- 著者
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高松 節子
タカマツ セツコ
Setsuko Takamatsu
- 雑誌
- 浦和論叢
- 巻号頁・発行日
- no.37, pp.75-129, 2006-12
この論文では、先ず通時的な異分析の意味を明らかにしていく。Jespersenの異分析論を整理し、更にこれらの例に関する他の解釈を調べる。逆成、民間語源、意味構文についての考察をする。次に幼児の聞き誤りと異分析について調べる。Jespersenは幼児の聞き誤りが通時的な異分析につながると指摘した。通時的異分析は、語をはじめて学ぶ者による聞き誤りによっておこされると理解される。固定しない幼児の聞き誤りは共時的異分析といってよい。最後に郡司の異分析論を調べる。郡司はことばが現実よりも操作しやすいという事実を指摘している。そのことが思うままにことば遊びができることにつながる。これは歴史的な語の変化につながらないが、共時的な異分析と理解してよい。郡司はことばを用いる歴史の中において分析能力を備えることと、異分析感覚の発達は重要なことであると説明している。ことばを分析することが出来たから文字をもつことが出来、文字を用いることが異分析能力を発達させた。ことばによって新鮮な表現をする意図が異分析であると理解される。