著者
垂水 浩幸 鶴身悠子 横尾 佳余 西本 昇司 松原 和也 林 勇輔 原田 泰 楠 房子 水久保 勇記 吉田 誠 金 尚泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 = IPSJ journal (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.110-124, 2007-01-15

市販のGPS 付携帯電話を端末とした位置依存の共有仮想空間(擬人化エージェント機能や利用者間コミュニケーション機能を含む)を応用して観光支援システムを開発し,これについて公開実験を行った.ここで公開実験とは,観光者に現地で依頼して被験者となってもらい,かつ観光者自身の所有する携帯電話を使用して,我々の提供するサービスを評価してもらう実験であり,観光の観点から客観性の高い現実的な評価を得ることが目的である.実験は香川県の代表的観光地である金刀比羅宮と栗林公園でそれぞれ1 週間ずつ実施した.その結果,年齢,性,観光地への訪問経験などにより反応が異なる場合があることが確認でき,ターゲットユーザの絞り込みが重要であることが分かった.また仮想空間で提供する情報は,ガイドブックや立て看板などの現実のメディアとの役割分担が重要であることも明確になった.またGPS の誤差については問題が残るが,位置誤差の評価と観光支援サービスの評価は独立であることも確認した.本論文ではこの公開実験の方法と結果について詳細に述べる.We have developed a sightseeing support system, using our shared virtual world service including human-like agents and inter-user communication for popular GPS-phones on the market. We have conducted open experiments for the service. By open experiments, we mean those with real tourists as subjects and letting them use their own phones. By open experiment, we have aimed to acquire realistic and objective evaluation from the viewpoint of sightseeing itself. The experiments were conducted at two major sightseeing destinations in Kagawa prefecture, each taking one week. As results, we have found that visitors responded differently by their age, gender, experiences, etc. We have also found that virtual media should give different information from real media. These findings will help the future design of such services. GPS inaccuracies were found but subjects evaluated them independently from other evaluation. In this paper, the method and results of the experiments are described.
著者
石山 琢子 楠 房子 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-5, 2013-05-17

大規模な博物館では,展示の理解のために,インタラクティブなコンテンツ開発が行われている.一方で多くの博物館では,展示の理解支援コンテンツを新規に設置することは難しいのが現状である.また学芸員の時間的余裕も少ないため,常設展示の内容も変化がないなど,支援は必要とされているが,展示支援コンテンツの実現が難しい現状がある.そこで本研究では iPad mini とキューブ型のスタンプを用いて,簡単に博物館の展示支援が可能なシステムを実装し,評価実験を行った.本論文ではその実験から得られたコンテンツと UI の評価について述べる.Large museum is developing interactive content for the understanding of the exhibit. On the other hand, many museums is difficult to install a new understanding support content of the exhibit. And curator is so busy. Therefore There is no change in the contents of the permanent exhibit. Support are needed there. But the realization of support content of the exhibit is difficult. So, we made a system that can support the museum exhibition easily by using a stamp of cubic and iPad mini. And we have the evaluation experiment. In this paper, We describe the evaluation of the user interface and contents obtained from the experiments in this paper.
著者
山田 敬太郎 垂水 浩幸 大黒 孝文 楠 房子 稲垣 成哲 竹中 真希子 林 敏浩 矢野 雅彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.372-382, 2009-01-15
被引用文献数
4

歴史学習を対象としたフィールドワークをGPS携帯電話を用いて支援するシステムの開発と,これを用いた実践授業を行った.学習者は,三次元モデルを元に携帯電話の画面上に再現された過去の世界を訪れ,現在の様子との違いを認識することから学ぶ.昭和13年の阪神大水害の様子を三次元モデルで作成し,中学3年生に対して実践授業を行いその教育効果を検証した.その結果,生徒全員から本システムへの肯定的な反応があり,過去と現在を結び付けながら学んでいる様子が分かった.三次元モデルにより,自由な視点での過去の様子を知ることができる点への評価が高かった.また,携帯電話を用いることにより機器に親しみやすく,生徒の関心を高めることに効果的であることが分かった.これらのことから,本研究のアプローチが有効であることを実証できた.We have developed a system using mobile phones with attached GPS to learn history. This system enables students to do fieldwork with a visit to a virtual world from the corresponding location in the present world. The virtual world designed a 3D model of a past world of 1938, when a landslide occurred. The 14-15-years-old students visited the past world and learned much about it. We have found that the system helped students learn about their local area's history by enabling them to compare the past and the present and to observe the past world from arbitrary viewpoints. Because mobile phones are familiar and portable, students' motivation was enhanced.
著者
福地 健太郎 楠 房子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.97-104, 2007-05-11

カプセル自動販売機(通称「ガチャガチャ」)にインタラクティブ性を付与したシステムを開発した.本システムはカプセルに封入された玩具に RFID タグを埋め込み,販売機には RFID センサ及び液晶ディスプレイを組み込むことで,購入した玩具を用いてインタラクティブな遊びを可能にする.提案するシステムを用いて,キャラクタにまつわる物語を提供するアニメーション提示アプリケーションと,複数人による協調プレイを想定した戦闘ゲームの二種類のアプリケーションを製作した.We developed a tangible entertainment system that enables to play video game with physical collectibles as game components. It consists of a capsule toy vending machine with LCD panel, capsule toys with embedded RFID tags,an RFID sensor board and a computer. We developed two applications using the system: an narrative animation application and a battle gamewhich allows collaborative multi-player game.
著者
江草 遼平 和田 久美子 生田目 美紀 楠 房子 溝口 博 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.456-457, 2011
参考文献数
1
被引用文献数
2

本研究では,生田目・楠(2010)が開発したユニバーサル・パペット・シアターに学習者が物語の展開を選択できる分岐場面を実装し,その効果を予備的に検証した.対象は健常者の大学生14名であり,上演後に,分岐について自由記述による評価を求めた.その結果,分岐場面の設定が動植付けを高めること,物語への没入が促進されること等の肯定的な回答を得ることができた.改善点としては,分岐画面のデザイン等が指摘された.
著者
田中 維 黒川 直哉 江草 遼平 楠 房子 山口 悦司 稲垣 成哲 野上 智行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.467-468, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
6

動物園は,観察を通じて科学教育が行える場所である.動物を観察するためには,観察対象物に関わる知識が必要である.特に子どもが動物を観察できるようになるために,保護者は重要な役割を果たす.本研究は,観察活動中の保護者による言葉がけの実態を明らかにするために,親子の会話を分析する.そのために,動物園における子どもの観察活動を促進する会話フォーム(Patrick & Tunnicliffe, 2013)を,分析フレームワークとして応用した.
著者
石山 琢子 楠 房子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-114, no.4, pp.1-7, 2012-03-09

本稿は美術大学のプログラミング初心者に向けた「美術デザイン作品の作成に役立つプログラミング」スキルの獲得を目的にした演習の実践報告である.美大生は作品作りに強い情熱を傾けるため,作品作りに役立つ技術,ヒントとしてプログラミングを教える事で,プログラミングに慣れ,興味を持つきっかけとなれば考え演習を構成した.具体的にはプログラム(ソフトウェア)と切り離す事の出来ないマウスやキーボードの仕組みを紹介し,プログラムとデバイスの組み合せでアイデアが膨らむような演習を行った.他にも様々なサンプルを紹介することでプログラミングの可能性を学生に感じさせるとともに実際に学生に書かせ動く楽しさを体験できるような演習を行った.
著者
田中 維 江草 遼平 楠 房子 奥山 英登 山口 悦司 稲垣 成哲 野上 智行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.210-224, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
18

We developed and evaluated animation-based learning contents for supporting scientific observations of animals in zoos. The contents provide the viewpoints of scientific observation. In order to evaluate whether the contents support observation, we developed cases of contents for observable features and behaviors of the hind flippers, noses, and claws of seals, and implemented a workshop for parents and children. The participants of the workshop were 15 parent-child pairs. Their average age was 7.0 years (SD = 2.0). We analyzed the video data of these 15 parent-child pairs’ observations using the contents. The results show that most parent-child pairs were able to observe the seals’ features and/or behavior using animation-based learning contents.
著者
垂水 浩幸 鶴身悠子 横尾 佳余 西本 昇司 松原 和也 林 勇輔 原田 泰 楠 房子 水久保 勇記 吉田 誠 金 尚泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.110-124, 2007-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
8

市販のGPS 付携帯電話を端末とした位置依存の共有仮想空間(擬人化エージェント機能や利用者間コミュニケーション機能を含む)を応用して観光支援システムを開発し,これについて公開実験を行った.ここで公開実験とは,観光者に現地で依頼して被験者となってもらい,かつ観光者自身の所有する携帯電話を使用して,我々の提供するサービスを評価してもらう実験であり,観光の観点から客観性の高い現実的な評価を得ることが目的である.実験は香川県の代表的観光地である金刀比羅宮と栗林公園でそれぞれ1 週間ずつ実施した.その結果,年齢,性,観光地への訪問経験などにより反応が異なる場合があることが確認でき,ターゲットユーザの絞り込みが重要であることが分かった.また仮想空間で提供する情報は,ガイドブックや立て看板などの現実のメディアとの役割分担が重要であることも明確になった.またGPS の誤差については問題が残るが,位置誤差の評価と観光支援サービスの評価は独立であることも確認した.本論文ではこの公開実験の方法と結果について詳細に述べる.We have developed a sightseeing support system, using our shared virtual world service including human-like agents and inter-user communication for popular GPS-phones on the market. We have conducted open experiments for the service. By open experiments, we mean those with real tourists as subjects and letting them use their own phones. By open experiment, we have aimed to acquire realistic and objective evaluation from the viewpoint of sightseeing itself. The experiments were conducted at two major sightseeing destinations in Kagawa prefecture, each taking one week. As results, we have found that visitors responded differently by their age, gender, experiences, etc. We have also found that virtual media should give different information from real media. These findings will help the future design of such services. GPS inaccuracies were found but subjects evaluated them independently from other evaluation. In this paper, the method and results of the experiments are described.
著者
矢谷 浩司 大沼 真弓 杉本 雅則 楠 房子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.773-782, 2003-10-01
被引用文献数
24

近年,ハンドヘルドデバイスが子供たちの学習において重要な役割を果たすことが期待されている.また,ハンドヘルドデバイスのようなモバイル性の高いデバイスを利用して協調学習をいかに支援するかは,CSCL(Computer Support for Collaborative Learning)の重要な研究テーマになりつつある.一方,日本においては,学習指導要領の改訂により始まる「総合学習」に対応した教育システムの構築が求められている.そこで,我々は「総合学習」の場として注目されている博物館において,2台のPDA (Personal Digital Assistant)を連携させ,展示物に関連するクイズを協力しながら解くことによって子供たちの学習を支援する,Musexと呼ばれるシステムを構築した.実際の博物館においてMusexの実験を行い,その効果について考察した.
著者
楠 房子 稲垣 成哲 徳久 悟 石山 琢子
出版者
多摩美術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究で開発したスタンプオンシステムは、「スタンプ」デバイスを用いた展示の理解支援システムである。本システムは3つの特色がある(1)展示物の説明を取得するにはiPadなどのモバイル端末を使用する (2)「スタンプ」と呼ばれる有形デバイスをタッチすると、モバイル・デバイス内に含まれる対応する説明を開始する(3)来館者の自発的な探索活動を支援する。本システムの有効性を検証するために、6年生の児童を対象として、科学博物館で実験を行った。実験結果から、子どもたちは、博物館の展示物の観察を本システムを用いて楽しく行うことができた。また本システムは展示物の理解のために、効果的であることが明確になった。
著者
稲垣 成哲 楠 房子
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は,科学系ミュージアムやフィールドでの学習における近未来の学習支援のためのデザイン指針と評価手法を明らかにすることである。近年の科学系ミュージアムやフィールドには,従来のHands-onタイプの展示だけでなく,ユビキタス社会を反映した様々なテクノロジが実験的に導入されており,それらによって可能になった近未来型のインタラクティブな学習支援・展示支援の現場が出現している。最終年度では,(1)文献・資料の収集とデータベース整理,(2)国内外の事例に関する実地調査,(3)デザイン指針の策定とその評価手法の開発及び試行,(4)成果発表を行った。まず(1)については,科学教育関連図書や博物館・フィールド学習関連図書及びこれらの関連領域の学術論文を収集し,科学教育の観点からみた学習支援のためのデザイン指針の理論的枠組及びその評価手法に関する仮説的提案を行った。(2)については,当該テーマにおける先進的な学習支援・展示支援の実例として,国外では,ベルギー自然史博物館,ポンピドーセンター,シュトゥットガルト自然博物館,メルセデス・ベンツ・ミュージアム,ビトラデザインミュージアム,ゼンケンベルク博物館等における新しいタイプの学習支援・展示支援のあり方について実地調査をした。他方,国内では山口情報芸術センター,北九州市立いのちのたび博物館等において調査を行った。(3)については,申請者らが従来から取組んでいる兵庫県六甲山を対象にした「実世界と仮想世界をインタラクティブに統合したフィールド学習」を題材にして,上記(1)における仮説的提案の適用可能性について調査した。最後に,(4)については,日本科学教育学会第34回年会(広島大学)において,テクノロジを利用した新しい学習支援・展示支援研究4件から構成された自主企画課題研究「インタラクション・デザイン・学習II」を組織した。
著者
杉本 雅則 楠 房子 稲垣 成哲 高時 邦宜 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1152-1163, 2002-12-01
被引用文献数
8

筆者らはこれまで,RFID技術を用いたセンシングボードを用い,物理世界と仮想世界とを融合することによるface-to-faceでのグループ学習支援システムを構築してきた.このシステムを用いた実践から,コンピュータの使用が苦手な学習者でも容易に学習に参加できる,教科書等を通して得た知識を物理世界で試せる,などの点で有効であることを示せた.しかし,発言の場においてリーダーへの依存が強くなる点や,より本物性の高い設定での学習支援ができないか,などの点も指摘されていた.そこで,本論文で提案するシステムでは,学習者のグループが互いにface-to-faceで話し合えないよう,複数のセンシングボードを別の場所に配置した.そして,各ボード上での操作が互いに影響を及ぼし合うよう,それらをネットワークでつないだ.グループ内の学習者はボードを囲みながらface-to-faceで問題を解決するとともに,別のグループの学習者とは,チャットシステムを介して交渉を行う.小学校の授業の中で,都市設計と環境問題の学習を学習者に行ってもらい,提案システムの有効性を検証した.
著者
内藤 浩 柏原菜実 楠 房子 杉本 雅則 橋爪宏達
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.58, pp.1-7, 2001-06-07

グループワークを行う場合、グループ内の各メンバーが他のメンバーとの意見の交換や強調などの相互作用を行うことが必要となる。そのためには、個々が自分及び、他のメンバーの性格を把握することが重要である。しかし、意見の外化の不得手や、人見知り等の性格の要因などにより、内面の性格が必ずしもグループ中での行動につながるとは限らない。そこで本研究では、グループワークに適した入出力デバイスとしてセンシングボードを用いて、ワーク中にボードに入力されるデータの内、特定のデータをPCに記録しそれを評価することを行う。グループワークとして、被験者たちには簡単なゲームをやってもらい、行動パターン等をデータ化する。このとき、ゲームのルールとしては、個人の性格が反映され、かつゲーム中で協調と競合がおきるようなものが要求される。そこで、そのようなゲームシステムを創作し、グループ内での個人の性格評価につなげていくことを目標とする。When we work in a group setting, each of us interacts with others, such as exchanging our own opinions or collaborating with each other. In this dace, it is important for each group member to understand not only his own character, but also others' ones. However, characters of members are not always reflected on their own behaviors in a group work by using a sensing board is proposed. The system allows users to play a simple game, and records patterns of their behaviors. We have designed a game, which enhances behaviors of each user originated from his own characters, and collaboration and competition among thme. The system is used for making a character of each user explicit for supporting group works.