著者
甘 暁博 木村 彰徳
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.151-152, 2017-03-16

様々な分野で写実的なCGが利用されるようになっているが,食品を写実的に描画するツールはない.テクスチャマッピングを利用して比較的よく再現できているCG作品もあるが,その食品に注目して見ると不自然な歪みや光沢あることがほとんどである. 本研究では,食品の中でも白ご飯を写実的に描画することを目的としている.そのために,白ご飯をBlenderでモデリングし,物理的性質をもとにパラメータを最適化したレイトレーシングで描画を行う.炊き立て白ご飯粒の物理的性質として扱うのは密度,屈折率,反射率である.これらのデータをもとに,炊かれた大量の米粒が盛られた白ご飯の質感を写実的に描画する.また,VRやARで利用するためには,高速なレンダリングが必要である.そのため,レンダリング時間について評価する.
著者
寺田雅之 竹内大二朗 齊藤克哉 本郷節之
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.224-233, 2014-07-02

集計データのプライバシーを差分プライバシー基準に基づいて保護する上で,データの統計的正確性と計算効率に着目した手法を提案する.差分プライバシー基準は,安全性に対する数学的な裏付けが保障されているものの,(1)非負データが負の値となってしまう場合が生ずる,(2)広範囲のデータの集計値において真値からの偏差が大きくなる,(3)疎なデータ分布を密なデータ分布へと変化させることにより計算量の著しい増大を招く,などの実用上の課題を持つ.本報告では,これら三点の課題を解決する手段として、Wavelet 変換とTop-down 精緻化処理と呼ぶ方法を組み合わせた,差分プライバシー基準を満たす新たなプライバシー保護方式を提案し,国勢調査データを用いた提案手法の評価結果を示す.
著者
張能 美希子 チョウノウ ミキコ Mikiko CHONO
雑誌
千葉商大紀要
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.47-63, 2008-03

本稿では動態的差別の定義を用いてタスマニア先住民抹消について説明した。動態的差別の定義は差別の2つの特徴,時間による差別の変化と差別の多面的な社会的機能に注目して提唱されている。従来の差別研究で,差別は画一的にネガティブな現象として提えられ,十分な検証を終えずに差別の撤廃という目的に向けて議論は進められがちであった。しかし,動態的差別の定義においては,差別が比較的無害な状態から,有害な状態へと変化するとしており,さらにそれらの変化が差別要素のスパイラルによって行われる,と説明されている。タスマニアの先住民は多くの書物で「絶滅した」とされている。しかし2001年現在,タスマニアのアボリジニの人口は15,733人居り,彼らは純血ではないものの確かにタスマニア先住民の子孫である。本稿ではタスマニア先住民のケースは,存在自体を抹消されてしまう,という差別の最悪のレベルにまで達しているとした。その上でなぜ,タスマニア先住民の存在が無視され,抹消されてしまうのか,という疑問について動態的差別の定義を用いて論じた。
著者
原田 明美
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDFOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVERSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
no.21, pp.197-211, 2020-03-13

国際教養こども学科の1年生は夏に2週間、ニュージーランドの保育施設で保育実習を行う。その学生のレポートを中心に日本とニュージーランドの保育環境の違いを比較した。結論として、個々の玩具や遊具の機能的な違いはなかったが、その数や配置の仕方が大きく違っていた。それは遊びのとらえ方の違いや、保育の仕方の違いが大きいことが分かった。保育で何を大切にするか、日本の保育者にも求められることを考察した。
著者
小澤 祐也 中野 圭介
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.12, 2019-05-21

定理証明支援系Coqでは,無限に続くリストのような余帰納的構造を持つデータについての証明を,タクティクと呼ばれるコマンドを用いて進めることができる.ただ,Coqでは無限のデータや証明をそのまま扱うことはできないため,再帰的な表現による有限の形で表している.このような無限のデータや証明は再帰関数として表現されるため,意味のないループの形でないという,ガード条件の検査(guardedness check)が証明の最後に行われている.このため証明全体を走査するために時間がかかってしまうという問題や,途中でガード条件が成立しなくなっていてもユーザは証明の最後の検査まで気づくことができないという問題がある.Coqには証明途中でガード条件の検査を行うGuardedコマンドが存在するが,これもそれまでの証明全体を走査するために,タクティクごとに実行すると時間効率が悪い.そこで本発表では,Coqにおける余帰納的証明のガード条件の検査を証明中に少しずつ行い,ガード条件が成立しなくなった際,即座にユーザに知らせることができるような手法を提案する.本手法ではタクティクの実行ごとに新しく作られた部分の証明のみを取得し,その部分的な証明に対してガード条件の検査を行う.検査を行った後は,その時点での環境やゴールのIDなどの情報を保持しておき,次回のタクティク実行時のガード条件の検査に用いる.
著者
中田 清 ナカタ キヨシ Kiyoshi Nakata
雑誌
修道商学
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.25-49, 2007-09-30
著者
山田 伊織
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2018-03-23

定理証明支援系Coqにおける証明は、一般に手続き的証明と呼ばれる形式で記述される。これは対話的証明を前提としており、自然言語による証明記述と大きく異なるため、可読性が高いものではない。この問題を解決するためにCoq用宣言的証明言語C-zarが開発された。宣言的証明は可読性が高く、また外部ツールを導入し易い。しかし、C-zar は手続き的証明に対して記述量が多い上に柔軟性が低く、Coq ユーザに受け入れられなかった。本研究では、Coq の手続き的証明からC-zarの証明を生成することで、両者間の橋渡しを行う。一般に手続き的証明から宣言的証明への変換手法としては、証明項や証明木のような中間表現を経由する方法が考えられ、既に定理証明支援系Matitaでは証明項を経由する手続き的証明から宣言的証明への変換が存在する。しかし、中間表現は元の証明と比べて詳細かつ巨大になり、元の手続き的証明1ステップに対して数百ステップの宣言的証明が生成されてしまう場合もある。一方で、C-zar は手続き的証明で用いられるタクティックと呼ばれるコマンドを利用することができ、これによって手続き的証明の1ステップは、多くの場合C-zarの数ステップと対応させることができる。本研究では、元の手続き的証明と証明項の両方を用いて変換を行うことで、元の証明に近い粒度の宣言的証明の生成を実現する。