著者
南 雅代 小田 寛貴 小島 貞男 横田 喜一郎 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.13, pp.71-81, 2002-03

第14回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成13 (2001)年度)報告
著者
小田 寛貴
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.380-383, 2018-08-20 (Released:2019-08-01)
参考文献数
2

鎌倉時代以前の古写本の大部分は,掛軸などにするために頁毎・数行毎に切断され,現存するものは極めて少ない。しかし,切断された断簡としては,かなりの量が伝世している。これが古筆切である。ただし,古筆切には,後世に制作された偽物や写しも多く混在する。そのため,炭素14(14C)年代測定という放射化学的手法によって古筆切の真贋や書写年代を決定することは,失われてしまった古写本の一部分が復元されることを意味する。さらに,こうした古筆切を史料とすることで,新たな歴史学・古典文学・書跡史学の研究が可能となる。
著者
中村 和之 酒井 英男 小林 淳哉 小田 寛貴 浪川 健治 三宅 俊彦 越田 賢一郎 佐々木 利和 瀬川 拓郎 中田 裕香 塚田 直哉 乾 哲也 竹内 孝 森岡 健治 田口 尚 吉田 澪代
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、14~16世紀のアイヌ文化の状況を明らかにすることである。この時期は、近世のアイヌ文化の成立期であるが、文献史料と考古学資料が少ないため、状況がわかっていない。そのため、漢語・満洲語・日本語史料の調査を行うと同時に、遺物の成分分析や年代測定、それに遺跡の電磁探査など、さまざまな分析方法で情報を収集した。その結果、14~15世紀の北海道でカリ石灰ガラスのガラス玉が発見された。本州でほとんどガラス玉が出土しないので、アムール河下流域からの玉と考えられる。この時期は、元・明朝がアムール河下流域に進出した時期に重なるので、北方からの影響が強くアイヌ文化に及んだことが推定できる。
著者
片山 一道 徳永 勝士 南川 雅男 口蔵 幸雄 関 雄二 小田 寛貴 上原 真人 清水 芳裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

南太平洋に住む人びとの祖先集団であり、ポリネシア人が生まれる直接の祖先となった先史ラピタ人の実態を解明するため、生物人類学、先史人類学、考古学、生態人類学、人類遺伝学、年代測定学、地球科学などの研究手法で多角的な研究を進めた。トンガ諸島のハアパイ・グループ、サモアのサワイイ島、フィジーのモツリキ島などで現地調査を実施して、それぞれの分野に関係する基礎資料類を収集するとともに、それらのデータ類を分析する作業を鋭意、前進させた。それと同時に、ラピタ人からポリネシア人が生まれる頃にくり広げられた南太平洋での古代の航海活動を検証すべく、ポリネシアから南アメリカの沿岸部に散らばる博物館資料を点検する調査を実施した。特記すべき研究成果は以下のごとくである。まずは、フィジーのモツリキ島にあるラピタ遺跡を発掘調査して古人骨(マナと命名)を発見し、フィジー政府の許可を得て日本に借り出し、形質人類学と分析考古学の方法で徹底的に解析することにより、古代ラピタ人の復顔模型を作成するに成功したことである。マナの骨格、ことに頭蓋骨は非常に良好な状態で遺残しており、これまでに発見されたラピタ人骨では唯一、詳細な復顔分析が可能な貴重な資料であったため、世界に先がけて古代ラピタ人の顔だちを解明することができた。それによって彼らがアジア人の特徴を有するとともに、併せて、現代のポリネシア人に相似する特徴も有することを実証できた。そのほか、一般にポリネシア人は非常に足が大きく、世界でも最大の大足グループであることを証明し、その性質がラピタ人の頃に芽生えたらしいことを推論できたこと、さらに、サモアのサワイイ島で考古学の発掘調査を実現できたこと、トンガ諸島で古代の漁労活動を類推する資料類を収集するとともに、現代人の遺伝的な関係を分析する血液試料を採集できたことなども大きな成果である。とりわけ世界で最初に復顔したラピタ人の等身模型は国内外に発信できる本研究の最大の研究実績であろう。
著者
谷口 勇仁 岩田 智 小田 寛貴 平本 健太
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は,大学院理系研究室のマネジメント,すなわち「ラボラトリーマネジメント」について,大学院理系研究室を対象とする詳細な実証分析に基づき,効果的なラボラトリーマネジメントを解明することを目的とする.本研究は3ヶ年計画で実施され,第2年度にあたる2019年度の研究実績の概要は以下の3点である.第1に,大学院理系研究室の組織構成員に対し,研究室の運営(研究室の制度,文化,リーダーシップ)に関するインタビュー調査を行った.前年度に明らかになった理論研究室と実験系研究室のラボラトリーマネジメントの違いが明らかになったため,ラボラトリーマネジメントがより重要であると考えられる実験系研究室に焦点を当てて研究をすすめることとした.第2に,ラボラトリーマネジメントに関連する文献ならびに各種資料をサーベイし,PIのリーダーシップと学生のモチベーションとの関係について検討を行った.特に,学生の研究に対するモチベーションを「リサーチ・モチベーション」と位置づけ,リサーチ・モチベーションを高めるPIのリーダーシップ行動について検討を行った.Deciのアンダーマイニング効果などを参考にしながら,学生が,「研究は労働であり,卒業する対価として研究活動が行われている」として解釈してしまうことの危険性が明らかになった.第3に,現在理系大学院研究室に所属している組織構成員(教授,准教授,助教,PD,博士学生)を対象に,ラボラトリーマネジメントに関する研修を2回実施した.研修後に,受講者から①研修の内容,②ラボラトリーマネジメントに関する課題についてフィードバックを得た.様々な課題が提示されたが,PIは,修士(博士前期課程)で卒業する学生と博士(博士後期課程)に進学する学生との間のマネジメントの違いに難しさを感じていることが確認できた.
著者
中村 和之 小林 淳哉 小田 寛貴 山本 けい子 瀬川 拓郎 八重樫 忠郎 岡 陽一郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

奥州藤原氏は、約百年にわたって東北地方を支配した。その富の源泉は砂金である。世界遺産の中尊寺金色堂は、黄金に輝く建物で有名である。瀬川拓郎は、北海道のアイヌが交易品として砂金を平泉に持って行ったとする仮説を立てた。本研究の目的はその仮説の検証である。まず、北海道と東北地方の砂金を分析した。つぎに藤原秀衡の別邸の柳之御所遺跡から出土した遺物に付着した砂金を分析した。両者を比較することにより、北海道の砂金が平泉にもたらされていたかどうかを確認した。これまでの検討では、平泉から出土した砂金は岩手県産のものである可能性が高い。北海道から砂金が持ち込まれたとする仮説は証明できなかった。
著者
小田 寛貴 池田 和臣 安 裕明 坂本 昭二 Oda Hirotaka Ikeda Kazuomi Yasu Hiroaki Sakamoto Shoji
出版者
名古屋大学宇宙地球環境研究所
雑誌
名古屋大学年代測定研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.48-51, 2018-03-31

古経典の古筆切(古写経切)について,加速器質量分析法を用いた14C年代測定を行い,その結果を2018年2月1日~2月2日に名古屋大学宇宙地球環境研究所において開催された第30回(2017年度)名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウムにおいて報告した.奈良時代は,鎮護国家の思想を背景に,国家推進型の仏教が展開された時期である.そうした中で,大規模な写経事業が行われ,多くの経典が書写ないし印刷された.そこで,今年度は,主にこうした奈良時代に書写された古写経切の代表的なものについて行った14C年代測定について報告した.本研究の一部には,平成28年度~平成31年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B) (課額番号・16HO3101,研究代表者;小田寛貴)を使用しました.
著者
小田 寛貴 池田 和臣 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.15, pp.215-227, 2004-03

タンデトロン加速器質量分析計業績報告 Summaries of Researches Using AMS 2003 (平成15)年度
著者
小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

平安・鎌倉期の古写本は完本としてはほとんど現存しないが,掛軸などに利用されたため断簡としては大量に伝来している.これが古筆切である.しかし,後世に制作された偽物・写しも多く混在するため,その高い史料的価値も潜在的なものでしかない.本研究では,こうした古筆切に放射性炭素年代測定法を適用し,史料的な価値を判定するとともに,平安・鎌倉期古写本の少なさゆえに従来は困難であった研究を行ったものである.
著者
小田 寛貴 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.13, pp.189-194, 2002-03

我々はこれまで, 加速器質量分析法(AMS : Accelerator Mass Spectrometry)による^<14>C年代測定が古文書の年代判定法としてもつ有効性と限界とを示すことを目的として, 書跡史学の見地から年代を求めた古文書の^<14>C年代測定を名古屋大学年代測定総合研究センターのタンデトロン加速器質量分析計を用いて行ってきた.現在までに測定した古文書資料は表1に示した18点である.こうした研究から, 和紙は"old wood effect"による誤差(ずれ)が小さく, 暦^<14>C年代が歴史学的年代と大きく異なるものではないことを明らかにしてきた.これら18点の古文書のうち12点の資料(資料No.1-12)についての解説・歴史学的年代・^<14>C年代は, 既に別稿において報告されている(小田・増田ほか, 2000;小田・増田, 2001).そこで本報では, 今年度新たに測定を行った6点の資料について, その解説と^<14>C年代測定の結果を報じるものとする.前年度までに測定を行った12点の資料に続き, 資料番号を以下のようにNo.13〜18とした.
著者
小田 寛貴 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.13, pp.186-188, 2002-03

本報においてその^<14>C濃度を報じる試料は, 青銅製の爵とよばれる器の底部に確認された付着物である.これらの青銅爵付着物は中京大学文学部の佐藤房儀氏より提供されたものであり, 爵が火にかけられた際に付着した煤とのことであった.表1に示した九点が提供された資料である.しかしながら, これらの付着物は明確に炭化物と判断できるものではなく, 緑青などが混入しており, 土壌もかなり含まれているように見受けられた.また, 爵を包んでいた布のものであろうか細かい繊維も確認された.特に, 試料No.4,7は緑青, 試料No.5,8,9は土壌と判断して間違いないような試料であった.緑青色〜黒褐色を呈する残りの四点についても, 実際に試料調製を行ったところ, その炭素含有率は1%にみたない結果であった.すなわち, 見た目からも炭素含有率からも, 炭化物ではなく土壌・緑青などの混合物と考えることが自然であるような付着物であった.この1%におよばない炭素についても, 煤に由来すると考えるよりも, 主成分は土壌に含まれていた炭素であると考えた方が無理がない.この点を明らかにするため, また^<14>C年代には適さないこうした試料が実際にはどのような^<14>C濃度を呈するものであるか, その一つの実例を示すため, 土壌・緑青混合物と考えられる青銅爵付着物についての^<14>C濃度測定を実施した.本報では, その^<14>C濃度測定の過程と得られた青銅爵付着の見かけ上の^<14>C年代を報告する.
著者
小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,加速器質量分析法(AMS)による^<14>C年代測定が古文書の年代判定法としてもつ有効性を検証することを目的とし,文献史学・書跡史学などの立場から歴史学的な年代が一年〜数十年単位で明らかになっている古文書・古経典の^<14>C年代測定を行った.一般に木製文化財には心材部や伐採後乾燥させた木材が利用されるため,その^<14>C年代は歴史学的年代よりも古くなるが,本研究によって,古文書・古経典については^<14>C年代が歴史学的年代とよく一致するという結果が得られ,AMS^<14>C年代測定法が古文書の年代判定法として有効であることが示された.さらに,この研究成果の上に立ち,文献史学・書跡史学などの手法だけでは年代を特定することができなかった古文書資料についてAMS^<14>C年代測定法を適用し,それらの年代決定を行った.浄瑠璃寺阿弥陀如来像の胎内に納められていたと伝えられる印仏は,印刷物であるため書風などからの年代決定が困難な資料であったが,^<14>C年代測定によってこれらが11世紀から12世紀前半のものであることが判明した.実践女子大学蔵源氏物語は室町後期の学者三条西公条の筆と伝えられていたが,AMS^<14>C年代測定によって,これが近世に入ってからのものであることが明らかにされた.また古筆切に適用することで,AMS^<14>C年代測定が散逸物語の年代判定などに重要な知見を与えることも本研究によって示されている.さらに,経筒などに入れられ土中に埋納されていたため炭化してしまった経典についても,AMSが有効な年代決定の手法となることが示された.また,近世前期末葉の薄墨紙の^<14>C年代測定では,この紙が漉き返しの紙ではなく新たに漉いた紙に墨を添加したものであることを支持する結果が得られた.
著者
柳沢 俊史 吉田 二美 伊藤 孝士 奥村 真一郎 小田 寛 池永 敏憲 吉川 真 樋口 有理可
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

これまでの近地球小天体の発見手法とは全く異なる新たな検出手法を開発し、実際に日本及び豪州でのサーベイ観測をとおして近地球小天体を9つ発見した。これにより小型の望遠鏡とFPGAを利用した高速解析による安価で効率的な近地球小天体の発見手法が確立され今後多くの近地球小天体、特にこれまでほとんど発見されてこなかった10m-数100m級の近地球小天体の発見に大きく貢献すると思われる。これにより太陽系進化に関するあらたな知見をもたらすことが期待されるとともに地球衝突天体の早期発見にも役立つはずである。
著者
横井 孝 小田 寛貴 野村 精一 中村 俊夫 上野 英子 丹生 越子
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.12, pp.80-88, 2001-03

第13回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成12 (2000)年度)報告 名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計第2号機の研究成果と利用計画
著者
鈴木 和博 Suzuki Kazuhiro 中村 俊夫 Nakamura Toshio 加藤 丈典 Kato Takenori Takenori 池田 晃子 Ikeda Akiko 後藤 晶子 Goto Akiko 小田 寛貴 Oda Hirotaka 南 雅代 Minami Masayo 上久保 寛 Kamikubo Hiroshi 梶塚 泉 Kajizuka Izumi 足立 香織 Adachi Kaori 壺井 基裕 Tsuboi Motohiro 常磐 哲也 Tokiwa Tetsuya 太田 友子 Oota Tomoko 西田 真砂美 Nishida Masami 江坂 直子 Esaka Naoko 田中 敦子 Tanaka Atsuko 森 忍 Mori Shinobu ダンクリー ダニエル Dunkley Daniel J. クシャク モニカ Kusiak Monika A. 鈴木 里子 Suzuki Satoko 丹生 越子 Niu Etsuko 中崎 峰子 Nakazaki Mineko 仙田 量子 Senda Ryoko 金川 和世 Kanagawa Kazuyo 熊沢 裕代 Kumazawa Hiroyo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.26-38, 2008-03

Umi is located along the Kamimura River within the Kamiyahagi area of southeastern Ena City, Gifu Prefecture. The name 'Umi' means sea or large lake; however, there are no lakes in the mountainous Kamiyahagi area. The Tokai Gou (torrential rain) flood of September 11-12, 2000 destroyed embankments along the river, and exposed sedimentary layers that are typical of a lacustrine depositional setting. This confirms the existence of a paleo-lake from which the name Umi originated. The ^<14>C ages, ranging from 280±37 to 345±25 BP, appear to be contemporaneous with Tensho Earthquake that occurred in central Japan on January 18, 1586.