10 0 0 0 OA コクと日本酒

著者
伏木 亨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.388-391, 2003-06-15 (Released:2011-09-20)
被引用文献数
1 1

日本酒のコクはゴク味ともいわれ, アミノ酸やペプチドなどの成分のほかに甘みと酸味のバランスなどが関与しているとされる。コクは日本酒の代表的な味覚感覚であり, その実体を明らかにすることは清酒の品質設計やおいしい飲み方などに貴重な情報を提供するものと考えられる。筆者は最近研究が活発になってきたコクを科学的に解明するための研究に取り組まれている。そこでコクにかかわる生理的側面や日本酒との関係について詳細に解説していただいた。
著者
伏木 亨
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-7, 2003-02-01 (Released:2010-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2 4

Palatability involves complex factors and information processing in the brain. Recent advances in research enable some conclusions to be drawn and hypotheses presented for the mechanism underlying the generation of likes and dislikes for foods.
著者
藤澤 史子 灘本 知憲 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.3-9, 2005-02-01
参考文献数
25
被引用文献数
5 17

漢方で身体を温める効果があるといわれているショウガについて, ヒトを対象としてショウガ摂取後の体表温を中心とし, 生理機能に及ぼす影響を検討した。その結果, ショウガ水摂取後は対照の水摂取後と比較して, 額の体表温が有意に上昇した (<i>p</i><0.05)。ショウガ添加パン摂取後は対照のショウガ無添加パン摂取後と比較して, 額と手首の体表温が有意に上昇した (<i>p</i><0.05)。すなわちショウガはパンへ添加することにより温熱効果はより顕著になった。なお, 官能検査の結果からは, ショウガ添加パンはショウガ無添加パンと比較して, 香り, 味, 食感, 総合評価に有意な差はみられず, パンとして好ましい評価を得た。これらの結果から, ショウガは実用的食材としての可能性が大きいことが示唆された。
著者
藤澤 史子 灘本 知憲 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.3-9, 2005-02-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
25
被引用文献数
14 17 1

漢方で身体を温める効果があるといわれているショウガについて, ヒトを対象としてショウガ摂取後の体表温を中心とし, 生理機能に及ぼす影響を検討した。その結果, ショウガ水摂取後は対照の水摂取後と比較して, 額の体表温が有意に上昇した (p<0.05)。ショウガ添加パン摂取後は対照のショウガ無添加パン摂取後と比較して, 額と手首の体表温が有意に上昇した (p<0.05)。すなわちショウガはパンへ添加することにより温熱効果はより顕著になった。なお, 官能検査の結果からは, ショウガ添加パンはショウガ無添加パンと比較して, 香り, 味, 食感, 総合評価に有意な差はみられず, パンとして好ましい評価を得た。これらの結果から, ショウガは実用的食材としての可能性が大きいことが示唆された。
著者
伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.61-68, 2010 (Released:2010-06-02)
参考文献数
52

エネルギーの過剰摂取や運動不足による肥満は種々の生活習慣病増加の原因となっている。高カロリー食の摂取欲求やエネルギーを消耗する運動の忌避はともに動物としての本能に根ざしたものであり, 動物行動科学的な視点なくして改善は容易ではない。現代人の過剰なエネルギー摂取を改善するための食嗜好の制御と無理のないエネルギー消費促進を目的として, 基礎となる次の三つの問題をおもに実験動物を用いて解析した。 (1) 油脂をはじめとする高嗜好性食品のおいしさのメカニズム: 油脂の口腔内受容機構を明らかにし, 味細胞表面に受容体候補タンパク質を見出した。一方, 動物行動学実験によって油脂の摂取がマウスに報酬効果をもたらすことを明らかにし, 高嗜好性食品への執着のメカニズムを示した。 (2) 運動によるエネルギー代謝変化の解析: 長時間の水泳運動を課したラットの脳脊髄液中に, マウスの自発行動を抑制する物質が増加することを見出し, 活性型TGF-βであることを明らかにした。脳内TGF-βは血中の乳酸濃度の上昇などに伴って増加し, 体温上昇や末梢の脂肪酸化を促進する作用をも有していた。疲労の指標となることが期待できる。 (3) エネルギー消費促進としての食品成分による自律神経の制御: 香辛料を中心として, 人間の自律神経活度を高める成分の探索とメカニズム解析を行った。京都大学の矢澤が発見した無辛味トウガラシから抽出した新規カプサイシン様物質に, エネルギー消費を促進する作用があることを見出し, 自律神経を介してマウスやヒトの体脂肪蓄積抑制効果があることを明らかにした。
著者
斉藤 司 椎橋 裕子 明賀 博樹 原口 賢治 増田 唯 黒林 淑子 南木 昂 山崎 英恵 中村 元計 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.519-527, 2014-11-15 (Released:2014-12-10)
参考文献数
22
被引用文献数
5 7

かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香気分析を行った.GC-MS分析,AEDA法によって,重要香気成分を絞り込んだ結果,グアイアコール,5-メチルグアイアコール,2,6-ジメトキシフェノール,4-エチル-2,6-ジメトキシフェノール,2,6-ジメチルフェノール,4-プロピルグアイアコール,バニリン,フラネオール®,(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナール,(4Z,7Z) -トリデカ-4,7-ジエナール(以下TDDとする.)の10成分が同定された.この中で(2E,7Z) -trans-4,5-エポキシデカ-2,7-ジエナールとTDDは,かつお節の香気成分としては未報告の成分であり,特にTDDは,食品の香気成分として初めて同定された成分であったため,かつお節の香りにどのような影響があるのか,官能評価を行った.官能評価に用いる用語は,かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物を用いて6種(くん液,木材,魚肉,金属,生臭い,カラメル)を選定した.かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物中の定量値を用いて,TDD以外の重要香気成分9成分と,TDDを加えた10成分の匂い再構成液を作り,各風味項目ついて比較した.その結果,「木材」の項目がTDDの添加により,有意に増強された.このことから,TDDはかつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香りを構成する新規重要香気成分であることが示された.さらに,料理人の官能評価によって,TDDを含むかつお節フレーバーは,かつおだしをより好ましい風味にさせる効果があることが示された.
著者
樋爪 彩子 八木 徹哉 青柳 守紘 原田 歩実 伏木 亨
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.215-223, 2021-10-05 (Released:2021-10-11)
参考文献数
27

未熟・完熟山椒エキスが,塩分を控えた食品の風味に対してどのような影響を及ぼすかをVAS法及びTI法による官能評価により検証した。未熟・完熟山椒エキスはともに,塩分が低いかつお出汁の味を強める効果があることがわかり,減塩に役立つ可能性が示唆された。特に,完熟山椒エキスは,水っぽさのなさ,満足度やおいしさの向上にも効果的であった。未熟・完熟山椒エキスでは,味の増強効果が異なり,先味を強める未熟山椒エキスに対し,完熟山椒エキスは,味の持続性を高めることがわかった。両エキスの有効成分を同定するために,山椒エキス分画物の味の増強効果をTI法により評価した。その結果,完熟山椒の有効成分は,サンショール類とは異なる,フラクション2に含まれる成分であると考えられた。その成分は,サンショール類の味の増強効果の持続性を高める効果がある可能性が示唆された。
著者
山崎 英恵 伏木 亨
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.695-699, 2013 (Released:2014-02-21)
著者
苛原 隆之 佐藤 格夫 大嶽 康介 邑田 悟 播摩 裕 柚木 知之 石原 健吾 伏木 亨 井上 和生 横田 裕行 小池 薫
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.151-156, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
8

侵襲時の栄養療法に関しては,種々のガイドラインが作成されているものの詳細はいまだ不明瞭な部分が多い.また運動介入についても近年ICUAW 予防としての意義が注目されているが,早期の運動介入が代謝や生存率に与える効果についての報告はない.本研究ではマウス敗血症モデルを用いて間接熱量測定および尿中窒素測定により栄養代謝動態の変化を調べ,敗血症の重症度・時期による糖質・脂質・タンパク質の三基質の代謝動態の変化を明らかにした.また低強度の運動介入による効果についても調べ,急性期の低強度運動によりPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha)が活性化された結果,内因性脂肪利用が上昇して脂質代謝が改善することが転帰改善に寄与していることが示唆された.早期運動介入が病態そのものに対する治療的効果をもつ可能性があるというのは画期的な知見であり,臨床における重症患者への栄養療法にも応用が期待される.
著者
伏木 亨
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.247-250, 2003-08-10
参考文献数
7
被引用文献数
2

実験動物を用いて, 人間の食物や飲料に対する嗜好性が推定できるかという問題についてシンポジウムで発表した内容の一部をまとめた。動物の嗜好は, 基本的には人間には当てはまらないが, 動物と人間に共通の特定の生理的条件のもとでは, 有用な解析の手段となる。ここでは, ビールの多飲料特性および, 脂肪に対する高い嗜好性について, 実験動物を用いた研究を紹介する。

1 0 0 0 美食する脳

著者
伏木亨
雑誌
環境と健康
巻号頁・発行日
vol.18, pp.216-224, 2005
被引用文献数
1