著者
浜田 隆士 奥谷 喬司 棚部 一成 出口 吉昭 福田 芳生 波部 忠重 平野 弘道 蟹江 康光 川本 信之 三上 進 小畠 郁生
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.131-136, 1978

Progress and some results of the second rearing experiment of Nautilus macromphalus in Tokyo are described. The temperature controlling experiment is still applying to three extant individuals, that were supplied from New Caledonia last year through the courtesy of the ORSTOM in Noumea, and they are surviving for 222 days in captivity (May 14, 1978). Copulating behaviors are observed mostly in the waters of 17-19℃ in temperature but not in the cooler conditions. Shell growth at the apertural periphery was first measured to find that some individuals probably in a gerontic stage show no remarkable increment on one hand, the young specimens show 10-12 mm elongation per 100 days on the other. Recently the JECOLN also takes care of a living Nautilus pompilius that had been floated possibly from the Philippines along the Kuroshio Current over 2, 000 km and was captured by a fishing net set off Kawajiri, Kagoshima Prefecture in Kyushu, Southwest Japan.
著者
坪川 涼子 ウィラン リチャード C. 奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.249-263, 1992

従来日本産Pleurobranchaea属としてはウミフクロウにP. novaezealandiae Cheeseman 1878が, ツノウミフクロウにP. sp.の学名があてられていたが, それらの学名について検討した結果, 前者にはP. japonica Thiele, 1925, 後者にはP. brockii Bergh, 1897の学名をあてるのが最も適当であることがわかった。ウミフクロウに以前にあてられていた学名P. novaezealandiaeは, 現在ではP. maculataとシノニムとされている。P. japonicaは神戸産の標本をもとに記載されたが, 腹足, 背楯, 歯舌, 顎板などの形態のみの不十分な記載であったために, P. maculataとシノニムである可能性が疑われていた。本研究によりP. japonicaはP. novaezealandiae=P. maculataとは外部生殖器官の位置や形態, 腹足腹面の色, 幼生の殻の形態と浮遊期間に明瞭な相違があるため, 独立の別種であることがわかった。ツノウミフクロウについては, Baba (1949, 1969)によりPleurobranchaea sp.として記録されていたが, 本研究で腹足背面の突起, 頭膜前縁の小突起の列, 内部及び外部生殖器官の特徴により従来インドネシア海域とアフリカ東岸から知られていたP. brockiiであると結論された。
著者
陳 充 奥谷 喬司 梁 前勇 邱 建文
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1-4, pp.29-37, 2018-06-08 (Released:2018-06-29)
参考文献数
34

南シナ海北部,中国海南島南西沖で新しく見つかったメタン湧水域“海馬湧水”(水深1,372 m~1,398 m)からシロウリガイ類の未記載種が発見されたので新種として記載した。“Calyptogena” marissinica n. sp. ハイナンシロウリガイ(新種・新称)ホロタイプの殻長は103.7 mmであるが,パラタイプの一つ(死殻)は殻長188.0 mmに達する。この類としてはやや太短く,殻高は殻頂の後方で最大となり殻長の20%前後。殻皮は光沢のある藁色で,成長脈が著しい。月面も楯面も無い。靭帯は後背縁の1/2に達する。右殻の中央主歯(Fig. 3: 1; 以下同様)は三角錐状で殻頂下主歯前肢(3a)は弱いが後肢(3b)は強く,前肢と150°をなす。左殻の中央主歯は二叉し(2a, 2b),殻頂下前主歯は不明瞭であるが,後主歯(4b)は放射状に配置する。歯丘(nr)はよく発達する。殻頂下洞は無い。備考:本種のミトコンドリアCOI領域のデータから,本種は南海トラフの水深2,084 mから記載されたニヨリシロウリガイCalyptogena similaris Okutani, Kojima & Ashi, 1997と同じクレードに入ることが明らかである。ニヨリシロウリガイとは一層細長く湾入した腹縁を持つことなどから一見して区別ができるが,現在いわゆる広義のCalyptogenaは形態よりも分子系統解析によって属が細分化されつつあるのにも拘らず,ニヨリシロウリガイは何れの既存の“属”にも配置されていない現状から,本新種の属位は敢えてCalyptogenaのままとして扱った。
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-39, 1974

日本近海を含む北西太平洋における深海の貝類相についてはチャレンジャー号, アルバトロス号による採集に始まり, 近年になってソ連のヴィチャズ号, 凌風丸等による採集が行われているが, 発表された報告に乏しく, 知見が極めて少ない。本報告は1955年以来行われている東海区水産研究所所属調査船蒼鷹丸による各種の調査航海中行われた深海トロール採集物のうち, 1973年までの水深2, 000m以深(最深7, 530m)から得られた貝類につき各曳網ごとの全種リスト(Table 1)を掲げ, 更にそれと既往の報告に基いて日本近海の2, 000m以深から知られている貝類目録(Table 2)を作製した。日本近海の深海底には数種の汎太平洋種(或は世界共通種)を除いて東太平洋海域と共通種は殆どないが, インドマレイ海域の深海性貝類相と共通種が少なくない。シリトゲソデガイ属(ワダツミソデガイ属)の分布に関する知見も整理した。
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.70-71, 1994-06-30
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-2, 2002-12-31
著者
奥谷 喬司
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ : 日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
no.13, pp.3-4, 2002-08-20
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, 2002-08-30
著者
奥谷 喬司 松隈 明彦
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.163-"180-3", 1982

昭和56年10∿11月, 伊豆半島南東岸付近からドレッヂによって得られた貝類の中から興味ある21種を選んで報告する。 ヒカリシタダミ Microgaza fulgens : 原記載は五島沖であるが相模湾及びその周辺の50-100m 付近に普通。通常ヤガスリシタダミ M. ziczac と同所的分布をする。 ニヨリエビスガイ Tristichotrochus problematicus : 黒田他 (1971) により相模湾東部海域から報告された種。 キシュウベッコウタマガイ Lamellaria kiiensis : 死殻1こであるが, 本邦既知のベッコウタマガイ類中, 相模湾に分布するのは本種のみの様である。 ヒナノカムリボラ Murexsul cirrosus : 材料中最も多いアッキガイ科の種であるが, 色彩変異に富むばかりでなく, 螺助が殆ど鱗片状とならない標本まである。 クロスヂトクサバイ Phos nigrolineatus : 採集された標本はいずれも未成殻であるが, コトクサバイ P. varicosus に比べ螺塔は高く褐色螺条が極めて明瞭である。コトクサバイも同所的分布をする。 ムギヨフバイ Cyllene pulchella : 熱帯太平洋種で, 従来, 相模湾からは知られていなかった。 ヒダトリヨフバイ Zeuxis subtranslucidus : 波部 (1961) によって Z. hayashii の名で遠州難から記載されたが, インド洋から熱帯西太平洋に広く分布する種であることが明らかとなった。 ナガイモフデガイ Pterygia japonica n. sp. : 吉良 (1959) は本種を喜界島化石から記載された P. elongata にあてていたが, 本材料から発見された1標本と天草牛深から採集された1標本とを研究の結果, 別種と認められ新種として記載した。 コビトオトメ Microvoluta hondana : 横山 (1922) により武蔵野層上部から記載された化石種の現生標本である。所属はもとフデガイ科におかれていたがフデヒタチオビガイ科に移される。 ミウライモガイ Parviconus tuberculosus : 4地点からこの小型イモガイ類が採集され, 下田沖60∿120m 付近には普通であることが判った。 カンダイトカケガイ Epitonium kandai : エドイトカケガイに似るが, 縦肋肩部が僅かに突出し後方に反る点で異なっている。 ウスムラサキクレハガイ Papyriscala tenuilirata : 波部 (1961) が遠州灘からチャイロクレハガイ P. castanea として記載した貝であるが, 相模湾にも分布する。 チヂミナワメグルマ Claraxis aspersus : 小型のクルマガイで, 稀にしか採集されておらず, 本材料中も2個の死殻が発見されたにすぎない。 ミタマキガイ Glycymeris imperialis : 概形ベニグリガイ G. rotunda に似ているが本種とベニグリガイでは水深, 底質, 随伴群集が全く異なる。学名は G. albolineata をあてるべきだという意見もあるが, 後者は点刻が顕著で, 殻皮毛条が密で, 旦つ閉殻筋痕が縞状となる点において本種とは異なる。 ユキゾラホトトギスガイ Amygdalum soyoae : 陸棚帯上部の砂底に棲み, 深海性の近縁種ヌリツヤホトトギスガイ A. watsoni と棲息深度を著るしく異にする。 シロチョウウグイスガイ Pterelectroma zebra : PRASHAD (1932) が tomlini という別種を創設したが, 本採集品中には両型が出現し, 色彩模様のみでは2種に分けることは出来ないことが明らかである。 ワタゾコツキガイ Notomyrtea soyoae : 原記載での分布は九州西方から日本海西部の範囲であったが, 太平洋沿岸は相模湾まで知られる。 ウツギノハナガイ(新称) Wallucina izuensis n. sp. : 本属にはこれまで日本近海からはチヂミウメノハナガイ(ナシノハナガイ) W. lamyi しか知られていなかったが, 本種は前域が比較的長いこと, 殻表には成長輪脈のほか, 微細な放射状彫刻のある点で異なる。 カノコシボリコウホネガイ Meiocardia moltkiana : 熱帯西太平洋に汎く分布する種でフィリピン型を sanguineomaculata として区別されているが, 多くの標本を見るとその区別はむずかしい。 ウズマキゴコロガイ Verticordia deshayesiana : 本種は熱帯西太平洋ばかりでなく, 中央太平洋(ハワイ)にまで分布する。 ダイオウスナメガイ Cetoconcha japonica : 本種の幼若個体と見られるが, 殻は甚だ薄く, 概形も成体と幾分異るので, 別種の可能性もある。
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.185-205, 1975-04-20
被引用文献数
1

黒瀬は八丈島のN20°W約43浬離れた所にあり, 頂上はやや平坦で, 200m以浅の広さが東西8.5km, 南北6kmの小さい礁である。1973年6月と11月及び1974年7月に調査船蒼鷹丸によって礁上の底棲生物採集を行った結果, 20回のドレッヂにより72種の貝類を得た。そのうち約半数が前報の銭洲・瓢箪瀬・高瀬の貝類群と共通なもので, オキナエビスガイ, コナルトボラ, などは比較的頻度が高いものであった。二枚貝類は非常に少なく, 前報の三礁上に多かったミソノナデシコやツヅレノニシキなどのChlamys属は1個体も採集されなかった。従来四国以南(西), 沖縄, 南シナ海方面からしか報告されてなかったコシダカオキナエビス, タミコカンスガイ, ヨシオキヌヅツミガイ, トキオキヌヅツミガイ, ウブダカラガイ, メメイモガイ, マイヒメイモガイなどが黒瀬上から見出され分布上興味がある。しかし, このように分布の中心から隔絶された棲息地では, 種数は著るしく少なくなることが予想される。特筆すべき種としてはコシダカオキナエビスガイは従来相模∿伊豆に分布中心をもつオキナエビスの紀伊∿九州方面の生態的等位者と思われていたが, 黒瀬上では両者ともすんでいることが判った。又, アケボノダカラガイの産地がミッドウェーとなっているが, 恐らくこの付近であろうとされていた推論が裏付けられた。Fusolatirus kuroseanusホソニシキニナ(新種)はカンダニシキニナに似るが細く色もうすく, 水管溝が細長い点で一見して区別される。Cuspidaria kurodaiセノシャクシガイ(新種)はやや細長く腹縁は直線的で嘴状部は太短かく, 丸く終り, この上に殻皮皺がある。
著者
藤倉 克則 小島 茂明 藤原 義弘 橋本 惇 奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.103-121, 2000-06-30
被引用文献数
11

海洋科学技術センター(JAMSTEC)が運用する深海調査システム(有人潜水調査船, 無人探査機, 深海曳航式カメラ)を用いて, 日本周辺の深海化学合成生物群集におけるオトヒメハマグリ科二枚貝の採集及び生息環境の観察を行い, 6種について新たな分布域を発見した。シマイシロウリガイは, 相模湾の初島沖と沖ノ山堆の冷水湧出域と沖縄トラフ伊平屋海嶺の熱水噴出域に分布していることが知られていたが, 沖縄トラフの北部伊平屋海嶺からも新たに発見された。テンリュウシロウリガイは, これまで知られている南海トラフ天竜海底谷の冷水湧出域に加え, 南海トラフ第三天竜海底谷からも発見された。ナンカイシロウリガイは, 南海トラフ竜洋海底谷の冷水湧出域に分布していることが知られていたが, 沖縄トラフ北部伊平屋海嶺の熱水噴出域にも新たに発見された。ニヨリシロウリガイは, これまで知られている南海トラフのユキエ海嶺や東海スラストの冷水湧出域に加え, 琉球海溝(南西諸島海溝)付近の喜界島沖の冷水湧出域から死殻が採集された。エンセイシロウリガイは, これまで知られている沖縄トラフ南奄西海丘に加え, 南海トラフ第二天竜海底谷の冷水湧出域に生息し, さらに南海トラフの室戸海丘と足摺海丘, 琉球海溝付近の黒島海丘から死殻が採集された。ノチールシロウリガイは, 天竜海底谷に加え, 南海トラフの第一南室戸海丘の冷水湧出域から新たに発見された。また, これまで日本周辺の深海化学合成生物群集から出現しているオトヒメハマグリ科に属するシロウリガイ属およびオトヒメハマグリ属二枚貝の地理的分布・鉛直分布をまとめた。そして, 日本周辺ではシロウリガイ属二枚貝の分布は, 熱水噴出や冷水湧出といった化学合成生物群集のタイプの違いや地理的な距離に左右されず, 同じ水深レベルには同じ種が出現する傾向が認められた。
著者
奥谷 喬司
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.295-306, 2006

「相模灘およびその沿岸地域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明」のため,淡青丸,神鷹丸,臨海丸によって採集されたベントス標本のうち,二枚貝綱の原鰓類および異靱帯類について同定した.原鰓類・異靱帯類の生貝の出現地点は最浅67〜72m,最深1415〜1439mの全部で21地点であった.同定されたのは原鰓類11種(ツボミキララガイ,オオクルミガイ,スミゾメソデガイ,ニッポンハトムギソデガイ,ヒラソデガイ,ウロコソデガイ,シャクシロウバイ,シワロウバイ,サガミアラボリロウバイ,ゴルドンソデガイ,オオベッコウキララ),異靱帯類13種(ウスネリガイ,ヒロカタビラガイ,タキスエモノガイ,セマタスエモノガイ,カワムラサザナミガイ,エナガシャクシ,ワタゾコシャクシ,レンゲシャクシ,シャクシガイモドキ,ヒメシャクシガイ,カシマヒメシャクシ,トサヒメシャクシ,スナメガイ)で,例えば黒田ほか(1971)の「相模湾産貝類」に掲載されているものと比較すると,原鰓類では6種,異靱帯類では11種が共通であった.新種あるいは相模湾新記録種はなかったが,過去の採集記録を精査して各種ごとの本海域における分布の知見を検討し,本調査による分布記録を補った.
著者
佐々木 猛智 渡辺 浩記 奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 1995-10-31
被引用文献数
2

Intertidal and subtidal limpet fauna in Oga Peninsula, northern part of Sea of Japan was investigated. It is characterized by predominance of temperate and warm temperate species under the influence of the Tsushima Warm Current. The poor occurrence of cold-water elements in spite of relatively high latitude of the area under study exhibits a noticeable contrast to the subarctic fauna of northern Pacific coast of Honshu. It is also revealed that warm temperate species are restricted to south of Boso Peninsula on the Pacific side and Oga Peninsula in the Sea of Japan.
著者
奥谷 喬司 江川 公明
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-289, 1985-12-31
被引用文献数
9

海洋科学技術センターの"しんかい2000"によって, 相模湾東部海域でシロウリガイCalyptogena soyoae Okutani, 1957の生活状態と遺骸堆積を観察した。潜航は1984年6月5日に行われ, 35°01′N, 139°12′E付近, 水深1130∿1000mの範囲であった。シロウリガイの死殻は, 直径数mから数十mのパッチ状に散乱していたが, 生貝は少く, 死殻堆積の中心をやや離れた所に, 体の前半を埋め, 殻を僅かに開いた状態で見つかった。体にはへモグロビンが含まれ濃紫赤色で, マニピュレーターによって破壊されると赤い血が流れ出した。シロウリガイのパッチには, エゾイバラガニと思われるカニ及び束状になった管棲多毛類の群集が伴っていた。
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.3, no.8, 1966-04-15
著者
奥谷 喬司 宮崎 淳一
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.49-55, 2007-07-31

1992年に深海潜水調査船「しんかい6500」によって鳥島海山の水深4037mで発見されたニタリクジラの遺骸を2005年再訪して調査した。その鯨骨上に優占的に固着群生しているイガイ科の貝類を研究した結果,形態上からも,また分子情報からもBenthomodiolus属の未記載種と思われるのでBenthomodiolus geikotsucola n. sp.ゲイコツマユイガイ(新種)の名を与え記載した。本種の殻は浅海の鯨骨に付くヒラノマクラAdipicola pacificaや沈木に付くツマリキザミバマユイガイIdasola washingtoniaに似るが,交板上に刻みめがなく,筋肉系の配置が異なる。本属にはこれまで沈木に付くB. abyssicolaとB. lignocolaの2種が知られているが,それらとは殻皮毛と放射線状彫刻を欠くこと及び後部足糸牽引筋束が著しく長く,その左右束が極めて接近して走る点で既知種と区別できる。本種は今のところ鳥島海山の鯨骨(水深4020-4036m)からしか採集されていない。