスで定着してきた。それは,エリート層を中心とする上流社会の人びとが概念からジャンルに,さらに価値観ないし価値体系という順序で「美術」を受け入れたのに対して,一般民衆はほぼ相反するプロセスに基づき美術を理解してきたといえる。また,明治政府が「美術」という概念を導入し,既存の絵画が「日本画」に統合されたことによって,日常生活における絵画の機能性・意味性は漸次に低下し,鑑賞対象となっていった。
著者
只野 真 佐藤 政裕 日下 和夫 佐藤 正喜 熊川 彰長 長谷川 恵一 高橋 秀明 今野 彰 青木 宏 名村 栄次郎 Tadano Makoto Sato Masahiro Kusaka Kazuo Sato Masaki Kumakawa Akinaga Hasegawa Keiichi Takahashi Hideaki Konno Akira Aoki Hiroshi Namura Eijiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:13474588)
巻号頁・発行日
vol.1464, 2003-06

近い将来の再使用型ロケットエンジンの性能向上の一案として、伸展ノズルやデュアルベルノズルが有望であると考えられている。そこで、これらのノズルの基本特性を把握するために、4種のノズル(標準ベルノズル、伸展途中の過渡状態を模擬したステップノズル、デュアルベルノズルおよび可動伸展ノズル)を用いて、高空燃焼試験を実施した。試験で計測したノズル性能、圧力分布および熱伝達率などのデータをCFD解析の結果と比較検討した。その結果、デュアルベルノズルの性能は標準ノズルやステップノズルよりも低く、現状のノズルコンターはさらに改善の余地があることが判明した。また、可動伸展ノズルの伸展時には、固定ノズルと伸展ノズル隙間からの燃焼ガスバックフローは認められず、ノズル壁面の熱伝達率は過渡的に約20%増加することが判明した。これらの現象はCFD解析結果とも一致し、CFD解析によってノズルのステップ流れやバックフローが予測できる目処を得た。
著者
土屋 篤生 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_11-2_18, 2023-09-30 (Released:2023-10-25)
参考文献数
9

本稿は千葉県の鍛冶文化の維持・継承・発展に向けた一連の論文の第二報である。 鍛冶屋の「ふいご以外は自分で作れる」という矜持は、ものの本質を見極め理解する観察眼、作り方を考える段取りの自由と責任、それらを実行できる技術力のすべてを持っていることの表れであり、道具を自分で作ることが生活の基礎であることを示している。さらに、野鍛冶は生活者の求めに応じてさまざまな道具を製作する技術が必要とされる。高梨氏は、鍛冶屋の修行として、親方のそばで仕事を「見て盗む」訓練を積むことで、「見る目」を養った。そして、見様見真似で仕事をする実践の中で技術を身につけていった。これは生活の中に身を置くことで技術のみならず鍛冶屋としてのあり方を身につけていく「文化としてのものづくり」と言えるものである。高梨氏が身につけた鍛冶屋としてのものづくりの能力は、単なる技術的な能力ではなく、生活と仕事が一体となった「生業」の中で身についた生活者の姿であるといえよう。
著者
青木 宏 高野 裕 和田 盛哲 岩永 則城 宜野座 朗 Aoki Hiroshi Takano Yutaka Wada Shigeaki Iwanaga Noriki Ginoza Akira
出版者
宇宙開発事業団
雑誌
宇宙開発事業団技術報告 = NASDA Technical Memorandum (ISSN:13457888)
巻号頁・発行日
pp.1冊, 1995-08-31

現在「再使用型のロケット」の帰還形態として有翼型と垂直軟着陸型の2つが考えられている。前者の有翼型はH-2ロケット打上げ型有翼回収機(HOPE)実験による検討が進んでいる。後者の「垂直軟着陸技術」は大量貨物輸送において有利で、月面着陸探査において常用されている降着手段である。米国では「デルタクリッパ」の飛行試験が進んでいる。本研究ではロケット・エンジンによる垂直着陸技術を確立する第1歩として地上における離着陸飛行実験を計画したものである。本報告書は離着陸飛行実験について、(1)ミッションの検討、(2)システムの検討(エンジン、全体配置、システム構成、制御など)、(3)サブシステムの検討(推進系、構造系および熱制御系、航法誘導制御系、電気系、全機組立、飛行試験構想など)、(4)地上設備の検討、(5)運用計画、(6)開発スケジュールなどを検討しその結果をまとめたものである。
著者
土屋 篤生 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_1-2_10, 2023-09-30 (Released:2023-10-25)
参考文献数
15

千葉県における伝統的鍛冶技術は、職人の高齢化や後継者不足、社会構造の変化などの要因により消失の危機にあり、その記録および継承が急務である。館山市の房州鎌職人および柏市の型枠解体バール職人への聞き取り調査をもとに、それぞれの製作技術をまとめた。房州鎌:①地金と鋼を鍛接する。②鎌の形状になるように叩いて曲げ、薄く延ばしたのち、型どおりに切断する。③刃元の段差、ミネの勾配およびコバを付け、強度を増す。④水で焼き入れ・焼き戻しをする。型枠解体バール:①四角柱と八角柱の鋼材を鍛接する。頭部に用いる四角柱の方に硬度がより高いものを用いる。②スプリングハンマーを用いて頭を直角に曲げる。③爪を斜めにし、先を割って成形する。④同様にして尾を成形する。尾はおよそ 25 度の角度をつける。⑤焼き入れ・焼き戻しをする。焼き入れでは、工業用の油で半分ほど冷ましたのち、水冷する。両者とも要所の繊細な工程は手作業で、五感を駆使して行うが、鍛接や延ばしなど単純だが力を要する工程には機械を併用することで、高齢でも今日まで続けられている。
著者
郭 庚熙 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_11-1_20, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
16

今日、急速な経済発展の傍らで、地域に根ざして形成されてきた地域固有の文化の衰退が危惧されている。その対策として、当該地域の文化や資源を活かした地域活性化が求められている。本稿は、千葉において誕生・発展した漁師の晴れ着「万祝」を対象としたものである。万祝の型紙のデジタル化に基づき、万祝の認知度向上や共有化に資する資源の活用方法を、実践を通して提示することを目的とした。具体的には、万祝の型紙の図柄のデジタルデータの取得・保存を行うとともに、それらを活用した生活用品の提案、展示・ワークショップの実施、職人との連携などを試みた。以上の取り組みの結果、万祝のデジタル化・活用による地域活性化への可能性について以下を抽出した。(1)地域住民とのコミュニケーションによる万祝の顕在化、(2)自律的な地域活性化への可能性、(3)地域社会での共有のためのプロセスの提示、(4)職人との協力による伝統的工芸の継続。
著者
名切 末晴 青木 宏文 Vu Manh Dung Nguyen Van Quy Hung 伊藤 祥司 服部 彰
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.480-485, 2021

交通事故死者数に占める割合は歩行者や自転車が多く,歩行者などの横を通過する時の運転行動をドライビングシミュレータを用いて調査した.この結果,歩行者の横を通過するときに安全的な運転行動を行うドライバと少し安全性が低いドライバに分類でき,この2つのドライバタイプは,運転行動が大きく異なることが解った.
著者
藤掛 和広 田中 貴紘 吉原 佑器 米川 隆 稲上 誠 青木 宏文 金森 等
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.134-141, 2019 (Released:2019-01-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,ドライバエージェントによって運転行動が変容するのか検証した.エージェントのサポートは,「運転支援」「フィードバック」「運転支援とフィードバック」の3種類とした.その結果,エージェントを使用することで運転行動が改善された.運転行動が最も改善された条件は,「運転支援とフィードバック」だった.
著者
青木 宏之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.465-470, 2004-06-01

複素ニューラルネットワークを自然画像など多値情報の処理に応用する例を紹介する.実数値モデルを複素数値化することにより,物理量として新たに位相情報を活用することが可能となる.本稿では画像を複素ニューラルネットワークに入力する際に前処理を行い,画像をフーリエ変換処理してから振幅情報を位相情報の中に埋め込み,画像を位相情報のみで表現し処理する.三つのタイプの複素ニューロンモデルを導入することにより,モデル全体を構成するニューロン数の削減や,画像フィルタ,自然画像の連想記憶装置等が容易に実現される.
著者
青木 宏明 高橋 秀明 田邉 成 前川 宏一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.22-00225, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
21

塩分を含む地下水の流入による地中RC構造物の鉄筋腐食が報告されている.地中構造には地盤沈下等の外荷重が作用する場合もあり,塩害劣化の影響が重畳した場合の予測は重要性を増してきている.本研究では鋼材腐食させたRC中空円形試験体の8割を地中に埋設した載荷実験を行い,地中拘束下における外荷重の影響を調べた.その結果,地中円形トンネル構造の変形能と耐力は鉄筋腐食の影響はあまり顕著ではないが,先行曲げひび割れに沿って断面を貫通するせん断破壊が生じる場合があることを示した.このせん断破壊形態は,鉄筋の腐食域に非対称性があると,腐食域以外の健全部で起こり得ることを示した.さらに,曲げひび割れに沿う後続のせん断破壊のせん断耐力は,先行の耐力式を下回る場合があり,維持管理における留意点を明らかにした.
著者
小畑 千晴 中島 富美子 青木 宏
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.27-34, 2020-03-10 (Released:2021-07-16)
参考文献数
4

本研究は,若者のストーカー被害の実態調査を行ったその報告である。警察庁によれば,ストーカー被害相談が増加している。特に被害者の4割が20代であるが,以前より暗数が多いことが指摘されていた。そこで,大学と警察が協力し,県内の大学生を対象にストーカー被害の実態調査を行った。その結果,7人に1人が被害にあっていることが判明した。
著者
長谷川 恵一 熊川 彰長 日下 和夫 佐藤 政裕 只野 真 今野 彰 青木 宏 名村 栄次郎 渥美 正博
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-34, 2003 (Released:2003-12-06)
参考文献数
10

近い将来の再使用型ロケットエンジンの性能向上の一案として,伸展ノズルやデュアルベルノズルが有望であると考えられている.そこで,これらのノズルの基本特性を把握するために,4種のノズル(標準ノズル,伸展途中の過渡状態を模擬したステップノズル,デュアルベルノズルおよび可動伸展ノズル)を用いて,高空性能燃焼試験を実施した.試験で計測したノズル性能,圧力分布および熱伝達率等のデータをCFD解析結果と比較検討した.その結果,デュアルベルノズルの性能は標準ノズルやステップノズルよりも低く,現状のノズルコンターはさらに改良の余地があることが判明した.また,可動伸展ノズルの伸展時には,固定ノズルと伸展ノズル隙間からの燃焼ガスの逆流は認められず,ノズル壁面の熱伝達率は過渡的に約20%増加することが判明した.これらの現象はCFD解析結果とも一致し,CFD解析によってノズルのステップ流れや逆流が予測できる目処を得た.
著者
大野 隆造 青木 宏文 山口 孝夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.558, pp.71-77, 2002-08-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
27
被引用文献数
2 3

In a virtual weightless environment, pointing and modeling tasks were conducted to examine subjects'orientational skills. Subjects who wore a head-mounted display in a reclining chair moved from one end to the other end in several routes that were made by three or four modules that were connected by cubical modules, and pointed to the start point and made the experienced route by a scale model. Analyses of the results show the ability of spatial orientation varies with such variables as the number of bends, the number of embedding planes and the number of planes with respect to the body posture. Subjects who miss the tasks have a tendency not to take the change of the direction of their body axes into account.
著者
島崎 敢 小嶋 理江 新海 裕子 稲上 誠 青木 宏文
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.397-403, 2022 (Released:2022-03-04)
参考文献数
15

タッチパネル式ディスプレイとCGを組み合わせたリスク評価テストを開発し,自己評価機能を加えることにより,セルフモニタリング能力も測定可能なものとした.指摘されたハザードの種類により,成績の低さが何に由来するのかの推定を試みた.一部の実験参加者は補償意図も分析を行った.
著者
川上 敬志 青木 宏史 土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.31, pp.p55-72, 1990-03
被引用文献数
1

イチゴの夜冷育苗において,処理温度,品種と処理期間,処理開始時の苗の大きさおよび体内N濃度などが花芽分化および収量様相にどのような影響を及ぼすかを検討した。1. 9月初旬から夜冷処理を開始する場合,花芽分化の誘起には10℃一定で処理するのが最も有効であった。2. 夜冷処理により花芽分化に要する日数は,高温期(8月)では長く,日長が短く,また気温が低下してきた9月初旬からの処理では短くなった。また,所要日数は品種本来の花芽分化期の早晩性と対応し,夜冷処理の時期にかかわらず早生品種ほど短縮された。3. 1シーズン2回施設を利用する場合,前期処理(第1回目)の年内収量は著しく増加したが大玉果が少なく,3~4月の後半収量は少なかった。一方,後期処理(第2回目)では大玉割合が高まり,全期収量も多かった。4. 夜冷育苗では,処理開始時の苗の大きさによる花芽分化期の早晩,開花期における生育量,頂花房の開花数および収量などの差はほとんどなく,むしろT/R率の影響が大きかった。処理終了時のT/R率が同程度であれば,大苗ほど定植後の生育および初期収量が優った。5. 夜冷培地への施肥は,苗の生育促進に対してほとんど効果はなかった。しかし,苗の体内N濃度はやや高まり,開花期もやや早まった。また,夜冷処理開始前の苗の体内N濃度は,高いほど花芽の発育段階が進んでおり,早期収量も多かった。したがって,夜冷育苗では処理開始前の窒素吸収抑制手段は不必要であり,処理期間中は根傷みを起こさない程度の施肥は有効である。