著者
三嶋 和也 内海 友加利 池田 彩乃 安藤 隆男
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.185-196, 2018-03-31 (Released:2018-10-06)
参考文献数
11

本研究は、特定の地域における義務教育段階にある肢体不自由児の就学先ごとの彼らの障害の状態等の実態を明らかにした。肢体不自由特別支援学校とその通学区域にある小・中学校の通常学級、知的障害特別支援学級、知的障害特別支援学校を対象に質問紙調査を実施した。その結果、障害部位では、どの形態においても下肢障害の割合が最も高かった。移動の自立度が高い児童生徒が通常学級に多く在籍するのに対して、肢体不自由特別支援学校では、独歩や移動の自立度の割合が低かった。また、肢体不自由特別支援学校では、独歩の割合は中学部段階で増え、自立度も高くなる傾向があることから、小学校等から肢体不自由特別支援学校の中学部へと就学先を変更している可能性が示唆された。本研究において得られた結果は地域における肢体不自由児の多様な学びの場における指導の連続性を考究する基礎的な資料となると考えられる。
著者
植田 佐知子 安藤 隆男
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-82, 2021-08-31 (Released:2022-02-28)
参考文献数
24

本研究の目的は、肢体不自由特別支援学校の重複障害学級の教師を対象として、自立活動の授業過程における困難さに教師がどのように対処し、その結果としてどのような内容を獲得したのかを明らかにすることである。自立活動の授業過程に関する質問項目の因子分析の結果から、教師は困難さを自覚し、同僚との協働により対処していた。多変量分散分析を行った結果、肢体不自由教育経験年数の1~5年の教師群は困難さを抱きやすく、相談相手および相談機会を多くもつ教師群は困難さを同僚との協働により対処していた。困難さへの対処により教師が獲得した内容に関する自由記述を分析したところ、教師は自立活動の指導における「身体の動きの指導に関する知識・技術」「実態に応じた指導方法」「教師として求められる多様な視点」を獲得していた。また、肢体不自由教育経験年数により、教師の獲得内容は異なった。以上から、自立活動に関する教師の力量形成には、教師たちの協働化を促進する学校組織の形成や実践経験に応じた研修内容の見直しの必要性が示唆された。
著者
中村 満紀男 岡 典子 米田 宏樹 安藤 隆男
巻号頁・発行日
pp.i-333, 2010-03

平成18-21年度科学研究費補助金(基盤研究(A))研究成果報告書
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。
著者
安藤 隆男 西川 公司 川間 健之介 徳永 豊 千田 捷熙
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、次の二つから構成した。まず、(1)学習の主体である脳性まひ児の学習特性、(2)脳性まひ児の教科指導を行う担任教師、(3)地域における支援の担い手である肢体不自由特別支援学校の支援体制に注目し、通常学級における脳性まひ児の学習支援モデルの開発に関わる基礎的な資料・知見を得る研究である。次に、これらの基礎的な知見をふまえて、とくに附属肢体不自由特別支援学校との開発と展開に関わる共同研究である。この共同研究は、脳性まひ児の学習特性をふまえた教科指導モデルの構想と実践(第一研究)と通常学級における脳性まひ児の学習支援の展開(第二研究)からなる。前者は通常学級における脳性まひ児の学習支援に資する教科指導モデルを、肢体不自由特別支援学校において培ってきた専門性に基づいて構想、実践するものである。後者は前者で構想、実践した教科指導モデルを通常学級に適用、展開するものである。まず、第一研究では、WISC-IIIなどの結果から、認知的な課題がある児童生徒を対象とした各教科の指導の手だて等を開発し、授業において検証した。その結果、認知的な特性をふまえた指導の導入が脳性まひ児の学習パフォーマンスを高めることが事例的に明らかになった。第二研究では、第一研究で構想した教科指導モデルを通常学級の脳性まひ児に適用してその有効性を明らかにしつつも、脳性まひ児の認知に関わる担当教師の気づきの位相によって彼らへの支援を細かく想定する必要性が示唆された。脳性まひ児の学習パフォーマンスに関しては、認知的特性のみならず、運動動作の障害との因果関係も示唆され、改めて自立活動の指導との関連から課題を整理する必要がある。