著者
大森 崇史 柏木 秀行 井上 修二朗 古川 正一郎 下見 美智子 宮崎 万友子 原田 恵美 廣木 貴子 岡 佳子 堤 一樹 大屋 清文
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.165-170, 2022 (Released:2022-11-24)
参考文献数
14

心不全患者に対する緩和ケアの必要性が注目されているが,まだ国内では提供体制が十分に整っていない.飯塚病院は福岡県飯塚市に位置する1048床の急性期病院であり,同院において心不全の緩和ケアを提供するためにハートサポートチーム(HST)を創設し,心不全緩和ケア提供体制を構築した.2017年5月にHSTを創設後,2022年3月までに循環器内科から168例の心不全患者の緩和ケア介入依頼があった.介入事例のうち,緩和ケア診療加算の算定基準を満たしたのは25例(14.8%)だった.HSTの創設・運用にあたり,スタッフの確保,育成,持続する仕組みづくりが課題であると考えられた.循環器の専門職だけでなく緩和ケアや精神ケア等を専門とするスタッフと協働したHSTを創設することで,急性期病院で心不全患者に対する緩和ケア提供体制を構築する最初の一歩となった.
著者
西口 順子 岡 佳子 牧野 宏子
出版者
相愛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

現在、関西に12ヶ寺の尼門跡とよばれる尼寺が存在する。尼門跡の称号が正式に許可されたのは昭和16年以後のことで、これらは中・近世には比丘尼御所と称された。近年、中世史の分野において、比丘尼御所研究は著しく進展している。しかし、近世の比丘尼御所研究はほとんどなされてこなかった。それは尼門跡寺院の文書調査が全く手つかずの状態であったからである。本研究では、尼門跡寺院のうち京都の宝鏡寺・養林庵・光照院・霊鑑寺・慈受院、奈良の中宮寺が所蔵する近世・近代文書の調査を実施し、研究の基礎となる文書目録を作成するとともに、比丘尼御所の歴史的変遷と生活文化の多様性を明らかにすることを試みた。各寺院には江戸時代中期以後の多量の文書が存在する。近世の比丘尼御所には皇女・公家の女性が入寺し、彼女ら自身の手による多くの文書が残された。そこから、尼僧たちは自らが寺院経営を行い、寺格の高めるために政治的に動き、積極的に帰依層を拡げていった状況が明らかになった。従来の研究では比丘尼御所は高貴の女性が幼少より入寺する閉鎖的な空間と考えられてきたが、実際は女性達が尼僧として積極的に社会と関わりをもったことが明確になったのである。この側面は文書調査によってしか明確にしえない点であった。さらに尼僧が行った仏事法会や儀式の次第書、和歌や典籍などの国文学資料、美術工芸資料など、宮廷と寺院が一体となった独特の比丘尼御所の生活文化を明らかにした。また、予想以上多量の近代文書が残り、明治政府の宗教政策のもとでの皇室系寺院の歴史的変遷をあつづけることもできた。もっとも各寺院の所蔵する文書は厖大な量であったために、予備調査のみや、調査継続中の寺院などが残り、それらが今後の課題として残っている。
著者
松岡 佳子 鈴木 二郎
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.83-86, 1987
被引用文献数
1

スナネズミは, いろいろな分野で実験に用いられ, 大変有用な実験動物であるが, その繁殖, 発育に関する報告は少ない。筆者らは, 10年来, てんかん発作形質を選抜目標として, 近交系作出を試みている。その過程で得られた, 繁殖, 発育に関する成績は以下のとおりであった。1.平均寿命は, 雄26±14カ月, 雌27±13カ月であった。2.体重は, 16週齢でほぼ一定に達し, 雄で72±5.69, 雌で62±7.39であった。3.産仔数については, ばらつきがあるが, 平均4.8±1.7であった。4.分娩数は3~10月が多く, これらの時期が繁殖時期と考えられた。5.離乳率は, 約80%であった。6.世代別産仔数には大きな変動は見られなかった。<BR>本研究にあたり, 終始御協力下さった, 本研究所動物室, 岡崎守博, 赤坂佳幸の両氏ならびにタイプを打って下さった岩瀬真子さんに深謝する。
著者
吉岡 佳子
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.3-36, 2013 (Released:2014-12-21)
参考文献数
26

Although sign linguistics and pragmatics started almost at the same time in the early 1960's, few studies have been reported so far on pragmatics in sign languages. The present study aims at examining how politeness is realized in Japanese Sign Language (JSL). For this purpose, a videotaped discourse completion test (6 requests and 6 rejections) was conducted with the help of 8 native JSL signers. As a result, the JSL signers used a variety of politeness strategies, including both positive and negative ones, proposed by Brown & Levinson (1978/1987). It is particularly noteworthy that off-record strategies, i.e., indirect language uses with implicature, were observed in 12 cases among 90. In addition, a nonmanual marker (NMM) "polite grimace" was observed 19 times both in requests and in rejections. It co-occurred with /ask/, /reject/, /it's OK/, /sorry/ and /borrow/. Using this NMM, the signers seemingly showed their feelings such as "I really hate to tell you this, but", "against my will, I have to say", etc. Hoza (2007) reports that "polite grimace" is also observed in ASL. However, the NMM "polite grimace" in JSL is unique in that it is often combined with two-handed signs, which are derived from unmarked one-handed signs and show deference, and/or bowing, i.e., a traditional etiquette in Japan. Thus, the present study clarifies that the politeness theory is applicable to JSL too. From another viewpoint, it indicates the richness of JSL as a language.
著者
岡 佳子 岡村 喜史 岸本 香織 西口 順子 杣田 善雄
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本の宗教とジェンダーを考えるうえで重要な尼門跡文書の分析を通じて、近世社会における尼僧と尼寺の役割を明らかにすることを目的に、(1)慈受院門跡所蔵の「総持院触留」の研究、(2)尼僧を中心とした女性ネットワークの研究(3)比丘尼御所、霊鑑寺門跡の工芸品の調査、以上の3点から研究活動を行った。4ヶ年の期間内に33回の尼寺研究会を開催し、元禄11年~享保21年までの「総持院触留」28冊を講読し、6回の霊鑑寺工芸品調査を実施して人形約170件・染織品約70件・陶磁器約100件の調査データを得ることができた。その成果を纏め、2013年3月に、研究論文6、「総持院触留史料集」を収載した研究報告書を刊行した。本研究によって尼寺を背負う立場にある尼僧たちが積極的に社会に関わっていく姿が明確になった。
著者
吉岡 佳子
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.3-36, 2013

Although sign linguistics and pragmatics started almost at the same time in the early 1960's, few studies have been reported so far on pragmatics in sign languages. The present study aims at examining how politeness is realized in Japanese Sign Language (JSL). For this purpose, a videotaped discourse completion test (6 requests and 6 rejections) was conducted with the help of 8 native JSL signers.As a result, the JSL signers used a variety of politeness strategies, including both positive and negative ones, proposed by Brown & Levinson (1978/1987). It is particularly noteworthy that off-record strategies, i.e., indirect language uses with implicature, were observed in 12 cases among 90. In addition, a nonmanual marker (NMM) "polite grimace" was observed 19 times both in requests and in rejections. It co-occurred with /ask/, /reject/, /it's OK/, /sorry/ and /borrow/. Using this NMM, the signers seemingly showed their feelings such as "I really hate to tell you this, but", "against my will, I have to say", etc. Hoza (2007) reports that "polite grimace" is also observed in ASL. However, the NMM "polite grimace" in JSL is unique in that it is often combined with two-handed signs, which are derived from unmarked one-handed signs and show deference, and/or bowing, i.e., a traditional etiquette in Japan.Thus, the present study clarifies that the politeness theory is applicable to JSL too. From another viewpoint, it indicates the richness of JSL as a language.
著者
橋本 聖子 宮岡 佳子 鈴木 眞理 加茂 登志子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = Journal of Atomi University, Faculty of Literature (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.53, pp.265-276, 2018-03

[目的]摂食障害は、拒食、過食など摂食行動の異常を呈する精神疾患である。摂食行動の異常のみならず、肥満恐怖、ボディイメージの障害を生じる。患者は若い女性に多いが、発症には、やせを礼賛するマスメディアの影響が人きい。このような社会文化的要因に、個人のもつ生物学的脆弱性、性格傾向、ストレスフルな環境、家族関係などの要因がからんで発症する。近年、新しいメディアのツールとして、ソーシヤルネットワーキングサービス(social networking service : SNS)が急速に普及している。 SNSでは気軽に他者の写真を見ることができるため、摂食障害を引き起こす誘因のひとつになる可能性がある。そこで本研究では、SNSの使用状況、食行動異常、ボディイメージとの関連について調べることにした。[方法]調査対象は、20~30代の女性摂食障害患者42名(患者群、平均年齢25.3歳)および、一般女子大学生143名(一般群、平均年齢20.4歳)に質問紙調査を行い比較検討した。[結果](1)一般群のほうが患者群よりもSNSを利用する傾向があり、SNSの写真をコーディネートの参考にしていた。一方、患者群のほうがSNSで他人の写真の体型が気になると回答した。(2)自分の体型についてどう認知しているかによって、患者群、一般群それぞれ3群に分けた(「自分が実際よりも太っているという認知が患者または一般群内で高い群(1群)」、「中間群(2群)」、「自分が実際よりも太っているという認知が患者または一般群内で低い群(3群)」)。患者群の「自分が実際よりも太っているという認知が高い群」は、摂食障害の中でもボティイメージの障害が強い群と考えられる。この群は他の患者群よりも、ダイエット(体重を減らすこと)に関心があり、SNSではブログをより使っていた。[考察]ブログは、他のSNSと比較すると長い文章を記載することができる。やせや体型へのこだわりの強い摂食障害患者ほど、食生活やダイエットに関する記事、摂食障害患者の日記や闘病記などを読んでいる可能性が示唆された。
著者
宮岡 佳子 秋元 世志枝 上田 嘉代子 加茂 登志子
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.194-201, 2009-10-31 (Released:2017-01-26)
被引用文献数
4

近年,月経前不快気分障害(PMDD)が,精神科医,婦人科医双方で注目されている.PMDDは,PMSのある種の重症型であり,うつ病に類似した症状を持っている.著者らは,DSM-IVの診断基準を基に,Steinerら(2003)の尺度を参考にしてPMDD評価尺度を開発し,その妥当性と信頼性を検討した.20から45歳までの327名の女性に尺度を実施した.因子分析では,3因子が抽出され,「疲れ・身体症状」「抑うつ気分」「対人関係・怒り」と名付けた.PMDD評価尺度の各因子と項目全体のCronbach'sα係数から,高い内的整合性が得られた.黄体期後期つまり月経前にある女性を抽出し,その群で,PMDD評価尺度と自己記入式抑うつ尺度の相関に有意な相関がみられた.よって,この尺度は妥当性と信頼性があることが示された.PMDDの発症頻度は5.9%であった.以上の結果から,PMDD評価尺度は,PMDDをスクリーニングするために有効な尺度であることが示唆された.
著者
岡 佳子
出版者
芸能史研究会
雑誌
芸能史研究 (ISSN:03869504)
巻号頁・発行日
no.181, pp.16-30, 2008-04
著者
片岡 佳子 有持 秀喜
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

徳島大学病院皮膚科外来にて軽度のアトピー性皮膚炎と診断された患者の自然排泄便の菌叢をTerminal-Restriction Fragment Length Polymorphism法と培養法により解析した。食物摂取頻度調査票を用いて調べた被験患者の食生活には特に偏りはなかったが、菌叢のパターンは健常人とも潰瘍性大腸炎患者とも異なっていた。また、糞便中の総菌数、好気性菌の生菌数は健常人と同程度であり、潰瘍性大腸炎のような菌叢の多様性の減少は見られなかった。