著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.2_9-2_16, 2014-09-30 (Released:2014-10-25)
参考文献数
8

戦後、国内の主なセダンの全幅は大きくは拡大の一途を辿り現在に至っている。唯一、道路運送車両法における「小型自動車」枠の寸法の影響が見られる。一方、1975年以降の燃費規制の影響は、全幅の燃費に及ぼす影響が小さいためほとんどなく、特定の車種での全幅と燃費性能の推移の比較もそれを裏付けている。この様に燃費への全幅の影響が少ないため、室内空間の拡大及び外形の安定感あるプロポーションの追及が重視され全幅は拡大し続けている。一方、全高/全幅の正背面でのプロポーションで見ると、サイドの全高/全長の値と同じ推移であった。即ち人がセダンとして受容し得る全高/全幅の値の範囲が0.81から0.87と考えられ、そこを中心に時代により多少上下し推移している。しかし全高/全長の様に高級車、小型車、大衆車と車格毎の固有値は存在しない。また競合上、全幅の拡大が抑止し難いことは原油高騰や環境問題への対応の必要性と相容れない矛盾である。現在のセダンと軽自動車のシェアの大きな差は、この様なセダンの更なる減少を示唆するものと推測する。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
25

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_29-6_38, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
37

本研究は戦後日本の自動車デザインと政府の政策と規制の関係性を考察した。戦後復興のための産業保護育成策、輸出振興政策により工業デザイナー育成を目指すデザイン振興策が起り、自動車産業でも技術者とは異なるデザイナーという職種が確立する。「国民車育成要綱」は各社が非採算性を指摘しつつも、参考とし大衆車というジャンルを生み出し、低コスト車のデザインを学び、20年後の変革期に世界を席巻する礎となる。貿易と資本自由化政策では、国内メーカーの合併・提携など現在に至るメーカー間の棲み分けの基礎が築かれた。道路整備政策による舗装と高速道路網の拡大は車体プロポーションに変革をもたらし、'70年代の低全高のウェッジシェープデザインの出現と同調した。安全実験車の開発ではバンパーとボデー構成の一体化への影響が見られた。安全規制は年々追加改正され要求が複雑化しデザイン調整作業の増加に影響している。近年、消費者は排ガス、燃費規制の環境対応に高い関心を持つが、デザインの価値・意味を見失うことはない。
著者
森 文秋 丹治 邦和 若林 孝一 三木 康生
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ストレス顆粒は、ストレス状況下で、RNAとRNA結合タンパク質によって細胞質に形成される。神経変性疾患においてRNAからタンパク質への翻訳過程を制御することで、異常たんぱくの産生ならびにタンパク質の異常凝集を防ぐとされる。本研究では、多系統萎縮症患者ならびに正常対照の剖検脳組織、αシヌクレイノパチーの細胞モデル、さらに、シヌクレイントランスジエニックマウスを用いて、ストレス顆粒ならびに細胞内分解系に関連するタンパク質の動態を検討した。多系統萎縮症のαシヌクレイン封入体の形成過程、神経細胞死との関連を明らかにすることで、多系統萎縮症の予防治療戦略の可能性を示した。
著者
久田 真 小林 孝一 丸屋 剛 河井 正
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.863-870, 2014 (Released:2015-10-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

土木学会は,平成24年度・重点研究課題として「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究」を採択した。この課題を掌理する委員会は,コンクリート工学ならびに地盤工学の専門家で構成され,約1年間をかけて両分野を横断する柔軟な議論を行った。その後,本活動を継承するために,土木学会コンクリート委員会に「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究小委員会(第223委員会)」を設置した。本稿は,東日本大震災で発生した多様な震災廃棄物の処理ならびに有効利用技術に関する知見を集約するために約3年間の調査研究活動を行った本委員会の成果を取りまとめたものである。
著者
小林 孝一郎 村上 真由美 富山 徹 加藤 真理子 中屋 泉美 武田 美和子 横山 雄子 平井 紀子 河上 浩康
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.371-375, 2013 (Released:2013-08-29)
参考文献数
5
被引用文献数
2

【目的・方法】在宅緩和ケアにおける多職種間の速やかな情報共有と緩和ケアチームによる苦痛緩和支援を目指して, ITクラウドを活用した地域医療支援システムEIRを導入した. 試用期間半年間に, 緩和ケアチームが関わって在宅緩和ケアに移行した5事例を対象として, 関わった医療者11名にアンケート調査を実施して, 有用性について検討した. 【結果】入力装置として全員がパソコンを使用, iPhone併用は4名, 現場で入力した経験があるのは2名であった. 入力時間は9名が5分以下で, 閲覧はさまざまな装置と場所で行われていた. 有用性は, 至急・重要メールは役立ちましたか: 3点6名, 2点3名, 1点1名, 0点1名, 情報量は適切でしたか: 3点9名, 2点2名, 連携はスムーズにできましたか: 3点9名, 2点2名, そして総合評価として在宅緩和ケアに活用できましたか: 3点9名, 2点2名であった. 【結論】在宅緩和ケアにおいて有用である可能性が示唆された.
著者
小林 孝一 平石 邦彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.257-265, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本解説では,遺伝子ネットワークに対するシステム数理的手法の一例を紹介する.ブーリアンネットワークと呼ばれる遺伝子ネットワークのモデルを考え,まず,その概要を説明する.次に,ブーリアンネットワークを簡単に扱うための行列表現を導入する.行列表現を利用した問題として,既知の情報からモデルの詳細を求める問題を考え,その解法を説明する.計算例についても簡単に紹介する.
著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.2_17-2_26, 2014-09-30 (Released:2014-10-25)
参考文献数
16

トヨタ自動車のデザイン部門の現在までの組織やデザイン手法等の変遷を5つのフェーズに区分し解析した。第1フェーズは1933~'48年でまだデザイン組織やプロセス、手法も無い期間であった。第2フェーズは'48~'56年で工芸係が誕生したがプロセス、手法はまだ試行錯誤を繰り返していた。第3フェーズの'56~'73年は'56年の米国アートセンターの来日デザイン講習会でのデザイン手法と材料に衝撃を受け、その手法を吸収しデザインの組織も確立していった。第4フェーズの'73~2003年は海外や国内にデザイン拠点を拡大した時期であった。また車種の多様化で'92年には効率化のための組織変更となった。第5フェーズの'03年~現在はデザインフィロソフィー策定等ブランド戦略強化の組織編成へと移行した。以上、モノ造りの組織は当初、開発手法によりその存在意義が左右された。近年は、時代と共に変化する多様化やブランドイメージ強化等の製品に求められるニーズに合わせ組織が変化したことを明らかにした。
著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.2_1-2_8, 2014-09-30 (Released:2014-10-25)
参考文献数
9

日本の代表的なセダンの全高の推移において'80年代半ばに減少から増加に転じ、更に'90年代後半から2000年初頭にかけ100mm近くも急増する特異性を指摘した。その因子を抽出し、将来の自動車デザインのための知見を得ることを目標とした。全高の変化の様子から、1954年から2012年までの期間を4つに分け考察を行った。その結果、道路環境の変化、スポーツカーや帽子着用等の流行すたり、車自体の構造変化、プレス技術の進化、ユーザーの車への要求の変化、石油高騰と環境問題の悪化、エコカー減税や補助金政策の影響など、時代による各因子の影響で全高は特異な変遷を示したことが推定された。特に新たな快適性の提案をしたプリウスの影響が最も大きかった。一方、全高/全長というプロポーションの値で見ると、時代変化には左右されにくい、人が受容し得るセダンとしての領域、更には各車格毎の領域が存在する可能性が見えてきた。この領域の中央値を高級セダン、小型セダン、大衆セダン毎に導出した。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
小林 孝一
雑誌
科学研究費補助金研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2011-06-10

本研究課題では,ハイブリッドシステムの制御における計算の効率化に取り組んだ.成果として,有限オートマトンの安定化に基づくモデル予測制御手法,およびオフライン計算とオンライン計算の両方を用いた精度保証付き近似解法を提案した.また,数値実験により計算の効率化が実現されたことを確認した.さらに応用として,ブーリアンネットワークモデルで表現される遺伝子ネットワークの解析と制御にも取り組んだ. : In this research, fast computation algorithms for hybrid systems control have been addressed. As important results, a stabilizing model predictive control method using stabilization of finite automata, and an approximate algorithm using both offline and online computations have been proposed. In addition, the effectiveness of the proposed methods has been shown by numerical examples. Furthermore, analysis and control of gene regulatory networks has been addressed using Boolean network models.
著者
小林 孝一
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では,ハイブリッドシステムの制御における計算の効率化に取り組んだ.成果として,有限オートマトンの安定化に基づくモデル予測制御手法,およびオフライン計算とオンライン計算の両方を用いた精度保証付き近似解法を提案した.また,数値実験により計算の効率化が実現されたことを確認した.さらに応用として,ブーリアンネットワークモデルで表現される遺伝子ネットワークの解析と制御にも取り組んだ.