著者
後藤 和文 高橋 陽子 中西 喜彦 小川 清彦
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 1988-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
12

鶏の受精卵を使って,本来は卵殻内で行われる胚の発生•発育を,台所用ラップを利用した培養器内で行い,ふ卵開始後72時間以降の一連の過程を観察した。いずれの個体もふ化までに至らなかったが,培養器素材とした台所用ラップ2種(ポリエチレン製,ポリ塩化ビニリデン製)の胚発生に及ぼす影響を比較し,また,減菌した粉末状卵殻を添加することによる奇型発生への影響についても検討し,以下の結果を得た。1) 本実験条件下での胚の生存率は,ふ卵開始後10日目で60.7%,15日目で41.1%であり,20日目までにほとんどの胚は死亡した。しかし20日以上生存したものが107例中7例見出され,最長生存日数は23日であった。2) 培養胚の成長状態は,体重,くちばし長,脚部の長さ等を指標とした場合,通常ふ卵区のものに比べ,ふ卵12日目以降,徐々に遅延がみられ,16日目以降では約2日の遅延が認められた。しかし,体肢の大きさとは無関係に,ふ化日に近づくにつれ,通常ふ卵区のものと同時期に,卵黄の腹部への吸収が行われた。3) 培養器素材として用いたポリエチレン製ラップは,ポリ塩化ビニリデン製のものに比して生存率が高かった。4) 卵殻の添加により,くちばし•足指における奇型の発現が低減することを見出した。
著者
近宗 干城 金井 幸雄
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.236-241, 1978-09-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

白色型と褐色型のウズラを交配し, それから分離した野生色型, 白色型, 暗色型, 褐色型, 暗白モザイク型および褐色モザイク型の遺伝について調査した。その結果, これらの羽色型は2対の常染色体性遺伝子の組合わせによって決定されることが示された。すなわち, 有色羽の色は2つの対立遺伝子の組合わせをよるもので, 暗色羽は単一の遺伝子+Dにより, また野生色は+によって決定する。+Dは+に対して不完全優性で, これらのヘテロ型 (++D) は両者の中間色である褐色となる。他方, 有色羽と白色羽の分布は, これとは別個の2つの対立遺伝子の組合わせによって決定する。白色羽は単一遺伝子iによる。これはメラニン色素の沈着を抑制する作用をもち, この遺伝子のホモ型であるiiは, 頭頂部と背部に小さな有色の斑点があらわれる以外全身白色羽装となる。有色羽はiの対立遺伝子であるIによるもので, この遺伝子のホモ型 (II) は全身有色となる。これらのヘテロ型(Ii) では, +D+Dあるいは++Dと共存する場合は白色とのモザイク型になるが, ++と共存する場合は, Iiは++に対して下位であるため野生型となる
著者
Hiroshi ITOH Tomohiro KONO Kenji ICHINOE
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
Japanese poultry science (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.113-119, 1985-05-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1

雄ホロホロ鳥における繁殖能力の,年間を通じての推移を明らかにする目的で,交尾器の大きさ,精液量,精子濃度および血漿テストステロン濃度を1年間測定した。1. 交尾器の大きさは9月初旬まで徐々に増大し,換羽期において一度縮小したが,その後再び増大して12月下旬以降は成熟した大きさを維持した。また,交尾器の大きさと日長,気温および血漿テストステロン濃度とのいずれとも,有意な相関関係は認められなかった。2. 精液量および精子濃度は4月より上昇し,5月下旬から10月上旬にかけて高い値を維持した(精液量:9~38μl,精子濃度:6.51~29.9億/ml)。その後,換羽期と1月から2月にかけての期間において低い値を示し118 日本家禽学会誌22巻3号(1985)た。3. 血漿テストステロン濃度の推移は,日長の変化とよく対応したものであり,最高値(2.95±0.81ng/ml)および最低値(0.12±0.02ng/ml)は,それぞれ7月上旬と9月下旬の換羽初期に認められた。また,繁殖期,非繁殖期および換羽期における血漿テストステロン濃度の平均値は,それぞれ1.25±0.12ng/ml, 0.64±0.05ng/mlおよび0.20±0.05ng/mlであり,各値間には有意(P<0.01)差が認められた。4.日長,気温および血漿テストステロン濃度と各測定項目間の相関係数は表1に示した。
著者
武田 晃
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.26-36, 1982-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
33
被引用文献数
10 11

鶏精子は塩溶液中においてその体温近くの40°C前後で運動を停止するがその後室温に戻すと運動を回復する, いわゆる温度による Reversible Inactivation という特性を示すと言われるが, その現象はつまびらかでなく, 原因や機構については解明されていない。そこでこれら究明のために本研究に着手した。本回は鶏精子と羊精子の比較ならびに鶏精子のそれに影響を及ぼす要因のいくつかについて知見を得たので報告する。(1) KRP液で希釈または洗浄懸濁された鶏精子は40°Cにおいて運動を停止し室温 (20°C) に戻すと運動を回復 (Reversible Inactivation) したが, 羊精子ではこのような現象は認められず時間の経過と共に次第に運動が低下した。無希釈精液においても鶏精子は45°Cで Reversible Inactivation を示したが羊精子では認められなかった。50°Cにおいては鶏精子も羊精子も短時間内に死滅した。(2) 数種の塩溶液で洗浄懸濁された鶏精子は40°Cにおいて, 塩溶液の種類によって差はあるが, いずれも短時間内に Reversible Inactivation を起した。洗浄を行なわずただ希釈しただけの精液では運動停止までの時間 (不動化所要時間) が延長した。また無希釈精液は40°Cでは120分後においてもなお活発な運動を続けた。(3) 遠心洗浄された精子は40°Cにおいて Reversible Inactivation までの所要時間が短縮するが, これは遠心処理のためではなく洗浄処理の影響であった。(4) 希釈または洗浄懸濁された精子に40°Cにおいてごく短時間内に Reversible Inactivation を起させる塩溶液は, 不動化所要時間はそれよりも延長するが, 30°Cにおいてもやはり Reversible Inactivation を起させた。(5) 希釈度が高まるほど精子の運動性は低下し, また Reversible Inactivation までの時間も短縮した。(6) 保存時間が長くなるほど精子の運動性は低下し, また Reversible Inactivation までの時間も短縮した。(7) 空気およびO2中において40°Cで運動を停止した精子はO2の通気や振盪では運動を回復せず, 温度を室温に下げることによってはじめて運動を回復した。CO2中では運動停止後温度を下げるだけでは運動は回復せず, さらに空気を通気することが必要であった。(8) 塩溶液により洗浄懸濁された精子液への血漿および卵白の添加は Reversible Inactivation までの時間を延長し, 特に精製卵アルブミンの添加時には延長が著しかった。一方燐酸緩衝液の添加は Reversible Inactivation までの時間を短縮した。(9) 卵管各部のホモジネート上澄液の添加は Reversible Inactivation までの所要時間にはほとんど影響を及ぼさなかった。
著者
桑山 岳人 小川 博 宗近 功 河野 友宏 一戸 健司
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.89-95, 1996
被引用文献数
3

赤色野鶏,緑襟野鶏,セイロン野鶏,日本鶏16品種,および白色レグホーンの鳴声を録音し,声の高さ,長さ,音節数についてサウンドスペクトログラフィーを用いて分析した。声の高さは,灰色野鶏とセイロン野鶏が最も高く,赤色野鶏,緑襟野鶏および矮鶏では比較的高く,声良鶏が最も低かった。声の長さは,東天紅鶏が最も長く,唐丸鶏および声良鶏が長かった。音節数は,野鶏では3~5,日本鶏では2~4,白色レグホーンでは4であった。
著者
古田 賢治 下村 茂美 大橋 等
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.265-268, 1982-09-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
3

洗濯による作業服の微生物汚染程度の低下を明らかにする目的で, 細菌により人工汚染した材料と自然汚染した材料を用いて洗濯による付着菌数の減少を調べた。その結果, 従来慣行的に行われていた洗濯は微生物汚染の程度を低下させるのに効果があり, 洗濯した作業服を直射日光下で乾燥させるのが望ましいことが明らかとなった。
著者
上田 博史 横田 浩臣 田先 威和夫
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.113-120, 1979-05-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

飼料中のメチオニン過剰がヒナのエネルギーおよび窒素の利用性を低下させることは既に報告した。メチオニン過剰による成長阻害はグリシンによって緩和されることが知られている。本実験では, グリシンによる緩和効果を飼料エネルギーおよび窒素の利用性の面から検討した。供試ヒナには8日齢の白色レグホーン雄を用い, 2羽を1群とし, 各試験区に4群ずつを割りあてて12日間飼育した。対照飼料にはメチオニンとグリシンを適量補足したダイズ蛋白質を用い, 蛋白質含量が20%になるように調製した。これにさらに1.5%のメチオニンを添加したものをメチオニン過剰飼料とした。さらにこれら両飼料に1.5%, 3.0%および4.5%のグリシンを添加した飼料を調製し, 飼育試験終了後ヒナの屠体分析を行った。対照飼料においては, 過剰のグリシンを添加しても障害はみられなかった。一方, メチオニンの過剰給与はヒナの増体重, 飼料摂取量および飼料効率を著しく減少させたが, これらはいずれもグリシンの添加で軽減され, 特に飼料効率ではメチオニン適量飼料との間に差が認められなかった。屠体成分はメチオニンの過剰給上与により脂肪が減少し, 水分が増加した。メチオニン適量および過剰飼料に高濃度のグリシンを添加すると, 脂肪含量の減少がみられた。しかし, 蛋白質含量は試験飼料によって影響を受けなかった。以上の結果より, メチオニン過剰飼料を摂取したヒナのエネルギー蓄積量は著しく低下したが, グリシン添加により低下の度合は減少した。飼料エネルギーの代謝率 (代謝エネルギー/総エネルギー) は飼料間で差がなかったが, 代謝エネルギーの利用性(エネルギー蓄積量/代謝エネルギー摂取量) はメチオニン過剰飼料で最も低く, これはグリシン添加により改善されたが, メチオニン適量飼料には及ばなかった。窒素の利用性 (窒素蓄積量/窒素摂取量, および窒素蓄積量/飼料摂取量) も過剰のメチオニン添加で有意に低下したが, グリシンの添加によりメチオニン適量区と同程度にまで改善された。またグリシンによる成長阻害の緩和は飼料摂取量に差がない場合でもみられることから, 飼料の利用性の改善によるところが大きいものと考えられる。
著者
河野 憲太郎 樋浦 善敬 山本 興三郎
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-14, 1971-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

1. 鶏卵の卵黄をLUFT11)の10%アクロレイン0.05Mりん酸緩衝液 (pH 7.4) に5~7日間冷暗所で固定, 3~7μ, 通常5μの凍結切片を作成, スダンIVまたはスダンブラックB-55%アルコール液, 1%ナイルブルーA液, BAKERの酸ヘマティンなどで脂質染色を施し, また切片作成後, HELLY液後固定-アザン染色, ピリジン抽出後 SCHIFF反応 (アクロレイン-SCHIFF 反応) などを行なった。実験鶏に対しあらかじめスダンIVまたはスダンブラックBの飼料中混合給与, または色素のコロイド液の静脈内注射を行ない, 卵黄内に形成される色素の縞によって卵黄球が形成された時期を推定した。色素の縞模様の形から発育中の卵黄内には一種のポテンシャル流を生じるのではないかと考え, 電気的モデル試験を行なった。回路は流体力学で利用されるKOHLRAUSCH橋を用いた。2. 白色卵黄球はラテブラ, ラテブラの頚, パンダー核, および胚盤の周囲の卵黄表層に分布し, 他の部分には黄色卵黄球のみが観察された。ラテブラの中心部から胚盤の隣接部にかけて原始卵黄球が分布し, 胚盤に接近するほど小型化し, 包含物中に空胞を生じ, 遂には小泡の集団のような構造を呈した。3. 白色卵黄球には, 大きな滴状包含物を1個含む3~25μの原始卵黄球から, 多数の微小滴状包含物を含む40μ前後のものまであり, その直径が増加するに伴なって, 包含物は微細化し, かつ数を増す傾向を示した。黄色卵黄球は径30~150μで, 微細な顆粒状包含物を無数に含むが, 部位によっては顆粒がやや粗いものも存在した。両卵黄球の包含物は, その染色性からたんぱく質が主成分で, 少量のりん脂質を含むことを示し, 基質はたんぱく質のほか脂肪の存在を示した。中性脂肪滴は流動的で, その局在が明らかでなかった。両卵黄球間の最大の差は基質のりん脂質の濃慶にあり, 白色卵黄球の基質は酸ヘマティンに対しほとんど陰性か弱陽性であったが, 黄色卵黄球は強陽性を呈した。4. 層状構造はラテブラにおいて常に認められ, 原始的な卵黄球とやや大型の卵黄球とが交互に配列するが, 外層ほど黄色卵黄球の形態に近づく。ラテブラの外側の黄色卵黄球の層では, 少数例を除いて形態や染色性は層状構造を示さなかった。5. 卵黄球間の連続相は原始卵黄球の存在部位でかなり多く, その他の卵黄球の部位ではごく少量であった。その染色性は少量のたんぱく質の存在を示した。6. 卵黄の中層ないし内層のスダン色素の縞模様は, ラテブラの頸の附近で一旦大きく隆起し, 陥凹し, さらにラテブラの頸に沿って小さく隆起する傾向を示した。電気的モデル実験の結果, 高抵抗部に適当な範囲内の抵抗をかけ, その抵抗を絶縁部に接近するほど高めることによって, この模様を近似的に再現し得た。7. 以上の結果を基として, 卵黄球の種類, 成分, 分布, ポテンシャル流の原因などに関し考察を加えた。
著者
丸 猶丸 一戸 健司 石島 芳郎 佐久間 勇次 佐々木 実
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.83-87, 1966-04-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

従来実施が困難とされていたヤマドリ, ニッポンキジに人工授精を応用し, 次のような結果を得た。1. ヤマドリでは受精率90.1%, 対受精卵孵化率85.3%, 対入卵孵化率67.5%であった。2. キジの場合は受精率77.5%, 対受精卵孵化率87.1%, 対入卵孵化率67.5%であった。3. 週1回のマツサージ法による精液の採取量は, ヤマドリ, キジの何れにおいても0.02ml内外で, 採取直後の精子の活力は90%であつた。4. 繁殖期における産卵数は, ヤマドリ19個 (11~40個), キジ27個 (18, 35個) であった。5. 孵化に要する日数は, ヤマドリは24.5日, キジでは23.2日であった。以上の結果から, ヤマドリ, ニツポンキジの人工授精による繁殖が可能であることが立証された。
著者
丸 猶丸 一戸 健司 斉藤 臨 平林 忠
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.96-101, 1968-04-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
8

1. ヤマドリの産卵数は平均19.8 (5~40) ケ, 産卵期間は55.7 (10~97) 日で可成りの個体差がみられ, その最盛期は4月中旬~5月中旬と思われた。また年令の点では, 3, 4才のものが優れていた。2. 人工授精による受精率は84.3%, ふ化率 (対受精卵) は84.0%と良好な結果が得られた。3. 精液の採取可能期間は3月上旬~6月上旬までで3月中旬~4月中旬が最も結果がよく, その採取量は平均0.025 (0.005~0.1)ml, 一般に3, 4才の種禽から多量の精液が得られた。4. 上記の3点から, ヤマドリの繁殖適令期は3, 4才と思われ, またその繁殖最盛期に♀, ♂によって約1ケ月間の幅があるので, これらの調整がヤマドリの増殖をより有効ならしめる要因であると推察した。5. 一般に♀雛の発生は♂雛よりも多く, この傾向は受精率の高い場合により明瞭に現われていた。また産卵順位と雛の性比との間にも何等かの関係があるように思われた。6. 雛の成育には, 4週令頃より♀, ♂による差異が認められ, この頃が雛の♀, ♂分離飼育の適期と推察した。以上は, 過去5年間に亘る人工授精によるヤマドリの繁殖成績を考察したものであるが, 不備の点が多いので, 今後なお追試によって解明したい。
著者
樋浦 善敬 河野 憲太郎
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.286-291, 1982-09-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
35

本研究は採卵鶏の産卵開始期における2黄卵の産卵の機序を調査した。供試鶏120羽に脂溶性色素, スダンIII或いはスダンブラックを連日24時間間隔で静脈内注射した。これら鶏から産卵開始後30日間に産卵された正常卵2,914個と2黄卵157個の各卵黄内の色素輪を観察して, 卵巣卵胞の成長と排卵の様相を検討した。2黄卵の内, 約85%は2個の卵黄内の色素輪数が同じく, 残り約15%は両卵黄内の色素輪数が異なっていた。また前者における2個の卵黄の平均重量差は0.28gであり, 後者の場合には両卵黄の重量差は平均1.08gであった。両者の平均値の差は0.1%水準で有意であった。1日に休止期から急速成長相へ転移する卵胞の数は0, 1及び2個の場合があり, それらの出現相対比率はそれぞれ23.6%, 62.9%及び13.5%であった。同日に急速成長相へ転移した2個の卵胞の内, 約27%はほぼ同時に排卵されたが, 残りは互に排卵日を異にした。本実験結果から, 産卵開始期においては急速成長相へ転移する卵胞数, 卵胞の序列制及び卵胞の排卵反応性などがまだ充分に確立されていないことが明らかとなった。従ってこのような状況下で2黄卵もまれに産卵されるものと推察された。
著者
田名部 尚子 小川 宣子
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.282-285, 1975-11-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
5

市販ウズラ卵を1974年5月より1975年4月まで毎月中旬に名古屋•岐阜地区の3店より購入してその卵質を調査した。卵黄高, 卵黄係数, 卵白高はいずれも著しい季節的変動を示し, 気温の上昇とともに低下し7月および8月に最低になった。また気温の下降に伴い高くなり10月から3月までは高い値を示した。6, 7, 8月には腐敗卵の発生がみられ, 7月には25%に達した。このことから市販ウズラ卵は産卵後かなり長い期間 (20~60日) 経過したものが店頭におかれていることが想像された。