著者
倉岡 寛 藤井 信忠 上田 完次
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.62-69, 2007-01-26
被引用文献数
2

生態系や社会システムなどの現実のシステムにおいて,いかにして協調行動が創発するかということは,大きな関心事である.また,近年,複雑ネットワーク研究によって,多数の構成要素からなるインターネットやタンパク質の化学反応などのネットワークは,スケールフリー性やスモールワールド性の性質を有し,そのような性質がネットワークの機能に深く関わっているということがわかっている.複雑ネットワークにおいていかにして協調行動が創発するのかということは大きな関心事である.その際,ネットワークの構造自体が構成主体の意思決定の結果として進化するということと,ネットワーク上でのダイナミクスは不可分な関係にあると考えられるため,これらは同時に扱う必要があると考えられる.また,実世界では構成主体間で情報は局在性を有しているため,情報の局在性を陽に考慮する必要がある.本研究では,ゲーム理論における空間囚人のジレンマに対し,情報の局在性を導入してモデル化し,エージェントの相互作用の結果創発する協調行動について,計算機実験による検証をおこなった.その結果,情報の局在性が頑健な協調行動を形成する上で有効である,ということが示された.
著者
倉賀野 妙子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.107-113, 2005-04-20
参考文献数
45
被引用文献数
2
著者
伊東 大介 四倉 達夫 森島 繁生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.122, pp.17-24, 1999-06-17
被引用文献数
1

近年、人間の顔表情をCG (Computer Graphics)にて表現することは映画の特殊効果や、ヒューマンインタフェースのためのエージェントの表現として-般的になっており、そのクオリティは実写に近いレベルまで達している。しかしながらそれらの構築に対しアニメータ等の膨大な労力と資金が必要であり、製作期間も長期間にわたるのが現状である。そこで本論文ではリアルな顔画像生成のため、皮膚組織や表情筋を持つ顔面筋肉モデルを用いて表情表出を行うシステムを構築し、各表情筋の変化に対応した筋電を測定する装置を用いて各々の筋電を測定し、各筋肉の収縮をモデル化する。測定データから顔面筋肉モデルの表情筋をコントロールして、リアルな口形状のモデル化を実現するシステムも可能となった。
著者
板倉 弘幸 田村 雅樹 若木 利子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.147-154, 2004-08-05

近年,WWW上のWebページは爆発的に増加しつつあり,それと共に ディレクトリースタイルの検索エンジンを持つYahooサービスのようなポータルサイトでは,膨大なWebページを複数カテゴリーに自動分類するニーズが高まりつつある.本研究では Webページ分類に貢献する適切な単語素性(feature)の撰択法に関して,ラフ集合理論の有効性を調べた.計算機実験による性能評価より,ラフ集合理論援用による属性選択法と分類器(classifier)として線形核のSupport Vector Machine を用いた組み合わせは,実用に耐えうる良い分類精度を保証しつつ,アドホックな閾値に依存しない高い次元圧縮(属性選択)を可能にするなどの結果が得られた.Recently Web-pages on World Wide Web are explosively increasing, and it is now required for portal sites such as Yahoo! service having a directory-style search engine to classify Web-pages into many categories automatically. This paper investigates how rough set theory can help select relevant features for Web-page classification. Our experimental results show that the combination of the rough set-aided feature selection method and the Support Vector Machine with linear kernel is quite useful for the practical purpose to classify Web-pages into many categories because the performance gives the acceptable accuracy achieving high dimensionality reduction without depending on arbitrary thresholds for the feature selection.
著者
新倉 聡 佐々木 将士 藤森 成一
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 電子情報学部 (ISSN:13472666)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.77-82, 2005-09-30
被引用文献数
1

近年では、パソコン、インターネットの普及に伴い、個人でも手軽にネット証券などで株式売買ができるようになり、さらに、売買手数料の値下がりは、個人投資家の増大傾向を誘っている。一方、株式予測は、ニューラルネット、カオス、フラクタルなどの新しい概念をもとに予測研究が盛んに行われており、特にニューラルネットによる予測が一般に行われている。それらの予測は、いずれも数値データをベースとした予測方法であるため、知識データベースからの、売買予測も必要である。このため、本研究では、株式売買シミュレーションモデルを論理プログラミング言語の1つである、Prologを用いて行った。論理プログラミングでは、問題領域における知識として、事実及び規則の表現が基本であり、結論は、これらの知識と推論を用いて、論理的に導かれる。そこで、本研究では、これらの初歩的取り扱いとして、いくつかのテクニカル分析を株式売買に関する必要知識あるいは規則として用い、株の買い、売りを論理的側面から判定し、利益をあげる事ができるかどうかの予測可能性について検討した。即ち、従来の、株価データから、市場予測で使われるテクニカル分析の中短期の予測に適しているオシレーター系のストキャステイクス(STC)とワコーボリュームレシオ(WVR)、チャート分析のゴールデンクロス(GC)等の指標を、事実あるいは、規則として捉え直し、短期間の売買シミュレーションを行ない、日足による短期間売買において利益獲得を実現するシミュレーションモデルを研究した。本研究では、買い先行のみの売買をシミュレーションしている。
著者
羽倉 淳 嘉数 侑昇
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.57-58, 1992-02-24

これまでの推論、知識生成といった知識活動に関する研究において扱われてきた知識は一般に離散空間内で表現されており,基本的に与えられた知識を用いた知識活動が扱われてきたといえる。しかしながら,知識,及び概念とは空間的性質をもつ連続的なものであり,そこに知識活動の巧妙さが隠されていると考えられる。従って,本研究ではそういった見地に立ち,概念に与えられる特徴によって構成される特徴空間内にインスタンスを用いてn個の特徴間に関係付けを行い得られる特徴空間内の超曲面として表現される知識,すなわち,特徴間関係を用い,未知のインスタンスの同定,未知の特徴量の決定問題,さらにその他の応用へのアプローチを試みる。
著者
戸倉 直
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1398-1401, 1996-10-05

本稿では高度に情報化された製造産業におけるコンピュータ利用技術のひとつとしての非線形解析の潜在的なニーズを概観するとともに, いわゆるダウソサイジングに伴って身近になったマシン環境で動作する非線形解析ソフトの最新の機i能を, LS-DYNA3Dを例にとりあげて紹介した.今やユーザにとってはコンピュータ選定の選択肢が広がり, 解析規模に応じてコンピュータを使い分けることで業務の大幅なコスト削減が可能になっているといえるだろう.また, このような非線形ソフトを使用する上での留意点を指摘し, さらに, 具体的な解析事例をもとに, 解析に必要な入力データや結果の評価のポイント等を示した.今後このような解析ソフトに求められる点としては, GUIの拡張による使いやすさの改善, 高速かつ高精度な解析アルゴリズムの開発, CADデータとのリソクによる最適化問題への応用といったことが挙げられる.ソフトベンダーとしては, 常にユーザの立場に立って最新の技術惰報を提供し, よりよい製品開発に貢献していきたいと考えている.
著者
小倉 孝夫 大西 健之 福田 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.600, pp.59-64, 2007-03-08

現在、電話網とデータ網をIPベースに統合して様々なサービスを提供する次世代ネットワーク(NGN)への移行が進められている。NGNでは、サーバへのDoS/DDoS攻撃は最も高い脅威の一つであり、特にSIPサーバ攻撃は大きな被害を与えることが予想される。DoS/DDoS攻撃では大半は、IPソースアドレスを詐称したIPパケットでおこなわれている。従来のアドレス詐称防止方式にはuRPF(unicast Reverse Path Forwarding)等があるが、確実にIPソースアドレスの詐称を防止する方式ではない。そこで、確実に詐称チェックをおこなうことを目的に、ユーザ側ではIPソースアドレスから作成した認証情報をIPパケットに付加してIP通信をおこない、キャリアのネットワークまたはISP内でその認証情報を使って詐称チェックする方式を提案する。また、スケーラビリティの観点から詐称チェック機能の性能評価をおこなったので報告する。
著者
笠井 裕之 山崎 憲一 倉掛 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.523, pp.19-24, 2004-12-09

本橋では,コンテキストアウェアサービス等のプッシュ型情報通知システム構築を目的として,情報通知による"情報認知度"と"タスク負荷度"を考慮した"情報通知ユーザモデル"を提案する.特に,ベイジアンネットワークによる巨視モデルを提案するとともに,通知情報量とタスク情報処理量を考慮した効用関数に基づく通知制御方式を提案する.モデル構築にあたっては,モバイル環境下での携帯端末への情報通知サービスを想定し,評価アプリケーションを用いてデータ収集を行うことで,初期モデル構築する.最後に,構築モデルを用いて確率推論から得られる"情報認知度"と"タスク負荷度"の変動結果を示す.
著者
島田 英之 島田 恭宏 大倉充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3392-3401, 2006-12-15
被引用文献数
4

近年,コンピュータにより高品質の毛筆書体をリアルタイムに筆記する研究例が報告されているが,現実の筆記環境と異なる方法で筆記するために,対話性が十分とはいえない.本論文では,筆者らが構築した仮想書道システムについて述べる.ユーザは,3 次元位置センサを内蔵した毛筆でスクリーン上に直接筆記し,実際の毛筆,仮想的な半紙や硯など,現実の書道とほぼ同じ作業環境のもとで,仮想的な書道を体験できる.毛筆が触れた場所に正確に筆跡を生成できるようにシステムをキャリブレーションし,実際の毛筆で筆記した筆跡の実測値に基づいて筆跡を生成する.これにより,毛筆が触れた場所に,実際に毛筆で筆記した場合と同じ太さの筆跡を表示できるので,手本をなぞる初歩的な書写練習も可能となった.また,毛筆の空間的な挙動をモニタし,墨の滴りや飛び散りなどの視覚効果も表現した.この結果,年齢を問わず簡単に操作でき,かつ多様な表現が可能なシステムを構築したので報告する.In recent years several methods to generate oriental calligraphic characters are proposed. However, because of unnatural way for drawing (e.g., drawing on a tablet with a pen) these methods are not enough to draw interactively. In this paper we propose a virtual calligraphy system with a real Chinese brush. While a user draws at a screen by Chinese brush with build-in six-degree-of-freedom sensor, the calligraphic handwriting is displayed at same place of drawing. Our system is calibrated by using actual survey of real handwriting and can display handwriting on a screen accurately, therefore the user can practice calligraphy. And also we expressed the situation of dripping and scattering effects of India ink from a brush. As a result any people can perform calligraphy easily with various expression by our system.
著者
磯野 春雄 倉田 晃二 高橋 茂寿 山田 千彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.324, pp.25-30, 2003-09-18

本論文では色覚の加齢効果を明らかにするために60-75歳の高齢者を対象に視覚の色度空間周波数特性および時間周波数特性を測定し若年者と比較した。本実験では色覚の反対色メカニズムに対応させて、明るさが一定で色度のみが正弦波状に変化する赤-緑(主波長 : 495nmC-495nm)および黄-青(主波長 : 565nm-445nm)の色刺激パターンを用いて色度コントラスト感度を測定した。実験結果から高齢者の色度コントラスト感度は、空間および時間周波数に対して全周波数にわたって低下し、赤-緑の色刺激に比べて特に黄-青の色刺激パターンでの低下が著しいことがわかった。