著者
尾崎 行生 大久保 敬 増田 順一郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

食用ハス(レンコン)肥大の日長反応感受部位を調査したところ,いずれかの葉で短日を感受すれば,根茎の肥大が起こることが分かった.低(赤色光/遠赤色光)比率のフィルムで被覆した栽培を行うと,長日条件下であっても根茎の肥大が促進された.短日処理開始2週間後には根茎の肥大反応が起こり始め,この反応にはジベレリンが関与している可能性が高いことが分かった.食用ハスの根茎は「休眠」を持ち,その「休眠」は低温によって打破されると考えられた.
著者
猿渡 博輝 首藤-中野 友香 中野 兼宏 比良松 道一 尾崎 行生 大久保 敬
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.312-317, 2008
被引用文献数
7

タカサゴユリ(<i>Lilium formosanum</i> Wallace)は,種子発芽後 1 年以内に開花する早期開花性および複数花茎抽苔の形質を持つ.これらの形質の育種的利用価値を検討するために,花柱切断授粉法により種子親としてタカサゴユリ,花粉親としてヤマユリ(<i>L. auratum</i>),カノコユリ(<i>L.</i> <i>speciosum</i>),リーガルユリ(<i>L. regale</i>),'ロリポップ','ピンクタイガー','ザザ','ル・レーヴ','マルコ・ポーロ'および'アフリカンクィーン'を用いた 9 組み合わせの種間交雑を行い,その後,子房切片培養を行った.すべての交雑組み合わせで発芽が観察され,雑種を 53 個体得ることができた.そのうち 30 個体(56.6%)および同様の手法を用いて作出したタカサゴユリ自家交配実生は発芽後 24 か月以内に開花した.開花雑種個体のうち 11 個体(36.7%)では 2~4 本の花茎が抽台した.早期開花性,複数花茎抽苔および有色花を同時に合わせ持つ雑種は,タカサゴユリと有色花アジアティックハイブリッドユリとの交配から 4 個体得られた.これらの結果は,タカサゴユリと有色花のアジアティックハイブリッドユリと交配すれば,3 つの有用形質,すなわち,早期開花性,複数花茎抽苔および有色花を同時に合わせ持つユリを育種できる可能性を示唆している.<br>
著者
水ノ江 雄輝 久保田 渉誠 菅野 明 尾崎 行生
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.140-147, 2015 (Released:2015-04-21)
参考文献数
32
被引用文献数
6 11

シクラメン(Cyclamen persicum Mill.)において,自然突然変異による複数の種類の八重咲き品種が作出されている.我々は八重咲きシクラメンの形態的特徴と器官数を調査し,“雄蕊弁化型”,“萼弁化型”および“whorl 2 における花弁増加型”の 3 タイプに分類した.形態観察の結果,雄蕊の弁化と萼の弁化とが同時に起こっている個体は認められなかった.次に,一重咲きおよび雄蕊弁化型八重咲きシクラメンの花芽から 3 種類の AG-like 遺伝子を単離し,それぞれの whorl における発現を比較した.一重咲きのwhorl 3 では,全ての AG-like 遺伝子が発現していたが,雄蕊弁化型の八重咲きでは 3 種類とも発現は認められなかった.whorl 4 では,一重咲きおよび八重咲き花の両方において 3 種類の AG-like 遺伝子の発現が認められたが,八重咲き花における発現量は一重咲き花よりも低かった.これらの結果は,自然発生の八重咲きシクラメンが ABC モデルによって説明できること,そして雄蕊の弁化は whorl 3 における AG-like 遺伝子の発現抑制に起因することを示唆する.
著者
伊藤 次郎 岡安 崇史 野村 浩一 安武 大輔 岩尾 忠重 尾崎 行生 井上 英二 平井 康丸 光岡 宗司
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.13-23, 2021
被引用文献数
2

<p>植物の育種や栽培管理技術の高度化には,植物の成長や環境応答性を定量的に計測し,評価するための技術が求められる.最近では,ICTの目覚ましい発展を背景に,植物の生育特性の計測を高速に行えるフェノタイピング技術の開発研究が盛んに行われている.本研究では,廉価なIoTデバイスに加えて,オープンソースとして提供されている画像処理・解析ライブラリなどを用いることにより,植物の生育情報を自動計測可能な植物フェノタイピングロボットを開発した.本ロボットは,水耕栽培ベッド両側に配置したレール上を走行する構造で,ARマーカを用いてロボットの走行制御と位置認識を行うことにより,植物の生育画像をスケジュールに合わせて自動計測する機能を有している.ホウレンソウを対象に,幼苗定植直後から収穫までの生育画像を毎日4時間毎にロボットに搭載されたRGB-Dカメラで撮影する試験を行い,植物フェノタイピングロボットとしての性能を評価した.その結果,開発したロボットの位置制御性能は3 mm程度であることがわかった.本ロボットを用いて,栽培ベッド全体の画像および深度情報の自動計測を行い,成長予測や生育不良検知などへの応用に対する可能性を示した.</p>
著者
若菜 章 尾崎 行生 酒井 かおり
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

自家不和合性カンキツに蕾自家受粉を行って遺伝子型がホモである8種類の実生群(S1S1, S2S2,-, S11S11)を作出し,これらの花粉を多数のカンキツに授粉して, S1からS11までの不和合性対立遺伝子を持つ品種群を明らかにした.ハッサク(S4S5)やウンシュウミカン(SfS4)がS4対立遺伝子を持つクネンボの雑種であることが分かった.交配後1年で幼樹開花した実生の不和合性と和合性を基に, S遺伝子と連鎖するDNAマーカーを決定したが, S遺伝子のクローニングはできなかった.
著者
井上 勝広 重松 武 尾崎 行生
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.547-551, 2007-10-15
被引用文献数
3

アスパラガスの半促成長期どり栽培において,立茎開始時期と親茎の太さが若茎の階級別収量に及ぼす影響について検討した.立茎開始時期が遅いほど春芽の収量は高かったが,夏芽の収量は減少した.全期間の収量性は春芽の収穫開始50〜60日後に立茎した区で最も高かった.また,直径10〜14mmの親茎を立茎した場合に,夏芽,翌年の春芽,年間収量およびL級の収量が最も高かった.
著者
吉田 敏 位田 晴久 下町 多佳志 川満 芳信 尾崎 行生 渡部 由香 安永 円理子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

西南暖地の施設園芸における冷却技術の普及を阻む原因が,冷却技術を導入したときの温度効果を定量的に評価する手法や,冷却がもたらす植物生育,収量および収穫物の品質への影響について,生産現場に十分な理解が得られていないことにあるとの観点から,環境制御施設,模擬実験温室および実際の生産現場において施設冷房・冷却を導入した場合の環境観測および植物生体計測に関する検討を行い,冷却がもたらす生産性向上効果について評価した.
著者
宮島 郁夫 尾崎 行生 小林 伸雄
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

南米原産の花木であるジャカランダ(Jacaranda mimosifolia)の北部九州における形態的花芽分化の開始期は4月初旬であることがわかった.ジャカランダの花芽形成には低温(15℃)に1ヶ月以上遭遇することが必要であり,正常な開花には2ヶ月以上の低温期間が必要であると思われた.ジャカランダ花弁の主要アントシアニンはマルビジンに複数のグルコースと脂肪族有機酸が結合したアシル化アントシアニンであると推定された.