著者
冨田 裕一郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.115-121, 1972-03-30

トリプトファン・グルコース反応液と現在常用されている抗酸化剤との酸化防止効果の比較を行なったところ, ここで明らかにされた最適条件で得られた反応液の抗酸化能はα-トコフェロールよりも強く, 合成抗酸化剤のBHA, BHTに匹敵するものであることが明らかになった.以上のように強い抗酸化性を示したトリプトファン・グルコース反応生成物ナタネ油の抗酸化剤, カロチンの安定剤および餅の揚げ物の抗酸化剤として用いた試験を行なった.そして, この反応生成物はBHA, BHTなどに匹敵する効果を示すことを明らかにした.
著者
佐藤 貴保 荒川 慎太郎 冨田 裕子
出版者
盛岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、13世紀初頭、モンゴル帝国軍が繰り返し侵攻していたころの西夏王国の防衛体制や、仏教信仰事業とモンゴル軍侵攻との関係を明らかにするため、西夏とモンゴルとの国境付近の遺跡から見つかった西夏の行政文書や仏典の奥書を調査、解読した。その結果、1210年時点で西夏は都を守る兵力が不足していたこと、政府が国境付近の兵力を正確に把握していなかったこと等が明らかになった。仏教信仰政策については、13世紀初頭に書かれた仏典群の奥書を見る限り、モンゴル軍侵攻を意識したものは発見できず、特別な仏教事業は行われなかった可能性が明らかになった。
著者
冨田 裕
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1729-1730, 1960

エリスロタンタウリン(I)はTallen試薬(+),セミカルパゾン,ジメドン誘導体を生成する。アルカリと加熱すれば1molのアルカリを消費して溶解し,酸と加熱するとIにかえる。またクロム酸酸化によってラクトンカルボン酸C<SUB>10</SUB>H<SUB>8</SUB>O<SUB>4</SUB>が得られ,過マンガン酸カリウム酸化すると1,2,3-ベンゼントリカルボン酸が生ずる。水素化アルミニウムリチウムで還元して得られるトリオールは過ヨウ素酸を消費せず,C-CH<SUB>3</SUB>基も存在しない。赤外線吸収の値と考えあわせるとエリスロセンタウリンには,式IまたはI'が与えられるが,biogenesisの立場から式(I)の正しいことを推定した。
著者
冨田 裕
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1726-1728, 1960
被引用文献数
3

センブリの苦味成分は,朝比奈によりスウェルチアマリンと命名され.刈米らはこのものの無晶形物質(一部結晶化)を得て,分子式C<SUB>16</SUB>H<SUB>22</SUB>O<SUB>10</SUB>を与えた。1954年Korteはリンドウ科植物の苦味成分を検索し,スウェルチアマリンはゲンチアナ根の苦味配糖体ゲンチォピクリンC<SUB>16</SUB>H<SUB>20</SUB>O<SUB>9</SUB>の不純なものであるとし,その存在を否定した。著者は無晶形スウェルチアマリンを良結晶性のアセタートに導き,ゲンチオピクリンアセダートと比較することにより,両者がまったく異なる物質であることを明らかにし,スウェルチアマリンの存在を確認した。
著者
橋本 佳奈 山村 省吾 冨田 裕之 泉 有希子 川村 洋介 野々垣 比路史
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.95-99, 2013

新生児における頭蓋骨陥没骨折の発生はまれであるが,その大部分は妊娠・分娩中の外傷に起因し,外傷既往のない先天性頭蓋骨陥没骨折の発生は4000~10,000分娩と極めてまれである.今回われわれは,受傷機転の明らかでない妊娠および分娩経過を経て出生した児に,右前頭骨陥没骨折を認めた1症例を経験した.26歳,1経産,身長149cmと低身長であるが狭骨盤や扁平仙骨は認めない.妊娠中の外傷既往はなく,妊娠39週5日に自然陣痛発来し,11時間31分の分娩時間を経て自然経腟分娩に至った.吸引・鉗子分娩やクリステレル圧出は行っていない.新生児は2640gの女児,Apgar scoreは1分値9点/5分値10点であった.出生時,右前頭部に3×4.5cm大の陥没を認め,頭部単純X線,CTを施行した.右冠状縫合に沿って右前頭骨の陥没を認めたが,頭蓋内病変は伴わず,明らかな神経学的症状も認めなかった.入院中,頭蓋内圧上昇や神経学的症状は出現せず.退院後も数週間の経過観察を行ったが,陥没骨折の改善傾向を認めなかったため,日齢28に頭蓋形成術を施行し,術後経過は良好である.非外傷性の新生児頭蓋骨陥没骨折の要因は,母体因子として子宮筋腫,子宮奇形,狭骨盤,および正常骨盤における第5腰椎,岬角,坐骨棘など,胎児因子として患児自身や多胎における他児の身体による圧迫などが挙げられる.しかし,出生前に頭蓋骨陥没骨折を予測,診断することは困難で,出生時に初めて診断されることがほとんどである.頭蓋内病変や神経学的合併症の多い外傷性陥没骨折と異なり,非外傷性の場合は出生時に合併症を伴わないことが多く,また自然治癒例もあり,その長期的予後は良好である.よって出生時に合併症を認めない非外傷性陥没骨折においては,まず経過観察を選択し,その間に外科的介入の必要性や時期,手法を検討することが可能であると考える.〔産婦の進歩65(1):95-99,2013(平成25年2月)〕
著者
冨田 裕彦
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

培養細胞のミトコンドリア遺伝子発現パターンが血清添付培養と無血清培養とで異なるのではないかとの仮説のもとに検討を行った。In situ hybridizationやPCR法を用いて検討した結果、明らかな違いを見出せなかった。転移と密接に関与するValosin containing protein (VCP)と結合するubiquitin like 4A (UBL4A)が細胞増殖の重要なシグナルであるSTAT3シグナルに対し核内で抑制的に働くことを見出した。膵癌発生母地として膵臓の線維化、炎症細胞浸潤があることを見出した。
著者
沖野 晃一 冨田 裕人 橋本 浩二 山崎 雅也 大澤 拓 白川 暁 吉井 卓 岩下 茂信 宮嶋 浩志 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.80, pp.167-172, 1996-08-27
被引用文献数
5

本稿は,九州大学で現在開発中のPPRAM^R_<mf>仕様に基づく最初の試作LSIであるPPRAM^R_<mf>256?4のハードウエア構成について述べている.計画では,0.25μm CMOS,2層金属配線を用いて,"256"Mビット(2Mバイト)DRAMと"4"個の汎用プロセッサを1チップに搭載する.各プロセッサのロジック規模は50万トランジスタ程度で,24Kバイト・キャッシュを装備.プロセッサ当たりのローカル・メモリ容量は8Mバイトとなる.1998年度中の完成を目指している.This paper describes the hardware organization of the first prototype LSI chip based on the PPRAM^R_<mf> architecture, or PPRAM^R_<mf>256-4, which is now under development at Kyushu University. The PPRAM^R_<mf>256-4 will integrate 256Mb DRAM and four processors into a single chip with a 0.25μm CMOS technology. Each PE (Processing Element) will consist of a simple RISC processor of 500KTr, 24Kbyte cache memory, and 8Mb local DRAM memory. The development will complete by March, 1999.
著者
冨田 裕一郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.105-114, 1972-03-30
被引用文献数
1

トリプトファン・グルコース反応液中のどのような成分が, 抗酸化能に関係しているかについて検討した.まず反応液を透析し, 非透析性のメラノイジンと透析性の低分子物質にわけ, 両者の抗酸化能を調べた.その結果, この反応液の抗酸化能は主としてメラノイジンにあるが, 低分子物質もある程度関与しているものと考えられた.その各々を凍結乾燥すると前者では抗酸化能の低下はみられなかったが, 後者では低下がみられ, 不安定な物質よりなることがうかがわれた.メラノイジンについてみるに, トリプトファン系のそれは, リジンおよびグリシンなどから作られたメラノイジンよりも強い抗酸化能を示し, メラノイジンの種類によって抗酸化能を異にすることがわかった.さらに, この反応液の透析される部分に存在する低分子の抗酸化性物質の検索を行なった.そしてまず, 抗酸化性物質の簡易な検出法について検討し, 試料が展開された薄層クロマトグラムにリノール酸を噴霧し, ある時間酸化させたのち, チオバルビツール酸を反応させ, 酸化が防止された部分が発色しないで白いスポットとして検出される方法, および同様にロダン鉄試薬で検出する方法を考案した.この検出法を用いて, イオン交換性樹脂(Dowex 50W(H^+))カラムで分別された分画について抗酸化性物質の検索を行なった.そして, 前記の透析液には少なくとも5つ以上の抗酸化性を示す物質が検出され, そのうちの一部はレダクトン類で, すべて極めて不安定な化合物よりなることがわかった.そしてキヌレニン, ヒドロキシキヌレニンなどのトリプトファン分解物の存在は確認出来なかった.すなわち, トリプトファン・グルコース反応液の抗酸化能は主として着色物質のメラノイジンによっており, それにレダクトン類を含む数種の不安定な反応中間物質が共助的に関与して発現しているものと考えた.
著者
冨田 裕一郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.161-170, 1971-09-25
被引用文献数
1

トリプトファン・グルコース反応系の抗酸化能発現に影響する諸条件について検討した.1.抗酸化能は反応条件によって大きく支配されることが明らかとなった.しかも, 抗酸化能は検討した全ての因子によって変化することが認められ, 反応の進行度を示す着色度と平行することが明らかとなった.2.一般にアミノ・カルボニル反応による抗酸化性の発現は, アルカリ性側で, 加熱反応温度が高い程, 加熱時間の長い程大きい.しかし, 反応するアミノ酸や糖の濃度によって極限のあることが明らかとなった.