著者
久保 義光
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.161-165, 1958 (Released:2009-09-04)
被引用文献数
1

Mechanical properties of ice are tested about the natural ice of the River Sungari, Manchuria. Considering the relation between the loading direction and the crystal axis of ice, the strength and the elastic modulus of ice for tension, compression, bending and shear are obtained varying the temperature of ice from 0°C to-30°C.
著者
宮内 信之助
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.7-14, 1977

近年, 多雪地帯においてはカラー鉄板を使った屋根が普及してきたが, この屋根は雪との摩擦が小さいことから, 多くの家で雪止めをつけないでそのまま自然に雪を落す方法がとられるようになった.この屋根の使用によって, 雪おろしの労力が省かれる利点がある一方, 雪の滑落による危険性もあわせて存在する.このような屋根の普及にもかかわらず, この自然落下法の欠点についてはこれまで十分検討されてこなかった.<BR>1974年以来新潟県長岡市, 十日町市, 津南町の三地区でカラー鉄板を使用した76軒の屋根の冬期における状況の調査を行った.<BR>この調査から次の三つの結果が得られた.<BR>(1) 新潟地方を襲った1975年1月9日~1月13日および1976年1月18日~1月24日の豪雪においては, 屋根の勾配に関係なく, カラー鉄板を使った屋根に多量の雪が積もった.これは積雪が屋根表面に凍りついたためである.<BR>(2) 降雪後温度が上昇すると, 急激な滑落が起り6m以上も雪が屋根から飛ばされた.<BR>(3) 十日町市で起った事故から屋根面と積雪間の0℃以上の摩擦係数が推定され, その値は約0.1であった.
著者
対馬 勝年 木内 敏裕
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.349-356, 1998-09-15
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

氷の摩擦が結晶面によって変わり,(0001)面が摩擦最小になることに着目し,氷の結晶面をコントロールすることによって,より滑る高速スケートリンクの開発を試みた.天然の氷筍が巨大単結晶になることに注目し,4800個の点滴装置をもつ氷筍育成装置が試作された.単結晶の氷筍1200本から(0001)面を切り出した.その氷片3.6万枚を,ショートトラックリンクに張り付けた.テストスケートによる滑走テストを行った.動摩擦係数は張り付け前のリンクに比べ22%も減少したことから,高速スケートリンクになったことが確認された.
著者
村松 謙生
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.83-85, 1986-06-30 (Released:2009-08-07)
参考文献数
4
著者
高木 秀貴
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.371-378, 1995-11-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
3
著者
山崎 剛
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.131-141, 1998-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
33
被引用文献数
6 8

厳寒地に適用することを主目的として,積雪の鉛直1次元モデルを開発した.このモデルは気象データを入力して,積雪の温度,密度,含水量の鉛直分布を計算するものである.モデルは積雪を等間隔に切った単純な構造をもち,液体水の流下やアルベードは非常に簡単な扱いになっている.厳寒地でよく見られるしもざらめ雪を考慮するために,有効温度勾配を導入した.これにより熱伝導率や圧縮粘性係数のしもざらめ化による変化を取り入れた.また,降雪と降雨の比は湿球温度の関数として与えた.モデルの検証として,札幌と北海道東部のアメダス観測点でのひと冬通してのシミュレションを行った.札幌の計算では積雪深,積雪水量,雪温・密度の鉛直分布をほぼ再現できた.北海道東部では,積雪がしもざらめ化していく様子を計算できた.
著者
石川 信敬 中谷 千春 兒玉 裕二 小林 大二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.31-43, 1994
被引用文献数
4 1

熱収支法を用いて実験流域内の融雪特性を求めた.まず標高,斜面,森林密度の3地形要因で流域の特徴を表現し,次に気象要素と各地形要因の関係を調べ,気温と水蒸気量は標高に,風速は標高と森林密度に,日射量は森林密度と斜面に依存することを明らかにした.さらに得られた気象要素と地形要因との関係を用いて基準点の観測値を補正し,流域内任意の標高の融雪熱収支を求めた.本実験流域においては,流域下部では風速と日射に対する森林の遮蔽効果により融雪量は小さいが,標高に伴って森林面積が減少することにより高地程融雪量が増大するという融雪特性が明らかになった.なお全面積の70%は流域下部にあるため,流域全体の融雪量は基準点の約81%であった.
著者
ト藏 建治 林 信二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.543-550, 2003-11-15

近年の温暖化傾向のため増加しつつある温帯低気圧の発達・接近で東北地方北部太平洋側(青森,岩手県)では2年続きの暴風雪災害が発生している.2003年3月8日と2002年1月27日に南岸低気圧の発達・接近によりこれら地域に記録的な降雪がもたらされた.被害の実態は強風・波浪による沿岸養殖に関わる漁業施設や港湾などの土木施設が金額的には大きく報告されている.しかし,太平洋から吹きつける東風によりもたらされる湿った重い雪(ヤマセ雪)によりビニールハウスや畜舎などにも大きな被害が出ており,被害域は降雪量の多さに良く対応している.暴風雪のたびに注目されたのは2万戸以上の停電が生じ,12時間以上に及ぶ長時間の停電も多発したことである.停電の原因は電線着雪と言った一次的な雪害ではなく,送電線付近の樹木が雪荷重により倒木・枝曲がりし送電線に接触することによる停電で雪による二次災害(雪害)である.森林の維持管理に対する充分な検討がくわえられない限り,今後もこの種の雪害は繰り返し発生するだろう.
著者
町田 誠 早川 典生 町田 敬 坂上 悟
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.457-469, 2007-07-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
8
被引用文献数
2

わが国における爆薬を使用した人工雪崩誘発技術は,半世紀近い歴史を有し独特の発展を遂げてきた.しかし,その経緯を知る人は少なくなり,またその技術的発展段階では経験的要素も多いが,多くの基礎知識が積み上げられたもので,いまだ有用な技術が多い.本論文はこれまでの人工雪崩の歴史を概観し,あらたに爆薬の選定と積雪層への装薬法を検討した.さらに応用研究として,斜面での雪崩誘発技術と雪庇処理技術の開発を試みたので,それらの結果を報告する.
著者
曽根 敏雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.227-233, 2004-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

北海道置戸町,鹿ノ子ダム左岸の風穴が分布する斜面において地温観測を行なった.ここには永久凍土が存在していたが,1979年の人工改変により斜面の状況が変化し,1990年までには永久凍土は消滅したと考えられている.しかし寒冷であった2001年に地下2m深で越年性凍土が形成された.年平均気温が約4℃以下の寒冷な年が継続すれば,再び永久凍土が形成される可能性が高い.
著者
白樫 正高 古塩 淳 徳長 靖 橋本 斉 脇屋 正一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.75-82, 1986
被引用文献数
2 1

ポンプ・管路系による雪の水力輸送を,市街地のような広い地域からの排雪手段として適用する場合,小径の管を順次合流させ,大径管により長距離を輸送するのが適当と考えられる.本研究ではこのような樹木状配管における合流部の形状で最も基本的と考えられるT字形合流管における雪水二相流の損失動力を実験的に調べた.内径77mmの本管に同径の支管が直角に交る合流管において,雪の吐出し体積分率の等しいざらめ雪・水二相流が合流する場合の,合流前の本,支管流量Q1,Q2,管に沿った圧力の低下,合流後の雪の吐出し体積分率を測定した.比較のための試料としてプラスチックビーズを用いた.合流後の流量Q3一定の条件下で雪水二相流の合流損失は清水(せいすい)の場合と同様の挙動を示した.すなわち,雪水混合体を均質流体とみなして定義した合流損失係数と流量比Q2/Q3の関係は清水の場合とほぼ一致し,雪の混入による合流損失係数の増加は小さい.これに対し,プラスチックビーズ・水二相流ではビーズの分率とともに合流損失係数が大きくなる傾向が明らかである.以上の結果から,ざらめ雪・水二相流のT字管における合流損失動力は,清水についての合流損失係数を用いて概略推定する事ができると考えられる.
著者
藤田 秀二 上田 豊 東 久美子 榎本 浩之 亀田 貴雄 高橋 修平 古川 晶雄 松岡 健一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.415-425, 2002-07-15 (Released:2009-08-07)

近年のデータ通信環境の進歩に伴い,南極雪氷観測データの取り扱いに関しても,その保存・公開方法の見直しが急務となっている.南極研究プロジェクトの努力の結晶であるデータが,将来にわたり価値を保ちつつ研究に活用され,散逸の危険なく安全な保存がなされ,且つ,アクセス権・版権・公開方針が一定のルールのもとで取り扱われる必要がある.こうしたマネジメントの善し悪しが,研究コミュニティーの将来の知的生産性に決定的に影響するため,問題提起と要点の整理を目的として本稿を提出する.各国の事例を参考に,マネジメントに求められる諸機能を分析した.重要な点は,長期に安全に維持運営される必要があること,国家事業として実施されてきた南極観測を対象としたマネジメントであること,それに,研究コミュニティーがこれを実質的に構築し且つ利用者となることである.このため,(1)南極研究機構のなかでデータマネジメント機構を作る体制が望ましい.(2)情報管理の専門性と手間を考慮した場合,専門情報技術者を配置した維持管理が不可欠である.さらに,(3)仕組みが機能するには,研究コミュニティーからのサポートが不可欠である.
著者
松沢 勝 石本 敬志 前野 紀一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.19-28, 1996-01-15
被引用文献数
3 1

スパイクタイヤ使用禁止以降,社会問題となっている凍結路面の形成過程を明らかにするために,降雪のあった日の夕方から,翌朝にかけて路面の調査を行った.本調査では,気象観測や交通量観測に加え,道路雪氷試料を採取し,偏光顕微鏡による薄片観察を行った.その結果,圧雪の表面に厚さ0.2~4mm程度の氷膜(氷板)が形成されることが明らかになった.同時に行った気象観測の結果より,この氷膜は,車両の影響で融けた水分が再凍結することによって生じることがわかった.さらに,このような氷膜の形成の有無は,時間交通量(無降雪時は,降雪が止んだ後の積算交通量)と時間降水量の関係によって,決定されることが明らかになった.また,自動車のスリップ時に発生する摩擦熱に加え,排気口からの暖められた排出物も道路雪氷の融解・再凍結を促進することがわかった.
著者
石坂 雅昭
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.23-34, 1995-03-15
被引用文献数
8 3

日本の積雪地帯のうち,メッシュ気候値が整備されている地域を,その地域の積雪の堆積環境から推定される雪質を考慮して,「湿り雪地域」,「乾き雪地域」,および「しもざらめ地域」の三つに分けた.ただし,湿り雪地域と乾き雪地域の境界は,さほど明瞭ではないので,その中間的な遷移領域として「中間地域」を設けた.湿り雪地域では,厳冬期にも融雪や降雨による積雪表層からの水の浸透によって,積雪の全層が水を帯び,雪温は一冬季をとおしてほぼ0℃で経過し,温暖変態が支配的である.一方,これより気候的に寒い地域でしもざらめ雪地域でない積雪地域を乾き雪地域とした.すなわち乾き雪地域では,厳冬期には雪温が0℃以下に保たれることが多く,寒冷変態が卓越する.しもざらめ雪地域では,寒冷な上に積雪が少ないので,積雪層内の温度勾配が大きく,しもざらめ雪が発達する.湿り雪地域と乾き雪地域は気温によって,またしもざらめ雪地域は,気温と積雪量によって決まると考えた.前者は筆者らが行った中部地方の積雪調査にもとづき,1月の平均気温の気候値から推定した.すなわち,1月の平均気温が0.3℃以上の気候値をもつ地域が湿り雪地域に,-1.1℃以下が乾き雪地域に分類され,その間の気温帯は中間地域となった.また,後者は秋田谷・遠藤(1982)の判別式の変数に気候値から推定したものを代入して求めた.
著者
高志 勤 生頼 孝博 山本 英夫 岡本 純
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.277-287, 1979
被引用文献数
5

土を密閉系で水飽和状態で部分凍結し, 間隙水圧の変化を観測することによって凍上力の上限を推定する室内実験を行った.<BR>軸方向に一定の全圧をかけた円柱状供試体の両端を正, 負の一定温度に保った場合, 熱的には数時間でほぼ平衡に達するが, 間隙水圧の変化は2000時間以上継続する場合もあり, 平衡に達するには長時間を要することがわかった.更に, 凍土内部で冷却面に接してアイスレンズが発達しつづけていた.このことは, 凍土内部では凍結面からアイスレンズ成長面まで不凍水が連続していて, 不凍水が凍土中をアイスレンズに向って吸い寄せられ, そのために間隙水圧が降下したことを示している.平衡に達したとき, 土は間隙水圧と全圧から計算される有効応力状態に抗してもはや水分を吸い寄せ得なくなったと解釈し, このときの応力をその凍結条件における上限凍上力σ<SUB>u</SUB>と定義した.得られた上限凍上力σ<SUB>u</SUB>は冷却面温度θ<SUB>c</SUB>に依存し<BR>σ<SUB>u</SUB>=-11.1θ<SUB>c</SUB> [kg/cm<SUP>2</SUP>] <BR>なる実験式を得た.これは方法は異なるがRadd and Oertle (1973) の実験結果と一致する. 更に, この実験式は, 凍土内部の氷層消長面における熱力学関係から, 氷と水の圧力が異なって変化する場合の氷の融点に関する拡張したClausius-Clapeyronの式と一致することがわかった.
著者
杉江 伸祐 成瀬 廉二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.117-127, 2000-03-15
被引用文献数
2 4

積雪中の水の移動を知る上でもっとも重要なパラメータである不飽和透水係数を, しまり雪 (平均粒径0.5mm, 平均密度530kg/m<SUP>3</SUP>) および中ざらめ雪 (1.3mm, 620kg/m<SUP>3</SUP>) と大ざらめ雪 (1.7mm, 610kg/m<SUP>3</SUP>) の3種類の雪について実験室で測定した.実験は, 0℃の恒温槽内にて, 水の流下フラックスを一定にする「フラックス制御型定常法」によって行った.積雪中の水の負圧 (サクション : <I>h</I>) と流下フラックスから, 不飽和透水係数<I>K</I>とサクション<I>h</I>の関係<I>K</I> (<I>h</I>) を求めた.次に水分特性 (サクションと含水率の関係) の測定結果を用い, 不飽和透水係数と重量含水率θ<I><SUB>w</SUB></I>の関係<I>K</I> (θ<I><SUB>w</SUB></I>) に変換した.その結果, 不飽和透水係数Kは, 含水率の減少にともないべき乗の関係で減少することが分かった.これを<I>K</I>=<I>a</I>θ<SUP><I>m</I></SUP>で表わすと, 減少率を表わす<I>m</I>は雪質の違いによって大きな差があり, しまり雪 : 1.9, 中ざらめ雪 : 4.8, 大ざらめ雪 : 6.3となった.従来の研究では, べき乗数を一義的に3とすることがあるが, 雪質によって使い分けなくてはならない.また不飽和透水係数は, 高い含水率の時, ざらめ雪>しまり雪, 低い含水率の時, ざらめ雪<しまり雪の関係が得られた.このことは, ざらめ雪としまり雪で層を形成している時, 含水率によっては浸透を阻害する層構造があることが示唆された.