著者
木戸 博 Chen Ye 山田 博司 奥村 裕司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.45-53, 2003-07-01
被引用文献数
2

インフルエンザウイルスの生体内増殖に個体由来のトリプシン型プロテアーゼが必須で,ウイルスの感染性発現の決定因子になっている.最近このプロテアーゼ群の解明が進み,気道の分泌型プロテアーゼのトリプターゼクララ,ミニプラスミン,異所性肺トリプシン,膜結合型トリプシン型プロテアーゼ群が相次いで同定された.これらのプロテアーゼはそれぞれ局在を異にするだけでなく,ウイルス亜系によってプロテアーゼとの親和性を異にして,ウイルスの増殖部位と臨床症状を決めている.一方これらのプロテアーゼ群に対する生体由来の阻害物質の粘液プロテアーゼインヒビターや肺サーファクタントが明らかとなり,合わせて個体のウイルス感染感受性を決める重要な因子となっている.小児のインフルエンザ感染では,aspirin,diclophenac sodium服用時のライ症候群や,解熱剤を服用していない患者でも見られる急速な脳浮腫を主症状とする致死性の高いインフルエンザ脳症が社会問題になっている.インフルエンザ脳症発症モデル動物を用いた我々の研究から,このインフルエンザ脳症の原因として,インフルエンザ感染と共に脳血管内皮細胞で急速に増加するミニプラスミンが,血液脳関門の障害と血管内皮細胞でのウイルス増殖に,直接関与していることが明らかとなってきた.さらにミニプラスミンの血管内皮での蓄積を裏付けるミニプラスミンやプラスミンのレセプターが,発症感受性の高い動物の血管内皮で見いだされた.これらのことからインフルエンザ脳症は,発症感受性遺伝子,発症感受性因子の検索に研究の焦点が絞られてきた.本総説では,我々の研究を中心に最近の知見を紹介する.<br>
著者
山田 博之
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-229, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
13

In terms of research into chat interfaces, prior research includes studies applicable to the reader's side, aimed at reducing the reader's perceived waiting time. However, this paper focuses on the writer's side. Content from live video seminars typically contains greetings and salutations uttered by participants. These salutations were removed first from the data in order to eliminate noise, before starting the analysis. The sentences within each chat utterance were analyzed, and the results indicate that approximately 90% of those utterances are less than 20 characters long, and approximately 54% of them are less than 10 characters in length. In addition, this research analyzed the structure of the sentences, and the results show that utterances comprising of two or more sentences tend to include questions. However, at the same time, this has also highlighted the issue that these types of sentences tend to hinder synchronization within the webinar.
著者
蓮見 孝 山田 博之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.48-53, 2003-03-30
被引用文献数
1

4ch(ヨンチャン)は、大学と企業がコラボレーションを行いながら企画・開発・制作した「ムーバ(人スケールの移動機器)」である。20世紀に急速に発達・普及したパーソナルカーの次の時代を創る新しい乗り物の概念とかたちを模索し、実走が可能なプロトタイプ・モデルを製作した。移動支援機器である電動車椅子や電動スクータもムーバの一種といえるが、本プロジェクトは、そのようなムーバを多くの人が乗りたいと感じるような魅力的な次世代型移動機器として提案しようとするユニバーサルデザインの取り組みでもある。本作品を、「産学コラボレーション」「授業運営」「デザイン・コンセプト」「機能と諸元」という4つの視点から紹介していく。
著者
佐伯 裕司 大和 宗久 大西 博昭 久保 隆一 田中 順也 中野 敬次 山田 博生 中嶋 一三 北條 敏也 奥野 清隆 岩佐 善二 安富 正幸
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.299-305, 1985-09-25
被引用文献数
4

The breast is one of the most common site of cancer originated primarily. Metastatic neoplasma to the breast, however, has been reported as rare. According to the Annul of the Pathological Autopsy Cases in Japan, seventy six cases who had metastatic neoplasma to the breast out of 219,41 cases were reported in 1981,which included 35 cases of the opposite side breast cancer, 9 of gastric cancer, 9 of malignant lymphoma, 5 of cervical or corpus cancer of the uterus etc. The incidence of the metastatic cancer to the breast is 0.35% in all the malignant neoplasma. In this paper, the authors reported 3 cases with the metastatic neoplasma to the breast experienced during a period of these 10 years. The first case was intrahepatic bile ductal cancer, the second was pancreatic cancer, and the third was descending colon cancer. The intrahepatic bile ductal cancer was the first case of metastatic cancer to the breast in Japan in the literature.
著者
島田 竜也 河口 尚広 加賀 健太 山田 博三 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2054-2068, 2005-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
27

近年犯罪の著しい増加に伴い, 侵入者検知の研究・開発の必要性が叫ばれている. 本論文は, 安価で高機能な侵入者検知システム開発のための一つのシーズを提案するものである. 本論文で解決した機能は, (1)光源の移動を含め滑らかな照明の変化に対処できること(2)ゆっくり移動する侵入者の存在領域の明りょうな検出(3)途中で静止する侵入者の存在領域の明りょうな検出の三つの機能である. 機能(1)と(2)は, 互いに矛盾しているように見えるものである. 具体的手法は, 「侵入者を含まない現在の背景画像と現在の入力画像の差分画像から侵入者の存在領域を検出するもの」である. 現在の背景画像をいかに簡単かつ正確に更新するかが最も重要な点であり, 上記三つの機能を同時に実現する手法はなかった. 我々は, 「侵入者検出領域及びその境界では, 加重平均処理を背景画像に施さない」という手法で上記機能を実現した.
著者
山田 博之 近藤 信太郎 花村 肇
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.75-84, 2004-12-01
被引用文献数
4 3

人の第3大臼歯は最も発生が遅く,形態変異も大きく,欠如率も高い。環境要因の影響を最も受けやすく,小進化を反映しやすい歯である。そこで,日本人集団の歯牙形態の小進化を考察する目的で,第3大臼歯の先天的欠如率を時代順に調べた。その結果,縄文時代人は欠如頻度が低く,ほとんどの第3大臼歯は発生していたが,弥生時代人になると急激に欠如頻度が高くなっていた。この急激な変化は,外来集団からの遺伝的影響によって生じたと考えられる。弥生時代人以降,欠如頻度はさらに高くなり,昭和初期にはピークに達した。その後,先天的欠如頻度は急激に減少し,第3大臼歯が存在する人は多くなっていた。昭和時代以降の変化は高栄養物の摂取と,それに伴う高身長化や性成熟の加速化によるものと思われる。<br>
著者
内山田 博士 藤田 米一 木村 健治 山田 利昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.11, pp.22-24, 1977

暖地の早期栽培水稲では, 梅雨が長びくと低温が強くなくても品種によって障害不稔が発生し品種間差があることが知られている。日照制限による障害不稔の発生と耐冷性との関係を明らかにし, 品種の簡易検定法を確立するため検討したものである。
著者
山田 博司 長坂 保典 鈴村 宣夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.98, no.608, pp.65-72, 1999-02-18
被引用文献数
2

本研究では手話の認識を目的として、人の上半身を撮影した動画像より手の動きを認識することを検討した。青い手袋をして三角や丸などの図形を手の動きにより描き、アフィン変換による圧縮や色情報などを用いて手の位置を特定する。その図形に対して手の移動量を登録パターンとして記録しておく。次に任意の図形を描いている動画像と登録パターンの手の位置を比較する。そのユークリッド距離より連続DPマッチングを用いて入力された動作を認識する。動作は全て単純な動きの組み合わせとして表現し、複雑な動きはその連続として考えて認識を行う。また、実時間での認識が可能な装置を作成しその評価実験により、動作の登録者以外の人物であっても動作の認識が可能であることを示した。
著者
山田 博之 江原 一幸 キャラメプロジェクトチーム・株式会社クリプトワンソフト Qript One Soft Inc.
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.7, no.7, pp.58-61, 2001-03-30
被引用文献数
1

現在、インターネットの常時接続は爆発的に普及し、これに伴って、メッセージをリアルタイムに取捨選択するメッセンジャーソフトウェアの需要が大きな広がりをみせている。「キャラメ」の大きな特徴は、メッセージを伝達するキャラクターが、送り手の感情伝達を補助できる点にある。従来のメールソフトやインスタントメッセンジャー、及びBBSやチャットでは不可能であった抽象的な概念を、アクションを指定しながら伝達することにより、抽象性を保ったまま伝達できる点が革新的である。キャラメにおいては、インスタントメッセンジャーとしての中核であるキャラクターの動作データを、ビットマップによって作成する。そこでこの「ビットマップ」を、デザイン全体のキーワードとして取り上げた。また、キャラクターデザインにおいても、デスクトップ上での表示に関する制限に対応するため、5種類のガイドラインを設けた。同時に、データを3Dオブジェクトで管理する事で、画像作成の効率化を計っている。