著者
鈴木 善貴 大倉 一夫 重本 修伺
出版者
Japanese Society of Stomatognathic Function
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.113-124, 2010
被引用文献数
1

睡眠時ブラキシズムの治療には,一般的にオクルーザルスプリントが用いられているが,その作用機序はもちろん,付与すべき咬合挙上量の明確な指標すら未だ不明である.この理由のひとつとして,夜間睡眠中の顎運動を観察,測定することが非常に困難であることが挙げられる.本研究では著者の所属分野で開発した睡眠時6自由度顎運動測定システム(口腔内センサ方式6自由度顎運動測定器-携帯型ポリソムノグラフ-AVモニタ)を用いて,睡眠中の顎運動測定を行い,仰臥位での睡眠中の咀嚼筋安静(低緊張)状態の切歯点における垂直的顎位について解析するとともに,睡眠時ブラキシズムの発現頻度との関係についても検討を行った.被験者は睡眠障害がなく,顎口腔系に異常のない個性正常咬合を有する成人12名(男性7名,女性5名,平均年齢25.5±5.7歳)を対象とし,二夜連続測定を行って,第二夜目のデータを解析対象とした.全被験者とも良好な睡眠状態であり,本測定システムによる睡眠への影響は最小限であった.平均垂直的顎位は2.9~ 6.0 mmであった.垂直的顎位は,睡眠段階の違いによる差はなかったが,Stage 1では2.5~5.0 mmのEpochが有意に多く(<i>P</i><0.05),Stage REM,2,3&4では2.5~5.0 mm,5.0 mm以上のEpochが1.0 mm未満,1.0~2.5 mmのEpochよりも有意に多く認められた(<i>P</i><0.05).垂直的顎位が2.5 mm以上を示すEpochは84.2±16.3%であった.また睡眠時ブラキシズムと平均垂直的顎位の間には負の相関が認められた(R<sup>2</sup>=0.705,<i>P</i><0.05).本研究結果よりヒトは終夜垂直的に開口状態にあり,垂直的顎位は,オクルーザルスプリントに付与すべき咬合挙上量の指標になることが示された.
著者
倉田 徹
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.68-84, 2017

<p>The 2014 Umbrella Movement in Hong Kong succeeded in mobilizing large number of people by demanding democracy which meets "international standards" and by deteriorating "Hong Kong–China conflict". </p><p>However, there is a difference of nature between "international standards" and "Hong Kong–China conflict". The former represents elitist value and the supporters of the international standards prefer liberal and peaceful activities, while the latter is an issue particular to Hong Kong, and people demanding to solve the issue tends to criticize those westernized elites who are apart from the Hong Kong society. They are Hong Kong nationalists and they accept violent resistance to a certain extent. During the prolonged Umbrella Movement, nationalists criticized liberal leaders of the movement and the dispute split the movement. </p><p>After the movement, Liberal members formed "Self-determination groups" who insists that Hong Kong people should determine their own political future through referendum. And nationalists formed "Localist groups" who see Hong Kong people as a nation and expel mainlanders. </p><p>Although there exists conflict between the Self-determination groups and the Localist groups, both of them rely on political freedom which enables political activities on the street and rule of law which protects the rights of opposition. Although both political freedom and rule of law in Hong Kong are now under threat to a certain extent, internet freedom and judicial independence is guaranteed so far. When the government tries to infringe on it, both Self-determination groups and Localist groups resist strongly. </p><p>And both groups are in opposition to the Chinese central government. Both "democratic self-determination" which liberals demands and "self-determination of nations" which localists demands are not acceptable for the central government. Central government tries to isolate "a very few" pro-independence groups by co-opting democrats and moderate localists. But if the central government take action to expel radicals, they would make an enemy of liberals at the same time. </p><p>In the Legislative Council election on 4th Sep. 2016, 6 members of the new political groups (3 candidates from "Self-determination groups" and 3 candidates from "Localist groups") were successfully elected. Legco may experience a huge change by accepting new members of new generations. But before the election, the Government rejected some candidates whom the Government saw as pro-independent and some newly elected Legco members were disqualified by not swearing allegiance to the PRC. They brought some actions against the Government and the new political groups which arose from street politics are to continue its fight against the Government both in the parliament and court. </p>
著者
池上 敦子 森田 隼史 山口 拓真 菊地 丞 中山 利宏 大倉 元宏
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-24, 2008
参考文献数
41
被引用文献数
4 1

本研究では,運賃設定の異なる複数の鉄道会社を含む鉄道ネットワーク上の運賃計算を正確かつ高速に行えるネットワーク表現とアルゴリズムについて報告する.鉄道運賃は,利用者の乗車経路が明らかであるとき,多くの場合,その経路に含まれる各鉄道会社が定めた運賃を足し合わせることによって得られる.一方,利用者の乗車経路が明確でない場合,利用可能経路の中で最も安い経路を利用したとみなし,その運賃を採用することが一般的である.しかし,鉄道運賃は,基本的には「距離が長くなればなるほど高く」なるように設定されているものの,同じ距離でも,会社によって異なる料金が設定されていることや,乗車区間によって割引ルールや特別運賃が設定されていることなどから,物理的距離に基づくショーテストパスが最も安い経路になるわけではない.よって,与えられた2駅間の正しい運賃を計算するためには,その2駅間の可能経路の運賃をすべて,もしくは,その1部を列挙して比較判断する必要があることがこれまでにも報告されてきた.本研究では,物理的構造に基づくネットワーク上での経路探索を行う代わりに,ダイクストラ法が利用可能な運賃計算用ネットワークを構築し,ダイクストラ法と,少ないケースではあるがK-shortest paths問題用のアルゴリズムを利用することにより,複数社を含む鉄道ネットワーク運賃計算の大幅な高速化に成功した.
著者
畑江 美佳 石濱 博之 ジェラード マーシェソ 長倉 若 ダルコーティボ ナンシー 溝口 愛 青山 祥子 段本 みのり
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成32年度より開始される小学校外国語の教科化を想定し,「文字」に特化した小・中接続シラバスモデルを提案する研究を行った。平成26年度から,鳴門教育大学附属小学校の5・6年生で「大文字・小文字の認識」「アルファベットの音への気づき」「サイト・ワード・リーディング」の指導を行い,平成27年度も継続して行い,文字認知の検証をした。同時に,附属中学校の1年生の初期の授業にて,小学校での文字の学習との接続を意識したリーディングに重点を置いた多読授業を試行した。さらに,平成28年度は,附属小学校での試みを,公立の小学校で実践してもらい,附属小学校と共に,公立小学校での「文字」の扱いの有効性を測定した。
著者
秋津 克哉 木下 利雄 岩崎 義弘 若倉 慎吾 野口 晃司 木内 俊介 坪田 貴也 池田 隆徳
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.S1_158-S1_158, 2015

<p> 症例は47歳女性. 糖尿病性腎症で近医にて維持透析されている. 以前よりQT延長を指摘されたことがあるが経過観察とされていた. 母と妹が遺伝性QT延長症候群の診断にて植込み型除細動器を挿入されている. 2014年9月上旬, 透析中に心室細動を認め, 電気的除細動 (DC) にて洞調律へ復帰した. 当院救急搬送後, 胸痛の訴えあり, 心電図でST変化, 陰性T波認めたため虚血性心疾患を疑い, 冠動脈造影検査を行うも有意狭窄は認めなかった. QTc 500msecと著明な延長を認め, 入院経過中Torsade de Pointes (TdP) を起こしDCを施行した. また経過中一過性にwide QRSへの心電図変化を認め, 単形性心室頻拍が発生し, 遺伝性QT延長症候群以外による心室頻拍発作の可能性が否定できなかった.</p><p> 壮年女性で初発の心室細動発作および多形性・単形性心室頻拍といった多彩な心室性不整脈を呈し診断に苦慮した遺伝性QT延長症候群を経験したので報告する.</p>
著者
山川 一馬 相原 守夫 小倉 裕司
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.787-793, 2014-05-31 (Released:2014-12-19)
参考文献数
8

近年,日本初の敗血症診療に関するガイドライン『日本版敗血症診療ガイドライン』が報告されたが,世界的な敗血症診療のスタンダードであるSurviving Sepsis Campaign Guideline(以下,SSCG)とはいくつかの項目において異なる推奨を提示している。ガイドライン間における推奨の乖離は,推奨の策定方法に起因するものであると考えられる。SSCGではGRADEシステムに準拠してエビデンスの質評価と推奨度を設定している。一方,日本版敗血症診療ガイドラインでは推奨の表記方法は,推奨度とエビデンスの質からなり,一見GRADEシステムに類似しているものの,その設定基準は大きく異なっている。本稿では,日本版敗血症診療ガイドラインについてIOM基準に従って評価するとともに,曖昧な推奨作成プロセスがガイドライン利用者の混乱をもたらす可能性がある具体例をあげ,その解決策について検討した。

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著者
朝倉治彦校訂
出版者
明治文献
巻号頁・発行日
1973