著者
田中 邦煕 新谷 洋二 山田 清臣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.639, pp.23-37, 2000-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15

本研究は 城郭石垣の築 (平) 石を正面から見たときの形状寸法などを基準に行った分類と変遷についてとりまとめたものである. 多くの石垣を踏査するうちに, 積み石はその形状寸法や加工状態から古代型・掘出し石型および切出し石型の3タイプに大分され, これはさらに8タイプに細分されるのではないかと想定した. そこで, 全国約140箇所の石垣調査データのうち, 積み石の形状寸法に関する4種類の数値パラメータから得られる9種の統計量を8タイプに当てはめたところ, この4パラメータにより8タイプの石垣を定量的に表示できる可能性が示された. したがって現存石垣を4パラメータを用いて数量化して表示することにより, 石垣分類を行いまた, その構築年代を推定する一手法になりうると考えられる.
著者
田中 邦煕 新谷 洋二 山田 清臣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.255-262, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
7

本報文は筆者らが検討をつづけてきた「城郭石垣の安定性判定手法」に関して, 現時点で最も実用性が高いと考えられる手法をその手順・注意事項・問題点などについて具体的に例示・解説したものである. この手法は地盤工学方面で広く用いられている「円弧すべり法」と「もたれ擁壁設計法」とを準用するものであり, 老旧石垣を現代土木工法を併用して修復復元するときに, 工法選定・改良範囲・目標強度などを比較検討することも可能であり有用性が高い.

5 0 0 0 OA 七十五日

著者
山田清作 編
出版者
米山堂
巻号頁・発行日
1923
著者
脇 由香里 吉見 陽 千﨑 康司 宮田 はるみ 伊東 亜紀雄 相馬 孝博 上田 裕一 毛利 彰宏 山田 清文 尾崎 紀夫 野田 幸裕
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.475-480, 2011 (Released:2012-08-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Falls and fall-related injuries among inpatients are one of the most important concerns in medical safety management and sometimes cause a significant decrease in activities of daily living (ADL). It has been suggested that the adverse reactions of psychotropic drugs related to their sedative-hypnotic, cognitive deficit producing and muscle reaction-related effects are closely associated with falls.In this study, we examined a relationship between the risk of falls and psychotropic drugs based on prescriptions in fall incident reports at Nagoya University Hospital in a 12-month period beginning in April 1, 2005. In July 2006, we conducted an educational intervention involving instructing health care staff on the optimal use of psychotropics. After doing this, we examined prescriptions in fall incident reports over a 12-month period beginning in April 1, 2006. The results showed a decrease in fall incidence due to long-acting drugs in 2006 as compared with 2005 and this indicated that, among psychotropics, sedativehypnotic-anxiolytics were one of the highest risk factors for falls. These results suggest that an educational intervention can be an effective means of reducing the number of falls and fall-related injuries among inpatients.
著者
田熊 一敞 永井 拓 山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.112-116, 2007 (Released:2007-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

学習・記憶は,ヒトの知的活動の中心をなすものであり,得られた情報を脳に蓄積し,その情報に基づいて新たな問題に対する推論と意志決定が行われている.学習・記憶が円滑に進むためには,入力・情報処理・出力に区別されるプロセスが適切に機能する必要があり,いずれのプロセスにおける機能不全によっても日常生活は困難なものとなることが予想される.一方,昨今の我が国における急激な高齢化は,認知症を代表とする学習・記憶障害を伴う疾患の増加をもたらし,また,社会環境の多様化や複雑さは,小児の発達障害や薬物乱用など学習・記憶障害と直面する様々な問題を招くものと考えられる.したがって,学習・記憶行動の評価系は,今後の記憶障害に関連した疾患の病態解明ならびに治療薬開発において不可欠な必須アイテムである.一般に,動物実験のヒトへの外挿においてしばしば問題点が見られるが,学習・記憶については,下等動物から高等動物に至るまで類似した機構が数多く存在することより,小動物を用いた学習・記憶に関する実験成果の利用価値は極めては高いと考えられている.そこで本稿では,小動物(マウスおよびラット)を用いた学習・記憶行動の評価系のゴールデンスタンダードとして汎用されている(1)Y字型迷路試験,(2)ロータロッド試験,(3)恐怖条件付け文脈学習試験,(4)水探索試験,(5)新奇物質探索試験,(6)受動回避試験,(7)放射状迷路試験,(8)Morris水迷路試験および(9)遅延見本合わせ・非見本合わせ試験の原理と具体的方法について概説する.
著者
溝口 博之 山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.153, no.5, pp.224-230, 2019 (Released:2019-05-14)
参考文献数
35

依存症は世界銀行・WHO(世界保健機関)が報告するDALY(障害調整生命年)によると,世界トップ10に入る健康を脅かす疾患である.中でも,アルコール乱用を初めとする物質依存・薬物使用障害のDALYは若年層において非常に高い数値を示している.国内に目を向けても,薬物逮捕ラッシュの芸能界が表すように薬物汚染は止まっていない.また統合型リゾート推進法の成立により日本でもカジノが解禁されることから,ギャンブル依存者の急増という社会的且つ医薬学的問題も懸念される.さらにWHOはゲーム障害を精神疾患と認定したことからも,新たな依存症の包括的理解に向けた機序解明と医学的に適切な予防対策や治療戦略の発信が期待されている.ではなぜ,私たちはゲーム,ギャンブル,薬物に〝はまる〟のか? なぜ,一度手を染めた人はリスクを負っても危険ドラッグや覚せい剤の売買をするのか? なぜ治療したはずなのに依存症は再発するのか? どうして自分をコントロールできなくなるのか? そして,こうした症状は脳のどこから生まれるのか? 私たちはちょっと変わった視点(意思決定)から,依存者の脳と心の問題に迫ってきた.一方,近年の目まぐるしい実験技術の進歩により,遺伝子発現を制御するための多種多様なウイルスベクターが開発された.細胞特異的に遺伝子を発現させ,その細胞・神経の活動をコントロールすることも可能となった.今ではウイルスベクターを用いた行動薬理実験が当然のように行われ,顕著で分かりやすい研究成果が発表されている.著者らもこの手法を用いて特定の脳領域の活動や細胞活性を操作した時の意思決定について検討してきた.本稿では,意思決定について概説するとともに,当研究室で行ったウイルスベクターを用いた意思決定・行動選択研究への応用について述べる.
著者
田中 邦煕 新谷 洋二 山田 清臣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.631, pp.383-396, 1999-09-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

近世城郭石垣には反りなどの三次元的な独特の形態が認められ, 視覚的に安定感を与えかつ工学的観点からも合理的な形態と考えられる. しかしこの形態の発生起源などは不明な点が多い. 筆者らは現存石垣の観察計測結果から, 石垣普請時に基礎や背面地盤等でかなり大きな沈下や変位が生じこれが石垣面に現れて, 石垣師たちがこの自然発生的な形態に対してより安定化し美的にも高度化する努力を続けるうちに, 高度な三次元形態へと進歩したと考えた. そして石垣断面解析にFEMなどを適用する手法を検討した後これを応用して, 石垣構築時に反りなどの形態と類似した形態が得られることなどを示し, 「石垣の三次元形態の起源は石垣普請時の変位変形であろう」とする一つの考え方を説明した.
著者
山田 清
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.61-75, 1994-03-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
17
被引用文献数
6 10

1990•1991の両年に新潟県中之島町のハス田と同加茂市の小河川でコサギなわばり性と採食行動について調査した.1)ハス田では移動性の低いドジョウが最も重要な餌だった(湿重量比で80.8%).2)河川では移動性の低いアメリカザリガニ•ドジョウ(40.0%),移動性の高い遊泳魚(59.5%)とも多く捕食されていて餌の構成が多様だった.3)採食方法は餌の発見方法(待ち伏せ法と歩行法)と捕獲のテクニック(追跡型と非追跡型)の2段階に分け,その組合せによって分類することができた.4)餌と用いられる採食方法は明確に対応していた.待ち伏せ法は,主に大型の遊泳魚と対応していた.歩行法のうち追跡型の方法には中型の遊泳魚が,非追跡型の方法には移動性の低いザリガニ•ドジョウまたは小型の魚類がそれぞれ対応していた.5)ハス田では,境界が明瞭な採食なわばりが特定の場所で長期に渡って維持されていた.これをハス田タイプのなわばりと呼んだ.6)河川では,待ち伏せ法で採食する個体が自分の周囲のごく狭い範囲から他個体を排除した.河川でのなわばりの範囲は採食個体の移動にともなって移動し,これを河川タイプのなわばりと呼んだ.7)2つの環境で見られた採食なわばりについて餌および採食環境と関連させて考察した.
著者
山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.87-96, 1998-02-01 (Released:2007-01-30)
参考文献数
50
被引用文献数
6 5

Nitric oxide (NO) is a free radical gas that is synthesized from L-arginine by NO synthase (NOS). Activation of NMDA, non-NMDA or metabotropic glutamate receptors causes NO formation through NOS activation. From data obtained in experiments performed by microdialysis together with nitrite and nitrate assay, we have proposed that NO production in the cerebellum following non-NMDA and metabotropic glutamate receptor activation may be independent of NOS activity, while NMDA receptor-mediated NO production depends on its activity. Glial cells appear to play a role in modulating NO production by regulating L-arginine availability. Activation of NMDA receptors and the increase in intracellular calcium concentration is a trigger for the long-term potentiation (LTP). NO acts as a retrograde messenger in the hippocampal LTP to enhance glutamate release from presynaptic nerve terminal, in which cyclic GMP may be involved. Behavioral studies demonstrate that NO is involved in some forms of learning and memory. Our studies suggest that NMDA/NO/cyclic GMP signaling plays a role in spatial working memory. Further, it is suggested that NO production in the brain is altered by aging. These results support the hypothesis that NO plays a role in mechanism of synaptic plasticity.
著者
永井 拓 山田 清文 鍋島 俊隆
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.71-76, 2005-02-01
被引用文献数
2 1

不安障害は全般性不安障害,パニック障害,強迫性障害,心的外傷後ストレス障害などに分類されており,それぞれの不安障害に対して有効な薬物の種類が異なっていることも知られている.したがって,不安障害における情動変化のメカニズムの解明や治療薬を開発する上で,分類された各々の不安障害に対応した動物モデルの作製が必要である.しかし,ヒトの不安や恐怖などの情動変化を動物レベルで測定することは容易ではない.神経精神薬理学的な研究において,動物に不安や恐怖状況を設定し,これらにより生じる行動変化や行動変化に対する薬物の反応性を客観的かつ定量的に評価することにより,病態を反映した妥当性の高い動物モデルの作製が試みられてきた.一方,最近の分子生物学の進歩に伴い,様々なノックアウトおよびトランスジェニックマウスが作製され,これらの遺伝子改変動物を用いて遺伝子レベルで情動性の分子機構を解明しようとする研究が盛んに行われている.本稿では,情動性の代表的な評価試験方法および不安との関連が示唆されている遺伝子改変動物について概説する.<br>
著者
山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.9, pp.965-969, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

In order to provide safe and effective pharmaceutical care to patients and their family members in clinical practice, pharmacists should receive appropriate clinical training after obtaining their license, as is standard in other medical professions. At present, there is no national framework in Japan for the early clinical training of pharmacists after licensure. However, pharmacy residency programs have been autonomously developed and implemented at some university hospitals and other medical institutions. This article describes the current status of clinical training of pharmacists after licensure in Japan. Furthermore, the standards for pharmacy residency programs, the outline of a core program for clinical training, and the career paths of hospital pharmacists after training are discussed.
著者
山田清市著
出版者
桜楓社
巻号頁・発行日
1991
著者
高木 麻衣 相良 篤信 石澤 歩実 伊藤 文香 宮崎 雅之 千﨑 康司 永井 拓 山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.10, pp.1327-1332, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
14

The dosage of cisplatin is adjusted according to creatinine clearance (Ccr) estimated by the Cockcroft-Gault formula, which is commonly used as a marker for renal function. It is known that different serum creatinine (Scr) levels are reported depending on the analytical methods utilized such as the Scr level by the enzyme method being lower than that by the Jaffe method. Although the enzyme method is used in Japan, most drug dosages, including cisplatin, are adjusted according to the estimated Ccr using the Jaffe method-based Scr level. The purpose of this study was to investigate whether assessment of renal function with or without Scr adjustment affects cisplatin-based chemotherapy in cervical cancer patients. The patients were divided into two groups, normal (Ccr≥60 mL/min with adjusted Scr) and false normal (Ccr<60 mL/min with adjusted Scr, but Ccr≥60 mL/min with non-adjusted Scr). The false normal group had significantly higher rates of cisplatin dose reduction after the second course than the normal group (p<0.05). Leukocytopenia and Grade 2 or higher neutropenia were significantly more common in the false normal group than in the normal group (p<0.05). These results suggest that evaluation of renal function using the adjusted Scr is important for the accurate dosage of cisplatin and that it helps to improve the patient's quality of life. Further investigations may provide useful information for accurate and safe cisplatin-based chemotherapy for cancer patients.
著者
吉村 紳一 内田 和孝 髙木 俊範 山田 清文 白川 学 立林 洸太朗
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.17-22, 2018 (Released:2018-07-24)
参考文献数
20
被引用文献数
2

我々が行っている急性期脳梗塞の予後改善を目指した基礎・臨床研究とその展望を紹介する.1)血栓回収療法普及プロジェクト(RESCUE-Japan Project):本治療の有効性は確立したが,未だ十分に普及していない.このため,全国調査の結果をもとに,治療の推進に取り組んでいる.2)救急隊用脳卒中病型予測スコア開発:脳梗塞患者の予後改善のためには迅速かつ適切な搬送が必須である.我々が開発したこのアプリケーションは診断率が高く,救急搬送に応用していく.3)急性期脳梗塞および頸部・頭蓋内動脈狭窄に対する脂質低下療法に関する臨床試験:スタチンを用いた研究をベースにPCSK-9 阻害薬を用いた研究を開始する予定である.4)急性期脳梗塞に対する細胞療法の基礎・臨床研究:梗塞後の機能回復を目指した再生医療研究として,骨髄単核球,傷害誘導性多能性幹細胞,羊膜由来間葉系幹細胞を用いた臨床研究を行う予定である.
著者
溝口 博之 山田 清文
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.372-373, 2009-10-15

[用いられた物質/研究対象となった受容体] メタンフェタミン/GABA受容体 覚せい剤であるアンフェタミンやメタンフェタミンは代表的な依存性薬物であり,日本のみならず世界中でその乱用および依存症が社会的な問題となっている。覚せい剤乱用の初期には,病的爽快,注意力の増強,疲労軽減,無食欲症といった症状が観察されるが,長期間の使用により幻覚・幻聴や妄想症状などが出現する(覚せい剤精神病)。覚せい剤を慢性的に乱用すると次第に脳障害が形成されることから,覚せい剤精神病は器質性精神病と規定されている。覚せい剤精神病は,一旦発症すると薬を止めても回復しない場合が多く,再発脆弱性や症状の慢性化においても妄想型の統合失調症と酷似している。さらに,メタンフェタミンの長期使用により認知障害が惹起され,依存症に加えて認知障害の重症度が社会転帰と深く関わっている。これらのことから,覚せい剤依存者における認知障害の発症機序の解明およびその治療法の確立が重要な課題である。実際,メタンフェタミン依存者は言語記憶や運動機能の実行性が低下していることや,記憶の想起テストが非常に悪いこと,メタンフェタミン乱用者では健常人に比べ情報処理機能試験の成績が著しく悪いことなどが報告されている1)。磁気共鳴機能的画像検査法(fMRI)を用いた研究では,注意力や作業機能を評価するtwo-choice prediction taskにおけるメタンフェタミン依存者の試験成績の低下と,眼窩前頭皮質および背外側前頭前野における脳賦活の低下とが相関すると報告されている。 覚せい剤精神病や依存症のメカニズムに関しては,脳内報酬系に関係するドパミン作動性神経系を中心に研究が重ねられ,その他の神経伝達に関する報告ではドパミンとの相互作用が論じられることが多い。代表的な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid:GABA)はドパミン神経の発火を抑制することから,GABA作動性神経系の役割について注目されてきた。例えば,遺伝子多型の研究により,GABAA受容体γ2サブユニット遺伝子の多型がメタンフェタミン依存症の脆弱性に関係することが明らかになっている。また,GABAB受容体アゴニストはドパミン神経の発火を安定化することにより,コカイン,ニコチン,ヘロインなどの依存性薬物によるドパミン遊離の増大を抑制し,その報酬効果を減弱するという報告がある。最近の研究では,GABAB受容体アゴニストbaclofenがメタンフェタミン依存患者の依存症の治療に有用であるとの臨床試験もある2)。また,エタノールによる記憶障害をbaclofenが抑制することも示されている。以上より,GABA受容体が覚せい剤による認知障害に関与する可能性が考えられるが,直接的な因果関係について述べた臨床報告や基礎研究は十分ではない。本稿では,メタンフェタミン認知障害モデル動物におけるGABA受容体アゴニストの効果について紹介する。
著者
倉地 茜 矢野 亨治 西川 佐紀子 岡島 亜衣 船橋 美和 日比 陽子 河野 紀子 宮川 泰宏 永井 拓 山村 恵子 山田 清文
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.161-168, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Warfarin is a useful and effective oral anticoagulant. The management of the prothrombin time-international normalized ratio (PT-INR) is important for ensuring appropriate warfarin-based anticoagulation therapy. Here, we developed an anticoagulation management support (ACMS) system involving self-monitoring of the PT-INR and an Internet-based reporting system for outpatients. In the ACMS system, outpatients monitor their own PT-INR values using a CoaguChek® XS rapid measuring device and report the data to medical staff via a website. Then, the medical staff reply to the patients with information about their next dosage of warfarin based on the reported PT-INR data. We employed protocol-based pharmacotherapy management (PBPM), which was conducted by pharmacists, linked to the ACMS system to treat outpatients who received combination therapy involving warfarin and drugs that can have drug-drug interactions with warfarin, such as rifampicin, miconazole, 5-FU, and S-1. In the present study, we investigated the safety and efficacy of PBPM in 6 patients. There were no major discrepancies between the PT-INR values measured by self-monitoring and those obtained at hospital, and the patients did not make any errors when inputting their data via the website. By applying PBPM, anticoagulation therapy with warfarin was found to be safe and effective, and the time in therapeutic range was 82.1 ± 7.3% (mean ± SD). No major adverse events, such as bleeding or embolisms, occurred in any patient during the observation period. These results suggest that PBPM linked to the ACMS has beneficial effects on warfarin-based anticoagulation therapy in outpatients.
著者
山田清三郎 著
出版者
理論社
巻号頁・発行日
vol.下巻 (風雪の時代), 1954