著者
小田 寛貴 Oda Hirotaka 本庄 かや子 Honjo Kayako 森 靖裕 Mori Yasuhiro 安西 雅希 Anzai Masaki
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.16, pp.181-190, 2005-03

This paper reports radiocarbon dating of the charred-carbonaceous samples remained on a Satsumon pottery excavated from the Yafurai-3 site, Kamiiso-cho, Hokkaido, Japan. The Satsumon pottery is a small pot with three grooved lines. The typological analysis indicates that the pottery was made in the early Satsumon period. Although the charred-carbonaceous samples have older radiocarbon ages than the typological age, the δ^<13>C value of the sample suggested that the carbonaceous materials originated from the marine products. The radiocarbon ages, therefore, were corrected for the marine reservoir effect in Hokkaido, and calibrated to the calendar age. The calibrated ages showed that the Satumon pottery was used before the 9th century.
著者
小田 寛 大野 道也 大橋 宏重 渡辺 佐知郎 横山 仁美 荒木 肇 澤田 重樹 伊藤 裕康
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1231-1236, 2000

慢性透析患者では心血管系合併症, とくに虚血性心疾患 (IHD) の発症頻度が高い. 今回, 血液透析 (HD) 患者と持続性自己管理腹膜透析 (CAPD) 患者の凝固, 線溶系の各因子を測定し, IHDとの関連性について検討した.<br>平均年齢48.5歳の健常者20名 (男性9名, 女性11名), 平均年齢52.7歳のHD患者20名 (男性8名, 女性12名), 平均年齢47.8歳のCAPD患者30名 (男性18名, 女性12名) を対象とした. 平均透析期間は45.2か月と43.8か月で, 基礎疾患はいずれも慢性糸球体腎炎である. 凝固系因子として第XII因子活性, 第VII因子活性, フィブリノーゲン, トロンビン・アンチトロンビンIII複合体 (TAT) を, 線溶系因子としてプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1 (PAI-1), α<sub>2</sub>プラスミンインヒビター・プラスミン複合体 (PICテスト), Dダイマーを測定した. またIHDは, (1) 心筋梗塞, 狭心症の有無, (2) 無症候性心筋虚血は運動負荷, 薬物負荷後のタリウム心筋シンチグラフィーの所見から診断した. 以下の成績が得られた.<br>(1) 健常者に比較して透析患者の第VII因子活性, TAT, フィブリノーゲンは高値を示し, 凝固亢進状態にあった. またHDに比較してCAPD患者の第VII因子活性とフィブリノーゲンはさらに上昇していた. (2) 透析患者のPIC, Dダイマーは高値を示し, 線溶亢進状態にあった. なおHDとCAPD患者の間に線溶系因子に有意差は認められなかった. (3) IHDを有する透析患者の第VII因子活性, フィブリノーゲンは上昇していた. この傾向はCAPD患者でより顕著であった.<br>以上より, 透析患者の凝固・線溶系は亢進状態にあり, この傾向はCAPD患者で顕著であった. なかでも第VII因子とフィブリノーゲンはIHD発症の危険因子であることが示唆された.
著者
坂本 昭二 倉石 沙織 小田 寛貴 江南 和幸 岡田 至弘 安 裕明 池田 和臣 河野 益近
雑誌
じんもんこん2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.19-26, 2010-12-04

本研究では、4世紀の李柏文書から20世紀までの古文書等の様々な料紙を対象として、これらの料紙を科学的に分析したデータを用いて料紙の比較分類を試みた。まず、紙の色情報によって料紙の分類を行った。この結果、時代的に古い紙は比較的黄色味を帯びた暗い色をしているが、新しい紙では黄色味が減少して白い紙が多いことを示した。次に、蛍光X線元素分析によって料紙に含まれる元素の種類を調べ、時代的に古い紙が含む元素の種類数は多く、新しい紙に含まれる元素の種類数は少ないことを示した。特に大谷文書の多くに元素Fe, Ti, Alが含まれていることを確認した。
著者
小田 寛貴 池田 和臣 坂本 昭二 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

鎌倉時代以前の現存古写本は,極めて少ない.これは,室町以降,茶室の掛軸等にするため,古写本が数行毎に裁断されてきたためである.この古写本断簡を古筆切という.故に,古筆切の史料的価値は高く,同一の本を構成していた古筆切(ツレ)を蒐集することで,貴重な史料である元の写本を復元できる.ただし,問題点が一つある.古筆切には,後世の偽物や写しが大量に混在しているのである.そこで,14C年代測定により古筆切の書写年代を求め,さらに,顕微鏡観察によって原料・繊維幅・紙漉法等を求め,それらが等しいツレを蒐集することで,失われた古写本の一部分を復元することができる.本研究では,その方法の確立を行った.
著者
小田 寛貴 山田 哲也 塚本 敏夫 加藤 丈典
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

緑青は,青銅器に発生するさびである.これは青銅中の銅と大気中の二酸化炭素から生成されたものである.また,緑青は一旦形成されるとそれ以上新たな緑青の形成を阻止する性質をもっている.そこで,本研究では,緑青の放射性炭素年代測定の実現を目的とした基礎研究を行った.まず,緑青に含まれる炭素の抽出法を開発した.その上で,考古学的な年代の判明している青銅器に適用し,その炭素がさびの形成された当時の大気中二酸化炭素に由来するものであることを実証した.以上の成果によって,緑青の放射性炭素年代から,そのさびが形成された年代が得られ,さらに青銅器が使用された年代を求めることが可能であることを示した.
著者
大橋 宏重 小田 寛 大野 道也 渡辺 佐知朗 琴尾 泰典 松野 由紀彦 平野 高弘 石黒 源之 大熊 俊男 伊藤 裕康 澤田 重樹 荒木 肇 横山 仁美
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.1017-1023, 1998-06-28
参考文献数
24
被引用文献数
2

冠動脈疾患 (CAD) などの心血管系合併症の発症頻度が維持血液透析 (HD) 患者で高いことが問題になっている. HD患者の脂質代謝異常が動脈硬化の発症, 進展に大きな役割を演じていることが報告され, 高中性脂肪 (TG) 血症と低HDL-コレステロール (HDL-C) 血症がその特徴と考えられている. 近年, リポプロテイン (a) (Lp(a)) の上昇しているHD患者の多いことが報告されるようになり, 心血管系合併症, なかでもCADとの関連が注目されるようになった. 今回, 我々は5年間経過を観察し, HD患者のLp (a) が心血管系合併症, なかでもCADの独立した危険因子となるか, 検討した.<br>5年間でHD患者268名 (慢性腎炎: CGN212名, 糖尿病性腎症: DN56名) のうち70名が死亡した. 内訳は心血管系合併症, 悪性腫瘍, 感染症の順であった. 心血管系合併症による死亡例は脳血管障害 (CVD) 26名, CAD22名, 胸部大動脈瘤破裂1名の計49名であった. 心血管系合併症で死亡した症例は, 非心血管系合併症で死亡した症例に比較して, Lp (a) が有意に上昇していた. また心血管系合併症のうちCVDに比較してCADでLp (a) はさらに上昇していた.<br>しかしながら, Lp (a) 30mg/d<i>l</i>以上の症例は未満の症例に比較して生存率が低いという結果は得られなかった.<br>CADで死亡した症例はLp (a) のオッズ比4.13 (95%信頼区間1.25-15.0), 相対危険度0.71で, HD患者でLp (a) はCADの独立した危険因子となることが示唆された.<br>以上より5年間の経過観察から, 心血管系合併症で死亡したHD患者のLp (a) は上昇しており, Lp (a) はCADの独立した危険因子となる可能性が高い.
著者
山田 哲也 Yamada Tetsuya 塚本 敏夫 Tsukamoto Toshio 小野 直俊 Ono Naotoshi 小田 寛貴 Oda Hirotaka 中村 俊夫 Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.10, pp.87-96, 1999-03 (Released:2010-05-25)

第11回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成10 (1998)年度)報告 名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計第1号機の研究実績と1号機,2号磯の利用計画
著者
谷口 勇仁 小田 寛貴
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.13-22, 2016-06-09

本稿は,大学院の理系研究室の運営を「ラボラトリーマネジメント」と位置付け,効果的なラボラトリーマネジメントを探求するために,ラボラトリーマネジメントの課題を明らかにすることを目的としている。まず,ラボラトリーマネジメントに関連する先行研究を概観した上で,先行研究では民間研究組織との比較検討の視点が欠けていることを指摘した。次に,大学院理系研究室と民間研究組織との比較検討から①小規模な組織,②高い流動性,③PIの大きな自由裁量度,④多面的な成果評価という4つの特徴を導出し,大学院研究室の運営責任者であるPI(Principal Investigator,主任研究員)は,「小規模で流動性が高い組織において,大きな裁量のもとに,多様な成果を達成することを求められている」ことを明らかにした。最後に,上記の特徴を検討し,ラボラトリーマネジメンの課題として,①先輩と後輩の経験格差が非常に小さいことを前提としたOJTの運用と,②実験研修・研究打合せ・研究発表等の制度の構築と維持を指摘した。
著者
山田 哲也 塚本 敏夫 中村 俊夫 小田 寛貴
出版者
(財)元興寺仏教民族資料研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

加速器質量分析(AMS)法による古代鉄製品の放射性年代測定を確立し、鉄製品に直接的な年代値を付与することを目的として、鉄試料に内在する炭素を汚染させることなく効率よく高純度に抽出し、高精度の試料調整を行った上で、名古屋大学年代測定総合研究センターのタンデトロン加速器質量分析計で微量の炭素を含有する古代鉄製品の^<14>C年代測定の有効性の検証をおこなった。鍛錬鍛冶実験を通じて、そのときに使用した木炭および鍛錬工程で得られた鉄試料のAMS法による^<14>C年代測定を行い、その年代値の検討をおこなった。その結果、鉄中の炭素履歴は、鍛錬実験に用いる前の木炭とほぼ同一の年代を示し、鉄中の炭素履歴は、鍛錬の際に用いられた木炭に置き換えられることがわかった。これまでの一連の研究成果とあわせて、鉄製品中の炭素は、各製作工程ごとに用いた木炭の炭素に影響を受けて、鉄製品中の炭素履歴が置換されるため、鉄製品に内在する炭素を抽出して^<14>C年代測定をおこなうことにより、古代の鉄製品に直接的に年代を付与することが可能であり、その鉄製品の^<14>C年代測定を行うことの有効性を確認することができた。しかし、今回測定した試料の年代値の中には、測定年代に測定誤差を越えたばらつきや、測定試料に炭素同位体分別が生じたり、鍛錬に用いられた木炭と造られた鉄の^<14>C年代値に若干の時間差がみられることがあった。これらの事象を今後、解明してゆくことが古代の鉄製品の^<14>C年代を測定して行く上での課題として残った。
著者
高橋 啓一 北川 博道 添田 雄二 小田 寛貴
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.84, pp.74-80, 2008-10-01

The Churui specimen was found in 1969 and 1970 from Bansei, Churui, Makubetus-cho, Nakagawa-gun, Hokkaido, and is one of the most important whole skeletons of Palaeoloxodon naumanni. Herein, we reexamine the molar number and specific identification of this specimen. As a result of our observations, four molars that were previously identified as second molars of one individual are re-identified as third molars of one individual. These molars correspond to the group 25-27 of Laws (1966), and are therefore assumed to represent an age of about 50 years. Observations of the epiphyseal fusion of the postcranial bones in the Churui specimen support the result that the animal used its third molars. A molar that was previously identified as a third molar from the same individual as the four "second molars" of P. naummmni, is re-identified as a second or third molar of the woolly mammoth Mammuthus primigenius, as determined by morphological characters. It gave a radiocarbon date of 42,850+510BP. Woolly mammoths inhabited Hokkaido from 45ka to 16ka, while the horizon of P. naumanni from Churui is estimated to be 120ka. This suggests that the molar of the woolly mammoth fell from the upper part of the cliff at the excavation site of the Churui specimen, instead of being recovered from the excavation plane.
著者
山本 直人 小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.13, pp.167-169, 2002-03
被引用文献数
1

これまで5年間にわたって,土器型式が明確な縄文土器に付着した炭化物を試料に,タンデトロン加速器質量分析計による炭素14年代測定をおこなってきている(山本1997;1998;1999,山本・小田2000;2001)。これまでの研究を継続して今年度(2001年度)も測定を実施してきており,その結果を報告するものである。今年度に測定したのは2遺跡9点で,採取した試料の詳細は表1に,測定の結果は表2にしめすとおりである。今年度の測定にあたりましては,野々市町教育委員会の吉田淳氏,國學院大學栃木短期大学の小林青樹氏にお世話になりました。明記して謝意を表する次第です。
著者
山本 直人 小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.12, pp.215-219, 2001-03
被引用文献数
2

これまで4年間にわたって,石川県内の縄文時代の遺跡を対象にして,土器型式が明確な縄文土器に付着した炭化物を試料に,タンデトロン加速器質量分析計で放射性炭素年代測定をおこなってきている(山本1997;1998;1999,山本・小田2000)。今年度(2000年度)もこれまでの研究を継続して測定を実施してきており,その結果を報告するものである。今年度に測定したのは2遺跡11点で,珠洲市野々江(NNE)遺跡については遺漏があったので,ここで報告するものである。採取した試料の詳細は表1に,測定の結果は表2にしめすとおりである。今年度の測定にあたりましては,珠洲市教育委員会の平田天秋氏,野々市町教育委員会の吉田淳氏と布尾和史氏にお世話になりました。明記して謝意を表する次第です。また,これまでに測定をおこなってきたなかで,信頼性の高い測定値をぬきだして作製したのが,表3と表4である。なお,表4も表2同様,括弧内の数値はAMS^<14>C年代の平均値を較正した値であり,括弧外の数値は較正後の誤差範囲をしめている。井口II式の後半と八日市新保式の古いところは時間的にかさなって,並存するのではないかと一部では考えられてきたが,測定値はその可能性を示唆しており,今後類例を増加させて考察していきたい。
著者
池田 和臣 小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.12, pp.89-92, 2001-03

第13回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成12 (2000)年度)報告 名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計第2号機の研究成果と利用計画