著者
菊池 智子 大高 明史
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.129-138, 2014-11-19 (Released:2016-05-20)
参考文献数
24

ワカサギ杯頭条虫Proteocephalus tetrastomus (条虫綱変頭目杯頭条虫科)の分布と生活史を明らかにするために,日本各地のワカサギで寄生状況を調査するとともに,青森県小川原湖のワカサギで条虫の寄生率と発育ステージの季節変化を調べた。ワカサギ杯頭条虫は,調査した34の湖沼のうち19湖沼のワカサギで確認された。条虫の分布には地理的な偏りは見られず,湖沼の塩分特性や栄養状態との関連性もなかった。条虫の寄生数とワカサギの肥満度との間には,どの湖沼でも有意な負の関係は見られなかった。 小川原湖のワカサギに見られるワカサギ杯頭条虫は,春から夏に向かって体長が増加するとともに成熟が進行した。感染可能な幼虫を持った成熟個体は夏期を中心にして6月から12月まで見られた。一方,小型の若虫は7月に現れ,その割合は秋から冬に高まった。こうした季節変化から,ワカサギ杯頭条虫の生活史は一年を基本とし,夏から秋に世代交代が起こると推測された。
著者
西野 麻知子 大高 明史 池田 実 大和 茂之 川勝 正治 丹羽 信彰 遠山 裕子 WANG Hong-Zhu CUI Yong-De WANG Zhi-Young CHEN Rong-Bin CHEN Rung-Tsung WU Shi-Kuei PONCE Leonrodrigo VOLONTERIO Odile
出版者
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

日本に侵入したと推測されるカワリヌマエビ属を遺伝解析した結果、2つのクレードに分かれた。クレードIは日本在来亜種ミナミヌマエビと分布域が重なったが、クレードIIは日本と中国の両方にみられた。雄の外部形態からも、前者は在来、後者は外来種と判断された。日本の4地点では両クレードが混在し、外来種との交雑による遺伝子撹乱の可能性が示された。聞き取り結果と合わせると、日本のカワリヌマエビ属は中国の華中・華北地域、近年、兵庫県で発見された共生種ヒルミミズは華中地域から導入された可能性が高い。
著者
川勝 正治 西野 麻知子 大高 明史
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.461-469, 2007 (Released:2008-12-31)
参考文献数
45
被引用文献数
2 2

日本産の扁形動物門(Plathelminthes)ウズムシ亜目(三岐腸亜目Tricladida)の淡水生三岐腸低亜目(Paludicola),陸生三岐腸低亜目(Terricola),地下水生三岐腸低亜目(Cavernicola),それにテムノケファーラ目(切頭目Temnocephalata)の動物群には,計5科・2亜科・6属・8種の外来種が知られている。これらの種類の分類表を掲げ,原産地・簡単な形態の説明と核型・分布状況を概説した。アメリカナミウズムシ・アメリカツノウズムシ(淡水産),ワタリコウガイビル・オオミスジコウガイビル(陸産)の野外定着個体群は増加しつつある。ニューギニアヤリガタリクウズムシ(陸産)は2006年に外来生物法による特定外来生物の指定を受けて,移動・飼育等が禁止された。
著者
川勝 正治 西野 麻知子 大高 明史
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.461-469, 2007
被引用文献数
2

日本産の扁形動物門(Plathelminthes)ウズムシ亜目(三岐腸亜目Tricladida)の淡水生三岐腸低亜目(Paludicola),陸生三岐腸低亜目(Terricola),地下水生三岐腸低亜目(Cavernicola),それにテムノケファーラ目(切頭目Temnocephalata)の動物群には,計5科・2亜科・6属・8種の外来種が知られている。これらの種類の分類表を掲げ,原産地・簡単な形態の説明と核型・分布状況を概説した。アメリカナミウズムシ・アメリカツノウズムシ(淡水産),ワタリコウガイビル・オオミスジコウガイビル(陸産)の野外定着個体群は増加しつつある。ニューギニアヤリガタリクウズムシ(陸産)は2006年に外来生物法による特定外来生物の指定を受けて,移動・飼育等が禁止された。
著者
田中 晋 大高 明史 西野 麻知子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.167-179, 2004-12-20 (Released:2009-12-11)
参考文献数
44
被引用文献数
2 2

2001年8,月から2002年8,月にかけて,琵琶湖沿岸帯4カ所と周辺の20内湖からミジンコ類を採集して得た34サンプルを検鏡した結果,7科23属39種のミジンコ類を検出した。採集場所がいずれも水草帯であったため,採集された種の半数以上はマルミジンコ科に分類される種であった。多くの地点で採集され,個体数も多かった種はCamptocercus rectirostris, Ilyocryptus spinifer, Scapholeberis kingi, Simocephalus miztus, Simocephalus serrulatus, Bosmina longirostris, Chydorus sphaericusなどで,これらの種が琵琶湖沿岸帯と周辺内湖を代表する種であると言える。内湖のミジンコ相に共通した特徴はみられず,また琵琶湖沿岸帯と内湖の間にもミジンコ相の明らかな相違はみられなかった。しかし,内湖に出現した種数の合計は32種で,琵琶湖沿岸帯に出現した24種よりも多く,総体としての内湖におけるミジンコ相の豊かさを表しているといえる。ここで得た記録と過去の記録を合わせ,琵琶湖および内湖のミジンコ相について考察した。
著者
中田 和義 永野 優季 大橋 慎平 河合 俊郎 大高 明史
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.90-94, 2014-12-31 (Released:2016-02-06)
参考文献数
24

In Lake Akan, Hokkaido, northern Japan, the local population of the native and endangered Japanese crayfish Cambaroides japonicus (De Haan, 1841) is extinct, whereas the signal crayfish Pacifastacus leniusculus (Dana, 1852), an invasive species from North America, has become established and rapidly increased. This study provides information about specimens of C. japonicus preserved by Dr. Saburo Hatta from the lake in 1872. The six specimens (two males and four non-ovigerous females) are valuable evidence of C. japonicus formerly inhabiting Lake Akan. The body sizes of the specimens were 24.4–29.5 mm in carapace length and 55.7–67.4 mm in total length, and the estimated age of the largest specimen was ten years, indicating that Lake Akan of that time provided a suitable habitat. Twenty-two ectosymbiotic crayfish worms (Annelida, Clitellata, Branchiobdellida) were found attached to the specimens. Three branchiobdellidan species were identified: Cirrodrilus cirratus Pierantoni, 1905, C. inukaii (Yamaguchi, 1934) and C. megalodentatus (Yamaguchi, 1934). This is the first record of the latter two species from Lake Akan.
著者
大高 明史
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

新たな採集によって得られた標本と博物館などに保管されている過去の標本の分類学的検討によって,日本列島に分布する50の淡水湖沼の深底部から,5科にわたる35分類群の水生貧毛類を記録した。貧毛類の群集構造は,湖沼の生物地理学的位置や栄養状態によって大きく異なっており,貧栄養湖では,密度は低いものの多様性の高い群集が見られた。一方,富栄養化の進行に伴って,ミズミミズ科イトミミズ亜科の特定の種群が高密度になって優占する群集に収れんする傾向が指摘された。この点から,深底部の群集構造の変化を追跡することで,また深底部と集水域の群集構造を比較することによって,湖底環境の変化や富栄養化の進行を監視できると考えられる。