著者
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出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
酒井 徹也 笹田 真滋 徐 千恵子 杉原 快 石岡 宏太 高橋 左枝子 中村 守男
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.417-422, 2018-09-25 (Released:2018-10-13)
参考文献数
13

背景.気管支鏡検査は被験者の苦痛の強い検査であり,苦痛軽減のため鎮静薬などが考慮されるべきである.当院では気管支鏡検査時の苦痛軽減を目的とし,ミダゾラムと塩酸ペチジンの2剤併用による鎮静をルーチンに行っているが,本使用法は過鎮静のリスクがあり,我が国においては未だ議論の余地がある.今回我々は気管支鏡検査における本鎮静法の苦痛レベルおよび安全における忍容性を評価した.方法.2016年8~12月までの気管支鏡検査実施例で前方視的に患者苦痛度アンケートおよび術中バイタルサインのデータ収集を行った.気管支鏡挿入前に塩酸ペチジン17.5 mgと2~3 mgのミダゾラムを静脈内投与し,鎮静の深度に応じてミダゾラム1~2 mgの追加投与を行った.結果.本研究に61例が参加された.ミダゾラムの初回投与量,追加投与量の平均値はそれぞれ2.8±0.1 mg,1.8±0.3 mgであった.術中の記憶があると回答した割合は11.5%であり,気管支鏡の再検を容認した割合は82.0%であった.重篤な低酸素血症や低血圧により拮抗剤や昇圧剤を使用した症例はいなかった.結語.本研究では,気管支鏡検査におけるミダゾラムと塩酸ペチジン併用は検査中の患者苦痛が軽減され安全における忍容性も高かった.本鎮静レジメンの導入は,再生検も含めた気管支鏡検査の患者同意を得るのに有利である.