著者
正井 泰夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-16, 1990-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
106
被引用文献数
5 5

東京は,その発達史の中で,2度も世界最大都市を経験した。 18世紀末の江戸は,人口約10万に達し,産業革命を経験しなかった都市としては最大規模に達したと思われる。江戸は中央集権的封建制度の下で,厳密な階級制度をもち,土地利用にもそれがよく現われていた。今日の東京で卓越する狭い道は,当時の徒歩交通都市の遺産と考えてよい。江戸の2核構造は,不整形のプランを積極的に導入することによって複雑さを倍加させたが,今日の都市形態にも強く残存している。 明治維新後の近代化の過程で,鉄道が果たした役割は大きく,東京では特にその影響が大であった。新線建設は現在でも続き,さまざまな効率改善案が建てられてきた。情報化都市への動きも急である。しかし,伝統的景観の消滅,適切な住宅の不足など,多くの問題を抱えている。土地利用計画は一般に厳密でなく,その結果,混在型土地利用が卓越する。交通の混雑は時には破局的ともいえるが,全体としての東京は,未だ摩靡してしまってはいない。東京圏へ流入する人口はふえ続けており, 3,000万以上の巨大都市圏が形成された。地球的スーパーシティの一つとしての東京圏は成長を続けているが,自然・政治経済的な破局の可能性は決して過ぎ去っていない。
著者
正井 泰夫
出版者
お茶の水地理学会
雑誌
お茶の水地理 (ISSN:02888726)
巻号頁・発行日
no.26, 1985-05-10
著者
正井 泰夫
出版者
お茶の水女子大学地理学教室
雑誌
お茶の水地理 (ISSN:02888726)
巻号頁・発行日
no.8, pp.3-8, 1966-09

最近,都市化は学界・言論界をはじめ,あらゆる分野で大きな問題となっている。教育界においても列外ではない。都市化は単に農村的な現象が都市的なものに変容する過程と状態をさすのみならず,未利用地の都市的利用や都市的利用のより高度な都市的利用をも含めて,都市化と呼ぶことも多い。現代の日本は「都市化の時代」と呼ぶにふさわしいほど,全国で大規模な都市的開発が活発に行われているが,それに関連するいくつかの事象をつぎの前提を通して考察してみよう。(1) 都市人口は増加し,より広い土地が都市的に使われている。(2) 農地は少しでも農業のために確保しておいた方がよい。(3) 近い将来,生活水準が現在の西ヨーロッパ並みになる。
著者
正井 泰夫 中村 静夫 大竹 一彦 三村 清志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.56-71, 1989-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
20

日本の都市地図・アトラスは,日本という風土の中で特徴ある発達を示してきた。江戸時代に大きく発達した絵図的都市地図は,特に百万都市江戸において都市案内図として役立った。明治以後の近代化の過程で,欧米の先進技術が導入され,地図作成法も大きく変化したが,さまざまな面で日本的対応が見られたことも事実である。 今日,国土地理院が大縮尺都市地図のシステム化で果している役割は非常に大きい。また,各省庁,地方自治体,民間企業でも,国土地理院の指導の下に,または密接な協力関係において,詳細な大縮尺地図を作成している。国土地理院は現在,1:10,000地形図シリーズを刊行中であり,これは全国の主要都市へ適応されることになっている。地方自治体等でも,国土地理院の設定したガイドラインの下に,1:5,000から1:2,500程度の大縮尺地形図を作成している。市街地でも地籍図の作成が少しずつ進められているが,正確な地籍図を全面的に完成させるには,従来からの足かせが余りにも大きい。 きわめて詳細なタウンマップの重要性は特に主題図において高い。民間企業による1:1,OOOあるいは1:2,000程度の住宅地図類が全国的規模で出版されているが,この利用度は高い。主として若者向けの買物・レジャー関連の大縮尺タウンマップが多数出されている。歴史的都市アトラスの作成も,東京を中心に盛んとなっているが,大縮尺のものの出版も進み,専門家や中高年を対象として販路がふえている。この種の地図・アトラスは,次第に若者や外国人の関心を呼んでいるが,これには世界最大都市としての東京の過去に対する関心の高まりが反映していよう。
著者
正井 泰夫
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-16, 1975-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
著者
正井 泰夫 松本 園子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-13, 1971-01-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1

関東地方における市街地(都市)の分布は,明治・大正・昭和の3期においてそれぞれ異なるパターンをもっている.明治・大正期については,大縮尺地形図および利用可能な市街地人口統計から平均市街地人口密度を求め,図上測定によって得られた市街地面積にかけ合わせて市街地人口を求めた.昭和期については,人口集中地区平均人口密度により,市街地人口を求めた.3期とも,人口1,000人以上の市街地をすべてプロットし,分布のパターンを分析した.その結果,明治期は中心地型と宿場町型の分布,大正期は中心型,昭和期は中心地型と衛星都市型の分布が明瞭に認められた.また,東関東と西関東においては,少なくとも最近までは,かなりの差異が分布に見られることが証明された.
著者
正井 泰夫
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.19-40, 2000-03-20