著者
齋藤 悠貴 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2022-ICS-205, no.2, pp.1-4, 2022-02-14

近年,EC サイト等でで「こちらもおすすめ」といったユーザの嗜好に関連したアイテムの機械的な推薦がしばしばみられる.多くの場合,このようなレコメンデーションには協調フィルタリングと呼ばれる推薦手法が採られる.ただし,協調フィルタリングでは購入データや評価データ等の嗜好ベースの情報しか考慮できず,アイテムが持つメタ的な情報が考慮されない問題点が存在する.本研究では,特にアニメ作品に関して,協調フィルタリングの一手法による評価データのみを考慮した特徴量の抽出に加え,アニメ制作業界の関係性を考慮した特徴量の再抽出を試みた.「誰がどの作品を好む」といった情報だけでなく,「誰がどの作品を作ったか」といった情報を組み込んだ特徴量を抽出することを目的とする.業界の関係性の再現にあたっては,グラフを用いた.アニメごとに関連づけられた人・企業の要素を繋いでネットワークとすることで,業界の関係性の再現を試みた.特徴量の再抽出には GCN (Graph Convolutional Network) を用いた.提案プロセスと業界の関係性を考慮しない場合とで特徴量を客観評価によって比較すると,提案プロセスがより高い精度をマークしており,業界の関係性を考慮することの有効性が示唆された.
著者
長 健太 大須賀 昭彦 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3165-3178, 2006-12-15
参考文献数
31
被引用文献数
1

多数の小型センサから構成されるワイヤレスセンサネットワーク(WSN)を用いたビルオートメーションシステム,環境モニタリングシステム,サプライチェーンモニタリングシステムなどが実現されつつある.WSN 内の大量のセンサ群は環境に広範に分散配置され,かつそれらに搭載されているバッテリはきわめて限られているため,WSN アプリケーションにおいては電力消費量を抑えることが重要になる.WSN アプリケーションを実現するためのフレームワークは,消費電力と応答性能の間で発生するトレードオフを正しく扱える必要がある.我々は,複数の知的移動エージェントを用いてマルチパーパスなWSN アプリケーションを構築するというアプローチをとった.我々のフレームワークはエージェント群の動作方式を変化させることで,アプリケーションごとに異なる応答性能の要求に適応することができる.また,ビルディングオートメーションにおける移動エージェント群の動作をシミュレートすることで,消費電力と応答性能に関する評価を行った.A wireless sensor network (WSN) that is a network of many small sensors is being used for many applications such as structure and equipment monitoring, environmental monitoring and supply chain monitoring. Since these many sensors are widely spread in the environment and a battery of sensors is very limited, main concern for WSN applications is reducing battery consumption. Framework for these WSN applications should handle the trade-o. between battery consumption and response time. Our approach for this problem is using a multi intelligent mobile agent framework to implement multi-purpose WSN applications. By changing the movement pattern of agents, our framework can adapt to the requirements of response time that di.er from each application. We evaluate battery consumption and response time with simulating mobile agents for the building automation WSN application.
著者
岩崎 祐貴 折原 良平 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1J3OS22a4, 2013

<p>近年,ブログやtwitterなどソーシャルメディアの普及により誰でも気軽に情報発信できるようになった.それに伴い頻繁に炎上が起こり,ブログの閉鎖や個人情報の特定といった被害に合うリスクが高まっている.そこで本研究では,実際に炎上したtwitterやブログ記事を収集,分析することで炎上の原因を調査した.また,今後の炎上を防ぐため,過去の炎上事例を教師データとした機械学習の適用方法を提示する</p>
著者
竹之内 隆夫 川村 隆浩 大須賀 昭彦
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.525-532, 2012-10-23

複数機関が保持するユーザのパーソナル情報を結合・分析し,新たな知見を得ることが期待されている.特に医療情報のようなパーソナル情報はプライバシに関わるため,結合のための情報開示を必要最小限にすることや個人特定を防ぐことが求められ,そのための技術として分散匿名化が注目されている.しかし既存手法では,双方の機関のユーザ集合が一致しない場合にユーザのパーソナル情報がその機関に保持されているか否かというユーザ存在が漏洩する問題があった.そこで本論文では,ユーザ存在を隠蔽した分散匿名化手法を導入し,実際の診療機関のレセプトデータを用いて疾病の相関ルール抽出や診療回数の相関分析を行う際の有効性評価を行う.
著者
逢澤 昌志 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

線画の色付けには、特別な技術、経験、そして知識が必要です。そのため、近年では線画の自動彩色の研究が注目を浴びています。しかし、既存手法は課題を抱えています。そのうちの1つが、グレースケール人物線画とその自動彩色結果の間で白目領域における不一致が生じるという問題です。人の肌や白目はどちらの場合も白く表現されることが多いため、既存のアプローチではその境界を判断できない場合が多く存在します。そこで、白目領域を考慮した自動彩色が求められています。本研究では、既存の白目領域検出による自動彩色手法に対して、データセット作成における負担軽減のシステムを用いた新たな自動彩色手法を提案します。結果として、白目領域検出の精度が低下しましたが、データセット作成に要する時間を短縮することに成功しました。
著者
神畠 正稔 折原 良平 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2H202, 2018 (Released:2018-07-30)

データ分析は、ビジネス、科学、スポーツなどさまざまな分野で活用されている。 その中でもサッカーチームにおける選手やチームの評価は、戦術、トレーニング、スカウティングに影響を与えており、試合結果のシュートやゴールなどのデータを活用することで、選手やチームが評価される。 しかし、シュートやゴールなどのデータを活用するだけでは、選手やチームの能力を十分に理解するのは不十分である。 本研究では、サッカーのパスのデータを用いた新しい分析手法について述べる。 選手やチームのパフォーマンスを評価するために、グラフマイニングを適用している。 選手やチームを評価するために、組織内の個々の貢献度を評価する中心性という指標がある。 本研究では得られる選手間の中心性の測定において最短経路だけでなく、最短経路より長い経路も考慮している。 その結果、提案した手法は従来の方法よりも試合結果とより整合していることがわかった。
著者
長 健太 大須賀 昭彦 本位田真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3165-3178, 2006-12-15

多数の小型センサから構成されるワイヤレスセンサネットワーク(WSN)を用いたビルオートメーションシステム,環境モニタリングシステム,サプライチェーンモニタリングシステムなどが実現されつつある.WSN 内の大量のセンサ群は環境に広範に分散配置され,かつそれらに搭載されているバッテリはきわめて限られているため,WSN アプリケーションにおいては電力消費量を抑えることが重要になる.WSN アプリケーションを実現するためのフレームワークは,消費電力と応答性能の間で発生するトレードオフを正しく扱える必要がある.我々は,複数の知的移動エージェントを用いてマルチパーパスなWSN アプリケーションを構築するというアプローチをとった.我々のフレームワークはエージェント群の動作方式を変化させることで,アプリケーションごとに異なる応答性能の要求に適応することができる.また,ビルディングオートメーションにおける移動エージェント群の動作をシミュレートすることで,消費電力と応答性能に関する評価を行った.
著者
服部 正典 大須賀 昭彦 関 俊文 一色 正男 本位田 真一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.2010-2019, 2003-11-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

This paper describes a &ldquo;Ubiquitous Personalize Agent&rdquo; and it&rsquo;s application: &ldquo;Shopping assistance service&rdquo; for ubiquitous environments. Ubiquitous personalize agent is realized based on context reasoning technology. It can determine contexts of users by referring a lot of data which can be retrieved from devices in ubiquitous environments. We also have had an experimental trial of this service. In this paper, we state the technology, service, and evaluation on the experimental trial.
著者
鈴木 もとこ 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1799-1807, 2017-11-15

今後ロボットが家庭に普及するために,人間とペットとロボットの3者が良い関係を築くことが大切である.我々は人とのインタラクションを目的に作られたロボットがペットと家庭で共生するために,ロボットにペットが好む行動をさせ,ペットがロボットをより好むようにすることを目標とする.本研究では,犬の世話行動をするロボットに注目した.世話行動をするケアロボットと世話行動をしないノンケアロボットの2台を用意し,ロボットが世話行動を行った後に犬がどちらのロボットをより好むか調査した.具体的には,ロボットが行う犬の世話行動は,飼い主へのアンケート結果をもとに餌やりとボール遊びの2種類とした.結果,犬は餌やりの世話行動をするケアロボットをノンケアロボットよりも有意に好むことが分かった.一方でボール遊びの世話行動については,ロボットとボール遊びをする犬としない犬の2群に分けられ,ボール遊びをする犬はボール遊びの世話行動をするケアロボットをノンケアロボットより有意に好むことが明らかになった.この知見は今後,家庭におけるロボットのペットに対する関わり方の指針となることが期待される.It is important for human beings, pets and robots to establish a good relationship in order for robots become popular to homes in the future. We are supposed to coexist between humans and robots that were made for human interaction at home. Then, let the robot take actions preferred by the pet and aim to make the robot more preferably by the pet. In this research, we focused on robots that take care of dogs. We used two robots that take care actions robot and non-care action robot, and surveyed which robot the dog likes more preferably after the robot takes care action. Specifically, the behavior of robot was two types of feeding and ball play based on the questionnaire result of the owner. As a result, it became clear that the dog significantly prefers the care robot which takes care of bait feeding than the non-care robot. On the other hand, as for the behavior of taking care of the ball play, it is divided into two groups: a dog which play ball with a robot, a dog which does not play ball with a robot. It became clear that dogs playing balls significantly prefer care robots to take care of ball playing than non-care robots. It is expected that this finding will be a guide for how robots are involved in pets at home.
著者
折原 良平 大須賀 昭彦 楠井 洋一
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.16, pp.137-146, 1991-03-06

正規論理プログラム上での類推の意味を、仮説推論におけるgeneralized stable model()意味論によって与える。まず、類推を考えるに当たっての異常な場合を表す述語を定義する;すなわち、p(),q(),p()が与えちれた場合のab()⇔p()∧?q()である。さらに、こうして定義された述語の否定が本体に現れるような節をもとのプログラムに加える。こうして作られたプログラムのGSMがもとのプログラムの類推的モデルである。仮説推論における証明手続きをもとに作った類推的証明手続きも併せて紹介する。The meanings of analogical reasoning for normal logic programs are described by generalized stable model (GSM) semantics for hypothetical reasoning. We define predicates that denote unusual cases within analogical reasoning; for example, ab(X)⇔p(X)∧¬q(X), where p(s),q(s),p(t) are given. We also add rules with negated occurrences of such predicates into the original program. In this way, analogical models for original programs are given in the form of GSMs of extended programs. A proof procedure for analogical models which is based on an abductive proof procedure is also presented.
著者
高増 広大 田原 康之 清 雄一 大須賀 昭彦
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2016-SE-191, no.2, pp.1-8, 2016-03-07

近年,スマートフォンの普及率が世界的に増加しているのに付随してスマートフォンアプリケーションの需要が高まっており,開発が進められてきている.そのため同じ課題を解決できるアプリケーション,すなわち類似したアプリケーションが多数出現している.そこでユーザはアプリケーションを利用して目的を満たす事は最低限の条件として,アプリケーションのコンテンツや使い易さ等,自分がこだわる観点でのアプリケーションの選定を行いたくなると考えられるが,多数の中からの選定は困難である.本研究では,ユーザが目的を達成する為にアプリケーションを導入するという前提で,ユーザのこだわりを考慮した推薦システムを提案する.そのために,通常アプリケーションの入手先となるアプリストアに投稿された他のユーザのレビューコメントに自然言語処理手法を適用する.具体的には,コメントから類似アプリケーションの特徴を表すと考えられる単語を抽出し,ユーザはそこから興味を持った単語を選ぶ.アプリケーションのレビューコメントにおいて単語の評価がネガティブかポジティブかを判定することにより,アプリケーションのその単語に関する評価値を算出し,ランク付けして推薦する.算出した評価値を,実際にアプリを使用した被験者による評価と比較し,またレビュー内に出現する単語に対するネガティブ・ポジティブの判定を,人手で作成した正解データと照らし合わせる事でシステムの評価を行った.
著者
清 雄一 竹之内 隆夫 大須賀 昭彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1977-1987, 2015-10-15

データを外部のストレージ事業者に預けることが多くなっているが,プライバシや機密情報管理の観点から問題が生じる場合がある.データおよびその索引を暗号化する手法が有効であるが,検索等,データ処理の効率性を低下させることは避けたい.このような課題に対し,Bloom Filterというデータ構造を用いる情報管理エージェントが提案されている.しかし,安全性を担保するためには,検索速度が悪化するという問題がある.これは検索時にクラウド上のデータ数に比例した回数だけハッシュ値を計算する必要が生じるためである.提案手法では,Bloom Filterを利用し,ハッシュ値の計算のみではなく,素数によるMOD演算を併用することで,これまでと同レベルの安全性を保持したうえで検索速度を向上させる.793万ドキュメントを利用したシミュレーション評価により,従来約30.2秒必要だった検索が0.7秒程度でできることを示す.
著者
芦川 将之 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.503-515, 2014
被引用文献数
2

Open Crowdsourcing platforms like Amazon Mechanical Turk provide an attractive solution for process of high volume tasks with low costs. However problems of quality control is still of major interest. In this paper, we design a private crowdsourcing system, where we can devise methods for the quality control. For the quality control, we introduce four worker selection methods, each of which we call preprocessing filtering, real-time filtering, post processing filtering, and guess processing filtering. These methods include a novel approach, which utilizes a collaborative filtering technique in addition to a basic approach of initial training or gold standard data. For an use case, we have built a very large dictionary, which is necessary for Large Vocabulary Continuous Speech Recognition and Text-to-Speech. We show how the system yields high quality results for some difficult tasks of word extraction, part-of-speech tagging, and pronunciation prediction to build a large dictionary.
著者
中谷 多哉子 羽生田 栄一 黒川 利明 直田 繁樹 大須賀 昭彦 児玉 公信 増村 均 中村 正規 田中 立二
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.123, no.4, pp.640-648, 2003-04-01
被引用文献数
1 1

Object-oriented technology is used for the software of the large range, and its application fields are increasing. Object-oriented technology is also accepted naturally in the field of Internet application. Consequently, developments of new kinds of object-oriented technologies have been performed. Agent technology has been developed based on an object-oriented concept, and may have a great evolution with applying to applications of Internet field. In this paper, authors introduce the latest trend and the example of application of such object-oriented technology and agent technology.
著者
グエン ミン テイ 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.12, pp.2970-2978, 2013-12-01

本論文は,実世界での人々の行動を分析し,状況に応じた適切な情報提示などへ役立てることを目的に,Twitterなどソーシャルメディアから行動ネットワークを構築する研究の一環である.ソーシャルメディアからの行動抽出にあたっては,さまざまな理由から呟かれなかった行動が数多く存在し,結果として行動ネットワークがスパースになってしまうという問題が存在する.そこで,行動の性質とユーザのゴールを考慮した行動ベース協調フィルタリング手法を提案し,欠損行動の推測を試みる.また,協調フィルタリングによる頻度の原理の副作用としての低頻度だが価値のある情報が埋もれてしまう問題に対して,人が成功している人や行動にどのように影響を受けるか,を単純にモデル化し,一定の重み付けを行う方法を提案する.そして,東日本大震災発生時のtweet 337,958件を対象に評価実験を行った結果,提案手法を用いることで行動ネットワーク内の欠損行動ノードを一定程度,補完できることを確認した.
著者
ミン テイ グェン 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.386, pp.19-24, 2010-01-15
被引用文献数
1

本論文の目的は,日本語Webページの文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時刻,場面,場所)と行動間の遷移を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,抽出のための準備コストが大きいことや,抽出できる行動属性が少ないこと,適用可能な文の種類が少ないこと,行動属性間の係り受け関係を十分に考慮されていないこと,そしてプライバシーなどといった問題がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性と行動間の遷移を自動的に抽出する手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集,初期インスタンスの作成,行動のドメインの定義などの必要がなく,一回のテストで文中に現れる行動属性と行動間の遷移を漏れなく全て抽出でき,高い精度が得られる(行動:88.9%,基本行動属性:90%以上,行動間の遷移:87.5%).
著者
服部 正典 長 健太 大須賀 昭彦 一色 正男 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.543-552, 2003-08-01
被引用文献数
5

ユビキタス環境において状況依存型のコンピューティング環境をすることを目的とした「ユビキタスパーソナライズエージェント」について述べる.本技術はユビキタス環境において収集が可能となる様々なユーザ関連データやイベント情報からユーザの状況を自動認識する「状況認識エージェント」とユビキタス環境に存在する各種デバイスとサーバシステム間でパーソナライズに関する処理の適切な分散を実現する「軽量知的モバイルエージェント」によって構成される.本論文では特にモバイルエージェント適用の効果に関して,実証実験を通した評価を実施することでその有効性の確認と考察を行う.
著者
三代 謙仁 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1791-1799, 2011-11-01
参考文献数
19

近年,食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに関心が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,その環境に適した植物を選択するには専門的な知識が必要ということもあり,不用意に繁茂させたり,逆に枯らしてしまうケースも多い.また,インテリア/エクステリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長時の生い茂った姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論文では,携帯電話のセンサを用いて,植裁スペースの環境(日照,温度,気温等)に適した植物を推薦するエージェントシステムの開発について述べる.また,本システムでは,推薦した植物の成長した姿を3DCGで表示するという拡張現実手法を用いて,周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することもできる.これにより,植物や園芸に関する特別な知識がなくとも,環境に適しており,かつ周辺の景観との調和のとれた植物を選ぶことが可能となる.今回の実験では約70%の精度で適した植物を推薦できることを確認できた.