著者
北村 勝朗 山内 武巳 高戸 仁郎 安田 俊広
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.15-25, 2007

本研究は,スノーボード・カービングターン初習者である大学生が3日間の集中講習の中で,a)動作・技術理解,b)動作イメージ,c)動作結果に対する感覚的理解,が指導によってどのように変化していくのか,実際の雪上での動作前後の感覚情報の内省報告による発話の分析と動作映像の分析,更には,講習前後日の荷重分布の変化の分析による多角的な分析を行うことで,スノーボード学習者を指導する際の客観的かつ理論的裏づけに基づいた有効な指導法を提案することを目的とする.分析の結果,動作習得過程における動作意識は,運動構造の認知,動作感覚の洗練,及び動作イメージの形成の3要素によって構成されている点が明らかとなった.これらの要素は,自身の中の「運動の不感性」を低下させる上で有効に作用しつつ,指導者の意図する動作イメージを共有する方向で機能している点が示唆される.こうした点から,カービングターン初習者に対する短期集中指導内容の構成として,学習初期には目的とする動作全体の理解を促す言語的・非言語的情報を用いた教示と同時に,学習者の感覚に注意が向けられるようなフィードバックによる自身の動作感覚の鋭敏化を促すことが,自身による動作イメージの形成に効果的に作用することが推察される.また,荷重変化からの検討により,講習前はフロントサイドターンの局面において前足かかと親指側に明らかな荷重分布は観察できなかったが,講習後は講習前と比べてフロントサイドターン中の前足かかと親指側に明らかな荷重分布が観察された.
著者
室谷 正彰 安田 俊一 矢口 和彦
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.522-527, 1990-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

金属アルコキシドを原料として, シリカのポリメリゼーションを抑制した原液ゾルを調製し, その原液からディップコート法により安定なシリカコーティング被膜を調製した。得られた被膜は, レインボーカラーを呈し, 強度が強く, 安定である。安定な膜の成膜性は原液ゾルの状態とディップコート時の下地となる基材の引き上げ速度に依存し, 原液ゾル調製の際のケイ酸エチル対水の量が5対4以下であることが望ましく, また, 引き上げ速度が10mm/sec以下であることが必要であった。一方, 各種条件のもとで調製した膜のFT-IRスペクトルを4,300~400cm-1の領域で測定し, シリカの骨格振動に帰属する吸収帯のうち, 1,210, 1,140および1,060cm-1の吸収帯が成膜性と関係あることがあきらかとなった。
著者
安田 俊隆 正木 和好 柏木 隆史
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.994-1000, 1992-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
26
被引用文献数
21 37

ダッタンそばに含まれるルチンの分解酵素について,普通そばと比較しながら検討を行った.(1) ダッタンそば粉および普通そば粉のルチン含量は,HPLC分析により,それぞれ1470mg/100g, 14.2mg/10Ogであった.ダッタンそば粉に加水することにより,その大部分のルチンが急速にケルセチンに分解されたが,普通そば粉では殆どルチンの分解はみられなかった.(2) ダッタンそば粉おおび普通そば粉の抽出液について,ルチン分解活性を比較したところ,普通そばがタンパク1mg当たり0.09Uであったのに対し,ダッタンそばはタンパク1mg当たり61Uと約680倍も強い活性を示した.(3) ダッタンそば粉および普通そば粉の抽出液について,ルチンに構造の類似したケルシトリン,ナリンギンに対する分解活性およびβ-グルコシダーゼ活性, α-ラムノシダーゼ活性を測定したところ,ケルシトリン,ナリンギンには分解活性を示さず,またβ-グルコシダーゼ活性, α-ラムノシダーゼも非常に弱かった.(4) ダッタンそばのルチン分解酵素について,熱,pH,タンパク変性剤の影響をみたところ. 70℃以上,pH3以下, pH7以上で急速にルチン分解活性を失い,タンパク変性剤によっても活性の低下がみられた.
著者
川添 尭彬 末瀬 一彦 上田 直克 安田 俊冶 今西 俊雅 高田 秀秋 糸田 昌隆 札 束銘
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.378-402, 1994
被引用文献数
6

新たに開発された歯冠材料 (ハイブリッドセラミックス, HCC-4S) を用いて臨床試験を行った. 被験者は, 大阪歯科大学附属病院補綴科へ来院した患者47名 (男性10名, 女性37名) である. 修復部位は, 前歯が1歯, 小臼歯が22歯, 大臼歯が24歯で, 臨床経過を術前, 装着直後, 術後1週間, 術後3か月まで詳細に観察, 種々の評価を行い以下の結論を得た.<br> 1) 支台歯に対する評価では, 3症例に自発痛, 冷水反応, 打診痛が認められた. 1症例は, 術前から冷水反応が認められていたもので, 装着後消失した. 他の2症例については, 口腔内全体にわたる知覚過敏反応, 感染根管処置後の術後疼痛であった.<br> 2) 歯肉縁の状態については, クラウンの装着後改善されたものが多く, 増悪した症例はほとんどなかった.<br> 3) 摩耗については, 模型で認知できる咬耗はほとんどなく, シャイニングスポットが認められたものが2症例あった.<br> 4) 破折は3症例に認められたが, 2症例については試適中および仮着中に, 他の1症例のみ装着後に破折が生じた.<br> 5) 対合歯の咬耗は肉眼的に認められなかったが, 2症例にシャイニングスポットが認められた. 以上の結果から, ハイブリッドセラミックス, HCC-4Sは, 臼歯の咬合面を含む歯冠材料として有用で, 強度, 生体親和性および審美性において優れた歯冠材料であることが判明した.
著者
備酒 伸彦 安田 俊吉 山下 康将 中田 雅子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.103-107, 1991-03-10
被引用文献数
1

在宅健常高齢者の「生活」に関する知識・認識を得るため, 60歳以上の在宅健常者118名を対象として, ADL・APDL(生活関連動作)の中から抽出した代表的な10項目の価値序列に関する調査を行った。なお, 結果の処理にあたっては, 対象を年齢・性・家族構成の別で18グループに分類して検討した。全グループ共通して, 価値序列の上位層は排泄・食事, 中位層は入浴・更衣・整容・意志伝達・屋内移動, 下位層は屋外移動・仕事(家事)・交際であった。このうち上位層, 下位層では全グループに共通した価値序列がみられたが, 中位層においては性別による序列の相違が大きかった。また仕事(家事)の項目については, 性・年齢・家族構成の相違が反映されていた。