著者
奥本 剛司 尾添 嘉久
出版者
日本農薬学会
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.145-146, 2002 (Released:2011-03-05)

α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に選択性を示す[3H]エピバチジンを用いて、最適化した条件下で結合阻害実験を行い、ネオニコチノイド殺虫剤6種のラット脳ニコチン性アセチルコリン受容体に対する親和性を評価した。イミダクロプリドが最も高い親和性を示し(10μMで60.6%の阻害)、次いでアセトアミプリド、クロチアニジンの順となった。その他の3種にはほとんど親和性が認められなかった。
著者
Kotenko P. 宮浦 理恵
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.11-19, 2019 (Released:2019-11-14)

ウクライナは1000年以上にもわたる養蜂の歴史があるが,その発展過程でさまざまな課題があった。独立後のウクライナの経済危機下で,各家庭の養蜂生産は重要な収入源として拡大し,2015年には全蜂蜜生産のうち98.9%が家族養蜂場で収穫された。全家庭の4.1%が養蜂を行っていることになる。養蜂とミツバチ製品の加工は伝統的であり,地域の食農文化に基づいて多様に分化している。国内25地域から11変数を用いて,主成分分析とクラスター分析を行い,生産環境と養蜂条件の地域特性を明らかにした。主として西部のクラスター1,中部のクラスター2,および南東部のクラスター3の3つが定義された。クラスター1は,森林や野生植生が多く,農用地面積と家族養蜂場は少ないが,企業養蜂場の蜂蜜の価格は高い。クラスター2は森林ステップ地帯で農業生産が盛んである。企業養蜂場の蜂蜜生産量は最大であるが,価格は低い。クラスター3は農業および工業の発達した地帯で,蜜源作物の面積が大きいため,蜂蜜の生産性は最も高い。地域によってそれぞれリスク管理,生物文化多様性の維持,食農文化の維持,生態系サービスの強化などによる養蜂環境改善のためのアプローチが必要であることが示された。ミツバチ製品の消費者行動調査では,ハチミツだけでなく,さまざまな種類の製品を消費していることがわかった。回答者の85%が家族や友人からの製品を入手することができ,多くは企業養蜂場より家族養蜂場の製品を好んでいることが明らかとなった。消費者は,養蜂家から得られる蜂蜜の生産地域,蜂蜜の種類に関する直接的な情報を信じており,蜂蜜品質の認証を重視していなかった。
著者
阿部 進
出版者
日本土壌動物研究会
巻号頁・発行日
no.93, pp.29-37, 2014 (Released:2014-06-10)

ミミズ(Oligochaeta) やシロアリ(Isoptera)のような土壌無脊椎動物は土壌生態系改変者と呼ばれ,土壌物理環境を改変・撹乱することによって他の生物への資源の有効性に影響を及ぼしている。土壌生成過程における物理学的,化学的,生物学的な影響に対する関心が高いのに対して,生態系改変者が土壌鉱物の風化において直接的および間接的に重要な影響を及ぼしていることはあまり認識されていない。その直接的な影響は鉱物粒子の物理的破壊であり,分泌物質による化学的変質である。一方,土壌無脊椎動物の共生微生物によって生成される有機酸やキレート成分による鉱物の溶解など間接的な影響もある。本稿では,土壌生態系改変者が土壌鉱物の風化に及ぼす影響に関する既往の文献を総括し,このトピックにおける研究課題と将来の展望について議論する。
著者
池内 隆夫
巻号頁・発行日
no.68, pp.1-5, 2018 (Released:2018-07-18)

1. 「さぬきのめざめビオレッタ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「R05R13」と雄株「R05R65」との単交配による交雑品種であり,萌芽が早く,若茎の開頭が遅く,紫色が濃い雌雄混合,四倍体品種である。2017年4月に種苗法に基づき,品種登録の出願を行った。2. 農林水産植物種類別審査基準特性表アスパラガス種による特性分類では,植物体の草丈,茎の第一側枝高は長である。収穫若茎は茎色が濃紫,茎のアントシアニンの発現が多く,茎数は少である。若茎の頭部のアントシアニン着生は多,萌芽の早晩は中生である。3. 「さぬきのめざめビオレッタ」における簡易雨よけ栽培による若茎は,「バーガンディー」に比べ色が濃紫であり,形状の揃いも良い。特に気温の高い盛夏期の夏秋芽どり期において若茎色が濃いことから,安定した品質が望め,秀品率の向上が期待できる。
著者
竹田 謙一 神山 洋 松井 寛二
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
巻号頁・発行日
no.5, pp.55-63, 2007 (Released:2010-04-05)

家畜福祉に対する関心が世界的に広まりつつあり、2004年に開催されたOIEの第72回年次総会で家畜福祉に関する基本原則が採択された。特に断尾などの肉体の切断は、家畜福祉の視点から問題視されている。本研究では、断尾農家、非断尾農家各19戸に断尾に関する聞き取り調査を直接面接法で行った。調査内容は1)飼育方法、2)断尾の利点と欠点、3)断尾をしない理由、4)家畜福祉に関する設問とした。各質問項目の結果は以下のとおりであった。1)経営規模、飼育方法、1人あたりの搾乳頭数ではなく、ミルキングパーラーの形態が断尾の実施と関係していた。2)断尾の実施はゴムリング(84%)を用いて、夏を除く全ての季節に行われてた。断尾の利点として、「汚い尾で叩かれない」と回答した断尾農家数は非断尾農家数の2.6倍にもなり、また、「糞尿を撒き散らさない」は断尾農家からしか得られず、糞尿による汚染に起因しているこれら2つの項目で顕著な差が認められた。断尾の欠点として、非断尾農家の多くは、ハエが追い払えないことを挙げた。断尾農家は断尾部位の菌による感染、ハエや埃を払えないという衛生面を挙げた。3)非断尾農家の半数以上は「断尾の必要性を感じていないから」と答えた。また、「ウジを尊重したいから」、「ウシがかわいそうだから」というようなウシに対する倫理的配慮を求めた回答も多かった。4)38戸のうち23戸(60.5%)が家畜福祉の言葉を聞いたことがなく、家畜福祉に対する酪農家の関心の低さが伺えた。酪農家の関心が高かった搾乳牛のストレス項目は、断尾農家、非断尾農家にかかわらず、「行動抑制」76.3%、「飼育環境」63.2%、「繁殖方法」31.6%であった。
著者
北村 泰一
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.421-428, 1995 (Released:2011-03-05)