著者
宮本 友樹 山本 隆太郎 片上 大輔
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.731-735, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

本研究では,対話型擬人化エージェントの受容性について,日米比較の観点で議論する.具体的に,「調査1:社会に進出するロボットとの対話に関する受容性のオンライン調査」および「調査2:対話型擬人化エージェントとの対話を想定した言語的配慮の印象評価」を実施する.調査1では,固有の擬人化エージェントを指定せず,社会に参画するロボット全体に対して抱いている否定的態度と不安印象を評価する.調査2では,対話型擬人化エージェントと対話する想定の動画を実験参加者に視聴してもらい,その印象を評価する.これらの調査の結果,アメリカ人参加者は擬人化エージェント全体に対する否定的態度や不安な印象が日本人参加者より強い傾向にあったが,その一方で擬人化エージェントと疑似的な対話を行なうシチュエーションにおいてアメリカ人参加者に対する受容性を日本人参加者よりも高めることが可能であることが示唆された.
著者
秋山 英久 中島 智晴 五十嵐 治一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.691-703, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
42

本稿では,RoboCup サッカーシミュレーション2Dを題材として,ゲームAIにおける局面評価の表現法と学習法を概説する.一般的に,サッカーゲームは動的環境下におけるマルチエージェントシステムの代表的な例として知られている.そこでまず,RoboCupサッカーシミュレーションをゲーム AI 研究における他のベンチマークテストと比較し,類似点や相違点について議論する.次に,サッカープレイヤが行動選択をするメカニズムとして行動連鎖の考えに基づいた探索法を示す.それは,チェスや将棋プログラムと同じように探索木と局面評価による状況の「読み」に基づいており,チームメイトとの協調行動を計画し,選択することが可能である.そして,行動連鎖生成で用いる局面評価モデルを機械学習の枠組みにより構築する方法を様々な事例をあげながら概観する.
著者
山口 翔大 下川原(佐藤) 英理 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.547-551, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
9

近年,機械学習や画像処理を用いた読唇技術に関する研究が国内外でおこなわれている.これらの研究では,認識手法や認識精度に焦点を当てたものが多いが,実際に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者に焦点を当てた研究は少ない.機械による読唇技術において認識精度の高かった話者であっても,聴覚障害者にとって読唇をしづらい話し方である場合もある.そこで本研究では,日常的に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者にとって,読唇がしやすい話し方を数値的に解析すべく実験と調査をおこなった.
著者
許 志雄 新井 隆之 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.150-156, 1998-02-15 (Released:2017-09-22)
参考文献数
4

For people who are speech impaired and use Japanese sign language, it is helpful to develop an interactive Japanese sign language interface. Yamaguchi and Yoshihara etc. have proposed and realized a method for it. It uses only spatial motion features of different sign languages and doesn't think about the shape of hands. However, both spatial motion and shape of hands are important in sign language recognition. In this paper, we propose a method which employs skills of image processing to process and analyse simple shape of hands, and combine it with the method mentioned above. In our system, we also use Fuzzy Associative Memory Organizing Unit System(FAMOUS), which has property of robustness, to perform associative inference. Our system is person independent with high recognition rate.
著者
田中 成典 山本 雄平 姜 文渊 中村 健二 清尾 直輝 田中 ちひろ
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.821-830, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツにおけるICTの活用として,選手をトラッキングする画像処理の研究が行われている.しかし,アメリカンフットボールなどのフィールド上での選手のオクルージョンが頻発する競技では,選手位置が正確に取得できない.そのため,選手の移動軌跡が分断され,正確なトラッキングが難しいことが課題となっている.そこで,本研究では,複数地点から撮影した映像から得られた移動軌跡を用いて,それらを相互に補完することでオクルージョンに頑強な選手のトラッキング手法を提案する.これにより,GNSSセンサなどのデバイスを相手選手へ装着ができない課題を解決する.
著者
面﨑 祐一 増山 直輝 能島 裕介 石渕 久生
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.531-536, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マルチラベル多目的ファジィ遺伝的機械学習は,進化型多目的最適化手法により識別器の識別性能最大化と複雑性最小化を同時に考慮したファジィ識別器の学習手法である.しかし,マルチラベル識別問題において,識別性能に対する尺度が複数存在し,各評価尺度に対して最適な識別器を獲得するためには識別器の学習を複数回実行する必要がある.そこで本研究では,一度の実行で複数の識別性能評価尺度に対して最適な識別器を同時に獲得する多数目的最適化への拡張を行う.数値実験では,多数目的化したことによる探索性能への影響を多目的最適化の場合と比較することで調査する.
著者
戸田 雄一郎 宮瀬 光梨 岩朝 睦美 和田 亮雅 竹田 宗馬 松野 隆幸 久保田 直行 見浪 護
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.872-884, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
15

未知環境において移動ロボットを自律行動させる場合,ロボット自身が自己位置推定および障害物の認識,目的地までの行動計画を行う必要があり,各タスクに応じた作業空間の環境地図を必要な粒度で獲得しなければならない.また,このような自律移動ロボットを災害現場や商業施設など様々な環境へ導入するために,未知環境において状況や用途に応じた経路計画を行う必要がある.そこで本研究では,高精度な自己位置推定のために用いる粒度の細かいメトリックマップから経路計画に適したトポロジカルマップを獲得するために,自律移動ロボットのためのGNGに基づく環境のトポロジカルマップ構築に関する新たな手法を提案する.本提案手法では,メトリックマップに含まれている占有度情報を環境地図の幾何的な構造を保持したまま学習することが可能である.つぎに,提案手法により位置情報と占有度情報を含んだトポロジカルマップを構築し,占有度を考慮した未知環境における経路計画手法を提案する.さらに,実機を用いた検証実験において未知環境における経路計画実験を行うことで提案手法の有効性を示す.
著者
阿部 真大 中島 健太 新妻 実保子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.651-656, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20

仮想空間でのスムーズな作業を行うためには,空間を正確に認識し,三次元空間内の物体などの情報を直感的に扱えることが重要である.本研究では,HMDを用いた両眼視差に基づく立体視と.距離画像センサによる身体動作計測を融合したVRゲームを構築した.また,没入感や操作性を高めるために,振動グローブを用いて触覚情報を提示した.実験により,実スケールの身体動作,三次元立体視,触覚提示による物体操作の有用性を検証した.その結果,立体視によってゲームの印象が向上し,実スケール身体動作によりゲームのスコアが向上することが確認された.
著者
下川原(佐藤) 英理 関野 遥香 李 有てい 黒田 知士 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.527-532, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本論文ではロボットが人に行動を促したりタスクを依頼する場面において,ジェスチャー表現が行動受諾にどの程度影響を与えるのか,アンケートと生体センサ(心拍センサと脳波センサ)の結果を分析し報告する.ロボットが人と日常生活を共にする上で,ロボットが人に行動を促したり協働でタスクを遂行しなければならない場面は今後ますます増えると考えられる.行動の促しやタスクの依頼を受け入れてもらうためには,発話内容だけでなく非言語情報も含めたマルチモーダルインタラクションが重要である.そこで本論文では非言語情報の1つであるジェスチャーに着目しその影響を調査した.ロボットが人に行動を促す時の表現を,発話内容の感情に合わせたジェスチャーと発話内容の感情と逆のジェスチャー,ジェスチャー無しの三条件で比較したところ,ジェスチャー無しよりもジェスチャー有りの方が行動を受け入れ実際に行動する可能性が高く,また行動を促された時にストレスを感じにくいということが示された.
著者
鷲見 公崇 吉川 大弘 古橋 武
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.869-872, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
4

事象関連電位P300は,脳波特徴量の一つである.このP300を利用した技術に関する研究はこれまで盛んに行われてきたが,脳波を計測するため“脳波計”が高額であるため,これらの技術の普及が難しいという課題がある.この課題の解決策の一つに,価格が低額である簡易脳波計の利用が挙げられるが,簡易脳波計は計測精度が低いことが知られている.そこで本論文では,簡易脳波計を用いて計測されたP300に対する検証と,より精度の高いP300計測のための工夫を行う.
著者
服部 凌典 岡本 一志 柴田 淳司
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.640-650, 2021-05-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
20
被引用文献数
2

間取り図が賃料予測に与える影響を明らかにするために,間取り図を考慮した賃料予測モデルを構築し,間取り図の有無による予測誤差を検証する.間取り図の特徴抽出器には,主成分分析,Bag of Features(BoF),Fisher Vector(FV)を適用し,予測器には線形回帰とLightGBMを採用する.LIFULL HOME’Sデータセットを使用した賃料予測実験から,線形回帰においては間取り図を考慮することで,全てのカテゴリ(都道府県と間取り規格の組み合わせ)で予測誤差の95%信頼区間が短くなり,さらに,カテゴリによっては予測誤差の平均値が改善することを確認している.また,検討した3つの間取り図の特徴抽出器の中でBoFが最も予測精度が優れているといえる.
著者
兼岩 尭希 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.907-911, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

擬音語・擬態語の総称であるオノマトペは,音象徴性を持つとされる.音象徴とは,特定の音が特定のイメージを喚起する事象であり,類似した特定の音は類似した特定のイメージを喚起できると考えられる.浦田らは,この音象徴性に基づいて,オノマトペの意味の類似関係をオートエンコーダの中間層によって可視化するオノマトペ・シソーラス・マップを提案した.このマップ上の局所的な位置関係は,オノマトペ間の意味的な類似関係を概略的に表すことができると報告されているが,音象徴の可視化に関して評価が十分なされたとは言い難い.本研究では,音象徴に関する言語学的知見を元に仮説を設定し,マップの可視化能力について検証を行った.検証実験の結果,マップは仮説をある程度支持するものの,一部については仮説と異なる結果が得られた.
著者
岨野 太一 今井 倫太
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.582-592, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
40

本論文では,目的のない散歩において,人と一緒に散歩するパートナーとなるロボットの発話の量について検討する.発話の量の調整は,話者に対する聞き手の印象や,会話自体の印象に対して大きく寄与する要素である.散歩においても,一緒に歩くパートナーとの会話は,散歩自体の印象に寄与すると考えられ,発話量に関する知見を得ることは大変重要である.本論文では,4種類の発話量のロボットに対して,参加者内計画による検証実験を行い,発話量についての多寡の感覚と,発話量による印象の変化について調査を行った.結果,4~5秒の短文の発話において,発話の開始から次の発話の開始までが10秒である場合に発話量が多いと感じ,40秒だと少なく感じるという知見が得られた.また,発話の開始から次の発話の開始までが20秒以下である場合,散歩のパートナーとしての評価や好ましさ,知的かどうかの印象の面で,他条件に対して有意に高評価であった.
著者
Michal PTASZYNSKI Pawel DYBALA Wenhan SHI Rafal RZEPKA Kenji ARAKI
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.194-213, 2009-04-15 (Released:2009-06-30)
参考文献数
63
被引用文献数
7 19

We propose a method for affect analysis of textual input in Japanese supported with Web mining. The method is based on a pragmatic reasoning that emotional states of a speaker are conveyed by emotional expressions used in emotive utterances. It means that if an emotive expression is used in a sentence in a context described as emotive, the emotion conveyed in the text is revealed by the used emotive expression. The system ML-Ask (Emotive Elements / Expressions Analysis System) is constructed on the basis of this idea. An evaluation of the system is performed in which two evaluation methods are compared. To choose the most objective evaluation method we compare the most popular method in the field and a method proposed by us. The proposed evaluation method was shown to be more objective and revealed the strong and weak points of the system in detail. In the evaluation experiment ML-Ask reached human level in recognizing the general emotiveness of an utterance (0.83 balanced F-score) and 63% of human level in recognizing the specific types of emotions. We support the system with a Web mining technique to improve the performance of emotional state types extraction. In the Web mining technique emotive associations are extracted from the Web using co-occurrences of emotive expressions with morphemes of causality. The Web mining technique improved the performance of the emotional states types extraction to 85% of human performance.
著者
槫松 理樹
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.778-781, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
9

本論文では,可読性の高い文書分類モデルを構築するためにラフセット理論を用いる手法を提案する.本手法では,縮約によって絞り込んだ語句を用い,上近似集合,下近似集合それぞれから抽出した決定ルールと新規文書を照合する.その際,成立した上近似集合からの決定ルールおよび下近似集合からの決定ルールの評価値の最大値の和が最大となる分類を推定結果とする.評価値としては,正確度SI,被覆度CI,リフト値を用いる.専門家の協力のもと,特許公報を題材とした検証の結果,専門家が納得できる決定ルールの抽出に成功するとともに,単純な分類方法よりも高い分類精度を示すことができた.しかし,専門家が納得できたルールは抽出したルールの約25%にとどまり,精度,Kappa係数ともまだ改善の余地がある.また比較対象としたナイーブベイズ分類に対する優位性を示すには至らなかった.今後の課題としては,実験結果を分析し,アルゴリズムを改善することが挙げられる.
著者
大田原 菜々 稲子 明里 塚原 裕史 小林 一郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.722-736, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

近年,車の自動運転の実用化に向けた活動が急速に進展している.今後,自動運転車の操作を容易に行うために,自然言語による対話的な操作を可能にすることが必要であると考えられる.そこで,本研究では,自然言語で表現される駐車指示から空間的意味内容を抽出し,その空間的意味内容と,車に備え付けられたセンサーによって認識される実世界を対応付け(グラウンディング)ることで,駐車指示内容に含まれる行動や物体などを表す言葉と,実世界上での行動や物体を結びつける手法を提案する.本研究では,駐車指示から空間意味内容を抽出する手法と,得られた空間意味内容と環境表現の対応付けを行う手法の2つを考えている.空間意味内容の抽出には,制約を組み込んだ特別な組み合わせ範疇文法(CCG)により与えられる構文木を中間情報として用いている.この際,未知語が現れた場合はCRFにより推定を行う.また,得られた構文木をリランキングすることで,精度を改善している.この構文木を,特定の変換規則によりSpatial Description Clause(SDC)と呼ばれる木構造による階層的空間意味記述に変換する.我々はKollarらにより提案されたSDCを拡張し,新たなタイプを追加している.グラウンディングを行う手法では,グラウンディンググラフと言う確率的グラフィカルモデルを生成し,グラフ全体の確率を計算することにより,それぞれの言語に対応したグラウンディングを出力している.構文解析が成功した文に対するグラウンディングの精度は全体で79.2%となった.
著者
澤崎 夏希 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.668-677, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

深層学習によって様々な分類問題が解決されているが,分類カテゴリ毎のデータ量が不均衡な問題を扱う場合,多くの課題がある.不均衡データへの対策として,少量カテゴリのデータ量を増加させ均衡化する手法がある.これをかさ増しと呼び画像処理分野ではノイズの付与や回転による方法が一般的である.最近ではGenerative Adversarial Network: GANによる画像生成手法を用いる場合がある.一方で,自然言語処理の分野では有効なかさ増し手法はいまだ確立されておらず,人手によるかさ増しが行われている.人手によるかさ増しではルールの設計など負担が大きく,機械的なかさ増し手法が必要となる.しかし,文章生成における機械的なかさ増しは画像生成に比べ不安定である.これは文章の特徴獲得の難しさが原因だと考えられる.そこで本論文ではグラフ情報に注目した機械学習による文章生成手法を提案する.CaboChaによって生成されたグラフ情報をGraph Convolutionにより畳み込み処理する.提案するGANにより生成されたかさ増し文章を3つの計算実験により評価し有効性を示した.