- 著者
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中堀 博司
- 出版者
- 宮崎大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
4年目の2019年度には、研究代表者の中堀が、低地地方の主要都市リルにおいて追加の調査を実施した。リルは、ブルゴーニュ公国の形成から崩壊までほぼ1世紀を通じて北の拠点で(南の拠点はディジョン)、同市にかかわる調査は以下の通りである。①ブルゴーニュ公滞在時の宮廷・都市イベントに関する新たな文献資料調査、②宮廷・都市イベントを記述する年代記の分析(特に重要なのはJ.デュ・クレール『覚書』)、③都市リルの宮廷関連施設についての地誌的検討である。①~③は相互に関連するが、特に③都市地誌の検討が重要である。1450年代以後、第3代ブルゴーニュ公(フランドル伯)フィリップ・ル・ボンは、新たにリウール宮(Palais Rihour)の建設を開始した(その一部遺構のみ現存)。その結果、1460年代から、フランドル伯がそれまで居所としてきたド・ラ・サル館(Hotel de la Salle)は、都市リルに譲渡されたのち16世紀には廃棄された。ところで、このド・ラ・サル館においてこそ第1回金羊毛騎士団総会や名高い雉の誓いの宴、また宮廷貴族の結婚式ほか数々の祝祭イベントが繰り広げられたが、実はその所在地すら謎めいたままである。この点を明らかにするための資料調査・収集を、リル大学附属図書館、ノール県文書館、リル市立文書館および図書館で重点的に実施することができた。その他、研究協力者の畑は、前年度までに収集した史資料の分析に基づき、ホラント・ゼラント都市に関する報告を行った。