著者
ナヨアン フランキー R. 横山 紀子 磯村 一弘 宇佐美 洋 久保田 美子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.28-39, 2012

This research investigated the acquisition of long and short vowels and pitch accents through perception, sentence reading, and conversational discourse of the Japanese language by 20 Indonesian speakers. They made few errors in listening to short vowels, however, many errors in long ones, and final positioning was very difficult. Indonesians use pitch change as a source of information in long vowel recognition. While reading they made few errors in pronouncing long and short vowels as they read it consciously. In natural discourse, they committed errors in all middle, initial, final positions. In both reading and natural discourse, they pronounced long vowels without any pitch change.

3 0 0 0 OA 「社会」分野

著者
宇佐美 洋
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.153, pp.55-70, 2012 (Released:2017-02-17)
参考文献数
9

『日本語教育』1号から150号までに掲載された全論文のうち,「社会との関わり」を扱った論文610編について,その研究テーマの変遷を社会的情勢の変化と関連させて論じた。全体として社会分野論文は,件数,全論文に占める割合ともに80年代後半まで順調に増加し,その後いったん停滞したものの,00年代後半には過去最高に達している。また刊行当初は国外の教育事情を紹介する論文が多かったが,80年代以降は国内における学習者の多様化に伴って国内の学習者に焦点を当てた論文が増えるなど,研究テーマが社会的情勢に鋭敏に反応して変化していることが認められた。さらに,社会情勢の変化に伴って生まれた新しい研究テーマを一過性のものに終わらせないためには,他の研究領域との連携により普遍性・一般性を追求していくという試みが重要になるとともに,日本語教育研究コミュニティ全体として「いま必要とされている研究とはどのようなものか」という議論を深め,研究観を拡張させていく必要もあることを論じた。
著者
宇佐美 洋
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.112-119, 2010 (Released:2017-02-15)
参考文献数
9

日本語母語話者が学習者の日本語作文を評価する際,評価の基本的方針(評価スキーマ)は人によって大きく異なる。評価スキーマのばらつきの全体像をとらえるため,評価観点に関する質問紙への回答傾向によって評価者をグルーピングする試みを行った。 評価者155名に学習者が書いた手紙文(謝罪文)10編を読んでもらい,「最も感じがいいもの」から「悪いもの」まで順位づけを依頼し,作業後,「順位づけの際どういう観点をどの程度重視したか」を問う質問紙(22項目,7段階)に回答してもらった。得られた回答に対して因子分析を実施した結果,「言語形式」,「全体性」「読み手への配慮・態度」「表現力」と名付けられる4因子を得た。さらに,評価者ごとに算出した上記4因子の因子得点に対しクラスタ分析を実施したところ,評価者は「言語重視型」,「非突出型」,「態度・配慮非重視型」,「言語非重視型」という4グループに分類するのが適当と解釈された。
著者
ナヨアン フランキー R. 横山 紀子 磯村 一弘 宇佐美 洋 久保田 美子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.28-39, 2012-08-30 (Released:2017-08-31)

This research investigated the acquisition of long and short vowels and pitch accents through perception, sentence reading, and conversational discourse of the Japanese language by 20 Indonesian speakers. They made few errors in listening to short vowels, however, many errors in long ones, and final positioning was very difficult. Indonesians use pitch change as a source of information in long vowel recognition. While reading they made few errors in pronouncing long and short vowels as they read it consciously. In natural discourse, they committed errors in all middle, initial, final positions. In both reading and natural discourse, they pronounced long vowels without any pitch change.
著者
宇佐美 洋
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.144, pp.145-156, 2010 (Released:2017-04-15)
参考文献数
8

本論文では,「外国人が日本で行う行動」について,その実行頻度による再分類を試みた。この目的のため,日本在住の外国人に対し「社会の中で,どの言語行動をどのくらいの頻度で行っているか」を問う質問紙調査を行い,欠損値のない908名分の回答に対し因子分析を実施,6因子を得た。このうち第3~第6因子は特定の状況・場所でのみ行われる行動と,第1,第2因子は個人的状況を問わず必要となる可能性のある行動と結びついていた。 第1,第2因子の負荷が大きかった行動の性格を詳細に検討すると,第1因子には「生きていくために必要となる私的な行動」が,第2因子には「人と深く関わるために必要となる公的な行動」が多く結びついていた。また,日本語レベルと第1因子の因子得点との間には高い相関があったのに対し,第2因子の因子得点との相関は決して高くなく,第2因子の行動頻度はむしろ職業・身分から強い影響を受けていることが示唆された。
著者
宇佐美 洋 岡本 能里子 文野 峯子 森本 郁代 栁田 直美
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.383-403, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

日本語教育関係者を対象に,フォーラム・シアター(FT)と呼ばれる演劇ワークショップを実施した後で,参加者に対するインタビューを実施し,各参加者にどのような変容があったかを分析した。その結果,ある参加者はFTへの継続的な参加を経て,ネガティブ・ケイパビリティ(すぐに答えを求めず考え続ける能力)を深化させていったことが確認されたが,一方でFTに明確な終着点を求めてしまう参加者もいたことが確認された。またある参加者は,FTでは「一人称的アプローチ」(自分の内観をそのまま他者に当てはめて理解しようとする)によって他者理解をしようとしていたが,その後他者から「二人称的アプローチ」(対象の情感を感じ取り,対象の訴え・呼びかけに答えようとする)を受けることで,一人称的アプローチから脱却していくプロセスが確認された。このことを踏まえ,この種のワークショップを運営する者に求められる配慮についても論じた。
著者
佐藤 光政 伊藤 一幸 宇佐美 洋三 小泉 博
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.377-384, 1990

日本国内における除草剤に抵抗性を示す雑草のバイオタイプの出現の状況を把握するため, 1989年3月にアンケート調査を実施した。<br>1. ハルジオン, ヒメムカシヨモギ, オオアレチノギク, ヒメジョオン, オニノゲシ, スズメノカタビラ, ノボロギク, オニタビラコ, イヌガラシの9種およびノエビ類において除草剤抵抗性のバイオタイプが見られた。比較的多くの地点で抵抗性バイオタイプが見られたのはハルジオン, ヒメムカシヨモギ, オオアレチノギクの3種で, ハルジオンの除草剤抵抗性バイオタイプは関東地方を中心に出現し, ヒメムカシヨモギとオオアレチノギクの抵抗性バイオタイプは関東地方から九州地方に至る比較的広い地域に出現した。<br>2. 除草剤抵抗性バイオタイプが見られるようになった時期は,「5年以上前から」または「2~3年前から」が多かった。<br>3. 除草剤抵抗性バイオタイプは果樹園, 桑・茶園, 路傍, 畑地および放棄地などで多く見られた。それらの場所で使用している除草剤はパラコートが多かった。
著者
宇佐美 洋
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.112-119, 2010

<p> 日本語母語話者が学習者の日本語作文を評価する際,評価の基本的方針(評価スキーマ)は人によって大きく異なる。評価スキーマのばらつきの全体像をとらえるため,評価観点に関する質問紙への回答傾向によって評価者をグルーピングする試みを行った。</p><p> 評価者155名に学習者が書いた手紙文(謝罪文)10編を読んでもらい,「最も感じがいいもの」から「悪いもの」まで順位づけを依頼し,作業後,「順位づけの際どういう観点をどの程度重視したか」を問う質問紙(22項目,7段階)に回答してもらった。得られた回答に対して因子分析を実施した結果,「言語形式」,「全体性」「読み手への配慮・態度」「表現力」と名付けられる4因子を得た。さらに,評価者ごとに算出した上記4因子の因子得点に対しクラスタ分析を実施したところ,評価者は「言語重視型」,「非突出型」,「態度・配慮非重視型」,「言語非重視型」という4グループに分類するのが適当と解釈された。</p>
著者
庵 功雄 イ ヨンスク 松下 達彦 森 篤嗣 川村 よし子 山本 和英 志村 ゆかり 早川 杏子 志賀 玲子 建石 始 中石 ゆうこ 宇佐美 洋 金田 智子 柳田 直美 三上 喜貴 湯川 高志 岩田 一成 松田 真希子 岡 典栄
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の成果は次の3点に要約される。第1点は公的文書の〈やさしい日本語〉への書き換えに関わる諸課題の解決、第2点は外国にルーツを持つ生徒に対する日本語教育に関する実証的な取り組みであり、第3点は各種メディアを通じた〈やさしい日本語〉の理念の普及活動である。第1点に関しては、横浜市との協働のもと、行政専門用語562語についての「定訳」を作成し、書き換えに際し有用な各種ツールとともにインターネット上で公開した。第2点に関しては、新しい文法シラバスを公刊する一方、JSL生徒向け総合日本語教科書の試行版を完成した。第3点に関しては、書籍、講演等を通して〈やさしい日本語〉に関する理念の普及に努めた。