著者
小久保 博崇 金岡 晃 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2086-2093, 2012-09-15

マルウェアの脅威は日々拡大しており,いまや社会に実害を及ぼす脅威となっている.また未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐことの重要性が高まっている.本論文ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特性を,性質の異なる複数の機械学習手法を組み合わせて学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.決定木の定期的な再学習に加え二次元自己組織化マップ(SOM)による逐次学習を取り入れることで安定して高い精度を保てるように工夫することにより,99%前後の確率で攻撃通信の検知を行うことが可能となった.
著者
小久保 博崇 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.272-276, 2011-10-12

近年,マルウェアの増加率が過去最大になっており,未知のマルウェアが頻出している.そのため,未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐ必要がある.本研究ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特徴を,性質の異なる複数の機械学習手法で学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.
著者
Daichi Nogami Yuuichi Nakano Y-H.Taguchi
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.28, pp.1-2, 2013-06-20

Inference of subcellular location only using sequence information is important. In this paper, we proposed the application of principal component analysis-based linear discriminant analysis for subcellular location information. It achieved the performance of Area Under the Curve under Receiver Operating Characteristic curve mostly more than 0.95 if less than 80% sequence identity non-redundancy was applied.
著者
Shodai Katsukawa Y-H.Taguchi
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.27, pp.1-2, 2013-06-20

Type II diabetes (T2D) was a critical symptom also related to other diseases including cancers. Thus, suppression of T2D is important. In this paper, we investigated microRNAs as candidates of drug targets and biomarkers. A recently proposed principal component analysis based linear discriminant analysis allows us to specify numerous miRNAs differently expressed between type II diabetes patients and healthy control. Type II diabetes, Impaired Fasting Glucose patients, and normal control are successfully discriminated by blood miRNAs.
著者
樋口 翔 野田 淳史 曰野 英逸 村田 昇
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.26, pp.1-6, 2013-06-20

動物は脳内のニューロンの協調的な活動により情報を処理している.この協調の様子をグラフとして表現し,その構造を推定することは,脳内における情報処理の仕組みの理解につながる.ニューロンのシナプス結合には向きが存在するため,ニューロンの結合モデルとしては有向グラフが適切であり,また,グラフ構造推定手法としても有向グラフに適用可能な手法が要求される.本研究では,digraph Laplacian によって有向グラフを簡潔に表現し,グラフ上で情報が遷移する様子をモデル化する.さらに,モデルのパラメータ推定手法を提案する.ニューロンモデルから作成したデータを用いて,提案手法によって有向グラフ構造の推定が可能であることを実験的に示す.
著者
丹野 智博 堀江 和正 小林 高彰 森田 昌彦
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.25, pp.1-5, 2013-06-20

層状ニューラルネットにおいて,入力するアナログ値を多次元の 2 値パターンに変換すると,多変数関数近似器としての性能が大きく向上することが報告されている.本研究では,このパターンコーディングをパターン分類問題に適用した場合の有効性について検討する.2 次元 2 クラス分類問題を対象として数値実験を行った結果,単純パーセプトロンに適用してもあまり効果はないが,さらに多層化する (多層パーセプトロンに適用する) か,選択的不感化を行うことによって,非常に複雑な決定境界を容易に学習できるようになることがわかった.また,境界の複雑さを表す指標を提案し,それが分類誤差と高い相関をもつことを示した.この指標は,パターンコーディングを適用すべきか,どの分類器を用いるべきかを判断するのに有用だと考えられる.
著者
山村 頼子 久保 孝富 山川 俊貴 池田 和司
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.23, pp.1-6, 2013-06-20

局所脳冷却には,てんかん発作を抑制する効果があることが知られている.このことから,局所脳冷却の埋め込み型てんかん抑制装置への応用が期待されている.しかし,局所脳冷却がてんかん発作を抑制するメカニズムは未だ明らかになっていない.本研究では,温度依存的に反応速度が変化する Hodgkin-HuxIey 型イオンチャネルモデルを用いて新皮質の神経ネットワークのシミュレーションを構築し,冷却に伴うイオンチャネルの反応速度の低下がてんかん発作に与える影響を検討した.
著者
齊藤 有紀 石田 貴士 関嶋 政和 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.15, pp.1-6, 2013-06-20

近年,薬剤開発に必要な時間や費用が増大しており,薬剤開発の期間短縮や費用削減が求められている.そのための手法としてコンピュータ上でのシミュレーションを用いて,ターゲットとなるタンパク質を阻害する薬物の構造を設計する手法が注目を浴びている.一方で,薬物として使用する化合物は,体内で代謝・排泄されなければならないという条件がある.この条件を満たす薬物の選定のために行われるのが薬物クリアランス経路予測である.そこで我々は,コンピュータ上で行われるシミュレーションのひとつである,タンパク質と化合物のドッキング計算による結合自由エネルギー計算を,薬物クリアランス経路の予測に応用し,これまで我々が開発してきたクリアランス経路予測システムの精度改善を行った.
著者
鈴木 脩司 石田 貴士 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.14, pp.1-7, 2013-06-20

メタゲノム解析では DNA 配列をアミノ酸配列に変換して相同性検索を行うが、次世代シークエンサの登場によって得られるようになった大量の DNA 断片配列の処理に多くの時間がかかるようになっている。このため、我々はあらかじめデータベースを部分文字列に分割して、類似度が高い部分文字列をまとめておき、まずその代表点に対して検索を行うことで効率よく検索する手法を開発した。
著者
小幡 康文 石田 貴士 夏目 徹 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.13, pp.1-8, 2013-06-20

タンパク質タンデム質量分析は生命科学や創薬などの分野で幅広く利用されている.近年は機器の高速化により,時間当たりで得られるスペクトルの量が増加し,更にタンパク質データベースサイズも増加している.そのためスペクトルの解析に高速な計算機が必要となっている.本研究では,質量分析プログラムであるCoCoozoを対象に質量分析の高速化を図り,アルゴリズムの改良と,それに加えてマルチスレッド化とGPGPU化の実装も行った.その結果,プレカーサ情報が有る場合の解析について,従来に比べて8.9倍の高速化を実現した.更に,プレカーサ情報が無い場合の解析について,12コアCPUを用いた場合で従来に比べて15.9倍,さらにGPUを用いた場合で,従来に比べて18.1倍の高速化を実現した.
著者
Kazuki Fujikawa Kazuhiro Seki Kuniaki Uehara
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.12, pp.1-4, 2013-06-20

More and more biomedical documents are digitally written and stored. To make the most of the rich resources, it is crucial to precisely locate the information pertinent to user's interests. An obstacle in finding information in natural language text is negations, which deny or reverse the meaning of a sentence. This is especially problematic in the biomedical domain since scientific findings and clinical records often contain negated expressions to state negative effects or the absence of symptoms. This paper reports on our work on a hybrid approach to negation identification combining statistical and heuristic approaches and describes an implementation of the approach, named NegFinder, as a Web service.
著者
大野 亮仁 藤 博幸 山名 早人
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.11, pp.1-7, 2013-06-20

G タンパク共役受容体 (G-protein-coupled receptor,以下 GPCR) は,内在性リガンドと結合することで細胞外からの様々なシグナルを細胞内に伝達しており,新薬開発の重要なターゲットとして注目されている.しかし,GPCR と化合物の組合せは膨大であるため,計算機による正確な結合予測手法が求められている.先行研究として,GPCR を構成するアミノ酸配列全長が持つ化学的性質と化合物の化学的性質を用いて結合を予測する手法がある.しかし,GPCR には立体構造が既知のものがあり,その細胞外側の領域にリガンド結合部位が決まっている.よって,リガンド結合部位のアミノ酸が結合に強く影響を与えると考えたため,リガンド結合部位のアミノ酸に注目すべきと考えた.本研究では,全長配列を使用する代わりに,リガンド結合部位のアミノ酸のみを利用することで予測の改善を試みた.特徴量として結合部分のアミノ酸と化合物の化学記述子を用い,SVM により GPCR と化合物の結合を予測したところ,アミノ酸配列全長を用いた時に比べ Accuracy が 3.6%,F 値は 0.038,AUC は 0.002 向上した.
著者
Yuuichi Nakano Mitsuo Iwadate Hideaki Umeyama Y-H.Taguchi
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.10, pp.1-8, 2013-06-20

Type III secretion system (T3SS) effector protein is a part of bacterial secretion systems. T3SS exists in the pathogenic and symbiotic bacteria. How the T3SS effector proteins in these two classes differ from each other should be interesting. In this paper, we proposed the usage of principal component analysis based linear discriminant analysis that discriminates T3SS effector proteins between plant pathogenic, animal pathogenic and plant symbiotic bacteria by the accuracy of 0.77. We also hypothesized that the feature vector proposed by Yahara et al represents protein structure, possibly protein folds defined in Structural Classification of Proteins (SCOP) database.
著者
大羽成征 中江健 吉本潤一郎
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.9, pp.1-5, 2013-06-20

スパイク統計に基づいて神経細胞間の機能的結合を知るための手法として、一般化線形モデル (GLM) に基づく応答関数推定法が提案されている。GLM によれば古典的な 2 ニューロン間クロスコレログラム解析で生じる擬似相関起源の偽陽性を排除できる。しかし、GLM によっても原理的に避けられない偽陽性要因が存在する。本発表ではそのうち 2 つを指摘する。第一は、スパイク検出時刻決定の誤差、第二は時間方向に非線形性の強いダイナミクスを GLM でフィッティングすることによって生じる歪みである。本発表ではまた、これらの偽陽性を避けるために、応答関数可視化法に関する小さなトリック 「GLM クロスコレログラム」 を提案する。これとクラスタリング法と組み合わせて、機能的結合パターンの典型例を見つけることで、通常手法を使った場合に導かれたであろう解釈誤りの可能性を減らせることを示す。
著者
吉高 淳夫 尾崎昂 平嶋 宗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1421-1430, 2009-04-15

映像への効率良いアクセスを実現するためには映像の構造化が不可欠であり,また構造化を行うためにはカット検出だけでなくシーン境界検出等,相互に関係するショットをまとめる処理が必要である.映画やドラマにおいては,2種類の類似したショットが交互に繰り返される,ショット・リバースショットが会話の場面等で多用されるという特徴がある.ショット・リバースショットはカメラ操作をともなわない静的なショットから構成されることが比較的多いため,キーフレームの色領域に関する空間関係の類似度評価等,画像の静的特徴により検出するものが多かった.しかし,パン,チルト等のカメラ操作が施される場合もあり,そのような映像では全体が変化するために従来の静的な類似性判定では検出することは困難である.このようなショット区間の検出は映画のシーン境界検出やインデクシング,検索に必要であり,カメラワークを含むものも検出できることが精度向上のために望まれる.本論文ではカメラワーク成分をキャンセルする処理を施すことで一様な動きをした背景部分の除去を行い,残された主体部分の類似性判定に基づきショットどうしの類似性を判定することによって,カメラワークを含むショット・リバースショットの場面を抽出する手法を提案する.そして,カメラワークキャンセルを考慮しない従来検出法との比較により,提案手法の効果について評価した.
著者
松田 雄馬 小川 雅嗣 矢野 雅文
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.7, pp.1-6, 2013-06-20

常に状況が変化する実空間から物体を知覚する際,大脳視覚野は,限られた時間の中で得られる不完全な情報から,物体を推定する必要がある.こうした不完全情報の代表として,遮蔽された形状を認識する取り組みが行われているが,限られた時間の中でこれを行う枠組みは未だ提案されていない本稿では,著者 (Matsuda) らが既に提案している,遮蔽された不完全な輪郭情報から完全な輪郭情報を推定する手法をベースにして,限られた時間の中で有効に機能する,遮蔽された形状を認識する認識手法を提案する.
著者
木村 学人 山川 俊貴 井上 貴雄 藤井 正美 鈴木 倫保 庭山 雅嗣
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.6, pp.1-4, 2013-06-20

皮質脳波計測プローブに NIRS を組み合させた埋め込み型多機能脳活動計測フレキシブルプローブを開発した.これは脳の電気的活動と血液動態の変化を同時計測することが可能なデバイスであり,頭皮上にプローブを設置して測定する EEG や頭皮上 NIRS と比較して低ノイズで高空間分解能な計測が可能である.また fMRI,SPECT,PET と比較して高時間分解かつ簡便な計測が実現できる.本報告では,計測原理と構造を簡単に述べ,近赤外光の平均光路長ならびに浸透深さに関するモンテカルロシミュレーションの結果を示す.また試作デバイスのフレキシブル回路技術を用いた製造方法について述べる.提案デバイスにより,てんかん焦点位置のより高精度な特定や脳科学研究の発展へ寄与することが期待できる.
著者
Yudai Suzuki Kazunari Yokoyama Naomi Sakuramoto Y-H.Taguchi
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.5, pp.1-2, 2013-06-20

Soil microbiological biodiversity has recently been shown to be causally related to soil diseases. In this study, we attempted to elucidate soil microbiological interactions by numerically analyzing the carbon-resource consumption rates in soils provided by a number of domestic companies and research institutes.
著者
吉田光佑 清水優 吉本潤一郎 土岐茂 高村真広 岡本泰昌 山脇成人 銅谷賢治
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.4, pp.1-2, 2013-06-20

うつ病の診断及び治療等において従来の経験に頼った手法ではなく、機能的核磁気共鳴 (fMRI) 技術を用いる研究が盛んに行われている。本研究では、言語流暢性課題におけるうつ病患者の fMRI データを対象に、L1 正則化付きロジスティック回帰を用いることで、より精度の高い客観的診断および関わりのある脳領域の特定を行った。
著者
川島 悠一 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.3, pp.1-5, 2013-06-20

ハイスループットスクリーニングやコンビナトリアルケミストリーの導入により急速にリード化合物が見出されている.また,薬理活性の最適化を行うドラッグデザインにより効率的な創薬が行われるようになった.しかし,薬理活性のみを指標にしたハイスループット評価などでは吸収や代謝など薬物動態学的特性や安全性に問題を抱える化合物が数多く選択されてしまう.薬物動態 (ADME) や毒性の評価が in silico で可能となれば創薬の効率化につながる.そこで本研究は,医薬品の立体構造と薬物動態に基づく ADME 予測モデルを構築した.医薬品の立体構造から得られる構造特徴パラメータ (記述子) を説明変数,重要な薬物動態パラメータである血中半減期を目的変数とし,予測モデルの構築を試みた.