著者
楊 海英
出版者
静岡大学人文学部
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.A113-A140, 2008-07-31
著者
友江 祥子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.37-54, 2011-03-01 (Released:2011-05-11)

仮説を,大阪で派遣看護婦として働いていた20代女性の日記から検証する。すると見えてくることがある。それは女性の印象が「のんき」であるということだ。昭和16年当時は日中戦争のただ中であり,日本は完全な戦時下という状況であった。それにもかかわらず日記の中の日常は,現代の我々に伝えられる「戦争」というイメージからはほど遠い。不穏な社会情勢よりも女性にとって大切なことは,自分個人の将来,とりわけ婚約者との将来だった。このような点からも,女性の日常はまだ平穏であったと思われる。しかし戦時下であったことは事実であり,日記中には「戦争をすることへの躊躇」を感じさせない勇ましい文章が並ぶ。この女性は,こうしたアンビヴァレントな意識をもち,戦時下独特の不穏な空気のなか,平穏な生活を送っていたのである。 昭和16年 戦時下 日記 看護婦 日常生活
著者
森 熊男
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.(17-29), 1991

『史記』仲尼弟子列伝に、司馬耕、字子牛。牛多言而躁。問仁於孔子。孔子曰、仁者其言他訒。曰、其言也訒、斯可謂之仁乎。子曰、為之難、言之得無訒乎。問君子。子曰、君子不憂不懼。曰、不憂不懼、斯可謂之君子乎。曰、内省不疚、夫何憂何懼。と見える。こと司馬耕(あるいは司馬牛)に関して、司馬遷が記録したものといえば右の僅か八〇字の記述がその全てである。引用文中の「牛ハ多言ニシテ躁ナリ」なる批評が、いかなる資料に基づいて発せられたものであるかは問わぬとして、人間洞察に優れる司馬遷が、司馬耕に与えたこの人物評語は『論語』中の「司馬牛問仁」章の解釈に大きな影響を与え続けて来た。その事は本論でも触れる通り、紛れるかたなき明確な事実と言える。さて、標題に掲げた問題の「司馬牛問」で始まる章は『論語』の中に二章存している。一章は「司馬牛問仁」(顔淵篇)の章であり、他は同じく顔淵篇の「司馬牛問君子」のそれである。この小論では、これら二章に、更に、『論語』の中で司馬牛が登場しているいま一つの章、即ち、顔淵篇の「司馬牛憂曰、人皆有兄弟、我独亡」の章をも加え併せた三章を分析の対象とし、それらに考察を加えることによって、司馬牛の人となりを明らかにし、そこから遡って、『論語』の「司馬牛問」の二章に対する解釈を試みる。
著者
押山 美知子
出版者
専修大学学会
雑誌
専修人文論集 (ISSN:03864367)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.79-87, 2006-10-31 (Released:2011-02-07)

博士論文要旨および審査報告:学位授与年月日;平成18年3月22日,学位の種類;博士(文学),学位記番号;博文甲第36号
著者
矢守 克也
出版者
奈良大学総合研究所
雑誌
総合研究所所報 (ISSN:09192999)
巻号頁・発行日
vol.8号, pp.165-176, 2000-03

社会的表象理論(social representation theory)が、モスコビッシ(Moscovici,1961;1984)によって提唱されてから40年近くが経過した。しかし、社会心理学界における本理論の評判は芳しくない。なぜか。理由は簡単である。それは、本理論は、個別的な対象・現象をターゲットにした個別理論ではなく、従来の諸理論のほとんどすべてがその大前提として依拠している認識論一主客2元論一、および、方法論一論理実証主義一に抜本的改訂を迫るグラソド・セオリーだからである。自らが長年依拠してきた基盤を揺るがしかねない思潮がスムーズに受容されるわけはない。こうして本理論は、非常に否定的な評価を受けるにいたった。もっとも、こうした理解は、やや繊細さを欠いている。正確に記せば、これまで、本理論は否定的に評価されてきたのではなく、端的に理解されなかったか、もしくは、既存の社会心理学(あるいは、それが拠って立つ認識論)に適合する形に歪曲されてきたのである。本稿は、このような無理解・曲解が生じる原因の一端は、社会的表象理論の側の不備、正確には、不徹底一social constructionismの立場を徹底しえなかったこと一にあったことを指摘し、あわせて、真の理解へ向けた道のりを示すことを意図したものである。この際、具体的には、近年、社会的表象理論について原理的な再検討、および、実証的な研究の双方を精力的に進めているワーグナー(W.Wagner)の著作を議論の出発点とした。
著者
梅野 健 Ken UMENO
出版者
総合研究大学院大学教育研究交流センター
雑誌
新分野開拓記
巻号頁・発行日
pp.91-100, 2004-06 (Released:2012-01-23)

自然現象と計算論との整合性 梅野 健[独立行政法人 情報通信研究機構/株式会社 カオスウエア]*所属は当時のものを記載
著者
加藤 行男 村上 賢 カトウ ユキオ ムラカミ マサル Yukio Kato Masaru Murakami Tomomitsu Alexandre Okatani
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University
巻号頁・発行日
vol.11/12, pp.180-183, 2005 (Released:2012-09-12)

野生の爬虫類252検体および愛玩用として一般家庭で飼育されている爬虫類(愛玩用爬虫類)39検体からSalmonellaを分離し,種および亜種の同定,血清型別を行った。野生の爬虫類252検体中29検体(11.5%),愛玩用爬虫類39検体中22検体(55.6%)からSalmonellaが検出された。分離されたSalmonellaの亜種は,亜種Iが最も多かった。分離されたSalmonellaの亜種Iの血清型は,S. Litchfield,S. Thompson,S. Newportなど9血清型に分類された。以上のことより,爬虫類はSalmonellaを高率に保有し,分離された株の中には日本においても胃腸炎患者から分離される血清型もあり,爬虫類がヒトのSalmonella感染症の感染源となりうることが示唆された。 A total of 291 fecal samples from 252 wild reptiles and 39 pet reptiles were examined for the prevalence of Salmonella spp. in Japan. Salmonella spp. were isolated from 29 (11.5%) of 252 wild reptiles and 22 (55.6%) of 39 pet reptiles. The isolates were identified into subspecies I to IV. The majority of isolates (43.6%) belonged to subspecies I and these isolates could be identified into 9 serovars. The serovars isolated were found to be S. Newport, S. Litchifield and S. Thompson which cause human salmonellosis. These results indicated that reptiles may be a potential infectious source of human salmonellosis in Japan.
著者
岩崎 博行 Hiroyuki IWASAKI イワサキ ヒロユキ
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
(Released:2013-07-10)

基本的な力(相互作用)には重力、電磁力、弱い力、強い力の4種類あることが分かっています。このうち重力は他の3つの力と比べて非常に弱いため、素粒子の標準模型では電磁力、弱い力、強い力を扱います。標準模型は非常に強力な理論で、あらゆる精密実験において標準模型とは明らかに矛盾するという事象は見つかっていません。 この標準模型に導入されている素粒子の中で唯一未発見だったのが、素粒子に質量を与えることになるヒッグス粒子です。約半世紀前に提唱されたヒッグス粒子は標準理論の根幹をなす粒子であるにもかかわらず、今までの加速器では性能が十分ではなくずっと未発見のままでした。 LHC計画ではヒッグス粒子が考えられるどの質量であっても必ず発見できるだけの性能を持った加速器と検出器を製作することにしました。こうして国際協力体制でLHC計画が開始されてから約15年の歳月を経て、2012年についにヒッグス粒子発見につながりました。 今回はヒッグス粒子とはどういう粒子なのかということと、LHC加速器や実験装置も含めその発見に至るまでの物語を語りたいと思います。 サイエンス・カフェ「ヒッグス粒子の発見―質量をつかさどるヒッグス粒子とは?― 」平成25年7月6日(土) 於湘南国際村センター1階展示室 (葉山町);後援 葉山町*この資料は著者の希望により閲覧のみ、印刷不可です 岩崎博行[総合研究大学院大学教授 / 高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所教授]
著者
本山 美彦
出版者
京都大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.145, no.4, pp.427-447, 1990-04
著者
小山 友 Tomo OYAMA
雑誌
東洋英和大学院紀要 = The Journal of the Graduate School of Toyo Eiwa University (ISSN:13497715)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.95-112, 2013-03-15 (Released:2013-07-09)

The rise of the new radical right in Western European political parties started in the late 1980s and is now expanding across Europe. While causes of the rise of the new radical right vary in each county, a common characteristic of many radical right parties is their exclusive stance toward the immigration issue. Has the expanding support for these radical right parties across Europe resulted from anincreasing sense of xenophobia among European citizens against immigrants? Or has it resulted from the radical right parties’ usual tactic of gaining public support by expressing negative opinions on the immigration issue in order to acquire political legitimacy? This paper aims to clarify the rise of the radical right in the Netherlands in and after 2000. Focusing on two parties, Lijst Pim Fortuyn and Partij voor de Vrijheid, the study identifies characteristics of the radical right in Netherlands. Especially, it reviews and examines changes in Dutch society, including globalization and the expansion of the EU since the 1990s, in order to trace structural changes in the Dutch political system and examine the ways in which such changes are linked to the rise of the radical right. The paper also examines causes of the expansion of public support for the new radical right: whyit has been able to gain public support by proclaiming itself to be anti-immigration and anti-Muslim, despite the fact that most radical right candidates have historically been avoided by most citizens and treated as fringe candidates since the Second World War. In addition, the paper clarifies how the immigration issue in Dutch society has affected the radical right and how the radical right has gainedthe support of voters, including the arguments used by the radical right to acquire political legitimacy for its anti-immigration and anti-Muslim stance.